シェーブルチーズ

「シェーブル」とはフランス語で山羊を意味し、シェーブルチーズは山羊乳から造られる、奥深い魅力を持つチーズの総称です。牛乳チーズよりも古い歴史を持ち、その風味は独特で、チーズ愛好家を魅了し続けています。一口にシェーブルと言っても、フレッシュなものから熟成させたものまで種類は様々。製法や熟成期間によって変化する、その多様な味わいこそがシェーブルチーズ最大の魅力と言えるでしょう。この記事では、シェーブルチーズの奥深い世界と、その楽しみ方をご紹介します。

シェーブルチーズとは

「シェーブル」はフランス語で「山羊」のこと。つまりシェーブルチーズとは、山羊乳を原料とするチーズの総称です。その歴史は牛乳チーズよりも遥かに古く、チーズのルーツとも言われています。組織は柔らかく、山羊乳ならではの独特な風味が特徴で、多くのチーズファンを魅了し続けています。製造直後のフレッシュな状態から、熟成が進んだ状態まで、それぞれの段階で異なる美味しさを堪能できるのも、シェーブルチーズの大きな魅力の一つです。

シェーブルチーズの基礎知識

シェーブルチーズには、熟成させないフレッシュタイプから、白カビなどを付けて熟成させるタイプまで、実に様々な種類が存在します。形状も円筒形、お饅頭のような形、ピラミッド型など様々で、表面に木炭粉をまぶしたものや、チーズの中心に麦わらが通してあるものも見られます。一般的に、手のひらサイズほどの小ぶりなものが多く見られますが、これは山羊乳の性質上、大きなチーズを作ることが難しいことが理由です。そのため、様々な形状の型を用いることで、バラエティ豊かなシェーブルチーズが生み出されてきました。

木炭粉をまぶす理由

シェーブルチーズの表面に木炭粉をまぶすのは、主にチーズの水分量を調整し、風味を豊かにするためです。木炭粉は余分な水分を吸収し、チーズの乾燥を防ぐ役割を果たします。さらに、独特の風味をチーズに付与することで、より複雑で奥深い味わいを引き出す効果も期待できます。

麦わらの役割

シェーブルチーズの中心に通された麦わらは、チーズの呼吸を助ける重要な役割を担っています。麦わらを通してチーズ内部の湿度が適切に調整され、均一な熟成を促します。また、麦わら自体もチーズに風味を移し、独特の香りを生み出す要素として貢献しています。

シェーブルチーズの一般的な製法

シェーブルチーズは、まず山羊乳を適温に温め、レンネットという凝乳酵素を加えてミルクを凝固させ、カゼインを固めます。これにより凝乳と呼ばれる状態になります。この凝乳から乳清(ホエイ)を取り除くことで、カードと呼ばれる固形物ができます。このカードを専用の型に入れて形を整え、水分を切った後、型から取り出して風通しの良い場所で熟成させます。熟成期間や方法はチーズの種類によって異なり、表面に木炭をまぶしたものや、白カビを植え付けて熟成させるものなどがあります。

代表的なシェーブルチーズの種類

シェーブルチーズは、その製法や熟成方法によって多種多様な種類が存在し、それぞれ独特の風味や形状を持っています。

  • ヴァランセ

フランスのロワール地方原産のピラミッド型のチーズです。ナポレオンがエジプト遠征の失敗に腹を立て、その形をピラミッドから連想して頂点を切り落とさせたというエピソードが語り継がれています。

  • サント・モール・ド・トゥレーヌ

フランスのロワール地方で作られる、藁が中心に通った円筒形のチーズです。そのユニークな形状が特徴的です。

  • クロタン・ド・シャヴィニョル

フランスのシャヴィニョル村発祥の、小さくて丸い形をしたチーズで、シェーブルチーズの中でも特に人気のある種類の一つです。

  • ポワヴル・ダヌーブ

ポプラの炭の粉を表面にまぶした、丸い形をしたチーズです。熟成が進むにつれて表面に細かいしわが現れ、灰色へと変化していきます。きめ細やかな組織と繊細な味わいが特徴で、シェーブルチーズの中でも特に優れた品質を誇ると言われています。

  • シェーブル・ド・ベルエール

「エッフェル塔」という愛称で親しまれている、スタイリッシュなピラミッド型のチーズです。薄い表皮は青みがかった白色で、しっとりとした質感です。若干強めの酸味がありますが、クリーミーで山羊乳の匂いも控えめなので、比較的食べやすいでしょう。

  • プーリニィ・サン・ピエール

フランス中西部のポワトゥー・シャラント地方で作られているチーズです。程よい酸味とほのかな甘みが調和した、絶妙な味わいが魅力です。

シェーブルチーズのおいしい食べ方

シェーブルチーズは、熟成度合いによって様々な楽しみ方ができます。フレッシュなタイプは、ジャムやマーマレード、新鮮なフルーツとの組み合わせがおすすめです。野菜と合わせる際は、スパイスを効かせたソースで風味豊かに味わうのが良いでしょう。バゲットにスライスしたシェーブルチーズを乗せ、ハチミツをかけても美味しく、軽くトーストしても絶品です。スパイスやハーブとの相性も抜群で、冷えた白ワインのお供に最適です。サラダに焼いたシェーブルチーズを添えるのもおすすめです。

熟成度による風味の変化

熟成期間が短いシェーブルチーズは、爽やかな酸味が際立っています。熟成が進むにつれて、より濃厚なコクと力強い風味が生まれます。ご自身の好みに合った熟成度合いを見つけ、ワインや他の食材との組み合わせを試してみて、その奥深い味わいを堪能してください。

シェーブルチーズの切り方

シェーブルチーズはその見た目のバリエーションによって、おすすめの切り方が変わってきます。

  • ピラミッド型:頂点から底辺に向かって、放射線状にカットするのがおすすめです。
  • 円盤型:中心から外側に向けて、放射状にカットすると均等に分けられます。
  • 円筒型:ナイフで輪切りにするのが一般的です。

シェーブルチーズの保存方法

シェーブルチーズは乾燥すると風味が損なわれやすいため、正しい方法で保存することが大切です。チーズをラップで軽く包み、湿気を保つためにキャベツの葉などを一緒に入れた密閉容器や保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。他の食品のにおいが移りやすいので、肉や魚などの近くには置かないようにしましょう。

まとめ

シェーブルチーズは、その豊かな風味と多様な形状で、多くのチーズファンを惹きつけてやみません。この情報を参考に、色々なシェーブルチーズを味わい、お気に入りの一品を見つけてみてください。それぞれのチーズの特徴を知り、最適な食べ方や保存方法を実践することで、シェーブルチーズの更なる魅力を発見できるでしょう。

シェーブルチーズ