秋の味覚の代表格、栗。その甘さとホクホク感は、私たちを魅了してやみません。しかし、栗には様々な品種があり、それぞれに個性的な味わいと特徴があります。そこで今回は、人気の栗品種をご紹介します!それぞれの栗の風味、食感、おすすめの調理法まで徹底解説します。この記事を読めば、きっとあなたにとって最高の栗が見つかるはず。さあ、栗の世界へ飛び込んで、秋の味覚を心ゆくまで堪能しましょう!
秋の味覚「栗(くり)」の基本情報
栗は、9月から10月にかけて旬を迎える秋の味覚です。野菜と思われがちですが、果物に分類されます。小さいながらも、食物繊維、ビタミンC、カリウム、葉酸などの栄養が豊富で、健康にも良い食材です。世界には様々な栗があり、大きく日本栗、中国栗、ヨーロッパ栗、アメリカ栗の4種類に分けられます。それぞれ特徴や用途が異なり、日本栗は大粒で水分が多く、茹で栗に適しています。中国栗は渋皮が剥きやすく、焼き栗に最適です。ヨーロッパ栗は小粒で、マロングラッセやペーストなどの加工品に使われます。アメリカ栗は病気に弱く、果実としての利用はほとんどありません。
日本における栗の栽培は古く、縄文時代の遺跡からも栗が見つかっています。現在では、「筑波」や「ぽろたん」などの新品種が各地で栽培されています。栗の品種は収穫時期によって早生、中生、晩生に分けられ、市場に出回る品種も時期によって変わります。通販で栗を取り寄せる際は、品種の違いや旬の時期に注目すると、より栗を楽しめるでしょう。
店頭で美味しい栗を選ぶ方法は?
スーパーや直売所などで栗を選ぶ際、見た目や重さなどに注目すると、より美味しい栗を見分けられます。新鮮で質の良い栗を選ぶポイントを知っておけば、購入後の満足度も高まります。
ポイント①鬼皮にツヤがある
美味しい栗を見分けるには、鬼皮にツヤがあり、みずみずしいものを選びましょう。栗は収穫後、時間が経つと水分が失われ、鮮度が落ちていきます。弾力も鮮度を測る目安となり、指で押してフニャフニャしている場合は、鮮度が落ちている可能性があります。購入後は早めに食べるか、適切に保存しましょう。
ポイント②重さを確認する
手に取った時の重さは、栗を選ぶ上で重要なポイントです。ずっしりと重みを感じる栗は、水分をたっぷりと含んでいる証拠。反対に、乾燥して軽く感じる栗は、水分が失われ、風味や甘みが損なわれている可能性があります。新鮮で美味しい栗を選ぶためには、重さをしっかりと確認しましょう。外皮のツヤがなく、張りが失われているものも、水分が抜けているサインです。
ポイント③虫食いの跡がないか確認する
栗の表面に小さな穴が開いていたり、黒ずんだ部分があったりする場合は、虫が内部に侵入している可能性があります。虫食いの栗は味が落ちるだけでなく、品質も低下しているため、避けるようにしましょう。購入する際は、栗の表面をよく観察し、傷や変色がないかを確認することが大切です。特にインターネット通販を利用する場合は、信頼できる販売元から購入し、個別に包装されているものを選ぶと安心です。
ポイント④形と大きさをチェックする
栗を選ぶ際には、形と大きさも重要なポイントです。品種によって形は異なりますが、同じ品種であれば、ふっくらと丸みを帯びていて、できるだけ大きいものを選びましょう。平たい形をした栗は、果肉が少ない傾向があります。丸々と大きく育った栗は、果肉がぎっしりと詰まっており、ホクホクとした食感と豊かな甘みを堪能できます。見た目の良さも美味しさの指標の一つです。
栗の品種ごとの特徴を知ろう
栗を探していると、様々な品種名が表示され、どれを選んだら良いか迷ってしまうかもしれません。栗は品種によって見た目、風味、最適な調理方法が異なります。ここでは、日本で広く栽培されている代表的な栗の品種について、特徴を詳しく解説します。
筑波(つくば)
国内で最も広く栽培されている栗、「筑波」。栽培面積が広く、人気の品種です。9月下旬から10月上旬にかけて旬を迎える中生種であり、大粒で美しい光沢を放つ姿が特徴です。香り高く、しっかりとした甘みがあるため、ゆで栗のように素材本来の味を楽しむ調理法や、手間暇かけて作る渋皮煮に最適。その風味の良さから、多くの栗好きに選ばれる品種です。
銀寄(ぎんよせ)
栗の品種の中で、栽培面積第2位を誇る「銀寄」は、中生種に分類されます。2018年には1,694ヘクタールで栽培され、その人気の高さが窺えます。「筑波」と同様に9月下旬から10月上旬頃に出荷のピークを迎えます。外観は光沢が控えめで、横に広がった扁平な形をしているのが特徴です。特に渋皮煮との相性が抜群で、煮込むことでその美味しさが際立ちます。しっとりとした上品な食感と、噛むほどに広がる栗の風味は、格別な満足感をもたらします。
丹沢(たんざわ)
早生品種としてトップの栽培面積を誇る「丹沢」は、栗全体で見ても3番目に多く栽培されています。2018年には1,622.9ヘクタールで栽培されていました。9月上旬から中旬にかけて収穫されるため、他の品種よりも早く秋の味覚を楽しめます。三角形に近い大粒で、表面に光沢はありません。果肉の色が鮮やかな黄色であることも魅力です。果肉の色が鮮やかな黄色であることも魅力の一つ。この美しい色合いを活かし、栗ペーストやモンブラン、タルトなど、見た目も華やかなお菓子作りに重宝されています。
利平栗(りへいぐり)
「利平栗」は、日本栗と中国栗の交配によって生まれた品種。中生種であり、9月中旬から下旬頃に出荷されます。一般的な栗に比べて皮の色が濃い褐色で、上部に細い毛が生えています。肉質は硬く、加熱するとホクホクとした食感になり、ゆで栗や蒸し栗など、シンプルな調理法で素材の味をダイレクトに味わうのがおすすめです。栗の香りと、ほっくりとした食感は、栗通を唸らせるでしょう。
ぽろたん
「ぽろたん」は、従来の日本栗につきものだった渋皮剥きの難点を克服するために開発された革新的な品種です。その独特な名前が印象的で、実が大ぶりで味が良いのが特徴です。一番の魅力は、加熱前に皮に切り込みを入れておけば、渋皮が嘘のように「ポロリ」と剥けることです。これにより、生の栗の下処理の手間が大幅に省け、気軽に栗を使った料理を楽しみたい人には最適です。見た目は「丹沢」に似た早生種で、9月上旬から中旬にかけて市場に出回りますが、旬の最盛期は9月中旬から下旬頃です。実は大きく、重さは約30g程度。果肉はやや粉っぽく、ほっくりとした食感で、色は鮮やかな黄色をしており、甘みと香りが際立っています。この扱いやすさから、家庭での調理だけでなく、加工用としても重宝されており、熊本県、茨城県、埼玉県など、全国各地で広く栽培されています。
秋峰(しゅうほう)
「秋峰」は、日本栗の代表的な品種である「筑波」と「524-1」を掛け合わせて作られた晩生品種です。旬は主に9月下旬から10月上旬にかけて。実は黄色みが強く、甘みが豊かで、非常に美味しいのが特徴です。見た目としては、トゲが少し長く、果皮に細かい毛が多いのが特徴です。実の大きさは「筑波」よりやや小ぶりですが、「石鎚」とほぼ同じくらいで、形もきれいです。秋が深まるにつれて味が濃くなる「秋峰」は、その美しい色と風味の良さから、様々な栗料理やスイーツに利用され、人気を集めています。
ぽろすけ
「ぽろすけ」は、「ぽろたん」と同様に渋皮が剥きやすいという特徴を持つ早生品種です。渋皮剥きが苦手な方には特におすすめで、8月下旬から9月上旬という早い時期に旬を迎えます。実は「ぽろたん」よりも小さめで、重さは約21g程度です。果肉の色は「ぽろたん」や「丹沢」と比べるとやや淡い黄色で、甘みや香りも少し控えめですが、果肉はやや粉質で、ほっくりとした食感が楽しめます。この品種は、「ぽろたん」と一緒に栽培されることが多く、早生種として秋の訪れを告げる栗として親しまれています。
美玖里(みくり)
「美玖里」は、「石鎚」と「秋峰」の良いところを受け継いで生まれた晩生品種で、9月下旬から10月上旬が旬です。全国的に栽培されており、特に甘みと香りが強く、果肉の色と味が優れている点が大きな特徴です。果肉はほくほくとした粉質で、食べごたえがあります。実は約28gと大きく、「筑波」の後に収穫できるため、秋の終わり頃まで美味しい栗を味わえます。見た目も美しく、外観が良いことから、贈り物としても人気のある品種です。
岸根栗(がんねぐり)
「岸根栗」は、際立って大きなサイズと、その優れた味わいで知られる品種です。そのルーツは古く、山口県の坂上村に落ち延びた平家の武士が、岸根の白瀧山に砦を築いた際、そこに自生していた栗に広島から取り寄せた穂木を接ぎ木し、近隣の農民に栽培方法を広めたのが始まりと伝えられています。果実は30~40gに達する大粒で、名高い「丹波栗」をも凌ぐほどの大きさを誇ります。肉質は粉質で、ほっくりとした食感と豊かな風味が特徴であり、その味は非常に優れています。大正2年(1913年)に開催された全国栗品種名称調査会では、510種類もの栗の中から、特に優れた品種として高い評価を受けました。現在では、山口県をはじめ、愛媛県、茨城県などで広く栽培されており、その長い歴史と品質の高さから、多くの栗ファンから熱い支持を得ています。
収穫量が多い県はどこ?栗の産地ランキング
日本国内では、各地で栗の栽培が盛んに行われています。それでは、最も多くの栗を収穫している県はどこなのでしょうか?ここでは、日本の主要な栗の産地を、収穫量に基づいたランキング形式で紹介するとともに、各地域が誇る特色豊かなブランド栗についても詳しく解説します。これらの情報を通じて、地域ごとの栗の個性や、生産者の努力を知り、栗の世界をより深く楽しんでいただければ幸いです。
【1位】茨城県
栗の収穫量ランキングで首位を飾るのは、茨城県です。栽培面積、出荷量ともに全国トップであり、年間3,790トンもの栗を収穫しています(2020年)。これは全国の総収穫量の約22%を占める圧倒的な数字です。茨城県での栗栽培は明治30年頃(1897年頃)に始まったとされ、120年以上の歴史があります。この地が栗栽培に適している理由は、温暖な気候と、栗の根張りに適した通気性の良い肥沃な土壌に恵まれているためです。茨城県で栽培されている主な品種は、「丹波」「ぽろたん」「利平」「筑波」「銀寄」「石鎚」「岸根」など、種類が豊富です。主な産地は笠間市、かすみがうら市、石岡市などであり、特に栗栽培が盛んな笠間市では、収穫した栗を冷蔵貯蔵することで甘みを最大限に引き出す「貯蔵栗(極み)」という独自の技術を開発し、その美味しさが評価されています。その他にも、香り高く、強い甘みが特徴の「友部の栗」など、茨城には多様な高品質なブランド栗が存在し、その品質の高さで全国に知られています。
【2位】熊本県
栗の収穫量ランキングで第2位にランクインするのは熊本県です。年間2,430トンもの栗が収穫されており(2020年)、その生産量は西日本でトップを誇ります。熊本県では、早い時期では8月下旬から収穫が始まり、例年9月下旬から10月中旬まで出荷が続くため、比較的長い期間、新鮮な栗を味わうことができます。栗栽培が特に盛んな地域は、山鹿市、山都町、菊池市です。中でも山鹿市の栗は、その美味しさで全国的に知られています。山鹿市では、主に「丹波」「筑波」「ぽろたん」「銀寄」「利平」といった多様な品種が栽培されており、地域を代表するブランド栗として「山鹿和栗」を積極的にPRしています。また、山江村では、その品質の高さが認められ、天皇陛下に献上された実績を持つ「やまえ栗」のブランド化に注力し、「やまえ栗条例」を制定するなど、地域全体で栗の振興に取り組んでいます。熊本県で栗栽培が盛んになった背景には、昭和36年(1961年)に果樹振興法で栗が重点果樹に指定されたことが大きく影響しています。熊本県の栗は、その優れた品質と地域の情熱、歴史が詰まった逸品として、全国の食卓に届けられています。
【3位】愛媛県
愛媛県といえば、温州みかんのイメージが強いかもしれませんが、実は栗の栽培も盛んで、全国でも有数の産地として知られています。栗の収穫量ランキングでは常に上位に位置し、年間約1,540トン(2020年)もの栗が収穫されています。この美味しさの背景には、昼夜の寒暖差が大きいこと、そして肥沃な土地であることが挙げられます。県内でも特に栗栽培が盛んなのは、大洲市、伊予市、城川町などの地域です。栽培されている品種も、「銀寄」「大峰」「筑波」「石鎚」「岸根」などバラエティ豊かです。中でも、伊予市中山町で栽培される「中山栗」は、日本三大栗の一つとも称される有名なブランド栗。その歴史は古く、16世紀頃には三代将軍徳川家光に献上されたという逸話も残っています。このように愛媛県は、みかんだけでなく、高品質な栗の産地としても長い歴史と確かな実績を誇っています。
【4位】岐阜県
岐阜県は、栗の収穫量において全国でも重要な位置を占める産地です。ここでは、生産性と品質の向上を目指し、樹の高さをおさえる独自の栽培方法が広く採用されています。主な産地は、西南濃地域、中濃地域、東濃地域といったエリアです。岐阜県産の栗は、地元の和菓子メーカーとの契約栽培が盛んに行われており、岐阜を代表する銘菓「栗きんとん」の主要な原料として広く使用されています。また、渋皮が剥きやすいことで人気の高い新品種「ぽろたん」の導入も積極的に進められており、より手軽に楽しめる栗の生産に注力しています。
その他の県でも生産されている
茨城県、熊本県、愛媛県の上位3県で国内収穫量の約45%を占めていますが、それ以外の地域でも様々な栗が栽培されています。各地で収穫された栗をブランド栗として展開している地域も少なくありません。例えば、京都府の丹波地方で採れる「丹波栗」は、誰もが知るブランド栗の一つ。大粒で品質が高く、煮崩れしにくい特徴があるため、料理にも適しています。長野県小布施町の「小布施栗」も人気があり、江戸時代からその名が知られており、将軍に献上されたという記録も残っています。このように、日本各地でその土地ならではのブランド栗が大切に育てられています。通販サイトで栗を購入する際には、収穫量が多い産地の栗だけでなく、これらの個性豊かなブランド栗にも注目してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、秋の味覚を代表する栗について、主要な品種から産地の特色についてご紹介しました。「筑波」や「ぽろたん」といった個性的な品種をはじめ、茨城、熊本、愛媛といった主要産地、さらには丹波栗や小布施栗のような地域ブランド栗など、日本には様々な種類の栗が存在します。栗は鮮度が重要な食材ですが、適切な保存方法を実践することで、その豊かな風味を長く楽しむことができます。また、鬼皮や渋皮を簡単に剥く方法を知っていれば、栗ご飯や渋皮煮、モンブランなど、様々な栗料理に気軽に挑戦できるでしょう。中でも、シンプルに茹でた栗は、品種ごとの風味や栗本来の甘さをダイレクトに味わえるのでおすすめです。通販サイトを利用すれば、全国各地の新鮮な栗を自宅で手軽に購入できます。この記事を参考に、今年の秋は色々な栗の魅力を発見し、旬の味覚を心ゆくまで堪能してください。
栗は果物?それとも野菜?その分類の真実
店頭では野菜のように扱われることもある栗ですが、実は「果物」に分類されることをご存知でしょうか? 果物とは、木になる果実のことを指すのが一般的。栗はまさに木に実るため、果物に該当するのです。
日本の栗栽培を牽引するトップ品種とは?
日本の栗の代表格といえば「筑波」。その栽培面積は、2018年には3,296.9ヘクタールを記録し、他の品種を大きく引き離しています。ほどよい時期に収穫される中生種であり、大粒で美しい光沢、そして何より豊かな香りと強い甘みが魅力です。
生栗を美味しく保つ保存テクニック
生栗は時間とともに風味が損なわれやすいのが難点。美味しさをキープするには、ポリエチレン袋に入れてしっかりと口を閉じ、冷蔵庫のチルド室で保管するのがおすすめです。購入後は、できるだけ早めに味わうのがベストです。
栗の渋皮をスムーズに剥く裏技
あの剥きにくい栗の渋皮も、品種によっては簡単に処理できます。「ぽろたん」などの品種は、加熱前に切れ目を入れておけば、加熱後に渋皮がペロリと剥がれます。それ以外の栗の場合は、まず鬼皮を剥き、沸騰したお湯で短時間茹でてから冷水にさらすと、渋皮が格段に剥きやすくなります。