「幻のフルーツ」とも呼ばれるホワイトサポテ。その名を知っていても、実際に味わったことがある人は少ないのではないでしょうか。メキシコ原産のこの果物は、柿のような見た目と、とろけるような甘さが特徴。しかし、その魅力は甘さだけではありません。ほんのりとした苦味や、品種による風味の違いなど、奥深い味わいが隠されています。今回は、知られざる美味、ホワイトサポテの魅力と、その秘密に迫ります。
概要
ホワイトサポテ（学術名：*Casimiroa edulis*）は、メキシコを原産地とし、中央アメリカ一帯に自生する亜熱帯性の果樹です。その果実は、外見が柿に似ており、熟すと緑色から淡い黄色へと変化します。完全に熟した果実は非常に甘美ですが、品種によっては若干の苦味を伴うものもあります。見た目は柿やアテモヤに類似しており、果肉もまた、バンレイシ科の果実に見られるような白いクリーム状を呈しています。味と食感もバンレイシ科の果物に非常によく似ていますが、植物学的にはミカン科に分類されます。なお、メキシコ原産の果物で名前が似ているものに*Diospyros nigra*がありますが、こちらはカキノキ科の植物です。
栽培方法
日本でホワイトサポテの本格的な試験栽培が始まったのは、1980年代に和歌山県果樹試験場においてでした。現在では、沖縄県、鹿児島県、和歌山県などでいくつかの品種が商業的に栽培されていますが、完熟後の果実の保存期間が短いため、市場への流通量は限られています。種から育てた苗（実生苗）は、元の性質に戻ってしまい、開花しなかったり、品質が劣ったりする可能性が高いため、通常は取り木や実生苗を台木として、増やしたい品種の枝を接ぎ木して増やします。晩秋から早春にかけて花芽が形成されるため、亜熱帯地域以外では、確実に収穫するためには、冬季の落葉を防ぐための保温や加温が不可欠です。成木はある程度の耐寒性を持つものの、5℃以下の環境で強い風にさらされると落葉しやすくなります。栽培に適した場所としては、最低気温が-2℃程度までで、強風の影響を受けにくい場所が挙げられます。また、幼木は霜に弱く、霜に当たると枯れてしまうことがあるため、注意が必要です。
ホワイトサポテの成分と利用
ホワイトサポテの葉、樹皮、種子から抽出される成分は、メキシコにおいて古くから鎮静剤や精神安定剤として利用されてきました。また、コスタリカでは、葉を煎じたものが糖尿病の治療薬として用いられています。ただし、これらの効果に関する明確な科学的根拠はまだ確立されておらず、これらの地域においても、医師や薬剤師による正式な使用には至っていません。種子、根、樹皮には、edulitin, edulein, edulinine, casimiroin, zapoterin, zapotin（ザポチン）, zapotinin, casimirolid, deacetylnomilin, 7-a-obacunolなどの化合物が含まれており、葉と枝にはisoplimpinellinなどの成分が含まれています。
まとめ
ホワイトサポテは、その独特な風味と栽培の難易度から、まだ広く一般に知られている果物ではありませんが、適切な環境下で栽培すれば、ご家庭でも栽培を楽しむことができます。もしどこかで見かける機会があれば、ぜひ一度その味を試してみてください。
質問：ホワイトサポテの栽培地域はどこですか？
回答：ホワイトサポテはメキシコが原産で、中米地域に広く分布しています。日本国内では、沖縄、鹿児島、和歌山などで商業的な栽培が行われています。
質問：ホワイトサポテはどんな味がしますか？
回答：十分に熟したホワイトサポテは非常に甘みが強いのが特徴ですが、品種によっては苦味を感じるものもあります。味や食感は、バンレイシ科の果物に非常によく似ています。
質問：ホワイトサポテは種から育てられますか？
回答：種から育てた場合、元の品種の特性を受け継がず、花が咲かなかったり、品質が低下したりする可能性が高くなります。そのため、一般的には取り木や、実生苗を台木として利用し、増やしたい品種の枝を接ぎ木する方法で増やします。