カゼインフリーとは、牛乳や乳製品に含まれるタンパク質「カゼイン」を摂取しない食事法のことです。近年、栄養医学の観点から、カゼインが体に合わない人が多く、様々な不調につながる可能性があることが分かってきており、カゼインフリーの食事が注目されています。カゼインフリーは、身体が必要としている栄養素をしっかり摂るのと同時に、身体に負担となるものを摂らないという栄養医学の重要な要素の一つです。
カゼインフリーとは
カゼインは牛乳や母乳などの乳汁中に含まれるタンパク質で、乳汁中のタンパク質は「カゼイン」と「乳清タンパク質(ホエイ)」に分けられます。母乳と牛乳ではカゼインと乳清タンパク質の含有比率が異なり、母乳が4:6であるのに対し、牛乳は8:2とカゼインの含有量が圧倒的に多いのが特徴です。牛乳の白い色は、カゼインとカルシウムが結合した色です。
カゼインとは何か?牛乳との関係
牛乳の成分は、水分、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルから構成されています。主な脂質は飽和脂肪酸の「パルミチン酸」と不飽和脂肪酸の「オレイン酸」、炭水化物はほとんどが「ラクトース(乳糖)」です。ミネラルはカルシウム、カリウム、ナトリウム、リンを多く含み、ビタミンはビタミンAとパントテン酸が豊富です。タンパク質の約80%がカゼイン、約12.5%がラクトアルブミン、約3%がラクトグロブリンで、ラクトアルブミンとラクトグロブリンはホエイの構成タンパク質です。牛乳は9種類の必須アミノ酸をすべて含み、カルシウムが吸収されやすいという特徴もあります。しかし、近年では牛乳の弊害が指摘されています。
牛乳のデメリット・問題点
牛乳に含まれるカゼインは分解されにくいアミノ酸配列をしており、未消化のまま腸に入ると腸の粘膜を傷つけ、炎症を起こす可能性があります。この炎症が繰り返されると、腸の粘膜の目が粗くなり、リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)を引き起こす可能性があります。リーキーガット症候群とは、腸管を守っているバリアが破壊されることで、本来なら取り込まれることのない異物が体内に侵入し、炎症やアレルギー反応を引き起こす状態のことです。また、分解されたカゼインの一部(ペプチド)は、アミノ酸配列がモルヒネに似ており、脳では麻薬のように認識されて中毒性が高くなる可能性があります。
カゼインが引き起こす腸の炎症と依存性
牛乳に含まれるカゼインは、特有のアミノ酸配列のため消化されにくく、未消化の状態で腸に到達すると、腸の粘膜を刺激し、炎症を引き起こすことがあります。この炎症が慢性化すると、腸の粘膜のバリア機能が低下し、リーキーガット症候群(腸管透過性亢進)を招く可能性があります。リーキーガット症候群は、腸のバリアが損なわれることで、通常は吸収されない異物が体内に侵入し、炎症反応やアレルギー反応を引き起こす状態を指します。さらに、カゼインが分解される際に生成されるペプチドの一部は、モルヒネに類似した構造を持ち、脳内で麻薬のような作用を示す可能性があり、依存性を生むと考えられています。
カルシウムとマグネシウムのアンバランス
牛乳はカルシウムを豊富に含みますが、マグネシウムとのバランスが偏っている食品です。理想的なカルシウムとマグネシウムの摂取比率は1:1とされていますが、牛乳の場合、この比率が大きく崩れています。マグネシウムは吸収されにくく、ストレスなどによって消費されやすいミネラルであるため、牛乳を過剰に摂取すると、カルシウムだけが過剰になり、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。マグネシウム不足は、筋肉の緊張や痙攣、頭痛、肩こり、不安感やパニック、不眠、うつ症状、便秘、解毒機能の低下、心疾患、高血圧、低血糖、不妊、骨粗しょう症、虫歯などのリスクを高める可能性があります。また、牛乳は酸性食品であるため、体内環境を一定に保つために、アルカリ性のカルシウムが骨から溶け出し、骨が弱くなることも考えられます。
カゼインを含む食品
牛乳はカルシウム含有量が非常に高く、マグネシウムとのバランスが悪い食品です。通常1:1の割合でカルシウムとマグネシウムを摂るのが良いとされていますが、牛乳の場合カルシウムとマグネシウムの比率が非常にアンバランスです。マグネシウムは吸収が悪く、ストレスなどで消耗しやすいミネラルであるため、牛乳を多飲するとカルシウムだけが過剰となり、様々な弊害が生じる可能性があります。マグネシウム不足は、筋肉の緊張やけいれん、頭痛や肩こり、不安やパニック発作、不眠、うつ、便秘、解毒の低下、心臓の病気、高血圧、低血糖、不妊、骨粗しょう症、虫歯などを引き起こす可能性があります。また、牛乳は酸性食品であるため、体内の恒常性を保つために、アルカリ性のカルシウムが骨から溶け出して骨が弱くなる可能性があります。
乳製品の代替食品:カゼインフリーな食生活
牛乳や乳製品を控える場合、代替となる食品は豊富に存在します。牛乳の代わりに、オーツミルク、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、ココナッツクリーム、豆乳などを活用できます。また、ヨーグルトの代替としては、豆乳ヨーグルトや米粉ヨーグルトが選択肢となります。
植物性ミルクの種類と特徴
カゼインは、牛乳、カフェオレなどの乳飲料、脱脂粉乳、ヨーグルト、チーズ(ピザ、パスタにかける粉チーズ、グラタン、リゾットなど)、アイスクリーム、ソフトクリーム、市販のクリームシチュー、生クリーム(一般的な作り方のカルボナーラ)、カスタードクリーム、練乳、洋菓子全般などに含まれています。バターはほとんどの成分が脂質であるため、対象外として考えて問題ありません。バターを煮詰めた「ギー」は完全にカゼインフリーとなります。豆乳ヨーグルトであれば問題ありません。山羊ミルク(チーズ)は、牛乳とは違う種類のカゼインとなるため、問題が起こりにくいとも言われています。
- 豆乳:大豆を原料として作られ、豆腐などの食品にも利用されます。特徴として、タンパク質が豊富で、大豆イソフラボン、レシチン、ミネラルなど、様々な栄養素を摂取できる点が挙げられます。
- ライスミルク:米を原料としたミルクで、自然な甘さが特徴です。消化吸収に優しく、胃腸への負担が少ないため、体調が優れない時にも適しています。
- アーモンドミルク:アーモンドから作られるミルクです。低糖質、低カロリーでありながら、抗酸化作用を持つビタミンEが豊富に含まれています。
- ココナッツミルク:成熟したココナッツの胚乳から作られます。濃厚な風味と甘い香りが特徴で、中鎖脂肪酸を多く含んでいます。
- オーツミルク:オーツ麦を原料としたミルクです。すっきりとした甘さとコクがあり、食物繊維が豊富に含まれているのが特徴です。
牛乳や乳製品を避ける場合、代わりに利用できる食品は数多く存在します。牛乳の代わりに、オーツミルク、アーモンドミルク、ライスミルク、ココナッツミルク、ココナッツクリーム、豆乳などを利用すると良いでしょう。また、ヨーグルトを食べたい場合は、豆乳やお米のヨーグルトを用いると良いでしょう。
カルシウムを牛乳以外から摂取するには
牛乳の代替品として、豆乳、ライスミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルク、オーツミルクなどが挙げられます。
カルシウムの吸収を良くする方法
植物性の食品を選ぶときは、農薬の使用状況に注意し、オーガニックや有機栽培の製品を選ぶことがおすすめです。
カゼインフリーの実践方法と注意点
牛乳を避ける場合、カルシウム不足にならないように注意が必要です。カルシウムは大根の葉、モロヘイヤ、小松菜、春菊、チンゲン菜、水菜などの葉物野菜に多く含まれます。切り干し大根もおすすめです。また、しらす、イワシやししゃもなど骨ごとまるまる食べられる小魚や桜えび、干しえびもカルシウムが豊富な食材です。特にしらすや桜えびはマグネシウムも豊富で、しらすやイワシにはビタミンDも多く含まれています。
まとめ
カルシウムの吸収を良くするためには、胃酸の分泌を促すこと、ビタミンDを摂取することが重要です。食事の美味しさを味わいながらよく噛んで食べることで胃酸の分泌が促進されます。また、サーモンやサンマなどの魚に多いビタミンDは、カルシウムの吸収率を高めます。日光に当たることで体内合成も可能です。