カゼインチーズとは、乳製品から得られるたんぱく質「カゼイン」を主原料として作られるチーズの総称です。新鮮な牛乳から分離したカゼインを凝固させて作るため、ナチュラルでヘルシーな品質が特徴的です。種類も豊富で、クリーミーで滑らかなテクスチャーから硬めのタイプまで様々なバリエーションがあり、料理や製菓における活用法も幅広いのが魅力的です。
生活の中のチーズを知ろう
チーズは、食生活に彩りを添える魅力的な存在です。牛乳や乳製品の一般的な消費が減少傾向にある中、チーズの消費量は近年増加しています。国内生産と輸入を合わせたチーズの総消費量は約36万トンで、ナチュラルチーズとプロセスチーズの割合は6対4となっています。 チーズを食べる歴史が浅い地域では、プロセスチーズの割合が高い傾向にあります。一方、ヨーロッパ諸国ではナチュラルチーズが主流で、消費されるチーズの9割以上を占めています。我が国でも、ナチュラルチーズの98%以上が北海道で生産されており、その生産量は10年間ほぼ横ばいです。 国内では発酵乳の生産量は増加していますが、チーズ需要の高まりは輸入に依存している実態があります。ナチュラルチーズの魅力は、製造方法や熟成期間によって異なる風味と食感にあります。お気に入りのチーズを見つけ、新たな発見を楽しむことができるでしょう。
チーズの液体を固体にする技術とは
チーズ作りは、液体の牛乳から固体のチーズを生み出す過程であり、その基本は乳成分の分離にあります。酸や酵素を利用して牛乳中のタンパク質を凝固させ、固形分と液体分に分けることが肝心となります。 酸を用いる方法では、乳酸菌から生じる乳酸による酸性化が、カゼインミセルの等電点凝集を引き起こします。ヨーグルトはこの凝固物をそのまま利用しますが、チーズでは固液分離の工程が加わります。この手法で得られるチーズは軟らかく、クリームチーズなどがその代表です。 一方、酵素を用いる方法は、凝乳酵素であるキモシンによってカゼインミセルが凝集します。この際、ミセル間にカルシウムを介した強固な結合が生じるため、硬質のチーズが多く製造されます。国産チーズの7割以上がこの酵素凝固タイプで、熟成を経た味わい深いチーズはこの手法によるものです。 以上のように、チーズ作りの鍵は牛乳の固液分離にあり、酸や酵素の違いによって様々な風味や硬さのチーズが生み出されるのです。液体から固体への変化を的確に制御する技術が、チーズ文化の礎となっています。
チーズの風味はどのように決まるのか
チーズの風味は、原料乳の種類と製造方法の組み合わせによって決まる多様性に富んでいます。原料乳には動物の種類や系統による違いがあり、製造方法では成分調整、殺菌の有無、凝乳方法、使用微生物の種類、カード処理、熟成条件など様々な要因が影響します。こうした組み合わせの結果、ナチュラルチーズには1,000種類以上の風味の違いがあると言われています。 その風味形成には、微生物と酵素が主要な役割を果たしています。乳酸菌はチーズ製造に欠かせず、種類によって異なる風味を生み出します。熟成チーズでは複数の乳酸菌が関与し、製造者の想定外の乳酸菌も加わるため、風味形成過程は非常に複雑になります。さらに、カビや酵母、原料乳や微生物由来の酵素も関与することで、風味はより多彩な表情を見せます。 チーズ製造は制御可能な工程と微生物の働きに委ねる工程が組み合わさっており、同じ製法でも製造施設が異なれば風味が変わるのは当然です。原料乳と微生物・酵素の相互作用から生まれるチーズの多様な風味こそが、自然の恵みと人間の知恵・技術が融合した魅力なのです。
まとめ
カゼインチーズは、ヘルシーで豊富なバリエーションを持つことから、様々な料理に活用できる万能な食材です。クリーミーな食感を楽しめるムースやチーズケーキはもちろん、硬めのタイプはグラタンやピザなどのトッピングとしても重宝されます。カゼインチーズの魅力を存分に味わえる、バラエティ豊かな食生活を送ることができるでしょう。