糖質制限で便秘に?原因と対策を専門家が徹底解説!

糖質制限を始めたら便秘になった…そんな経験はありませんか?ダイエットや健康のために始めた糖質制限が、まさかの便秘を引き起こしてしまうのはよくある話。でも、ご安心ください。糖質制限と便秘には深い関係があり、正しい知識と対策で改善できるんです。この記事では、糖質制限が便秘を引き起こす原因を徹底解説。便秘知らずの快適な糖質制限ライフを送りましょう!

糖質制限とは?肥満予防と糖尿病リスク軽減のメカニズム

糖質制限とは、糖質の摂取量を調整する食事法であり、肥満予防の効果が期待されています。糖質は、身体活動のエネルギー源となる重要な栄養素です。不足すると、疲れやすさや集中力低下などの影響が出ることがあります。一方で、糖質を過剰に摂取し、消費しきれなかった場合、余った糖質は中性脂肪として蓄積され、肥満につながります。この過程で重要な役割を果たすのが、血糖値をコントロールする「インスリン」です。食事から摂取した糖質はブドウ糖に分解され、血糖値が上昇します。インスリンは、この血糖値の上昇に応じて分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませ、エネルギーとして利用させます。しかし、余ったブドウ糖はインスリンの作用により脂肪として蓄積されます。そのため、糖質制限によって糖質の摂取量を適切に抑えることで、体脂肪の蓄積を抑制し、肥満を予防できると考えられています。実際に、糖質を制限した食事が肥満やメタボリックシンドロームの改善に役立ち、糖尿病の発症や進行リスクを軽減するという研究結果も報告されています

糖質制限中に便秘になりやすい原因:食物繊維と水分の不足、そして便のかさの減少

糖質制限中に便秘になりやすい原因は、主に食物繊維と水分の不足、そして便の量の減少です。特に、極端な糖質制限や開始直後は、これらの要素が重なり便秘のリスクが高まります。しかし、緩やかな糖質制限であれば、すぐに便秘の症状が出ないこともあります。糖質制限で控えるべき主な食品は、ご飯・パン・麺類などの主食、じゃがいもやさつまいもなどの芋類、かぼちゃやとうもろこしなどの糖質を多く含む野菜です。これらの食品には食物繊維や水分が豊富に含まれているため、糖質制限を行うと、これらの大切な成分の摂取量が減ってしまいます。例えば、ご飯は炊飯時に多くの水を吸収するため、水分が豊富です。茶碗1杯分(約150g)のご飯に含まれる水分は約100グラムです。もし1日3食のご飯を完全に抜いた場合、糖質制限前と比較して約300グラムもの水分が不足することになります。食事からの水分摂取量が減ると、体内の水分全体が不足しやすくなります。便はある程度の「かさ」がないとスムーズに形成されません。炭水化物の摂取量が減ることで便の材料が少なくなり、結果として便の量が減少します。便の量が少ないと、腸が蠕動運動を起こして便を押し出す力が弱まり、腸内に便が留まる時間が長くなるため、便秘になったと感じるのです。

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糖質制限による便秘の予防法5選

ここからは、糖質制限による便秘を効果的に予防するための具体的な方法を紹介します。これから糖質制限を始める人も、すでに便秘に悩んでいる人も、ぜひ参考にしてください。

1. 食物繊維を賢く取り入れる

糖質制限で便秘になるのを避けるには、糖質を完全にカットするのではなく、炭水化物が多い食品を、食物繊維が豊富な食品に置き換えるのがおすすめです。糖質を減らすと、同時に食物繊維の摂取量も減ってしまうため、積極的に食物繊維を摂るように意識しましょう。食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類があり、便秘の改善や予防には、両方をバランス良く摂取することが大切です。水溶性食物繊維は、水分を吸収して便を柔らかくするだけでなく、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えたり、血糖値の急上昇を抑えたりする効果も期待できます。アボカドやベリー類などの果物、こんにゃくや海藻類(わかめ、昆布など)、大麦やオーツ麦などに多く含まれています。一方、不溶性食物繊維は、便のかさを増やすことで大腸を刺激し、腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。ごぼうや大豆、玄米などの穀類、きのこ類などに豊富です。1日の食物繊維摂取目標量は、18〜64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされていますが、実際の平均摂取量は目標に届いていないことが多いです。糖質制限中は特に、この不足分を意識して補うことが重要です。手軽な方法としては、主食を食物繊維が豊富なものに置き換えるのが効果的です。例えば、白米の代わりに、もち麦や大麦、押し麦などを混ぜた雑穀ごはんを選ぶ、あるいは白米よりも多くの水溶性・不溶性食物繊維を含む玄米を取り入れるなどの工夫が考えられます。玄米に抵抗がある場合は、まずは白米に少し混ぜることから始めてみましょう。パンや麺類も、全く食べないのではなく、全粒粉入りのものを選ぶなど、食物繊維を無理なく確保できる方法を試してみてください。

2. こまめな水分補給を忘れずに

糖質制限中は、糖質の多い食品からの水分摂取が減ってしまうため、普段より意識して水分を多めに摂るようにしましょう。一般的に、人は食事から約1リットル、飲み水から約1.2リットルの水分を摂取するとされています。しかし、ご飯の量を減らすだけでも、水分摂取量は減ってしまいます。不足する水分を補うためには、飲み水を増やし、1.3〜1.4リットルを目安に摂取することが大切です。大腸では、便が作られる過程で水分が吸収され、食べ物の残りかすが便となって排出されます。便がスムーズに形成されるためにも水分は不可欠であり、便秘予防のためにはしっかりと水分を摂りましょう。水分補給の習慣としておすすめなのは、起床後に冷水を飲むことです。冷水は、活動を始めたばかりの腸を刺激し、排便を促す効果が期待できます。朝起きたらまず水分を摂る習慣をつけ、こまめな水分摂取で便秘を防ぎましょう。

3. 良質な脂質を適度に摂取する

便秘を予防するためには、適度な脂質を摂ることも大切です。油分が不足すると、便秘を引き起こす可能性があります。食事から摂取した脂質は、体内で分解されて脂肪酸となり、腸を刺激してぜん動運動を促し、排便をサポートする効果があります。また、脂質には腸内で便の滑りを良くし、排便をスムーズにする作用も期待できます。ただし、脂質を摂りすぎると、他の健康リスクを高める可能性があるため、量には注意が必要です。特に、肉の脂身やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸の過剰摂取は、コレステロール値を上げ、心血管疾患のリスクを高めることが知られています。食事に取り入れる際には、不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイルや亜麻仁油などの植物性脂質がおすすめです。糖質制限中でも、良質な植物性油を少量摂ることで、腸に溜まった便がスムーズに排出されやすくなるでしょう。

4. 規則正しい朝食で腸を目覚めさせる

毎日決まった時間に朝食を摂ることは、排便を促す上で非常に効果的です。睡眠中は脳や体が休息していますが、腸も同様に活動を休止しています。朝、脳や体が目覚めるとともに腸も活動を開始するため、このタイミングで朝食を摂ることで、腸に大きな刺激を与えることができます。この刺激がぜん動運動を活発にし、排便を促すのです。腸を十分に休ませてから刺激を与えることが重要なため、夕食は遅い時間にならないように心がけましょう。もし遅い時間に食事を摂る必要がある場合は、消化の良いものを選ぶのがおすすめです。また、規則正しい生活を送ることで、排便のタイミングも規則的になる傾向があるため、毎日同じ時間に朝食を食べる習慣は、便秘の解消に大いに役立ちます。生活リズムを整え、朝食を日課にすることで、便秘を効果的に予防しましょう。

5. 軽めの有酸素運動を習慣にする

腸の働きを活発にするには、体を動かすことが効果的です9。ハードな運動をする必要はなく、ウォーキングや軽いジョギングといった有酸素運動で十分効果が見込めます。大切なのは、毎日続けることです。日々の生活に意識して軽い運動を取り入れることで、腸の動きが促進され、便秘の予防や改善につながります。例えば、通勤時に一駅分歩く、階段を使うようにする、寝る前にストレッチをするなど、無理なく続けられる範囲から始めてみましょう。

いますぐ何とかしたい!糖質制限中の便秘でお悩みの方向けの対策2選

糖質制限をしていて、すでに便秘気味という方には、これからご紹介するお腹のマッサージと、排便時の姿勢を工夫する方法がおすすめです。どちらもすぐに試すことができ、便秘解消の効果が期待できます。

お腹をマッサージして腸を活性化する

つらい便秘は、できるだけ早く解消したいものです。おすすめなのは、腸のマッサージです。大腸はおへそを囲むような位置にあります。まずは「のの字」マッサージを試してみましょう。仰向けになるか、トイレに座った状態で、両手を重ねて、お腹の右下から「の」の字を描くように左下に向かってマッサージします。大腸の中の便を、肛門に向かって送り出すイメージで、気持ちが良いと感じるくらいの力加減で、ゆっくりと呼吸しながら優しく刺激しましょう。回数に制限はありません。このマッサージは腸を刺激して排便を促すだけでなく、リラックス効果もあり、緊張がほぐれることで便秘改善につながります。次に、「腸もみ」マッサージです。大腸の四隅を意識して、左右の肋骨の下と骨盤の上部を、それぞれもみほぐしましょう。どちらのマッサージも、腸をダイレクトに刺激できるため、すぐに便秘を解消したい場合に効果が期待できます。

排便時の姿勢を工夫する

排便時の姿勢も、スムーズな排便のためには重要なポイントです。大腸から肛門につながる直腸は、実は真っ直ぐではなく、構造上、角度がついています。そのため、便秘気味の人は、直腸の曲がった部分で便が停滞している可能性があります。スムーズな排便には、前傾姿勢がおすすめです。体を前に傾けることで、直腸の角度が広がり、便が通過しやすくなるため、排便がスムーズになります。洋式トイレを使用している場合は、足の下に台を置くと、より前傾姿勢をとりやすくなるので、ぜひ試してみてください。

まとめ

この記事では、糖質制限と便秘の密接な関係について詳しく解説しました。今回ご紹介した具体的な対策を取り入れながら、緩やかな糖質制限を実践し、便秘を防ぎつつ健康的な生活を送ることをお勧めします。※この記事は、一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスではありません。個別の健康状態については、必ず医師または他の資格を持つ医療専門家にご相談ください。

糖質制限をすると必ず便秘になりますか?

極端な糖質制限は便秘のリスクを高める可能性がありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。糖質制限中は食物繊維や水分が不足しがちになり、便秘になりやすい状態ですが、適切な対策を行うことで便秘を予防したり、改善したりすることができます。この記事でご紹介した予防策を実践することで、便秘のリスクを軽減することが可能です。

糖質制限中に便秘になった場合、すぐにできる対策はありますか?

すぐに試せる対策として、「お腹のマッサージ」と「排便時の姿勢の工夫」があります。お腹を「のの字」を描くようにマッサージしたり、「腸もみ」マッサージで優しく刺激することで腸の動きを活発にし、排便時には前かがみの姿勢をとることで直腸が開きやすくなり、排便をスムーズにする効果が期待できます。洋式トイレを使用する際には、足元に台を置いて膝を高くするとより効果的です。

食物繊維は、具体的にどれくらいの量を摂取するのが理想的ですか?どんな食品から摂れますか?

食物繊維の一日の摂取推奨量は、18歳から64歳の男性の場合、21グラム以上、女性は18グラム以上です。食物繊維には、水溶性と不溶性の二つのタイプがあり、両方をバランスよく摂ることが大切です。水溶性食物繊維は、ワカメや昆布といった海藻類、さまざまな野菜、大麦やオーツ麦などの穀物、そしてこんにゃくなどに豊富に含まれています。一方、不溶性食物繊維は、野菜全般、果物、穀類、きのこ類、ごぼう、大豆などに多く含まれています。普段食べている白米を玄米や雑穀米に替えることも、食物繊維の摂取量を増やす効果的な方法です。

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