甘いものの誘惑に負けてしまう瞬間は、誰にでもあるものです。日常の小さな楽しみとしての役割を果たす一方で、過度なお菓子の摂取は健康への影響が懸念されます。なぜ私たちはお菓子をやめられないのでしょうか?その背後には、心理的な習慣や生理的な欲求が潜んでいます。本記事では、お菓子がやめられない理由に迫り、健康的なライフスタイルを取り戻すための効果的な克服法について詳しく解説します。
お菓子がやめられない理由
糖が主成分の砂糖は迅速にエネルギーを補給する食品であり、それが甘味を「美味しい」と感じる要因となっています。
さらに、甘味を口にすると、脳内でβ-エンドルフィンという物質が生成されることが判明しています。これはモルヒネに似た性質を持ち、私たちに幸福感をもたらします。
甘いものが無性に欲しくなる理由は、依存性のある薬物と同様のメカニズムによるものです。したがって、甘いものには強い中毒性があると言えるでしょう。
スイーツにひそむ罠
私たちの体は、自然と甘い味を求めるようになっています。
しかし、甘いものを必要以上に摂取すると、体には次のような悪影響が現れる可能性があります。
血糖値の急激な上昇
甘いお菓子やジュースを過剰に摂取すると、体重増加のリスクが高まります。
これらの食品には砂糖や小麦粉などが含まれており、体内での糖分摂取により血糖値が急上昇します。すると、インスリンというホルモンが分泌され、血糖値を低下させる働きをしますが、同時に脂肪を蓄えるよう体を動かします。
体重増加
和菓子は、砂糖やもち米、小豆などを主に使って作られますが、食べ過ぎれば体重増加の原因となります。
一方で、バターや生クリーム、チョコレートをたっぷりと使った洋菓子や、クリームパンやメロンパンのような菓子パンは、さらにカロリーが高く、体重が増えやすい傾向にあります。
特に洋菓子や菓子パンは脂質の量が多いです。
そのため、スイーツを選ぶ際には、洋菓子や菓子パンの過剰摂取に注意することが大切です。糖質と脂質の多量摂取によって体重が増えやすくなります。
人工甘味料が食欲を刺激する可能性
お菓子やジュースには人工甘味料が一般的に使われており、最近ではダイエット食品以外でも見かけます。
パッケージに表示されている「アセスルファムK」や「アスパルテーム」「スクラロース」といった成分は、人工甘味料の一種です。清涼飲料水にもよく含まれていますね。
「カロリーがゼロだから、人工甘味料をたくさん摂取しても大丈夫」と考えている方もいるのではないでしょうか?
実際には、これらの人工甘味料は食欲を高め、肥満や糖尿病の原因になることが研究で示されています。
「甘いものを食べたいという欲求を抑えるために、カロリーを気にせず人工甘味料で凌ごうとしていたが、逆にさらに甘いものが欲しくなってしまった」というケースもあります。
人工甘味料にはこのようなリスクがあるのです。
甘いものを断ち切る方法
私たちの体は、甘味を美味と感じる能力を持っています。
また、多くの飲料やスナックには人工甘味料が含まれています。そのため、少しのつもりで手を伸ばすと、甘いものへの欲求が高まる可能性があります。
このような環境では、甘いものを控えるのは非常に挑戦的です。強い意志で控えようとすると、ストレスが積み重なることもあります。
結果として、そのストレスを和らげるために甘いものが欲しくなることがあります。こうして悪循環に陥る可能性も考えられます。
甘いものの摂取量を適度に抑えるためには、日々の食事に少しの工夫が必要です。そのために役立つ方法を6つお教えしましょう。
砂糖不使用の炭水化物でエネルギー摂取
私たちが日常生活で必要とするエネルギーの大半は糖質から得られます。そのため、糖質が足りていないと甘いものを欲してしまうのです。
これを防ぐためには、日頃の食事で適切な糖質を摂取するのがよいでしょう。
たとえば、ご飯やパンなど甘味が少ない食品を選んで、身体に必要な糖質を補いましょう。ただし、メロンパンなどの甘い菓子パンは砂糖が多く含まれているため、食べ過ぎてしまうことがあります。
パンを選ぶ際には、バゲットやトーストなど、甘さ控えめで噛み応えのあるものがおすすめです。
このように工夫をすることで、エネルギー不足から来る甘いものの欲求を抑えましょう。
ボリュームたっぷりの野菜
食事のポーションが少ないと、お腹が満たされずに「もっと食べたい」という気持ちが湧いてくることがあります。この結果として、ついお菓子やジュースに手を伸ばしてしまうことも考えられます。
こうした「もっと食べたい」という欲求を防ぐために、食事の満足感を意識することが大切です。とはいえ、ライスやパンを摂りすぎてしまうと、体重の増加につながります。
満足感を得るためには、ブロッコリーのように、調理しても量が減りにくい食品を選ぶと良いでしょう。
生で楽しめるトマトやキュウリ、キャベツなども、噛みごたえがあるのでおすすめです。
さらに、ゴボウやレンコンのような歯ごたえのある野菜をしっかり噛んで味わうことも、満足感を高めるポイントです。
このような野菜を積極的に取り入れて、食事の満足度を向上させましょう。
たんぱく質をとる
満足度の高い食事を楽しむためには、たんぱく質を豊富に含む肉、魚、卵、大豆などの食品を摂ることが効果的です。
たんぱく質を摂取すると、体内で「コレシストキニン(CCK)」と呼ばれるホルモンが分泌され、このホルモンが満腹感を促進します。
特に、パスタやラーメンなどの糖質中心の食事を多く摂る場合は、意識的にたんぱく質を補うと良いでしょう。ゆで卵や冷奴は手軽にコンビニやスーパーで購入できるので、おすすめです。
運動
多くの人は、ストレスを解消するために甘いものを食べることがあるかもしれません。
しかし、運動を日常に取り入れて、新たなストレス解消法に挑戦してみませんか。
運動はリフレッシュ効果があり、「特に空腹ではないけれど食べたくなってしまう」「なんとなく口が寂しい」という気持ちを和らげることができます。
また、カロリーの消費ができるので、ダイエットにも一役買うでしょう。
激しい運動でなくても問題ありません。近所を少し歩いたり、家で軽いストレッチやトランポリンを楽しんだりするだけでも効果があります。
カロリー消費にはあまりつながらないかもしれませんが、手芸やパズル、工作、読書などに集中するのも良い方法です。大切なのは、片手でお菓子を食べながらできるようなスマホゲームや映画鑑賞を避けることです。
気分転換になるものを見つけて、甘いものに頼らないストレス解消の習慣を作りましょう。
十分な睡眠
私たちの身体は、空腹や満腹を調整する機能を持っています。しかし、睡眠が足りないとこのバランスが崩れ、食欲の制御が難しくなります。
睡眠不足が続くと、満腹感を促す「レプチン」の分泌が減り、逆に空腹感を引き起こす「グレリン」の分泌が増えてしまいます。
こうした変化により食欲が増し、過食につながることがあります。
必要以上に食欲を高めず、過食を防ぐためには、しっかりと睡眠をとることが重要です。
さらに、朝にしっかりと日光を浴びることや、お酒を控えることも、睡眠の質の向上に役立ちます。
コンビニに行く頻度を減らす
多くの人にとって、甘いお菓子やジュースを購入することが日常の一部となっているかもしれません。
最初のステップとして、コンビニの前を通らないルートを選んでみるのはいかがでしょう。また、日々の買い物でスーパーを訪れる回数を減らすことも効果的でしょう。
甘いものを我慢するためには強い意志が重要ですが、欲求を感じないような環境を整えることも重要です。購入の機会を減らす工夫をしてみましょう。
どうしてもスイーツが食べたい時は
どうしてもスイーツが食べたくなる瞬間は、誰にでもあります。そのような時には、無理に我慢しすぎず、自分の気持ちを大切にすることがポイントです。ただし、健康や満足感を考慮しながら選ぶことで、罪悪感なく楽しむことができます。
少量で満足できるものを選ぶ
スイーツが食べたい気持ちを満たすには、少量で満足感を得られるものを選ぶのが効果的です。たとえば、一口サイズのチョコレートや、小さめの焼き菓子を選ぶことで、食べ過ぎを防ぎつつ満足感を得られます。また、高品質なスイーツを選ぶと、少量でも豊かな味わいが楽しめます。
自分で簡単なスイーツを作る
手作りスイーツなら、材料や甘さを調節できるため、健康にも配慮しやすいです。例えば、ヨーグルトにフルーツやはちみつを加えたデザートや、電子レンジで簡単に作れるマグカップケーキなどがおすすめです。短時間で手軽に作れるスイーツを用意することで、欲求を満たしつつ達成感も得られます。
フルーツで代用する
自然な甘みが楽しめるフルーツは、スイーツの代わりとして最適です。特に、季節のフルーツを取り入れると、味わいも豊かで満足感が高まります。冷凍フルーツをヨーグルトや牛乳に混ぜたり、少量のチョコレートソースを添えるだけで、手軽なデザートが完成します。
あえて特別なスイーツを楽しむ
どうしても食べたい時には、あえて特別感のあるスイーツを選ぶのも一つの手段です。お気に入りのお店や、有名店のスイーツを取り寄せて、贅沢なひとときを楽しむことで満足感が得られます。量より質を重視し、じっくり味わう時間を楽しむのがおすすめです。
適度なタイミングを見つける
スイーツを食べるタイミングにも注意が必要です。食後や間食の時間帯に少しだけ取り入れることで、血糖値の急上昇を抑え、満足感を得られます。空腹時ではなく、ある程度お腹が満たされた状態で食べると、食べ過ぎを防ぎやすくなります。
どうしてもスイーツが食べたい時は、欲求を無理に抑え込むのではなく、自分の心と身体が喜ぶ方法で満たしてあげることが大切です。健康と満足感のバランスを取りながら、スイーツタイムを楽しんでください。