豆腐作りの副産物であるおからは、かつては廃棄されることもありましたが、実は栄養の宝庫です。食物繊維やタンパク質、大豆イソフラボンなど、健康や美容に嬉しい成分が豊富に含まれています。低カロリーでありながら満腹感を得やすく、ダイエットの強い味方としても注目されています。
この記事では、おからのカロリーと栄養成分を詳しく解説するとともに、日々の食卓に取り入れやすい簡単レシピや活用法をご紹介します。おからを賢く活用して、美味しく健康的な食生活を送りましょう。
おからとは?大豆由来の栄養豊富な食材
おからは、豆腐を作る過程で豆乳を絞った後に残る、いわば大豆の残りかすです。「残りかす」と捉えられがちでしたが、実際には大豆の栄養がたっぷり。近年では、その栄養価と健康への効果が改めて注目されています。おからは「雪花菜(きらず)」や「卯の花」といった美しい名前でも呼ばれ、江戸時代から日本の食卓に親しまれてきました。今では、定番の卯の花の炒め物はもちろん、色々な料理やお菓子作りの材料としても使われています。
おからの種類:生おから、乾燥おから、おからパウダー
おからは、製造方法によって大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴と使い方を知っておくと、毎日の食事に上手に取り入れられます。
- 生おから: 豆乳を絞ったそのままのおからで、水分をたくさん含んでいます。しっとりとした食感が特徴で、大豆本来の風味を楽しめます。ただし、日持ちがしないので、早めに調理するのがおすすめです。
- 乾燥おから: 生おからから水分を取り除いて乾燥させたものです。長期保存が可能で、使うときには水で戻すと生おからと同じように使えます。色々な料理に活用できます。
- おからパウダー: 乾燥おからをさらに細かく粉末状にしたものです。粒子が細かいので、スープや飲み物に混ぜてもなめらかな口当たりで、お菓子作りにもぴったりです。
用途や保存期間に合わせて使い分けるのがおすすめです。乾燥おからとおからパウダーは、手軽に手に入るのも嬉しいポイントです。
おからの種類別栄養価比較:生おからと乾燥おから
おからには、大豆由来のタンパク質、食物繊維、カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。特に食物繊維は、豆腐や豆乳よりも多く含まれているのが特徴です。ここでは、生おからと乾燥おからの栄養価を比較してみましょう。
100gあたりで比較すると、乾燥おからのほうがカロリーや栄養価が高く表示されますが、これは水分量の違いによるものです。乾燥おからは水分が少ない分、栄養成分が凝縮されているためです。ただし、実際に使う量が変わってくるので、栄養面で大きな差が出るわけではありません。乾燥おからをおからとして使う場合は水で戻すため、生おからとほぼ同じくらいの栄養価になります。
ダイエット中の方は、カロリーだけでなく、食物繊維の量にも注目して、おからを上手に活用しましょう。
おからに含まれる主要栄養素とその効能
おからは、健康を維持するために役立つ様々な栄養素を含んでいます。それぞれの栄養素がどんな働きをするのかを知っておけば、食事に取り入れる際に意識しやすくなるでしょう。
食物繊維:腸内環境を整え、便秘解消をサポート
おからには、100gあたり約11.5gもの食物繊維が豊富に含まれています。これは、野菜の代表格であるごぼうの約2倍に匹敵する量です。食物繊維は、腸の中で水分を吸収して大きく膨らみ、腸のぜん動運動を活発にして便通を促します。特におからには不溶性食物繊維が豊富で、腸壁を刺激することで排便を促す効果が期待できます。また、少量でも満腹感を得やすいことから、ダイエットを意識している方にもおすすめです。水溶性食物繊維もバランス良く含まれており、コレステロールの吸収を抑えたり、食後の血糖値の急上昇を緩やかにする効果も期待できます。
食物繊維は、腸内環境を改善するだけでなく、免疫力を高めたり、生活習慣病を予防したりするなど、現代人にとって積極的に摂取したい重要な栄養素の一つです。
大豆イソフラボン:女性ホルモンに似た働きで、更年期の不調緩和をサポート
大豆イソフラボンは、大豆をはじめとするマメ科植物に多く含まれているポリフェノールの一種です。女性ホルモンであるエストロゲンと似たような働きをするため、肌の潤いを保ったり、骨密度の低下を抑制したりする効果が期待されています。特に、エストロゲンの分泌量が減少する更年期における様々な不調を緩和する効果が期待されており、更年期の症状に悩む女性にとって、積極的に摂取したい栄養成分といえるでしょう。
大豆サポニン:抗酸化作用で健康維持を助け、生活習慣病の予防に寄与する可能性
大豆サポニンは、大豆特有の苦味やえぐみの元となる成分です。優れた抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去し、脂肪の酸化を防ぐ働きがあります。また、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールの蓄積を抑制する効果も期待できるため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった生活習慣病を予防する効果が期待できます。さらに、細胞の老化を遅らせる効果も期待できるため、美容に関心のある方にもおすすめです。
レシチン:血管を健康に保ち、認知機能の維持に貢献する
レシチンは、大豆に含まれる脂質の一種で、私たちの体の細胞膜を構成する重要な成分です。血管壁に脂肪やコレステロールが付着するのを防ぐ効果が期待できるため、動脈硬化を予防する効果が期待できます。また、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成にも関与しており、アセチルコリンの減少が原因の一つとされる認知症の予防にもつながると考えられています。血管を健康に保ち、脳の機能をサポートするレシチンは、特に高齢者にとって重要な栄養素といえるでしょう。
カリウム:むくみ対策と血圧の安定に
おからには、カリウムがたっぷり含まれています。カリウムは、体の中に溜まった余分な塩分を水分と一緒に体の外へ出す働きがあるため、むくみの解消や高血圧の予防に効果的です。普段から塩辛いものを食べ過ぎてしまうと、体内の塩分濃度が高くなり、水分を溜め込みやすくなりますが、カリウムを積極的に摂ることで、体内のバランスを整えることができます。塩分を多く摂取しがちな方は、特にカリウムを意識して摂取しましょう。
カルシウム:骨や歯の健康をサポート
丈夫な骨や歯を作るために不可欠なカルシウムも、おからには豊富に含まれています。カルシウムは、体に吸収されにくい性質がありますが、おからを牛乳や小魚など、カルシウムが豊富な食品と一緒に食べることで、吸収率を高めることが期待できます。成長期のお子様や、骨粗しょう症のリスクが気になる女性やご年配の方は、日々の食事におからを使った料理を積極的に取り入れてみましょう。
その他の栄養成分:ビタミン、ミネラルもバランス良く
おからは、上記でご紹介した栄養素以外にも、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビオチン、亜鉛、鉄、銅、マグネシウムなど、様々なビタミンやミネラルをバランス良く含んでいます。これらの栄養成分は、それぞれが体内の機能をサポートし、健康を維持するために重要な役割を果たします。
まとめ
おからは、大豆の栄養がギュッと詰まった、栄養価の高い食材です。食物繊維、大豆イソフラボン、大豆サポニン、レシチン、カリウム、カルシウムなど、健康維持に役立つ様々な栄養素が含まれています。ハンバーグ、サラダ、スープ、お菓子、お好み焼きなど、幅広い料理に使えるのも嬉しいポイントです。ただし、食べ過ぎには注意して、適量を守って継続的に摂取することが大切です。この記事を参考にして、おからを毎日の食事に取り入れ、健康的な食生活を送りましょう。
おからは一日にどのくらいの量を摂取するのが適切ですか?
おからの摂取量は、その人の健康状態や普段の食習慣によって変わってきますが、目安としては、生おからなら1日に50~100g、乾燥おからなら大さじ2~4杯程度が良いでしょう。初めて食べる際は、少量から試してみて、体の様子を見ながら量を調整してください。食物繊維を摂りすぎると便秘や胃の痛みにつながる可能性があるので注意し、水分をしっかり摂るようにしましょう。
おからパウダーの効果的な使い方はありますか?
おからパウダーは、色々な料理や飲み物に簡単にプラスできるのが魅力です。例えば、スープや味噌汁に混ぜたり、ヨーグルトやスムージーに加えてみたり、お菓子作りの材料として活用したりできます。おからパウダーは水分を吸収しやすい性質があるので、加える量に気をつけ、混ぜる時はダマにならないように丁寧に混ぜてください。
おからレシピの中で、特に料理初心者でも簡単に作れるものはありますか?
おからを使ったレシピで、料理初心者の方に特におすすめなのは、おからパウダーをスープや味噌汁に加える方法です。これなら手軽に食物繊維を摂取できますし、味もほとんど変わらないので、無理なく続けられます。また、おからサラダも簡単でおすすめです。ポテトサラダを作る際に、ジャガイモの代わりにおからを使えば、ヘルシーでおいしい一品が完成します。