バターの風味豊かな香りと、パンに塗った時のとろけるような舌触りは、多くの人々を魅了します。しかし、その一方で、バターに含まれる飽和脂肪酸は、健康に悪影響を与えるというイメージも根強く残っています。
この記事では、バターと飽和脂肪酸の健康への影響について、最新の研究結果を基に徹底的に解説します。飽和脂肪酸の種類や摂取量、バターのメリット・デメリット、そして賢い摂取方法まで、読者の皆様がバターと上手に付き合えるための情報をお届けします。健康的な食生活を送る上で、バターをどのように取り入れるべきか、一緒に考えていきましょう。
バターの栄養
バターは、その大部分(80%以上)を乳脂肪が占める食品です。他の食用油と比較して、消化が良いという特徴があります。主成分である乳脂肪には、ビタミンA、E、Dといった乳由来の栄養素が豊富に含まれています。特に、脂溶性ビタミンであるビタミンAは、天然の油脂の中では含有量が多く、牛乳の13倍以上も含まれています。
バター100gあたりの栄養成分について(日本食品標準成分表2020年版(八訂)に基づく)
バターは牛乳の乳脂肪を原料としていますが、いくつかの特徴的な性質を持っています。乳脂肪を構成する脂肪酸は400種類以上存在し、その中から約20種類がバターの風味や特性を決定しています。酪酸やカプロン酸といった短鎖脂肪酸を多く含む点も特徴の一つです。また、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸といった主要な脂肪酸は約70%を占めており、これらは酸化しにくく、加熱調理に適しており、消化吸収されやすい中鎖脂肪酸です。不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸は、LDLコレステロールを下げる効果があり、動脈硬化の予防に役立つことが知られています。さらに、必須脂肪酸であるリノール酸やα-リノレン酸も含まれています。このように、バターは栄養価が高く、健康に良い影響を与える優れた食品と言えるでしょう。
バターのコレステロール
脂質異常症の悪化を防ぐためには、一日のコレステロール摂取量を200mg未満に抑えることが推奨されています。例えば、食パンに塗るバター10gに含まれるコレステロールは約21mgとわずかです。しかし、コレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸、ビタミンDの生成に不可欠な栄養素であるため、その働きを理解し、食事から適切な量を摂取することが重要です。
バターのコレステロール含有量は、一般的に考えられているほど高くありません。食パンに塗る程度のバター10gには約21mgのコレステロールしか含まれていません。これは、脂質異常症予防のために推奨される1日のコレステロール摂取量200mg未満の約10%に過ぎません。
コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸、ビタミンDの生成に不可欠な栄養素です。適切な量を摂取することが重要であり、バターを完全に避ける必要はありません。

バターとマーガリンの比較
バターとマーガリンの健康への影響については、近年の研究で新たな知見が得られています。
マーガリンの進化
2018年以降、米国ではマーガリンがバターよりも健康的な選択肢となる可能性が報告されています。この変化の背景には、以下の要因があります。
水素添加油脂の使用禁止:米食品医薬品局(FDA)が2018年に食品への水素添加油脂の使用を禁止したことで、トランス脂肪酸の含有量が大幅に減少しました。
脂肪酸組成の改善:現在のマーガリンは、バターと比較して飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多くなっています。
選び方のポイント
柔らかいタイプを選ぶ:スティックタイプよりも、タブやチューブ入りの柔らかいマーガリンの方が飽和脂肪酸含有量が少ないとされています。
適量を心がける:マーガリンはバターよりも健康的になったとはいえ、依然として高カロリーな食品です。摂取量には注意が必要です。
バターの賢い摂取方法
適量を守る:バターは栄養価が高いですが、高カロリーでもあります。1日の摂取量を適切に管理しましょう。
他の食品とバランスよく摂取:バターだけでなく、様々な食品から必要な栄養素を摂取することが重要です。
調理方法の工夫:バターの風味を生かしつつ、使用量を抑える調理法を探してみましょう。
バターは、適切に摂取すれば健康的な食生活の一部となり得ます。その栄養価や風味を楽しみつつ、全体的なバランスを考慮した食事計画を心がけることが大切です。