バターは、料理に欠かせない調味料の一つです。その中でも、有塩バターは独特な風味と香りを持ち、料理に深みと豊かな味わいを与えてくれます。パンやお菓子作りからソテーやソース作りまで、様々な用途で活躍する有塩バターの魅力に迫りましょう。
バターの定義
バターは乳製品の王様と称されるほど、食卓に欠かせない調味料として親しまれています。牛乳から得られる高い脂肪分を主体とした油脂成分が、その本質であり、リッチな風味と口当たりの良さが魅力となっています。 製造工程では、生乳の殺菌、クリームの分離と熟成、そして攪拌によってバターが生み出されます。牛乳の脂肪分が約3~4%なのに対し、バターは驚くべき約80%もの高い脂肪含有率を誇ります。この濃厚な風味と滑らかな口当たりが、バターの魅力の源泉なのです。 さらに、発酵バターやゲランド塩入りのものなど、乳酸菌の働きによって特徴的な風味が生まれたり、長期保存が可能なギー(精製バター)のようなタイプも存在します。バターは料理に芳醇な香りとまろやかなコクを添え、焼き菓子の生地にも風味を与えるなど、その活躍の場は多岐にわたります。
バターができるまで
バターは、生乳を加熱してクリームと牛乳に分離させた後、そのクリームを低温で攪拌機にかけて撹拌することで作られます。この過程で、クリームの油脂が固まりバターの粒が現れてきます。泡立て器を使うと効率的に撹拌できます。十分に撹拌を続けると、最終的にバターと牛乳に完全に分離します。できあがったバターは水洗いして余分な水分を取り除き、塩で味付けをします。 新鮮な自家製バターには、手作りならではの風味と愛情が込められています。バケットやパンに添えれば、絶品の一品に仕上がります。一から作ることで、バターの魅力を余すところなく味わえるでしょう。
有塩バターと無塩バターの違い
日本における一般的なバターは、「甘性バター」と呼ばれる種類です。甘性バターは発酵バターに比べて酸味や香りが控えめで、甘みを感じやすい特徴があります。その中でも、「有塩バター」と呼ばれるものは、製造工程で塩分が添加された「加塩バター」です。塩分は保存性を高める効果があり、素材本来の味に塩味をプラスすることができます。一方で塩分を加えていない「無塩バター」は、素材本来の風味を生かしたい場合に適しています。製菓や製パンの分野では塩味のコントロールが重要視されるため、無塩バターが主に使用されます。調理の現場では、有塩バターの方が風味の調整がしやすく、扱いやすいとされています。健康上の理由で塩分を控える必要がある場合は無塩バターが、素材の味を最大限に生かしたい場合は有塩バターが賢明な選択肢となるでしょう。
無塩バターとは
無塩バターとは、まさにその名の通り塩分が一切添加されていないバターのことです。よつ葉乳業では、「ポンドバター(食塩不使用)」や「よつ葉バター(食塩不使用)」と表記されています。生乳には微量の塩分が含まれているため、厳密には「無塩」ではなく「食塩不使用」と表記する決まりがあります。 一般に市販されている有塩バターには、保存期間を延ばしたり風味を整えるために少量の塩分が加えられています。一方、無塩バターは本来のミルク由来の上品な味わいを楽しめる代わりに、保存期間が若干短くなります。 無塩バターは、お菓子作りや繊細な味付けが必要な料理に適しています。塩分を調整したい方や、塩分制限が必要な方にもおすすめです。特に製パン・製菓の分野では、塩分が小麦粉のグルテン形成に影響を与えるため、無塩バターが使われることが多くなっています。塩分の調整が可能となり、ふっくらしたパンやサクサクのお菓子作りに役立ちます。 一方、料理全般ではお味を整える意味から有塩バターが使用されることが多く、パンやお菓子作りには無塩バターが用いられるのが一般的です。ご用途に合わせて使い分けることで、バターの風味を最大限に生かすことができます。
有塩バターと無塩バターは代用しあえる?
バターの種類は、それぞれの特徴から用途が異なります。有塩バターは塩が加えられており、風味が濃厚です。素材本来の旨味を際立たせ、奥行きのある味わいを演出するため、調理に適しています。一方の無塩バターは、バターの芳醇な香りを楽しめ、お菓子作りに好まれます。お菓子自体の味を生かしつつ、上品な風味を添えることができるのです。 ただし、有塩・無塩の使い分けはレシピに応じて適宜変更できます。無塩バターには適量の塩を加えれば、有塩バターの風味が再現できます。また、有塩バターの塩味を抑えながら、水分や食材を調整すれば無塩バターの代用となります。塩分量に注意を払いながら、状況に合わせて使い分ければ、様々な調理法に幅が広がるのです。 なお、パンやお菓子では、バターの種類によって食感が変わることもあります。できれば、レシピ通りのバターを使うことをおすすめします。食べ手に最適な仕上がりをご提供できるはずです。
最近よく聞く「発酵バター」とは
バターの新たな魅力、発酵バターはヨーロッパに古くから根付く製法により、乳酸菌の働きで生まれる風味の豊かさが特徴的です。通常のバターに比べ、ほのかな酸味とコクが加わり、豆腐のようななめらかな舌触りと香ばしいニュアンスが楽しめます。料理の幅も広がり、ナッツやカレーなど様々な料理とも好相性。健康志向の高まりから、発酵食品が見直される昨今、消化吸収に優れるメリットもあり、発酵バターへの注目が高まっています。バターに新たな可能性を与える発酵バターは、これからの食文化を彩る存在となるでしょう。
まとめ
有塩バターは、料理の幅を広げる万能な調味料です。適量の塩分が奥深い味わいを生み出し、バターの豊かな風味を引き立てます。パンやお菓子作りでは、素材の味を最大限に引き出し、ソテーやソース作りでは、旨味を凝縮させます。有塩バターを上手に活用することで、料理は一層の深みと味わい豊かな仕上がりになるでしょう。料理の可能性を広げる有塩バターの魅力は、無限に広がっています。