芳醇な香りと豊かな風味が魅力のフランスバター。その奥深い味わいは、日々の食卓を贅沢に彩ります。一口食べれば、まるでフランスの風景が目に浮かぶよう。しかし、種類豊富なフランスバターの中から、自分にぴったりのものを見つけるのは至難の業です。この記事では、フランスバターの選び方を徹底解説。風味の違いや製法、おすすめの銘柄まで、バター選びのヒントが満載です。さあ、至福のバター体験への扉を開きましょう。
フランスバターの種類と特徴
フランス産のバターは、その芳醇な風味となめらかな口どけが特徴で、国産バターとは異なる魅力があります。ヨーロッパでは発酵バターが一般的で、フランス土産としては発酵バターやフレッシュバターを選ぶのがおすすめです。発酵バターは、製造過程でクリームに乳酸菌を加えて発酵させたもので、豊かなコクとミルクの風味が堪能できます。フランスのバター売り場は多種多様で、どれを選べば良いか迷ってしまうほどですが、ここでは選び方のポイントやおすすめのブランドを詳しくご紹介します。
フランスバターの選び方:注目のポイント
バターを選ぶ際に重要なのは、発酵バターかフレッシュバターか、そして有塩バターか無塩バターかという点です。フレッシュバターは日持ちが短いため、すぐに手渡せない場合は賞味期限の長い発酵バターを選ぶのが賢明です。フランスのバターブランドの中には、季節限定のフレーバーを提供しているところもあるので、贈る相手の好みに合わせて選ぶのも良いでしょう。プレゼントとして考えている場合は、事前に相手の好みをリサーチしておくと、より喜ばれるでしょう。
フランスバターの製法:伝統と大量生産
フランスバターの製法は、大きく分けて伝統的な製法と大量生産を目的とした製法に分類されます。伝統的な製法では、まず生乳をクリームと脱脂乳に分離し、そのクリームに乳酸菌を加えて発酵させ、丁寧に攪拌してバターを作り上げます。この方法で作られるバターは、Beurre cru(ブール・クリュ)と呼ばれる非加熱の生バターや、高品質のバターであるBeurre extra-fin(ブール・エクストラ・ファン)を含みます。一方、大量生産型の製法では、クリームの発酵に乳酸菌を加えることが一般的で、結果的に比較的安価に入手可能です。この製法で作られたバターは、Beurre fin(ブール・ファン)と呼ばれ、特定の品質基準を満たすものが多く含まれます。フランス産バターの多くはこの大量生産型の製法で作られていますが、その中には高品質なものも存在します。
おすすめフランスバター土産10選:現地在住者セレクト
フランスには実に多種多様な美味しいバターが存在しますが、ここでは現地の事情に詳しい在住者が厳選した、おすすめのバターを10種類ご紹介いたします。
エシレ(ÉCHIRÉ):豊かな香りととろける口どけ
フランス中西部のポワトゥー・シャラント地方、エシレ村で作られるエシレバターは、発酵バターならではの芳醇な香りと、なめらかにとろける口どけが特徴です。フランス政府によるA.O.P.認定を受けており、温暖な気候が育む肥沃な土壌と、昔ながらの伝統的な製法が、その品質を支えています。日本でも入手可能ですが、フランスではより手頃な価格で購入できるため、お土産として持ち帰れば喜ばれることでしょう。
ボルディエ(BORDIER):美食家も認める、星付きレストラン御用達
ブルターニュ地方で作られるボルディエバターは、ミシュランの星を獲得している名だたるレストランのシェフたちも愛用する発酵バターです。伝統製法を守り作られたバターは、舌触りが極めて滑らか。口の中に広がるミルクの風味は、一度味わうと忘れられない美味しさです。有塩、無塩に加え、海藻、唐辛子、スモークソルト、柚子、にんにく&ハーブ、レモン&オリーブオイル、そば粉、バニラなど、バラエティ豊かなフレーバーが楽しめるのも魅力の一つ。季節限定のフレーバーも要チェックです!
ベイユヴェール:本場フランスの生バター
フランスを代表する生バターとして知られるベイユヴェールは、ペイ・ド・ラ・ロワール地方で作られています。生バターとは、殺菌クリームではなく、文字通り生乳から製造されるバターのこと。一般的なバターよりも賞味期限が短く、およそ1ヶ月程度です。それは、無殺菌のミルクを使用しているため。生乳の豊かな風味が生きており、とろけるような口当たりと上品な味わいが魅力です。
フォンテーヌ・デ・ヴーヴ:希少な手作りバター
フォンテーヌ・デ・ヴーヴは、シャラント・マリティーム県の小さな村で、酪農家たちが伝統的な製法を守りながら作る生バターです。かつて経営難に陥り、存続が危ぶまれたこともありましたが、大手バターブランド、パムプリーの支援により、その伝統が守られています。地元の生乳とこだわりの水のみを使用し、丁寧に作られるバターは、生産量が限られているため「幻のバター」とも呼ばれています。
オー・ボン・ブール:濃厚な発酵バター
オー・ボン・ブールは、ノルマンディー地方のボーランクール村で作られる発酵バターです。20リットルの牛乳からわずか1キロしか作られないという、こだわりの製法で作られています。ミルクの旨味が凝縮された、クリーミーで濃厚な味わいが特徴。生産量が少ないため希少価値が高く、パリでも入手困難な逸品です。
イズニー・サント・メール:風味豊かな発酵バター
イズニー・サント・メールは、ノルマンディー地方のイズニー村で作られる発酵バターです。その特徴は、軽やかな口溶けと、ミルク本来の優しい風味。ミルクの自然な甘みを堪能したいなら、ぜひ無塩バターをお試しください。口の中でふわりと溶け、芳醇なミルクの香りが広がります。日本ではお菓子作りによく使われる無塩バターですが、フランスの高級レストランでは、パンに添えて提供されることもあります。
セル・ドゥ・メール(Sel de Mer):海塩が織りなす、至福の風味
Grand Fermage社のセル・ドゥ・メールは、フランスの伝統が息づく発酵バター。名誉ある「農業コンクール」有塩バター部門での金賞受賞も納得の逸品です。特徴は、ノアールムティエ産のミネラル豊富な海塩「Fleur de sel(塩の花)」を贅沢に使用している点。口に含むと、ジャリっとした塩の結晶が心地よいアクセントとなり、バターの風味を一層引き立てます。フランスでは、バゲットにたっぷりのバターを塗って食べるのが定番。フランス国民一人当たりの年間バター消費量が8kgという数字も、その美味しさを物語っています。
パンプリー(PAMPLIE):エシレ村に隣接する村の、豊かな味わい
パンプリーバターは、高級バターとして名高いエシレバターの故郷、エシレ村のすぐ隣、パンプリー村で作られています。肥沃な大地で育った牛たちのミルクは、濃厚で奥深い味わい。そのミルクから生まれるバターは、まさに自然の恵みそのものです。ポワトゥー・シャラント地方産のミルクを使用し、フランス政府からA.O.P.認定を受けていることからも、その品質の高さが伺えます。有塩バターには、イル・ド・レ産の「Fleur de sel(塩の花)」を使用。かつて日本にも出店していた人気ブーランジェリー、DU PAIN ET DES IDÉESでも愛用されていたこだわりのバターです。
ル・ガル(Le Gall):ゲランドの塩が香る、芳醇なバター
ル・ガルバターは、ブルターニュ地方のカンペールで作られる発酵バターです。ブルターニュ地方は、ノルマンディー地方と並び、高品質な乳製品の産地として知られています。さらに、上質な塩の産地としても有名で、ゲランド塩田はまさにその象徴。有塩バターには、そのゲランド産の「Fleur de sel(塩の花)」が使用されています。口に含むと、まろやかな口当たりとともに、ほんのりとしたミルクの甘みが広がり、パンとの相性は抜群です。
モノプリグルメのバター:スーパーマーケットの高品質な選択肢
モノプリは、プライベートブランドとして、「モノプリ」に加え、「モノプリグルメ」と「モノプリBIO」の3つのラインを展開しています。特に「モノプリグルメ」は、スーパーマーケットのブランドとは思えないほどの品質を誇ります。上記でご紹介した高級ブランドバターに比べ、比較的リーズナブルな価格で購入できるため、予算を抑えたい方や、色々なバターを試してみたい方におすすめです。
パリでバターをお土産に買うならここ!おすすめショップガイド
フランスのスーパーマーケットは、どこもバターの種類が豊富で目移りしてしまいます。特に上質なバターをお探しなら、デパートの食料品売り場が狙い目です。ボルディエ、ベイユヴェール、オー・ボン・ブール、フォンテーヌ・デ・ヴーヴといった高級バターは、デパートで見つけやすいでしょう。一方、エシレ、イズニー、セル・ドゥ・メール、ル・ガルといったブランドは、スーパーでも手頃な価格で手に入ります。
フランスバター、その美味しい味わい方
特徴的な風味とコクが魅力の発酵バター。非発酵バターと同様に様々な料理に活用できますが、その芳醇な香りを最大限に楽しむなら、パン(バゲットや田舎パン)にシンプルに塗るのが一番です。また、焼き菓子や自家製パンに使用すると、バターの風味が際立ち、贅沢な味わいに仕上がります。バターはフランスの食文化に不可欠な存在であり、一人当たりの年間消費量はおよそ8kgにも及びます。フランスでは、料理やお菓子作りのほか、パンと一緒に楽しまれています。パンに塗るというよりも、チーズのようにカットして乗せて食べる人も多く、さらにジャムを加えてタルティーヌとして味わうことも一般的です。塩味の効いたバターと甘いジャムの組み合わせは絶妙です。また、ラディッシュに有塩バターを添えるのも人気があり、アペリティフなどでよく見られます。
冷蔵・冷凍保存のポイント
バターの風味と品質をできるだけ長く保つためには、冷蔵庫での保存が最適です。酸化による風味劣化を防ぐために、密閉できる容器、特にガラス製の容器に入れ替えることをおすすめします。できるだけ早く使い切るのが理想ですが、難しい場合は冷凍保存で長期保存が可能です。バターは開封すると空気に触れて酸化が進み、風味が損なわれるため、冷凍保存する際はクッキングペーパーなどでしっかりと包み、さらにアルミホイルで包んでください。冷凍保存用袋に入れ、空気を抜いて密閉します。冷凍保存した場合でも、半年以内を目安に使い切りましょう。また、サランラップでの保存は、ラップの匂いがバターに移り、風味が変わってしまう可能性があるため、避けた方が良いでしょう。冷凍したバターを安全に美味しく味わうためには、冷蔵庫で時間をかけて解凍しましょう。解凍後は早めに使い切ることが重要です。一度解凍したバターの再冷凍は避けてください。
結び
フランスのバターは、その奥深い風味とバラエティ豊かな種類で、日々の食卓を華やかに彩ります。この記事が、あなたにとって最高のバター選びの参考となり、フランスの食文化を心ゆくまで堪能するきっかけとなれば幸いです。
フランスバターはなぜ美味しいのですか?
フランスのバターが美味しい理由は、高品質なミルク、長年培われた伝統製法、そしてテロワール(土地の個性)が見事に調和しているからです。特に発酵バターは、乳酸菌による発酵プロセスを経て、独特の香りと風味が生まれます。この点が、日本のバターとは一線を画す、忘れられない味わいを生み出しています。
フランスバターのおすすめの食べ方は?
フランスバター本来の風味を堪能するには、シンプルにパンに塗って味わうのが一番です。バゲットや素朴な田舎パンにたっぷりとバターを塗り、その豊かな風味をじっくりと味わってみてください。また、料理やお菓子作りに使用することで、バターの風味が素材の味を引き立て、一段と奥深い味わいを楽しむことができます。