ブロッコリー栽培で最も重要なのは、収穫時期の見極めです。適切なタイミングで収穫することで、ブロッコリー本来の美味しさを最大限に引き出すことができます。しかし、「いつ収穫すれば良いのか分からない」「収穫後の処理方法が分からない」という方もいるのではないでしょうか。本記事では、ブロッコリーの収穫時期を見極めるためのポイントを徹底解説。花蕾の状態、株の様子など、見分けるべきサインを詳しくご紹介します。さらに、収穫後の鮮度を保つための処理方法や保存方法も解説。この記事を読めば、あなたもブロッコリー収穫のプロになれるはずです。
ブロッコリー栽培の基礎と収穫時期の目安
ブロッコリーは冷涼な気候を好み、生育に適した温度は15~20℃です。25℃以上になると花蕾の成長が妨げられるため、通常は春と秋に栽培されます。収穫時期は、一般的に秋から冬にかけての10月~翌年2月頃ですが、寒い地域では春から夏に植え付け、6月中旬~10月頃に収穫することもあります。ただし、具体的な収穫時期は、栽培地域、栽培タイプ、品種によって大きく異なります。日本では、「夏まき秋冬どり」と「春まき初夏どり」という2つの主要な栽培タイプがあり、特に「夏まき秋冬どり」が広く採用されています。中間地では、早生種は7月下旬から種まきを開始し、11月~12月に収穫します。中生種は8月上旬に種まきし、12月~翌年2月頃に収穫します。晩生種は8月中旬に種をまき、翌年1月~3月頃まで収穫が可能です。関東や東海地方では、夏に種をまき、晩秋から翌春にかけて収穫することが多く、栽培期間が長い中生種が中心です。一方、四国や九州などの温暖な地域では、夏の高温期間が長いため、冬から春に収穫できる品種が選ばれています。「春まき初夏どり」の作型では、3月上旬から種まきを始め、6月~7月頃に収穫を迎えます。主に北海道や東北地方などの寒冷地、または標高の高い地域で行われています。「夏まき秋冬どり」に比べると生産量は少ないですが、地域の気候を活かした重要な栽培方法です。これらの栽培タイプと栽培スケジュールを理解することは、安定したブロッコリー生産に不可欠です。
ブロッコリーの収穫方法と注意点
ブロッコリーの収穫は、主に「夏まき秋冬どり」を例にすると、収穫時期の見極めから手作業での収穫、出荷準備まで、細心の注意が必要です。ブロッコリーの食用部分は花蕾であり、品質を保つためには適切なタイミングで収穫することが重要です。収穫時期は、苗を植えてからの日数と花蕾の大きさで判断します。一般的に、ブロッコリーの頂点にある花蕾が直径12cm程度になったら収穫時期です。花蕾の表面のつぼみが開いておらず、しっかりと締まっていることを確認しましょう。たとえば、夏まき秋冬どりでは、早生種は定植後55~65日、花蕾の直径12~15cm、中生種は定植後65~80日、花蕾の直径13~16cm、晩生種は定植後80~100日、花蕾の直径15~18cmが目安です。花蕾の直径が目安の大きさに達していなくても、つぼみの表面に黄色い花びらが見え始めたら、開花が始まっているサインなので、商品価値が下がる前に早めに収穫しましょう。品種によって収穫に適した花蕾の状態は異なり、早生種は花蕾全体が比較的平らで、小さな花がやや粗い状態が適期です。一方、中・晩生種は花蕾全体に凹凸があり、小さな花が密集していて、花蕾の間に隙間ができる前に収穫するのが理想的です。収穫が遅れると、花蕾が肥大する時期に「軟腐病」が発生しやすくなります。これは細菌によって花蕾が腐敗し、悪臭を放つ病気です。感染した株は早めに抜き取り、適切に処分して被害の拡大を防ぎましょう。軟腐病の予防方法については、関連情報を参照して適切な対策を講じることが大切です。
手作業での収穫と側花蕾の活用
ブロッコリーの収穫は、花蕾を傷つけないように、基本的に手作業で行います。収穫する際は、頂花蕾の下の茎を、清潔なナイフやハサミで根元から斜めに切り落とします。茎を水平に切ると、切り口に水が溜まりやすく、腐敗の原因になることがあります。斜めに切ることで切り口が乾きやすくなり、病原菌の侵入を防ぐことができます。また、晴れた日に収穫すると、切り口がより乾きやすくなります。雨の日の収穫は傷口が乾きにくく腐りやすいため、避けましょう。ブロッコリーの花蕾はしおれやすいため、日中の暑い時間を避け、気温の低い朝に収穫するのが一般的です。これにより、収穫後の鮮度を保ち、品質の低下を防ぐことができます。通常、1つの株から収穫できる頂花蕾は1つですが、品種によっては頂花蕾を収穫した後、わき芽から「側花蕾」と呼ばれる小さな花蕾が成長し、1つの株から何度も収穫できるものもあります。また、品種によっては収穫後も側枝から小さな花蕾ができるので、花が開く前に収穫しましょう。側花蕾を収穫することで、総収量を増やし、収益を向上させることができます。丁寧な手作業による収穫と、側花蕾の特徴を活かした収穫戦略は、ブロッコリー栽培において収益を上げるための重要なポイントです。
ブロッコリーの収穫時期を逃すとどうなる?
ブロッコリーは収穫が遅れても食べられないわけではありませんが、品質は大きく損なわれます。適期を過ぎると、花蕾の表面からつぼみが開き始め、全体が黄色っぽく変色してきます。これは開花が進んでいるサインであり、アントシアニンの増加や組織の変化によって、苦味が増し、食感も硬くなります。さらに、栄養価も低下する可能性があります。商品としての価値は失われるため、販売は難しくなります。家庭菜園などで自家消費する場合でも、風味や食感が劣るため、本来のブロッコリーの美味しさは期待できません。普段から花蕾の大きさを注意深く観察し、適切な収穫タイミングを逃さないことが、美味しいブロッコリーを味わうための重要なコツです。
収穫後のブロッコリー、長持ちさせる保存方法
ブロッコリーは鮮度が落ちやすい野菜なので、収穫後は適切な方法で保存することが大切です。そうすることで、品質を維持し、より長く美味しく楽しむことができます。冷蔵庫で保存する際は、ブロッコリー全体を湿らせたキッチンペーパーで丁寧に包み、ポリ袋に入れてください。この状態で立てて冷蔵室に保存すると、乾燥を防ぎながら3〜4日程度鮮度を保てます。野菜室は湿度が高くなりがちですが、ブロッコリーは低温を好むため、冷蔵室での保存がおすすめです。長期保存したい場合は、冷凍保存が適しています。ブロッコリーを小房に分け、軽く茹でるか、生のまま一つずつ丁寧にラップで包みます。その後、保存袋に入れて冷凍庫に入れることで、約1ヶ月間の保存が可能です。冷凍保存することで、解凍後にスープや炒め物など、さまざまな料理に手軽に利用でき、食材の無駄を減らすことにもつながります。
収穫量アップへ!ブロッコリー栽培技術の秘訣
ここでは、設備投資を抑えつつブロッコリーの収穫量増加が見込める栽培テクニックを4つご紹介します。収量アップ、そして収益向上を目指し、新しい技術の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
収穫期間を長期化する「リレー栽培」
ブロッコリーは品種によって最適な収穫時期が異なります。そこで、早生品種、中生品種、晩生品種を段階的に栽培するリレー栽培を行うことで、長期間にわたる収穫が可能となり、結果として収穫量の増加に繋がります。「夏まき秋冬どり」の作型だけでも、リレー栽培を取り入れることで、10月から翌年の2月まで継続的に収穫することができます。以下に、夏まき秋冬どりでリレー栽培に適した品種の一例をご紹介します。
リレー栽培では、以下の順序で種まきを行います。(1)7月に「サマードーム」を種まき▼(2)7月中旬~8月中旬に「グランドーム」を種まき▼(3)8月に「ウィンタードーム」を種まき。各品種の特性は以下の通りです。生育期間の長さによって、気温や病害に対する抵抗性が異なるため、別の品種を選ぶ際も、生育期間の目安として参考にしてください。
サマードーム
種まきから95~105日程度で収穫できる中早生品種です。特に耐暑性に優れており、根が丈夫なため、多雨などの湿害にも比較的強いという特徴があります。高温条件下での栽培となるため、病害虫対策を徹底することが重要です。
グランドーム
種まきから115~120日程度で収穫できる中晩生品種です。秋冬どりでは、低温によりアントシアンが発生する可能性があるため、適切な時期に収穫することが大切です。
ウインタードーム
種まきからおよそ150日後に収穫できる晩生品種です。アントシアンの発生や、組織内部のべと病の発生リスクが低く、寒さの厳しい時期でも安心して栽培できるのが特徴です。
1株から2個を収穫「2花蕾どり収穫技術」
すでに述べたように、ブロッコリーには品種によって複数回収穫できるものがあります。それとは別に、品種に左右されずに確実に2回収穫できる「2花蕾どり収穫技術」も開発されています。農研機構では、「初夏どり」と「秋冬どり」それぞれに適した2花蕾どり収穫技術を開発し、その栽培方法を公開しています。
初夏どり向け:L字仕立て2花蕾どり
側枝を1本だけ残した状態がL字に見える「L字仕立て2花蕾どり」は、冬に種をまき、春に収穫する栽培方法に適しています。国産ブロッコリーの生産量が少なくなる時期、4~5月の価格が高い時期に収穫量を増やせるのがメリットです。L字仕立てにするには、頂花蕾を収穫する1~2週間前に、丈夫な側枝を1本選び、それ以外の側枝は取り除きます。光合成で作られた栄養を1つの側花蕾に集中させることで、直径12cm(Lサイズ相当)の頂花蕾に加え、直径10cm(Mサイズ相当)の側花蕾を収穫できます。L字仕立て栽培により、4~5月の収穫量が平均約70%増加したという調査結果もあります。
秋冬どり向け:V字仕立て2花蕾どり
収穫時の形状がV字に見える「V字仕立て2花蕾どり」は、夏に種をまき、秋から冬に収穫する栽培方法での導入が推奨されています。苗を植えてから約1ヶ月後、本葉が7~11枚程度になったら、頂芽を摘心します。さらに約1週間後、伸びてきた複数の側枝の中から、太く生育が旺盛で、互いに逆向きに伸びている2本を選び、残りの側枝はすべて取り除きます。2本の側枝を同時に成長させることで、直径12cm(Lサイズ相当)の側花蕾を、1株から2個収穫できます。この方法により、Lサイズ相当の花蕾の収穫量が平均約60%増加したという結果が出ています。L字・V字仕立てともに、特別な道具や資材は必要ありません。栽培手順書を参考に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
夏まきブロッコリーの収量アップ:「1穴2粒まきセル苗の2本植え」
収穫量を増やすためには、種まきや育苗の段階から栽培方法を工夫することが重要です。近年、ブロッコリーの夏まき栽培において、畑への定植時に2本植えを行うことで、栽植密度を高め、収量増加を目指す技術が開発されています。新潟県農業総合研究所の研究によると、72穴または128穴のセルトレイを使用し、1つの穴に2粒種をまくことで、通常通りの1粒まきと同様に、約4週間で定植に適した苗を得ることができます。その後、2粒まきで育てた苗を、株間を通常よりも広めに確保して2本植えにします。この方法で、平成30年(2018年)から令和2年(2020年)までの3年間、収穫調査を行った結果、従来の1粒まき・1本植え栽培と同等の花蕾の重さを維持しつつ、単収が15~30%程度向上することが確認されました。
2本植えの場合、1本植えと比較して収穫までの日数が3~5日程度長くなる傾向がありますが、2本のうちどちらか一方の株が著しく小さくなるようなことはほとんどありません。ただし、この栽培方法は株間を詰めて植えるため、病害のリスクが高まる可能性があります。そのため、適切な防除対策を徹底することが重要です。
まとめ
消費者の需要が高いブロッコリーが指定野菜に追加されたことで、今後、より一層の安定的な供給が求められます。この記事では、ブロッコリーの収穫時期や収穫方法を中心に、収量増加につながる新しい栽培技術、そして収穫後の適切な保存方法について解説しました。それぞれの地域や環境に適した品種を選び、新しい技術を取り入れることで、反収を増やし、収益向上に繋げてください。
ブロッコリーの収穫時期を見極めるポイント
ブロッコリーの収穫時期は、苗を植えてからの日数と、花蕾の大きさを目安に判断します。一般的には、頂花蕾の直径が12cm程度になった頃が収穫の目安とされ、花蕾の表面にあるつぼみが開いておらず、しっかりと締まっている状態を見極めることが重要です。例えば、夏に種をまき、秋から冬に収穫する作型の場合、早生種では定植後55~65日程度で、花蕾の直径が12~15cmになった頃が収穫適期となります。また、蕾の表面に黄色い花びらが見え始めた場合は、開花が始まっているサインなので、商品価値が低下する前に早めに収穫することが大切です。品種によって収穫に適した花蕾の状態は異なり、早生種は花蕾全体が平らで小花がやや粗く、中生種・晩生種は花蕾全体に凹凸があり、小花が小さく引き締まっている状態で、隙間ができる前に収穫するのが理想的です。
「側花蕾(そくからい)」とはどのようなもので、どのように利用できますか?
側花蕾とは、ブロッコリーの中心にある一番大きな花蕾(頂花蕾)を収穫した後、株のわきから出てくる小さな花蕾のことです。品種によっては、この側花蕾を何度か収穫できます。花が咲く前に側花蕾を収穫することで、1株から収穫できる量を増やし、結果として収益を上げることにつながります。
ブロッコリーの収穫量をアップさせるための栽培技術には、どのようなものがあるのでしょうか?
設備投資を抑えながら収量を増やすことを目指せる栽培技術としては、主に3つの方法が考えられます。1つ目は、早生品種、中生品種、晩生品種を栽培時期をずらして種をまく「リレー栽培」です。収穫期間を長くすることで、全体の収穫量を増やします。2つ目は、1株から2つの花蕾を収穫する「2花蕾どり収穫技術」で、L字型(初夏どり向け)やV字型(秋冬どり向け)に仕立てることで、収穫できる個数を平均して60〜70%増やすことが可能です。3つ目は、「1つの穴に2粒種をまいたセル苗を2本植える栽培方法」です。夏に種をまく栽培において、苗を植える密度を高めることで、単位面積あたりの収穫量が15〜30%向上するという試験結果が出ています。ただし、この方法は2本の苗を密集させて植えるため、通常よりも病害のリスクが高まるため、適切な防除対策が不可欠です。
ブロッコリーの収穫が予定より遅れてしまった場合でも、食べることはできますか?
収穫が遅れたブロッコリーでも食べることはできますが、品質は大きく低下します。適切な時期を過ぎると、つぼみが開いてしまい、全体が黄色っぽく変色し、花が咲き始める状態になります。その結果、苦味が増し、食感も硬くなってしまいます。さらに、栄養価も低下する可能性があります。商品としての価値はなくなってしまうため、市場への出荷はできませんが、個人的に消費する分には調理して食べることは可能です。
収穫したブロッコリー、鮮度を長持ちさせる保存テクニック
ブロッコリーは収穫後、時間と共に鮮度が低下しやすい野菜です。そのため、適切な保存方法を知っておくことが大切です。冷蔵保存の場合、ブロッコリー全体を湿らせたキッチンペーパーで丁寧に包み、ポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で立てて保存することで、3~4日程度は新鮮さを保つことができます。より長く保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。小房に分けて軽く下茹でするか、生のままラップでしっかりと包み、保存袋に入れて冷凍庫で保存すれば、約1ヶ月程度保存可能です。こうすることで、必要な時に必要な分だけブロッコリーを手軽に調理に使うことができます。













