食パン型、空焼きは必要?後悔しないための徹底ガイド

食パン作りは奥深く、焼き上がりの風味や食感はもちろん、型選びも重要な要素です。特に、購入したばかりの食パン型。「空焼きって本当に必要なの?」「もしやらなかったらどうなるの?」そんな疑問をお持ちではありませんか?食パン型の空焼きは本当に必要なのでしょうか?この記事では、空焼きの目的、具体的な手順、そして空焼き後の手入れや注意点について分かりやすく解説します。この記事が、皆さまの食パン型選びやお手入れの一助となり、より美味しいパン作りにつながることを願っています。

空焼きとは?目的と種類

空焼きとは、パン型やお菓子型を初めて使う前に行う、何も入れずにオーブンで焼き上げる作業のことです。主な目的は大きく分けて2つあります。

  1. 製造時に型に付着した油分や細かな汚れを取り除くこと。
  2. 型の金属そのものを強化し、焼き上がりの型離れを向上させること。

です。ただし、例えば『汚れ落とし』が目的なのに高温で長時間焼きすぎてしまったり、『型離れ向上』のために油を塗るべきところを省略してしまったりすると、期待した効果が得られないことがありますので注意が必要です。

空焼きの基本:必要な型と不要な型

空焼きが特に推奨されるのは、主に鉄製の型です。具体的には、ブリキ、アルタイト(アルスター)、スチール、ギルアなどの素材が挙げられます。しかし、これらの素材であっても、シリコン樹脂加工やテフロン加工(フッ素樹脂加工)などの表面処理が施されている場合は、基本的に空焼きは不要です。むしろ、加工済みの型を空焼きしてしまうと、表面のコーティングが剥がれてしまい、かえって型離れが悪化するリスクがあります。

一方、空焼きが不要な素材としては、シリコン加工またはテフロン加工が施された型の他、アルミニウム、ステンレス、アルミダイキャスト、アルブリット、シリコンゴム、銅などが挙げられます。ただし、銅製のカヌレ型など、一部の型については、蜜蝋を塗ってから空焼きを行う場合もあります。

空焼きの方法:馬嶋屋菓子道具店推奨の方法

空焼きの手順は、販売店や専門家によって様々な方法が提唱されています。今回ご紹介する方法は、基本的に初回のみの空焼きで済ませることを前提としており、油を馴染ませるための2回目の空焼きは推奨していませんが、型の種類や状態、または他の専門家の見解によっては異なる手順が推奨される場合もあります。

空焼きの手順

  1. まず、型を食器用中性洗剤で丁寧に洗いましょう。これは、型表面に残った油分や目に見えない汚れをしっかりと洗い落とすために重要です。
  2. きれいに洗った型を、家庭用オーブンの最高温度(240℃程度)に設定し、十分に予熱を行います。
  3. オーブンの予熱が完了したら、何も塗らずに型をオーブンの中に入れます。食パン型の場合は、必ず蓋も一緒にオーブンに入れてください。
  4. そのまま15分程度焼き上げます。オーブンの機種や型の状態によっては、製造時の油分などが焼けて煙が出ることがあります。煙が出なくなるまでが目安ですが、煙を吸い込まないよう、必ず換気を十分に行ってください。気になる場合はマスクを着用することも推奨します。
  5. 焼き終えたら、型をオーブンから取り出し、粗熱が取れるまで待ちます。
  6. 型がまだ少し温かいうちに、キッチンペーパーなどで型の内側全体を丁寧に拭き、その後、薄くサラダ油を塗って完了です。

この方法の重要なポイントは、空焼きを行う前にしっかりと型を洗浄することと、空焼き後に薄く油を塗布することです。これにより、製造時の油分や汚れを確実に除去し、油膜を形成することで、その後の焼き菓子の型離れを格段に向上させることができます。

空焼き後の手入れと保管

食パン型を空焼きした後、実際にパンを焼いたら、型がまだ温かいうちに、キッチンペーパーなどで残った油分を丁寧に拭き取りましょう。基本的には水洗いは必要ありません。しかし、もし焦げ付きなどが気になる場合は、中性洗剤を使い、柔らかいスポンジなどで優しく洗いましょう。その後、しっかりと水分を拭き取り、再度空焼きを行うことをおすすめします。保管する際には、錆を防ぐために、薄く食用油を塗っておくと長持ちします。

空焼きで生地がくっつく?原因と対策

空焼きをしたのに、パン生地が型に張り付いてしまう場合、いくつかの原因が考えられます。

  • 空焼きの不足:製造時に付着した機械油や、目に見えない汚れが十分に除去されていない可能性があります。
  • 油脂の塗りムラ:型に塗る油脂が均一でない、または量が少ないと、生地がくっつきやすくなります。
  • 生地の特性:生地自体の水分量やグルテンの状態が、型離れに影響を与えることがあります。

これらの原因を踏まえ、以下の対策を試してみましょう。

  • 再度、丁寧な空焼き:もう一度、念入りに空焼きを行い、油分や汚れを完全に除去しましょう。
  • 油脂を惜しまずに塗る:型全体に、均一に、そして適量の油脂を塗布します。バターやショートニングなどがおすすめです。
  • 型離れを助ける油を使用する:スプレー式の型離れオイルは、ムラなく塗布できるので便利です。

空焼き不要の型:選び方と注意点

空焼きの必要がない型は、手軽さが魅力ですが、選ぶ際にはいくつかのポイントがあります。特に、テフロンやシリコンなどの加工が施された型は、傷つきやすいという点に注意が必要です。金属製のヘラやナイフを使うと、表面の加工が剥がれてしまうことがありますので、木製やシリコン製の道具を優先的に使用しましょう。

また、表面加工が剥がれてしまった場合は、空焼きが必要な型と同様に、油脂を塗って使用する必要があります。加工が剥がれると、型離れが悪くなるだけでなく、金属が露出し、錆びやすくなる原因にもなります。定期的な状態確認とメンテナンスを心がけましょう。

まとめ

空焼きは、美味しいパン作りへの大切な準備段階です。正しい知識と丁寧な作業を行うことで、型をより長く使い続けることができ、美味しいパンをたくさん作ることができます。この記事が、あなたのパン作りの一助となれば幸いです。ぜひ、空焼きに挑戦して、理想のパン作りを楽しんでください。

質問1:食パン型を空焼きしていると煙が出ることがありますが、健康への影響はありますか?

空焼きの際に出る煙は、製造過程で付着した油分や不純物が焼けることで発生します。有害な物質が含まれている可能性もあるため、換気を十分に行い、直接煙を吸い込まないように注意が必要です。念のため、マスクを着用して作業することをおすすめします。

質問2:空焼きを行った後、食パン型に錆びが発生してしまいました。どのように対処すれば良いでしょうか?

表面的な軽い錆びであれば、クリームクレンザーなどを柔らかいスポンジにつけて丁寧に磨き落とすことで除去できる場合があります。その後、薄く食用油を塗って、再度空焼きを行ってください。錆びが深く進行している場合は、安全のためにも新しい食パン型への買い替えをご検討ください。

質問3:テフロン加工の食パン型をできるだけ長く使い続けるためのポイントはありますか?

テフロン加工はデリケートで傷つきやすい性質があります。そのため、型に触れる際は金属製のヘラやナイフなどの使用は避け、木製やシリコン製のものを使いましょう。また、洗浄の際は、研磨剤が含まれた洗剤の使用は避け、柔らかいスポンジで優しく洗いましょう。急激な温度変化も劣化の原因となるため、粗熱を取ってから洗うようにしましょう。

空焼き食パン型