ボイセンベリーの育て方:ミラクルフルーツをご家庭で!
「ミラクルフルーツ」とも呼ばれるボイセンベリー。その濃厚な風味と豊富な栄養価で、近年日本でも注目を集めています。ビタミンやミネラルをたっぷり含み、美容と健康をサポートしてくれる頼もしい存在です。そんな魅力的なボイセンベリーを、ご自宅で育ててみませんか?この記事では、初心者でも安心の育て方を徹底解説。苗の選び方から水やり、剪定のコツまで、美味しい実を収穫するための秘訣を余すところなくご紹介します。さあ、あなたもボイセンベリー栽培に挑戦してみましょう!

ボイセンベリーとは?その特徴と歴史、他のベリーとの違い

ボイセンベリーは、ラズベリーと同じバラ科キイチゴ属の多年生植物で、学名は「Rubus sp. Hybrid”Boysen”」です。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、ラズベリーやブラックベリーの仲間と考えると理解しやすいでしょう。人気の理由は、「フランボワーズのような豊かな香り」と「深みのある赤黒色の美しい見た目」です。海外では「ミラクルフルーツ」や「ミラクルベリー」と呼ばれるほか、「ベリーの宝石」という愛称でも親しまれています。
特に注目すべきは、抗酸化作用を持つアントシアニンの含有量がブルーベリーの約6倍であることです。さらに、食物繊維やビタミンも豊富で栄養価が高いため、健康果実として世界中で人気があります。ボイセンベリーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州が原産地で、州北部の農場でルドルフ・ボイセン氏が栽培していたベリーが始まりと言われています。デューベリーやローガンベリーをラズベリーなどと交配して生まれたとされ、ローガンベリーとデューベリーの交配品種としても知られています。1920年頃には、アメリカ合衆国農務省のジョージ・M・ダロウ氏がその魅力に着目し、自らも育成を始めたことで、世界に広く知られるようになりました。ボイセンベリーという名前は、最初に栽培に成功したルドルフ・ボイセン氏にちなんで名付けられました。

ボイセンベリーの主な特徴とラズベリーとの違い

ボイセンベリーは、熟すと赤黒い色になり、見た目はラズベリーよりもブラックベリーに似ています。大きさは6~12g程度で、アントシアニンの含有量がブルーベリーの約6倍と栄養価が高く、2023年現在ではサプリメントなどにも利用されるほど注目されています。完熟した果実は非常に柔らかく、収穫後に時間が経つと果汁が出てきてしまうため、生での保存には向きません。そのため、ジャムなどの加工品として流通することが多くなっています。ボイセンベリーの苗は、暑さや乾燥に強く、痩せた土地でも育つほど丈夫で、生育も旺盛です。初心者でも比較的簡単に実を収穫できるため、家庭菜園での栽培も人気があります。ボイセンベリーはつる性植物で、生垣にも利用できますが、成長とともに枝に小さなトゲが生える場合があるため注意が必要です。トゲが気になる場合は、根元から切り取ることができます。ボイセンベリーとラズベリーは同じキイチゴ属ですが、外見と内部構造に違いがあります。ボイセンベリーはラズベリーよりも色が濃く、内部はブラックベリーのように空洞になっています。耐寒性はラズベリーの方が強く、ブラックベリー(ボイセンベリーを含む)はやや劣ります。ラズベリーが涼しい場所を好むのに対し、ボイセンベリーは乾燥や暑さに強い性質があります。三重県ではどちらも庭植えで育てられますが、一般的に北国ではラズベリー、南国ではブラックベリーの方が育てやすいと言われています。収穫方法も異なり、ボイセンベリーは実が自然に取れないため、ヘタをつけたままハサミなどで切り取って収穫します。

ボイセンベリーの味の特性

ボイセンベリーは、完全に熟すと程よい酸味と甘さが特徴です。完熟した実は非常に柔らかく、水洗いするだけでも果汁が出るほどです。果実には小さな粒が集まっており、その一つ一つにゴマ粒程度の小さな種が含まれています。種はそのまま食べられますが、口当たりが気になる方もいるかもしれません。しかし、その風味・甘味・酸味は高く評価されており、ジャムや洋菓子によく用いられています。まだ熟していない赤い実は、完熟した黒い実と比べて酸味が強いため、生で食べるよりもジャムや洋菓子のトッピングとして利用するのがおすすめです。完熟した果実は傷みやすいため、収穫後はすぐに加工するか、早めに食べることが大切です。

ボイセンベリーの生産地と旬・収穫時期

ボイセンベリーはニュージーランドでの栽培が盛んで、世界全体の生産量の約6割を占めています(2023年時点)。ニュージーランドは国を挙げてボイセンベリーの生産に取り組んでいます。日本国内では、滋賀県、香川県、群馬県などで栽培されており、果実が市場に出回っています。ボイセンベリーの旬と収穫時期は、栽培地の気候条件によって多少異なりますが、一般的には6月上旬から中旬頃に始まり、7月上旬頃までが目安となります。日本では、初夏から夏にかけてが収穫のピークです。家庭菜園で栽培する場合は、7月頃の収穫を目安にすると良いでしょう。苗木は園芸店やホームセンターなどで容易に入手できるため、ご自宅での栽培も気軽に楽しめます。

ボイセンベリーの優れた栄養成分:ブルーベリーとの比較

ボイセンベリーは、豊富な栄養成分を含有しており、特に食物繊維やビタミンの含有量が、人気のあるブルーベリーよりも多い点が特筆されます。ブルーベリーと比較して、食物繊維、ビタミンE、マグネシウムなどの栄養価が高く、この優れた栄養バランスこそが、ボイセンベリーが「ミラクルフルーツ」と称される理由です。

ボイセンベリーの注目すべき健康効果・効能

ボイセンベリーには、健康と美容をサポートする様々な効果・効能が期待されています。主な効果・効能として、以下の5つの点が挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

ボイセンベリーの効果・効能①:抗酸化作用で活性酸素を抑制

ボイセンベリーの主要な効能の一つが、「抗酸化作用による活性酸素の抑制」です。ボイセンベリーには、抗酸化作用に優れたポリフェノールが豊富に含まれており、その含有量はブルーベリーの約6倍とも言われています。さらに、アントシアニンやエラグ酸も含まれているため、「活性酸素の抑制」や「メラニンの生成抑制」といった効果が期待できます。活性酸素は、呼吸によって体内に取り込まれた酸素が変化したもので、過剰に生成されると老化や様々な疾患の原因となります。ボイセンベリーは、この活性酸素を無害化することで、健康維持や美容に貢献します。活性酸素の無害化には、「質の高い睡眠」と「ポリフェノールを豊富に含む食品の摂取」が重要であり、抗酸化作用の高いボイセンベリーは、特に有効な選択肢と言えるでしょう。

ボイセンベリーの効果・効能②:眼精疲労の軽減・予防

2つ目の効果として、「眼精疲労の軽減・予防」が挙げられます。ボイセンベリーに豊富に含まれるアントシアニンは、目の疲れの原因となるロドプシンの再合成をサポートする働きがあります。ロドプシンは光の刺激を受けることで分解されますが、その再合成が滞ると眼精疲労を引き起こします。アントシアニンを積極的に摂取することで、ロドプシンの再合成が促進され、目の疲労を和らげることが期待できます。

ボイセンベリーの効果・効能③:美白作用とエイジングケア

3つ目の効果は、「美白作用とエイジングケア」です。ボイセンベリーには、美白成分として知られるエラグ酸が豊富に含まれています。エラグ酸は、シミやそばかすの原因となるメラニン色素を作り出すチロシナーゼ酵素の働きを抑える効果があります。さらに、抗酸化作用によってお肌の老化を防ぐ効果も期待できます。また、ボイセンベリーに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、シワの改善にも役立ちます。

ボイセンベリーの効果・効能④:貧血予防

4つ目の効果は、「貧血予防」です。ボイセンベリーには、ビタミンB12と連携して赤血球を作る葉酸や、血液中の酸素を運搬する鉄分が含まれており、貧血の予防に貢献します。特に、貧血になりやすい妊娠中の女性や、妊娠を考えている女性にとって、ボイセンベリーはおすすめです。

ボイセンベリーの効果・効能⑤:中皮腫リスク軽減の可能性

5つ目の効果として、「中皮腫リスク軽減の可能性」が示唆されています。ボイセンベリーに含まれるポリフェノールには、中皮腫の発症を抑制する効果が期待されており、研究段階ではありますが、動物実験においてボイセンベリーの摂取がアスベスト由来の中皮腫の発症を抑制する結果が出ています。詳細な情報については、今後の研究結果が待たれます。

ボイセンベリーの育て方:自宅の庭で楽しむ栽培術

ボイセンベリーは、土地を選ばず丈夫に育つため、家庭菜園にぴったりの果樹です。日当たりの良い場所で、水はけと栄養バランスの良い土壌を選び、適切な手入れをすれば、初心者の方でもたくさんの実を収穫できます。生育力、収穫量ともに優れており、暑さや乾燥にも比較的強いため、ガーデニング初心者にもおすすめです。

植え方・土作り

ボイセンベリーを栽培する際は、日当たりが良く、水はけの良い、肥沃な土壌を選びましょう。植え付け前に、良質な堆肥、例えば花ひろば堆肥「極み」などを混ぜ込んで土壌を豊かにしてから植え付けると良いでしょう。庭植えはもちろん、鉢植えでも育てることができ、鉢植えの場合は花ひろば培養土「和み」が適しています。植え付けの最適な時期は3月ですが、温暖な地域では秋植え(9月~11月頃)も可能です。一般的に、10月から梅雨入りまでの期間が植え付けに適しています。苗を植え付ける際は、根付きを良くするために、枝を20cm程度に切り詰めてから植えると効果的です。

水やりのコツ

ボイセンベリーへの水やりは、特に夏場は毎日行うようにしましょう。それ以外の季節は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本です。乾燥に弱い性質があるため、特に若い株の場合は、厚めに敷き藁などでマルチングをすることで、土壌の乾燥を防ぎ、雑草の抑制にもなり、安心して育てられます。

肥料の与え方

ボイセンベリーは、基本的にあまり肥料を必要としない育てやすい植物です。しかし、生育が遅いと感じた場合は、年に数回肥料を与えることで成長を促すことができます。具体的には、2月頃と収穫後に、花ひろばIB肥料元気玉のような速効性の化成肥料を与えると効果的です。さらに、11月~12月頃には、寒肥として牛糞や鶏糞、油粕などの有機質肥料を与えることで、冬の間の栄養補給となり、翌年の実付きを良くします。また、土壌の酸度調整のために、2~3年に一度、石灰を施すことも推奨します。

花芽の付き方

ボイセンベリーは、その年の春に伸びた新しい枝、特に根元から力強く伸びるシュートと呼ばれるものに花芽をつけ、実を結びます。この特性を理解することは、剪定の仕方や収穫量を左右する大切なポイントです。前年に伸びたシュートは、花芽を大切にするために、切りすぎないように注意しましょう。毎年新しい枝が育ち、安定して実をつけるように管理することが重要です。

剪定方法

ボイセンベリーの剪定は、最初の植え付け以外は、できるだけ控えめに行うのが理想的です。植え付けの際は、株が根付きやすいように、苗を20cm程度の高さに切り詰めてから植えましょう。前年に伸びた枝の先に花芽がつくため、これらの枝を強く剪定するのは避けるべきです。ただし、何もせずに放置すると、枝が密集して風通しが悪くなるため、秋に混み合った枝を軽く間引く程度の剪定は必要です。計画的に剪定を行うことで、株の大きさを抑えつつ、収穫量を増やすことができます。ボイセンベリーは、実をつけた枝や古い枝は自然と枯れていくため、株元から生えてくる新しいシュートに更新していくように管理します。地中を這う地下茎から新しいシュートが伸びてくるので、1年目のシュートは6月頃に先端をカットして、側枝の発生を促しましょう。また、細くて元気のない枝は、根元から取り除きます。さらに、12月から3月頃の休眠期には、側枝を1~3節ほど切り戻すことで、花芽の形成を促し、翌年の実つきを良くします。収穫が終わって枯れてしまった枝は、12月までに根元から切り取ってください。これらの剪定を適切に行うことで、株の風通しを良くし、病害虫のリスクを減らし、より多くの収穫を目指しましょう。

病害虫の予防法

ボイセンベリーは、比較的丈夫で病害虫の被害を受けにくい植物です。しかし、いくつか注意すべき点があります。特に、ボイセンベリーはブラックベリーの仲間なので、キュウリやトマト、ナス、ピーマンなどナス科の植物の近くで育てると、「萎凋病」という病気にかかりやすくなることがあります。この病気を防ぐためには、適切な薬剤を使用することが効果的です。害虫に関しては、稀にコガネムシやコウモリガが発生することがあります。コガネムシは、見つけ次第捕まえて駆除しましょう。コウモリガ対策としては、株元の雑草を取り除き、マルチングをすることで発生を抑えることができます。日頃から植物の状態をよく観察し、早期発見と早期対応を心がけることが、ボイセンベリーを健康に育てるために重要です。

まとめ

ボイセンベリーは、ラズベリーとブラックベリーを掛け合わせたような風味を持つ、家庭菜園で栽培できる果樹です。しかし、ボイセンベリーは生育旺盛でつるが伸びやすく、トゲもあるため、剪定や誘引といった手入れが欠かせません。また、日当たりと水はけの良い場所を選び、適切な肥料を与える必要もあります。これらの手間をかけることで、甘酸っぱくて香り高いボイセンベリーを収穫できます。収穫した実は、ジャムやジュース、お菓子作りなど、様々な用途で楽しむことができるでしょう。自家栽培ならではの新鮮なボイセンベリーを、ぜひ色々なレシピで味わってみてください。

質問:ボイセンベリーとブルーベリー、どこが違うの?

回答: ボイセンベリーは、一見ブラックベリーのような深紅色の果実で、果肉の中は空洞になっているのが特徴です。一方、ブルーベリーは果実全体が青紫色です。栄養価に目を向けると、ボイセンベリーはブルーベリーと比較して約6倍ものアントシアニンを含有しており、食物繊維、ビタミンE、葉酸、マグネシウムといった栄養成分も豊富です。

質問:ボイセンベリーを食べると、どんな良いことがあるの?

回答: ボイセンベリーには、抗酸化作用による活性酸素の抑制効果や、眼精疲労の軽減・予防効果、美白効果やエイジングケア効果、貧血予防効果などが期待できます。さらに、中皮腫の発症リスクを低下させる可能性も示唆されています。これらの効果は、豊富に含まれるアントシアニンやエラグ酸、葉酸といった成分によるものです。

質問:ボイセンベリーって、家でも育てられる?

回答: はい、ボイセンベリーは栽培が比較的容易なため、家庭菜園でも十分に育てられます。痩せた土地でも育つほど生命力が強く、暑さや乾燥にも耐性があるため、日当たりと排水性の良い場所を選んで植え付け、適切な水やりをすれば、初心者の方でも実を収穫できるでしょう。生育も旺盛で実付きも良く、病害虫の被害も比較的少ないため、家庭菜園に初めて挑戦する方にもおすすめです。

質問:ボイセンベリーを育てるのに適した土と水やりのコツは?

回答: ボイセンベリーは、日当たりが良く、水はけの良い肥沃な土壌を好みます。植え付けの際には、良質な堆肥を混ぜ込み、やや深めに植えるのがポイントです。水やりは、夏場は毎日行い、その他の季節は土の表面が乾いたらたっぷりと与えるようにしましょう。特に苗木の間は、乾燥を防ぐために敷き藁などで株元を覆うと効果的です。
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