ブルーベリー栽培を始めるにあたって、まず悩むのが品種選び。甘さ、育てやすさ、収穫時期など、それぞれの品種が持つ個性は様々です。この記事では、ブルーベリーの開花時期に着目し、品種ごとの特性を徹底比較!あなたの栽培環境や好みにぴったりの品種を見つけ、計画的な栽培で長い期間ブルーベリーを楽しめるように、役立つ情報をお届けします。初心者の方からベテランまで、ブルーベリー栽培を成功させるための決定版として、ぜひご活用ください。
ブルーベリー品種選定のポイントと栽培環境の重要性
私の農園では、一年を通して(おおよそ6月から8月)収穫が途切れることなく、かつ初心者の方でも育てやすいブルーベリーを選んでいます。この選定基準として、実際に栽培・販売した実績のある品種のみを選び、評価が確定していない試験栽培品種は除いています。品種を選ぶ際には、収穫時期が重なる品種同士を比較検討し、果実の品質、収穫量、育てやすさなどを総合的に評価します。私の農園は温暖な地域に位置し、鉢植えで人工培地を使用し、pH調整を行わない方法で栽培しています。そのため、すべての地域で同じように収穫できるとは限りませんのでご注意ください。また、実際には収穫のピークがあり、収穫開始日や終了日付近では収穫量が少なかったり、期間が短くなることがあります。これらの条件と注意点をご理解いただいた上で、初心者の方でも安心して年間を通してブルーベリーを楽しめる品種を選びました。
年間を通じて収穫できるおすすめブルーベリー品種
私の農園での栽培実績と選定基準をもとに、6月から8月にかけてのブルーベリーシーズン中、途切れることなく収穫できるよう、それぞれの時期におすすめの品種を厳選してご紹介します。これらの品種は、果実の品質、収穫量、そして家庭菜園でも育てやすい丈夫さを兼ね備えているため、自信を持っておすすめできます。
早生品種:ニューハノーバー (サザンハイブッシュ系)
サザンハイブッシュ系の「ニューハノーバー」は、例えば、私の農園の一例では2017年に6月中旬から下旬にかけて収穫できました。年によって多少変動はありますが、例年6月中旬頃からシーズン最初の収穫を楽しめる早生品種です。特に、果実の品質が非常に高く、サザンハイブッシュ系の中でも特に収穫量が多い点が魅力です。生育も旺盛で樹勢が強く、病害虫にも強いため、家庭菜園を始めたばかりの方にもおすすめです。丈夫で育てやすいのが特徴ですが、地域によっては収穫時期が梅雨と重なる可能性があり、その場合は果実が割れてしまうリスクを考慮する必要があります。裂果に対する強さは、他の品種よりも優れているものの、別の品種と比較するとやや弱い傾向にあります。また、収穫時期には害虫が発生しやすいので、適切な対策を行うことが大切です。この時期に収穫できる他の品種と比較検討した結果、ニューハノーバーが最も優れていると判断しました。
中生品種:チャンドラー (ノーザンハイブッシュ系)
「チャンドラー」は、あるブルーベリー園で6月下旬から7月上旬にかけて収穫される中生品種で、本格的な夏を迎える頃に旬を迎えます。特筆すべきは、その圧倒的な果実の大きさです。時には直径30mmを超える大粒の実をつけることもあります。しかし、大きさに反して味が落ちるということはなく、むしろ非常に美味しく、食べ応えも抜群です。ノーザンハイブッシュ系の中では比較的育てやすい品種とされており、順調に生育します。ただし、成長はややゆっくりなので、じっくりと育てるのがおすすめです。収穫期にはコガネムシの仲間が大量発生することがあるため、事前に適切な対策を講じておくことが重要です。同時期に収穫可能な他の品種と比較検討した結果、チャンドラーはその並外れた大きさ、そして味の良さで選ばれています。
中生~晩生品種:オースチン (ラビットアイ系)
ラビットアイ系の「オースチン」は、7月上旬から中旬にかけて収穫時期を迎えます。ラビットアイ系の中では珍しく、甘味と酸味のバランスが取れているのが特徴です。食感は、種や皮が少し気になるかもしれませんが、ある栽培者の個人的には、オースチンの風味は他の品種にはない魅力があると感じています。また、他の品種に比べて、実が割れにくいという特徴もあります。若木のうちは成長が遅く感じるかもしれませんが、成木になると生育が非常に旺盛になり、株元から多くの新しい芽が出てきます。そのため、余分な芽を取り除く作業は必要になりますが、非常に丈夫で育てやすいため、家庭菜園にも適しています。この時期に収穫できる他の品種と比較した結果、オースチンはその味の良さと育てやすさから選ばれました。
中生~晩生品種:コロンバス (ラビットアイ系)
「コロンバス」は、7月中旬から8月中旬にかけて収穫できる、比較的収穫期間が長いラビットアイ系の品種です。この農園では数年前に10本を試験的に入れて、すべて順調に育ってたくさん実らせてくれている。だから本数を増やしたいのだが、販売中止で、苗木を購入できないのが残念。...長所が多く、期待の品種だけに販売中止になっているのが残念、ぜひ再開してほしい。(出典: ブルーベリーファームおかざき(観光農園による現地栽培・流通状況の記述), URL: https://blueberryokazaki.com/blueberry/columubus/, 2022年)しかし、育てやすく、ラビットアイ系としては食感も良く、味も優れているため、栽培する価値はあります。収穫期間が長く、安定した収穫量が見込めるのも魅力です。実が割れにくい性質を持ちますが、未熟な状態で収穫しても渋みが少ないのも特徴です。これらの点から、家庭菜園や初心者の方にもおすすめできる品種です。栽培者の個人的な意見としては、他の品種の代替として強く推奨したいと考えていますが、苗の入手が困難なのが難点です。地域によっては結実が良くないという情報もありますが、特に問題なく栽培できています。同時期に収穫できる他の品種と比較して、総合的に優れた特性を持つコロンバスを選んでいます。
晩生品種:オンズロー (ラビットアイ系)
「オンズロー」は、7月中旬から8月下旬にかけて収穫できる晩生品種で、ブルーベリーシーズンの締めくくりを飾ります。収穫量が非常に多く、味も安定しているため、シーズン終盤まで美味しいブルーベリーを楽しむことができます。ただし、実が変形しやすいという欠点がありますが、家庭菜園で楽しむ程度であれば問題になることは少ないでしょう。地域によっては9月まで収穫が続くこともあります。果皮が柔らかいため、収穫には少し注意が必要ですが、栽培自体は容易で、初心者にもおすすめです。やや害虫がつきやすい傾向がありますが、それほど神経質になる必要はありません。この時期に収穫できる他の品種と比較した結果、オンズローはその収穫量の多さと味の安定性から選ばれました。
連続収穫を可能にするブルーベリー品種の選定と開花時期の関係
ブルーベリーを長期間収穫するためには、開花・収穫時期が異なる品種を戦略的に植えることが大切です。せらす果樹園が推奨する「途切れない収穫」を実現する品種として、ニューハノーバー、チャンドラー、オースチン、コロンバス、オンズローの5品種があります。さらに、品種の特性を評価するための「基準木」としてブライトウェル、受粉を助ける「受粉木」としてレガシーを加えることで、合計7品種の組み合わせが、シーズンを通してブルーベリーを楽しめる理想的な構成となります。この構成では、一般的にニューハノーバーの開花が最も早く、コロンバスが最も遅くなります。せらす果樹園では十分な受粉が確認されていますが、栽培本数を最小限にする場合は、早生品種であるニューハノーバーの受粉が不足する可能性があります。そこで、生育が旺盛で収穫量の多いレガシーを「受粉木」として加えることで、受粉率を高め、安定した収穫を期待できます。もしコロンバスの苗が手に入りにくい場合は、ブライトウェルで代用可能です。ベッキーブルーも良い代替品種となります。栽培の楽しみ方は、個々のニーズに合わせて調整できます。例えば、シーズン序盤に早生品種だけを楽しみたい場合は、レガシーとニューハノーバーの組み合わせが適しています。一方、梅雨明け後の暑い時期に収穫を楽しみたい場合は、オースチン、コロンバス、オンズローの組み合わせがおすすめです。開花・収穫時期のデータを見ると、コロンバスの必要性に疑問を持つ方もいるかもしれません。しかし、コロンバスは晩生品種であるオンズローの受粉を助ける役割があり、収穫のピークが他の品種と少しずれるため、全体の収穫期間を長くし、安定させる上で重要な品種だと考えています。

ブルーベリー栽培における「基準木」の役割
ブルーベリー栽培において「基準木」を植えることは、非常に役立つ栽培方法の一つです。基準木とは、新しい品種や試験栽培中の品種を評価する際に、比較の基準となる木のことです。例えば、新品種の開花時期や収穫時期が記載されていても、栽培地域の気候や土壌などの環境によって特性が変わるため、記載された情報だけで品種を比較することは難しい場合があります。そこで、自分の農園や庭に「基準木」を植えておくことで、評価したい品種がどれくらいの能力を持っているのかを相対的に判断しやすくなります。
具体的には、自分の場所で基準木(例えばブライトウェル)の開花時期や収穫時期を把握していれば、新品種の開花・収穫時期が基準木と比べてどれくらい早いか、または遅いかを比較できます。これにより、自分の栽培環境における新品種のパフォーマンスをより正確に評価し、今後の品種選びや栽培計画に役立てることができます。
基準木は必ずしもブライトウェルである必要はありません。ただし、一般的に基準品種として知られているブルークロップ、オニール、ティフブルーなどは、古い品種に分類されます。新たに栽培を始めるのであれば、近年登場した収量性や風味に優れた品種を基準木に据えることで、より現代的な栽培環境での比較評価が可能になります。そこで、多くの生産者や家庭菜園愛好家が栽培しており、インターネットや書籍などで情報が多い「ブライトウェル」を基準木として推奨します。ブライトウェルでなくても、自分の栽培環境で実績があり、情報が豊富な品種であれば、どんな品種でも基準木として利用できます。このように、品種の比較評価に興味がある方は、ぜひ自分の場所に基準木を植えてみることをおすすめします。
まとめ
この記事では、シーズンを通してブルーベリーの収穫を楽しむための品種選びと、具体的な組み合わせについて、せらす果樹園の栽培実績に基づいて詳しく解説しました。初心者でも育てやすい、推奨する5つの品種(ニューハノーバー、チャンドラー、オースチン、コロンバス、オンズロー)に加え、品種評価の基準となる「基準木」としてのブライトウェル、受粉を確実にするための「受粉木」としてのレガシーを加えた、合計7品種の組み合わせが、年間を通してブルーベリーの恵みを享受するための最適な構成です。各品種は、収穫時期、果実の品質、栽培の特性、病害虫への耐性など、様々な視点から厳選されています。また、開花時期を考慮することや基準木を活用することの重要性も解説し、品種選びと栽培計画を立てる上で役立つ情報を提供しました。この記事が、皆様のブルーベリー栽培において、豊かな収穫と喜びをもたらすきっかけになれば幸いです。今後も、試験栽培中の品種に関する新たな情報が得られ次第、この記事の内容を更新していく予定です。
ブルーベリーをできるだけ長く収穫するには、どんな品種を組み合わせればいいですか?
一年中とまではいきませんが、6月から8月のブルーベリーシーズンを通して収穫を楽しむには、早生、中生、晩生といった異なる収穫時期の品種を組み合わせるのが効果的です。せらす果樹園では、ニューハノーバー(早生)、チャンドラー(中生)、オースチン(中生~晩生)、コロンバス(中生~晩生)、オンズロー(晩生)の5品種に、基準木としてブライトウェル、受粉木としてレガシーを加えた合計7品種の組み合わせを推奨しています。
初心者でも育てやすいブルーベリーの品種は何ですか?
この記事で取り上げた品種は、せらす果樹園での経験に基づき、特に初心者の方でも比較的容易に育てられるものを厳選しています。中でも「ニューハノーバー」は、その丈夫さと病気への抵抗力が魅力です。また、「コロンバス」は生育が旺盛なラビットアイ系で、栽培しやすい品種として知られています。「オンズロー」は、害虫対策が必要となるものの、栽培自体は難しくありません。全体として、丈夫で手間のかからない品種を選ぶことが、栽培成功への近道と言えるでしょう。
ブルーベリーの品種を選ぶ際のポイントは何ですか?
品種選びで重要なのは、栽培する目的や環境に合った品種を選ぶことです。収穫時期の異なる品種を組み合わせることで、長期間にわたって収穫を楽しむことができます。家庭菜園で育てる場合は、育てやすさ(丈夫さ、病害虫への強さ)に加え、果実の味や大きさも重要な要素となります。また、地域によって生育状況が異なるため、それぞれの地域の気候に適した系統(ハイブッシュ系、ラビットアイ系など)を選ぶことが大切です。開花時期を考慮し、適切な受粉樹を選ぶことも忘れないようにしましょう。
ブルーベリーは一本でも実がなりますか?受粉樹は必要ですか?
ブルーベリーには、一本でも実をつける自家受粉可能な品種も存在しますが、多くの品種では、異なる品種を近くに植えることで、より安定して多くの実を収穫できます。特にラビットアイ系の品種は、他家受粉が不可欠とされています。この記事では、ニューハノーバーの受粉樹としてレガシー、オンズローの受粉樹としてコロンバスを推奨しており、これらの組み合わせによって安定した収穫が期待できます。
ブルーベリーの基準木って何ですか?なぜ植える必要があるのですか?
基準木とは、特定の品種の特性(開花時期、収穫時期、果実の品質など)を評価する際の基準となる木のことです。地域の気候や土壌条件によって品種の生育は大きく左右されるため、基準木を植えることで、新しい品種の生育状況を客観的かつ比較検討することができます。せらす果樹園では、豊富な栽培データを持つブライトウェルを基準木として推奨しています。