ブルーベリーは、その小さなサイズと美しい青色だけでは決して侮れません。実は、この果実は多くの驚くべき健康効果を持っています。抗酸化物質が豊富で、免疫力の向上や視力の保護、さらには心臓の健康をサポートする力があります。日々の食生活に簡単に取り入れることができ、スムージーやヨーグルト、サラダなどに加えるだけで、手軽にその恩恵を受けることができます。今すぐブルーベリーを取り入れて、あなたもその健康効果を実感してみましょう。
ブルーベリーの魅力
ブルーベリーは、ツツジ科に属する落葉低木とその果実の総称で、シアノコカス節に分類されます。生食でも加工品でも活用されるこの果実は、日本ではヌマスノキとも呼ばれています。名前の「ブルー」は青紫の果実の色に由来し、「ベリー」は「小さな実」を意味します。様々な系統と品種が存在し、果樹や庭木として親しまれています。ブルーベリーには主に6つの系統がありますが、食用として特に注目されるのは3つの系統です。それはハイブッシュ系、ラビットアイ系、ローブッシュ系です。このうち、特に栽培されるのはハイブッシュ系とラビットアイ系で、多種多様な品種が存在しています。
植物の形態と生態について
成木の高さは、種類によって異なり、通常は1から3メートルに達します。北アメリカ大陸で育つ野生に近いタイプは、数十センチメートル程度の小ぶりな木です。樹幹は1本で立ち、時には株立ちすることも見られます。樹皮は灰褐色で垂直に筋が入り、徐々に裂けて剥がれます。若枝は淡い灰褐色で、表面には毛が生えています。開花期は日本では4月から5月で、ドウダンツツジに似た白や淡いピンクの釣鐘状の花を咲かせた後、小さな青紫色の果実を実らせます。葉は秋になると美しい赤色に紅葉し、アントシアニンという色素が主役です。この物質が葉を紅く染めるのです。枝によっては葉の色が異なり、他の葉の陰では黄色になることもあり、色のバリエーションが豊富です。冬芽は卵型で紅紫色をしており、6から10枚の芽鱗が覆っています。芽鱗の縁は褐色です。枝の先端には仮頂芽が見られ、側芽は枝に互い違いに生じ、下の方の側芽は小さくなります。葉痕は半円状で、1つの維管束痕があります。
歴史
ブルーベリーの先祖となる植物は、もともと南アメリカに自生していました。この植物がカリブ海諸島を経て北アメリカへと移動し、進化を遂げてブルーベリーになったのです。ブルーベリーは北アメリカ原産で、その近縁の野生種はヨーロッパや東アジアにも見られます。これらはヨーロッパやアメリカで古くから食用にされ、日本でもクロマメノキやナツハゼ、シャシャンボ、クロウスゴといった近縁種の果実が食べられていました。栽培のための園芸品種が登場したのは19世紀末で、北アメリカ大陸のインディアンが利用していた様々な野生種を基に創出されました。これらの北アメリカ産のブルーベリー園芸品種は、食用としてヨーロッパや日本にも広まりました。ブルーベリーの果実は、北アメリカでは昔から食用として親しまれており、20世紀に入ると果樹としての品種改良が進められ、ハイブッシュ系やラビットアイ系、ハーフハイブッシュ系、ローブッシュ系の交配によって多くの品種が生み出されました。
種とその多様な品種
主にビルベリー(bilberry)などを改良して、アメリカ生まれのローブッシュ・ブルーベリーとハイブッシュ・ブルーベリーが存在します。ブルーベリーは細分化すると数百の品種があり、多くはアメリカで育成されましたが、日本、オーストラリア、ニュージーランドでも品種が育てられています。日本に導入されている品種は100種以上で、その大半はアメリカからのもので、日本独自で開発された品種も栽培されています。1960年にアメリカ農務省が主要な七品種を選びましたが、これらは日本の気候には完全には適合しないという指摘があります。さらに、日本に輸入された品種の名称に誤りがあったことも判明しています。
ハイブッシュブルーベリーの品種(栽培種)
この植物は高さが50センチメートルから3メートルを超えることもあり、果実は青色から黒紫色に変化します。 さらに、この種類はノーザンハイブッシュ、サザンハイブッシュ、ハーフハイハイブッシュの3つのグループに細分化されており、個々のグループには多くの品種が存在します。
ラビットアイ系ブルーベリー品種(栽培種)
ウサギの目という名前の由来は、このブルーベリー品種が果実の熟成前に見せる美しいピンク色によるものであり、このラビットアイブルーベリーには多様な栽培種が含まれています。
ローブッシュブルーベリー(野生種)
この灌木は、おおよそ15から50センチメートルの高さに成長し、果実は鮮やかな青色をしています。
栽培方法
栽培においては、酸性で水はけの良い土質が最適であり、農薬の使用を避けた栽培も可能です。乾燥や過湿には弱いため、土の状態を適切に管理することが重要です(地植えの場合はあまり気にしなくても問題ないことが多いです)。ラビットアイ系の品種は、単独では受粉しにくく、実の付き方が良くないことがありますが、異なるラビットアイ系品種を一緒に植えることで、受粉が改善されます。ハイブッシュ系ブルーベリーには1本でも実を結ぶ品種があるものの、異なるハイブッシュ系品種を混植することで、実の付き方が良くなり、大きな果実が得られます。ブルーベリーは一般的に挿し木で増やされます。挿し木の方法には、新しい枝を使う「緑枝挿し(りょくしざし)」と、休眠中の枝を使用する「休眠枝挿し(きゅうみんしざし)」があります。ハイブッシュ系は寒冷地、ラビットアイ系は暖地向きの栽培に適しています。また、サザンハイブッシュ系が開発され、暖地でも味の良いハイブッシュ系の栽培が可能になりました。関東地方はすべての系統の栽培に適し、日本国内におけるブルーベリーの主要な産地となっています。
食材としての使い方
果物は夏から秋にかけて熟し、甘くて酸味があります。生で食べるだけでなく、ジャムや果実酒、ジュース、デザートの材料として使用されることが一般的です。特定の品種はアントシアニンを豊富に含み、ブルーベリーやビルベリーを使った健康補助食品やサプリメントが視力向上や動脈硬化防止、老化対策、炎症の抑制効果があるとされ市販されていますが、人間への効果と安全性に関する十分な臨床試験は少ないです。
日本におけるブルーベリーの歴史
1951年、日本でのブルーベリーの栽培は、米国から冷涼地に適したハイブッシュ系品種を導入した北海道農業試験場によって始まりました。暖地に向くラビットアイブルーベリーは後の1962年に輸入されました。このラビットアイ系はジョージア州から持ち込まれ、東京の小平市で1968年から本格的な栽培が開始されました。東京農工大学の岩垣駛夫教授から多くの苗を託された島村速雄氏が、商業栽培の草分けとなりましたが、当初は市場での認知が低く、苦戦を強いられました。続いて1971年に長野県へハイブッシュ系が導入され、群馬県、新潟県、山梨県、宮城県などの高冷地で盛んに栽培されるようになりました。さらに、岩手大学での講座を通じて東北地方でも経済的な栽培が広まりました。ただし、土地適性から石川県能登町ではラビットアイ系が選ばれました。1990年代以降、パン食文化の拡大や健康志向の高まりを背景に、観光農園を目的としたブルーベリーの摘み取り体験が関東近郊で急速に広がりました。長野県が長らく収穫量のトップでしたが、2015年に東京都がそれを追い抜きました。関東では生食向きのブルーベリーが消費地の近さもあって増加しており、日持ちしないことも観光需要を後押ししています。また、関東ローム層の酸性土壌が栽培に適しており、練馬区では都市農業の推進策の一環としてブルーベリー栽培が支援されています。