近年、地球温暖化の影響でぶどう栽培に変化が求められる中、早生で大粒の新品種「ブラックビート」が注目を集めています。熊本県生まれのこの品種は、「藤稔」と「ピオーネ」という人気品種を両親に持ち、その良いところを受け継いでいます。7月下旬から収穫できる早生種でありながら、一粒約16gと食べ応えのある大粒。濃い黒色の美しい見た目も魅力です。温暖化が進む現代において、着色不良を起こしにくい特性を持つブラックビートは、未来のぶどう栽培を担う期待の星と言えるでしょう。

ブラックビートとは:そのルーツと際立つ特徴
ブラックビートは、熊本県のぶどう農家、河野隆夫氏によって生み出された、大粒の黒ぶどうです。2004年に品種登録された、比較的新しい品種で、「藤稔」と「ピオーネ」を交配して誕生しました。どちらの親品種も、黒ぶどうとして知られる巨峰の血を引いているため、ブラックビートも外観や味わいに巨峰と共通する部分が多くあります。果実は短めの楕円形で、一粒は約16gと大きく、果皮は黒に近い青黒色や、濃い紫黒色をしています。やまふじぶどう園の山藤猛氏も、「巨峰よりも大きく、食べごたえがある」と述べています。多くのぶどうが8月から9月に旬を迎える中、ブラックビートは7月下旬から収穫できる早生品種です。巨峰よりも10日ほど早く市場に出回るのが特徴です。近年、地球温暖化によるぶどうの色づきが悪くなる問題がありますが、ブラックビートは濃く色づくため、温暖化に対応した品種として注目されています。
ブラックビートの風味と食感
ブラックビートは、巨峰やピオーネといった黒ぶどうを受け継ぐ濃厚な甘さが持ち味です。酸味が少ないため、甘さを強く感じられ、口の中に豊かな甘みが広がります。糖度自体は巨峰より低いものの、大粒で水分が豊富なため、食べた時の満足感は格別です。やまふじぶどう園の山藤猛氏は、「水分が多く、まるでぶどうジュースを飲んでいるよう」と、そのジューシーさを表現しています。果肉は引き締まっていてみずみずしく、なめらかな舌触りです。種なしのものが多く、皮がむきやすいのも魅力です。指で押し出して食べることも、手でむいて食べることも簡単です。巨峰のような芳醇な香りはありませんが、その分、ぶどう本来の甘さとジューシーさを堪能できます。
ブラックビートの栽培特性と温暖化への適応
ブラックビートは、色がつきやすく、温暖化が進む現代でも安定して濃い色になるため、色づきが悪くなりがちな巨峰などの品種に比べて、地球温暖化に適応した品種として期待されています。しかし、栽培は難しいとされています。山藤猛氏によれば、「栽培は簡単ではなく、きれいな円錐形になりにくい」とのこと。市場に出回るような美しい房にするのが難しいのです。房が二つ合わさってハート形になることもあります。通常、ぶどうは剪定で形を整えますが、ブラックビートは剪定してもなかなか整った形になりません。また、皮がむきにくいという声もありますが、やまふじぶどう園のブラックビートは残留農薬ゼロなので、皮ごと食べられます。粒の大きさとジューシーな味わいは、栽培の難しさを補って余りある魅力です。
ブラックビートの選び方、保存方法、食べ方
ブラックビートを選ぶ際は、房全体が黒に近い青黒色か紫黒色に染まり、果皮にハリとみずみずしさがあるものを選びましょう。黒ぶどうは栽培状況によって赤みが残ることがありますが、ブラックビートは色づきが良いので、赤みが強いものは避けるのが賢明です。色が濃いほど、熟している証拠です。保存方法としては、ブラックビートは暑い時期に出回るので、乾燥を防ぐためにポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。すぐに食べきれない場合は、一粒ずつハサミで切って冷蔵保存すると、新鮮さを保てます。食べる2~3時間前に冷やすと、より美味しく味わえます。数日で食べきれない場合は、冷凍保存がおすすめです。バラバラにして冷凍すれば、半解凍でシャーベットのように楽しめます。夏にはぴったりのデザートです。食べ方としては、種なしが多く、皮がむきやすいので、巨峰のように指で押し出して食べることも、手でむいて食べることもできます。ケーキやパフェに使う場合は、見た目を考えて皮をむいてから飾るのがおすすめです。
ブラックビートの旬と主な産地
ブラックビートが最も美味しく味わえる旬は、7月下旬から9月上旬にかけてです。多くのぶどうが夏から秋にかけて旬を迎える中、ブラックビートは比較的早い時期に収穫されるため、夏の初めからフレッシュな味わいを楽しめます。ただし、収穫時期は産地や気候条件によって変動するため、あくまで目安としてください。農林水産省のデータによると、ブラックビートの栽培面積が最も広いのは兵庫県で、約5.6ヘクタールと全体の約33%を占めています。次いで山梨県が約4.8ヘクタール(全体の約29%)で2位となっており、こちらも主要なぶどう産地として知られています。3位は愛媛県で、約1.6ヘクタールの栽培面積です。これらのデータは公開されている範囲に限られており、未公開の都道府県は含まれていませんが、主要なぶどう生産地でブラックビートの栽培が積極的に行われていることがわかります。
ブラックビートの楽しみ方
ブラックビートは、まだ全国的な知名度は高くありませんが、大粒の黒ぶどうを好む人々にとっては特別な味わいを持つ品種です。やまふじぶどう園では、通常8月中旬頃にブラックビートの収穫時期を迎え、この時期にはぶどう狩り体験ができます。収穫したばかりの新鮮なブラックビートをその場で味わえるのは、ぶどう園ならではの醍醐味です。

まとめ
ブラックビートは、藤稔とピオーネを交配して生まれた、2004年に品種登録された比較的新しい大粒の黒ぶどうです。一粒約16gにもなる大きな実が特徴で、巨峰よりも早く7月下旬頃から収穫でき、早生品種でありながら温暖化の影響を受けにくい、美しい色合いが特徴です。酸味が少なく、濃厚な甘さとたっぷりの水分を含んでおり、まるでぶどうジュースを飲んでいるかのような、みずみずしい食感を楽しめます。栽培は難しいとされていますが、その大粒でジューシーな味わいは特別なものです。保存する際は冷蔵庫の野菜室に入れ、長期保存には冷凍が適しています。やまふじぶどう園では8月中旬に収穫時期を迎え、ぶどう狩りや様々なぶどうメニューで、その魅力を存分に楽しむことができます。まだ広く知られているわけではありませんが、大粒の黒ぶどう好きにはぜひ一度味わっていただきたい一品です。
ブラックビートはいつ頃収穫されますか?
ブラックビートは通常、7月下旬頃から収穫が始まり、9月上旬頃まで市場に出回ります。巨峰よりも10日ほど早く旬を迎える早生品種です。やまふじぶどう園では、例年8月中旬が収穫時期となっています。
ブラックビートは皮も一緒に食べられますか?
ブラックビートは、種がないものが一般的で、皮がむきやすく、食べやすいのが特徴です。しかし、栽培方法や品種によっては、皮が少し剥きにくいと感じる場合もあります。やまふじぶどう園で育てられているブラックビートは、農薬を一切使用していないため、皮ごと安心して食べることができ、その風味と栄養を余すことなく味わえます。
ブラックビートはどんな味がするの?
ブラックビートは、巨峰やピオーネといった黒ぶどうならではの、深みのある甘さが際立っています。酸味が少ないため、甘さを強く感じられ、果汁が豊富で、まるでぶどうジュースを飲んでいるかのようなみずみずしい食感が楽しめます。巨峰に比べて糖度は低いものの、一粒が大きいので、満足感があります。巨峰のような独特な香りは控えめです。
ブラックビートの育成は大変ですか?
はい、ブラックビートは栽培が難しい品種として知られています。特に、市場に出せるような美しい円錐形に房を整えるのが難しく、房が二つ重なってハート形になるなど、形が不揃いになりやすいという性質があります。入念な剪定をしても、理想的な形に仕上げるには、高度な技術と経験が求められます。
ブラックビートは地球温暖化に強い品種ですか?
はい、ブラックビートは着色が非常に良く、温暖化によるぶどうの着色不良(特に巨峰などで見られる)に対し、早く成熟するにもかかわらず、色が濃くつくため、地球温暖化に適応した品種として注目されています。
ブラックビートは主にどこで作られていますか?
政府の調査データによれば、ブラックビートの栽培が盛んな地域は、兵庫県が最も多く、続いて山梨県、愛媛県となっています。これらの地域が主要な産地と言えるでしょう。
ブラックビートを美味しく保つには?
ブラックビートを長持ちさせるには、ポリエチレン袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管するのがおすすめです。もしすぐに食べきれない場合は、一粒ずつハサミで切り分けて冷蔵保存したり、バラバラにして冷凍保存すると、少し溶けた状態でシャーベットのような食感も楽しめます。