紅秀峰さくらんぼ:佐藤錦を超える、甘さと美しさの秘密

さくらんぼの里、山形県が誇る紅秀峰。佐藤錦に次ぐ生産量を誇り、その人気は贈答用としても広がりを見せています。紅秀峰は、「さくらんぼの王様」佐藤錦を超えるべく、「佐藤錦」と「天香錦」を交配して生まれた、比較的新しい品種です。食感、保存性、そして何よりも甘さと美しさにおいて、佐藤錦を凌駕する品質を追求。この記事では、紅秀峰が持つ特別な魅力に迫ります。

紅秀峰とは:さくらんぼ界の新星

紅秀峰は、さくらんぼの名産地として知られる山形県で生まれた、比較的新しい品種です。佐藤錦に次ぐ生産量を誇り、近年ではご家庭用としてはもちろん、贈り物としてもその人気を高めています。1979年(昭和54年)に「佐藤錦」と「天香錦」を掛け合わせて育成され、平成3年に品種登録されました。「さくらんぼの王様」と称されていた佐藤錦を超えることを目標に開発され、食感や保存性において佐藤錦を凌駕し、味、香り、そして見た目の美しさにおいても最高品質を誇ります。

紅秀峰の特徴:大粒、引き締まった果肉、際立つ甘さ

紅秀峰は、昭和54年に山形県で『佐藤錦』と『天香錦』を交配して誕生しました。その特徴は、人気品種『佐藤錦』よりも大粒であること、果肉が硬めでしっかりとした歯ごたえがあること、そして酸味が少なく、糖度が非常に高いことです。味わいとしては、糖度が高く酸味は控えめ。大粒で硬い果肉は、噛むほどにジューシーで、豊かな甘みが口いっぱいに広がります。糖度は20%前後に達し、酸味はpH3.7~4.0と少ないため、際立つ甘さを堪能できます。
実際に口にする、あるいは購入する立場から見ると、紅秀峰は何と言ってもその粒の大きさと、しっかりとした歯ごたえが魅力です。「大粒さくらんぼ」という印象が強く、収穫時期が7月以降であることから、お中元の贈答品としても喜ばれています。

紅秀峰と佐藤錦の違い:味、見た目、価格、入手方法

紅秀峰は「ポスト佐藤錦」とも呼ばれ、しばしば比較の対象となります。紅秀峰の味わいは、佐藤錦に比べて濃厚で食べ応えがあります。甘さの中に、かすかな酸味が感じられ、さくらんぼ本来の爽やかな風味も楽しめます。一方、佐藤錦は酸味が少なく、上品で繊細な甘さが特徴です。その甘さは「砂糖のように甘い」ことから、佐藤錦という名前の由来にもなっています。
見た目では、紅秀峰が1粒8~10g程度であるのに対し、佐藤錦は6~8g程度と、紅秀峰の方が大粒です。また、紅秀峰の色味は濃く、深みのある紅色をしています。一方、佐藤錦は透き通るような赤い果皮を持ち、宝石のルビーに例えられることもあります。
価格に関しては、贈答用として販売されている高品質なもので比較すると、1kgあたり紅秀峰が1万円前後、佐藤錦が1万5000円程度です。時期や販売店によって価格は変動しますが、一般的に佐藤錦の方がやや高価です。
入手方法としては、佐藤錦は国内で6割以上のシェアを占めるほど広く栽培されており、人気も知名度も高いため、全国各地で購入できます。スーパーや八百屋などの店頭でも取り扱われていることが多く、比較的入手しやすい品種です。一方、紅秀峰は佐藤錦に次ぐ人気を誇りますが、生産量ではまだ佐藤錦に及ばず、地域によっては店頭販売されていないこともあります。紅秀峰を確実に手に入れるには、産地直送の通販サイトや、農園の直売所を利用するのがおすすめです。

紅秀峰の旬な時期:6月下旬から7月上旬

紅秀峰の旬は、6月下旬から7月上旬にかけてです。佐藤錦よりも少し遅れて旬を迎え、出回る期間もやや長めです。地域によってはスーパーなどであまり見かけないかもしれませんが、オンラインショップや直売所では取り扱いが多く、旬の時期には比較的入手しやすいでしょう。また、紅秀峰はハウス栽培も盛んに行われており、露地栽培ものよりも早く市場に出回ることがあります。ハウス栽培の紅秀峰は5月中旬頃から収穫が始まるため、こちらもチェックしておくと、より確実に手に入れることができるでしょう。
一般的に、6月中旬から下旬は山形県産さくらんぼの最盛期であり、県内各地でさくらんぼ狩りや贈答用の販売が一斉に行われますが、この時期の主役は、やはり「佐藤錦」です。「さくらんぼの女王」とも呼ばれる佐藤錦の季節と言えるでしょう。
その後の7月に入ると、さくらんぼの品質は管理方法によって左右されますが、一般的に「佐藤錦」は実が柔らかくなりやすく、日持ちが短くなってきます。佐藤錦は糖度が高い反面、時期的に実が軟化しやすい傾向にあります。
しかし、この時期に注目したいのが「紅秀峰」です。紅秀峰は7月からがまさに旬。これからが本格的な収穫期を迎える晩生のさくらんぼです。暑さで実が柔らかくなりがちな佐藤錦と比べ、紅秀峰は実が締まっており、パリッとした食感が際立ちます。佐藤錦との実の硬さの違いは一目瞭然です。

紅秀峰の選び方:色・ツヤ・軸をチェック

紅秀峰は、さくらんぼの中でも比較的保存がきく品種として知られていますが、非常に繊細な果物です。収穫後の鮮度維持期間は短いため、店頭で紅秀峰を選ぶ際には、できる限り新鮮で食べ頃のものを見極めることが大切です。購入時に注目すべき点は以下の通りです。
  • 全体が均一で鮮やかな紅色に染まっているか確認しましょう。
  • 果皮にピンとハリがあり、みずみずしいツヤがあるか確かめましょう。
  • 軸が太く、しっかりとピンと張っているか見てみましょう。
上記のポイントを参考に選ぶことで、甘くて美味しい紅秀峰を手に入れることができるでしょう。鮮度が落ちた紅秀峰は、果皮にシワが見られ、軸も茶色く変色していることが多いです。また、市場に出回る紅秀峰は、流通の関係で完熟前に収穫されることもありますが、さくらんぼは収穫後に追熟しないため、甘みが増すことはありません。色が薄かったり、色ムラがあるものは、十分に熟していない可能性があり、酸味が強い場合があるので避けるのが賢明です。

紅秀峰の保存方法と日持ち:冷蔵または常温で保存

購入後の紅秀峰を保存する際は、温度変化に注意することが重要です。常温で購入した場合は常温で、冷蔵状態で手に入れた場合は冷蔵で保存しましょう。常温保存する際は、風通しの良い涼しい場所に置き、数日後に食べる予定であれば、保存容器にキッチンペーパーなどを敷いてから移し替えると良いでしょう。冷蔵保存する場合も同様に容器に移し替え、野菜室での保管がおすすめです。
紅秀峰は比較的日持ちする品種ではありますが、やはり一番美味しいのは新鮮なうちに食べることです。野菜室で適切に保存すれば、最長で2週間程度は保存可能ですが、できるだけ早く食べるように心がけましょう。常温保存の場合は、1週間以内を目安に食べきるようにしましょう。食べる前に1~2時間ほど冷蔵庫で冷やすと、より美味しく味わえます。
紅秀峰は、実がしっかりとしていて日持ちが良いのが特徴です。佐藤錦よりも収穫時期が約2週間遅く、7月頃に旬を迎えます。糖度が高く、大粒で食べ応えがあり、実が締まっているため、お中元などのギフトとしても人気があります。完熟しても実が柔らかくなりにくいという点も、紅秀峰の大きな魅力と言えるでしょう。

紅秀峰の栽培と生産

紅秀峰は、山形県寒河江市にある山形県立園芸試験場(現在の山形県農業総合研究センター園芸試験場)で、昭和54年に佐藤錦と天香錦を交配させて育成され、平成3年に品種登録されました。樹勢はやや強く、樹の形は中程度です。枝の発生が多く、花芽の数も多いため、実のつきが良く、豊作になりやすい品種です。開花時期は早く、4月下旬頃で、佐藤錦よりも数日早く花を咲かせます。果実の大きさは8~9グラムと非常に大粒で、食味も良好です。果形は扁円形で、縦の直径よりも横の直径が長くなっています。着色も良く、黄色の地に鮮やかな紅色に染まりますが、特に濃い赤黒色に着色する系統もあります。



結び

紅秀峰は、佐藤錦を超えることを目標に開発された、山形県生まれの美味しいさくらんぼです。大粒で甘みが強く、日持ちが良いのが特徴で、贈り物としても人気があります。旬の時期には、ぜひその美味しさを味わってみてください。また、JAさがえ西村山の環境に配慮した栽培への取り組みを応援することで、持続可能な農業の未来に貢献することができます。

紅秀峰が佐藤錦よりも長持ちする理由

紅秀峰は、佐藤錦と比較して果肉がしっかりとしているため、熟しても実が柔らかくなりにくい性質があります。そのため、「うるみ」と呼ばれる状態になりにくく、結果として日持ちが良いとされています。この特性から、贈り物としても選ばれることが多いです。

紅秀峰はどこで購入できますか?

紅秀峰は、一般的なスーパーマーケットなどでは取り扱いが少ない場合があります。産地から直接購入できる直売所や、インターネット通販を利用するのがおすすめです。特に旬の時期には、山形県産の紅秀峰がJAさがえ西村山のオンラインストアなどで手軽に入手できます。

紅秀峰のおすすめの食べ方

紅秀峰は、やはり生のまま食べるのが最もおすすめです。素材本来の甘みと食感を楽しめます。また、コンポートにしたり、パスタの具材として加えても美味しくいただけます。食べる前に冷蔵庫で1~2時間ほど冷やすと、より一層美味しく味わうことができます。

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