爽やかな香りが食欲をそそるバジル。パスタやピザの彩りとしてお馴染みですが、実は生で食べることで、その風味を最大限に楽しめることをご存知ですか?この記事では、バジルのフレッシュな香りを存分に味わうための、とっておきの方法をご紹介します。サラダや和え物、簡単おつまみなど、バジルを生で楽しむためのレシピも満載。バジルの新たな魅力を発見し、日々の食卓を豊かに彩りましょう。
バジルの特徴や効果・効能とは?栄養素や機能性成分を引き出す食べ方も紹介
ペストジェノベーゼでおなじみのバジルは、栄養価が高く、健康維持に役立つハーブです。この記事では、バジルの効果的な食べ方、活用レシピ、そして長く楽しむためのヒントをご紹介します。
バジルの特徴とは?
バジルは、熱帯アジアが原産のシソ科植物です。多年草ですが、寒さに弱いため、日本では一年草として栽培されるのが一般的です。料理には葉や花、種が使われ、その香りや鮮やかな色合いは、スープ、サラダ、ソース、ドレッシングなど、さまざまな料理に活かされています。バジルシードと呼ばれる種子は、デザートなどに利用され、豊富な食物繊維から、近年はダイエット食品としても注目されています。
バジルは生で食べられる?
バジルとスイートバジルの違いは?
「バジル」はシソ科オキムム属の植物の総称であり、「スイートバジル」はその一種です。オキムム属には多くの種類が存在し、特に「スイートバジル」と「ホーリーバジル」がよく知られています。これらの種類の中にも多くの品種があり、バジル全体では100以上の品種が存在すると言われています。「スイートバジル」の中でも「ジェノベーゼバジル」は、イタリア料理のペストジェノベーゼによく使われ、日本では単に「バジル」と呼ばれることも多い、馴染み深い品種です。他にも、タイ料理に使われる「サイアムクイーン」などのタイバジルや、紫色の葉を持つ「ダークオパール」、スパイシーな香りが特徴の「シナモンバジル」など、様々なスイートバジルが存在します。一方、「ホーリーバジル」は東南アジアで利用される種類で、ヒンドゥー教では神聖なハーブとして重宝されています。代表的な品種には、「ラーマトゥルシー」や「クリシュナトゥルシー」などがあり、アダプトゲンとして、ハーブティーにもよく用いられます。タイでは、「ガパオ」と呼ばれる品種が、ガパオライスなどのタイ料理に広く利用されています。
各地の呼び名は?
「バジル」は英語での呼び方で、実際の発音は「ベイゾー」または「バゾー」に近いものです。イタリア語では「バジリコ」、フランス語では「バジリク」と呼ばれており、これらの名称は古代ギリシャ語の「βασιλεύς(basileus)」、つまり「王」に由来し、「王室の植物」を意味する「basilikon」から派生しています。日本では「メボウキ(目箒)」という和名があります。ポルトガル語では「マンジェリコン」と呼ばれますが、沖縄には「マンジェリコン」という名前の別の植物が存在するため、混同しないように注意が必要です。タイ語では、スイートバジルを「ホーラパー」、レモンバジルを「メーンラック」、ホーリーバジルを「ガパオ」と区別して呼びます。特にホーリーバジルは、ヒンディー語で「トゥルシー」という名で親しまれています。
バジルの旬は?
バジルは熱帯地域が原産であり、暖かな気候で最もよく育ちます。日本では、気温が上がり始める5月下旬頃から生育が活発になり、梅雨明けの7月頃から残暑が和らぐ9月頃までが旬の時期です。この時期には、バジルは最も生命力にあふれ、香りや風味を最大限に楽しむことができます。
江戸時代では目のゴミをとった!?バジルの歴史
バジルは16世紀から17世紀にかけて熱帯アジアからヨーロッパに伝わったとされ、その芳醇な香りと薬効の高さから、料理だけでなく、虫除けや芳香剤など、生活のさまざまな場面で活用されてきました。特にインドでは、「ホーリーバジル」が伝統医学であるアーユルヴェーダにおいて、アダプトゲン(適応促進薬)として、また万能ハーブとして古くから重宝されています。日本へは江戸時代に中国からバジルの種がもたらされたとされています。江戸時代に作られた百科事典『和漢三才図会』などの文献には、バジルの種が水分を含むと約30倍に膨張し、ゼリー状になる性質を利用して、目を洗う際に種を入れてゴミを取り除く、現代でいう目薬のような用途で使用していたという記録があります。バジルの種を蒔くとわかるように、種は水を含むと周囲がカエルの卵のような透明な膜で覆われる特徴があり、江戸時代の人々は、この特性を活かして、目に入った異物を取り除くために利用していました。これがバジルの和名である「メボウキ(目箒)」の由来となっています。一般的にバジルシードは種子として知られていますが、植物学的には果実です。今日のように料理や家庭菜園でバジルを楽しむようになったのは、イタリア料理の人気が高まり、「スイートバジル」が広まってからです。現在では、スイートバジルに加えて、アダプトゲンとしての効果も期待できる「ホーリーバジル」がハーブティーとして人気を集めています。バジルは、キッチンハーブの代表的な存在であり、「ハーブの王様」とも呼ばれています。
バジルに含まれる栄養素・機能性成分&効果・効能
バジルは、ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、ほうれん草やピーマンに匹敵するほどの高い栄養価を誇ります。さらに、精油成分や抗酸化物質なども豊富に含む、機能性の高いハーブです。ここでは、バジルに含まれる主要な栄養素と機能性成分について詳しく解説します。
貧血予防に役立つ「鉄分」
バジルは、鉄分を豊富に含んでいます。鉄分は、体内の隅々まで酸素を運ぶ赤血球を作る上で欠かせないミネラルです。鉄分が不足すると、貧血を引き起こし、集中力の低下、食欲不振、倦怠感などの症状が現れることがあります。日々の食事で鉄分をしっかり摂取することは、貧血を防ぎ、健康的な生活を送る上で非常に大切です。
肌の健康維持と免疫力アップに貢献する「β-カロテン」
バジルには、β-カロテンもたっぷり含まれています。β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康をサポートし、肌荒れを防ぐ効果が期待できます。さらに、優れた抗酸化作用によって、生活習慣病の予防にも役立つと考えられています。
体のサビつきを防ぐ「ビタミンE」
バジルに含まれるビタミンEは、強力な抗酸化作用を持ち、老化の原因となる活性酸素から体を守ります。また、ビタミンEは、血管を丈夫にし、動脈硬化のリスクを高める悪玉コレステロールの酸化を抑制する働きも期待できます。
丈夫な骨と血管を作る「ビタミンK」
バジルは、血液の凝固を助け、骨にカルシウムを沈着させて骨密度を高めるビタミンKの供給源としても優れています。ビタミンKは、神経の安定や血液の健康維持にも関与し、身体の様々な機能をサポートします。
カリウム:腎臓でのナトリウム再吸収を抑え、排出をサポート
バジルには、細胞の浸透圧バランスを保つ上で重要なカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、腎臓におけるナトリウムの再吸収を抑制し、尿としての排出を促すため、血圧を下げる効果が期待されています。不足すると、倦怠感や食欲不振、筋力の低下といった症状が現れることがあるため、食事から積極的に摂取することが大切です。
カルシウム:骨粗しょう症予防をサポート
骨や歯の健康に不可欠なカルシウムは、成長期の若年層や、骨粗しょう症のリスクが高まる更年期の女性にとって特に重要な栄養素です。しかし、カルシウムは吸収されにくい性質があります。バジルは、豊富なカルシウムに加え、骨の形成を助けるビタミンKも含むため、効率的なカルシウム摂取が可能です。さらに、きのこ類などからビタミンDを一緒に摂取することで、カルシウムの吸収をより高め、骨の健康維持に役立つでしょう。
テルペノイド:香りの成分であり、多様な作用を持つアダプトゲン
スイートバジルには、特徴的な香りの源である精油成分「テルペノイド」が豊富に含まれています。リナロール、メチルオイゲノール、8-シネオール、オイゲノール、メチルチャビコールなどが主な成分で、これらは自律神経の調整、食欲の増進、消化機能の促進、鎮痛、月経不順の改善、疲労回復といった効果をもたらします。一方、ホーリーバジルは、オイゲノール、メチルオイゲノール、β-エレメン、カリオフィレンなどのテルペノイドを含有しています。特にホーリーバジルは、ウルソール酸やオレアノール酸といった強力な抗酸化物質を含み、ストレスに対する高い適応力を持つアダプトゲンとして知られています。そのため、抗ストレス、抗炎症、抗腫瘍、抗疲労、感染症予防、集中力向上など、幅広い効果が期待できます。テルペノイドは、バジルの香りを特徴づけるだけでなく、様々な生理活性作用を通じて、私たちの健康維持に貢献する重要な成分です。
フラボノイド:抗酸化作用など、多様な健康効果
スイートバジルとホーリーバジルの両方に、フラボノイドが豊富に含まれており、抗癌、抗微生物、抗炎症、免疫調節、抗ストレス、抗糖尿病、抗発熱、抗関節炎、抗酸化など、さまざまな生理活性が報告されています。特にホーリーバジルは、ルテオリン、アピゲニン、ロスマリン酸、サルビアノール酸、グロボイドナンなど、強力な抗酸化作用を持つフラボノイドを多く含み、アダプトゲンとして優れたストレス適応力を発揮します。
バジルの栄養を最大限に活かす!おすすめの食べ方4選
バジルに秘められた栄養成分を、より効率的に体に取り込むにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、特におすすめの食べ方をご紹介します。
1:良質な油と一緒に
バジルに含まれるβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンEといった脂溶性ビタミンは、油と組み合わせることで吸収率が向上します。バジルを細かく刻み、オリーブオイルなどと混ぜて作る「ジェノベーゼソース」は、まさに理想的な食べ方と言えるでしょう。また、バジルは消化を助ける働きもあるため、油を使った料理に添えることで、胃もたれを軽減する効果も期待できます。
2:フレッシュなまま
新鮮なバジルを選び、サラダやカプレーゼといった料理に生のまま加えて、その豊かな香りを堪能しましょう。バジルの香り成分である「リナロール」には、心を落ち着かせる効果があると言われており、リラックスしたい時にもおすすめです。
3:ビタミンCが豊富な食材と
バジルに含まれるビタミンは、皮膚や粘膜の健康をサポートする脂溶性ビタミンが中心です。そこに、コラーゲンの生成を促す水溶性のビタミンCをプラスすることで、美容効果やエイジングケア効果を高めることができます。バジルを添えたサラダにレモン果汁をかければ、風味も栄養価もアップします。
4:仕上げに加えるのがコツ
バジルのデリケートな香りは、熱に弱い性質があります。加熱時間が長すぎると、せっかくの香りが損なわれてしまうため、料理の仕上げや、火を止める直前に加えるのがおすすめです。生のバジルと同様に、リラックス効果や滋養強壮効果も期待できるため、ストレスを感じている時などに積極的に取り入れてみましょう。
バジルの摂取における注意点
バジルは栄養豊富ですが、だからといって大量に摂取すれば良いというわけではありません。適量を守り、バランスの良い食生活を心がけましょう。
過剰摂取は避け、妊娠中は特に注意
バジルに含まれる成分には、子宮を収縮させる作用があると考えられています。そのため、妊娠中の方は、バジルの摂取量に注意が必要です。過剰に摂取すると、流産や早産の可能性を高める恐れがあります。また、バジルに多く含まれるビタミンKは、血液凝固を促進する作用があるため、血液をサラサラにする薬を服用している場合は、薬の効果に影響を与える可能性があります。体調に不安がある場合は、医師に相談するようにしましょう。
乳幼児への摂取は控えましょう
乳幼児は、消化器官が未発達なため、バジルの強い薬効成分が過剰に作用する可能性があります。また、アレルギー反応を引き起こす可能性も否定できません。安全のため、乳幼児へのバジル摂取は控えることをおすすめします。
即効性を求めない
バジルを摂取することで得られる健康への良い影響は、徐々に現れるものです。バジルが多くの栄養素を含んでいるからといって、医薬品のような即効性を期待するのではなく、日々の食事に適切な量を取り入れることで、健やかな体を作ることを心掛けましょう。
新鮮さを大切にする
摘みたての新鮮なバジルは、その香り高さはもちろんのこと、健康効果も期待でき、料理の風味をより一層引き立てます。しかし、バジルは寒さに弱い性質があるため、冷蔵庫での長期保存や、時間が経つにつれて、葉が黒ずんでしまい、風味や品質が低下してしまいます。できる限り、新鮮な状態でお召し上がりください。
バジルの選び方と保存方法
バジルを購入する際には、新鮮なものを選ぶことが大切です。葉はデリケートで傷つきやすいため、丁寧に扱いましょう。一度に使いきれない場合は、香りを損なわないように工夫して保存することが重要です。ここでは、バジルを選ぶ際のポイントと、適切な保存方法をご紹介します。
新鮮なバジルを選ぶポイントは?
葉が生き生きとしていて、みずみずしくつやがあり、色鮮やかな濃い緑色をしているものを選びましょう。また、茎がしっかりと丈夫であるかどうかも確認してみてください。
バジルの鮮度を保つ保存テクニック
バジルを最も美味しく味わう方法は、必要な時に摘み取ってすぐに使うことです。つまり、バジルを育てるのが理想的と言えるでしょう。しかし、収穫量が多かったり、使いきれなかったりする場合は、以下の方法を試してみてください。
常温での保存
バジルをコップに入れた水に挿し、毎日水を交換することで、数日間は鮮度を保てます。
冷蔵庫での保存
大きめの保存容器に湿らせたキッチンペーパーを敷き、バジルが傷つかないように丁寧に並べます。さらに上からも湿らせたキッチンペーパーを被せ、蓋をして野菜室で保管しましょう。新聞紙やビニール袋で包む方法も有効です。ただし、バジルは熱帯地方が原産のため、冷蔵温度が低すぎると葉が黒ずんでしまうことがあります。冷蔵保存は数日程度が目安です。
冷凍庫での保存
洗って水気をしっかり拭き取ったバジルを、平らになるように密閉容器に入れて冷凍します。解凍すると色や風味が損なわれるため、生のバジルを使う料理には向きません。凍ったまま加熱調理に使用するのがおすすめです。また、バジルを細かく刻んでオリーブオイルと混ぜてペースト状にし、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍する方法も便利です。
乾燥させて長期保存
太陽光でじっくりと水分を飛ばし、乾燥ハーブとして活用する方法もあります。長期保存には適していますが、香りはやや弱くなる傾向があります。
まとめ
「ハーブの王様」とも呼ばれるバジルは、熱帯アジアを原産とするシソ科の植物で、スイートバジルやホーリーバジルをはじめとする様々な品種が存在します。β-カロテン、ビタミンE、ビタミンK、鉄分、カリウム、カルシウムなどの豊富な栄養素に加え、精油成分であるテルペノイドや、強力な抗酸化作用を持つフラボノイドなど、健康維持に役立つ多様な機能性成分を含有しています。これらの成分は、抗酸化作用、抗炎症作用、自律神経の調整、骨の健康サポートなど、幅広い効果・効能が期待されています。バジルの栄養を効率的に摂取するためには、油と一緒に調理したり、生のまま香りを味わったり、ビタミンCが豊富な食材と組み合わせたり、加熱する場合は最後に加えるなどの工夫が効果的です。ただし、妊娠中の摂取量や乳幼児への影響、薬との相互作用など、注意すべき点も存在します。新鮮なバジルを選び、適切な方法で保存することで、その豊かな風味と効能を最大限に引き出し、毎日の食生活に美味しく健康的なアクセントを加えることができるでしょう。
質問:バジルにはどのような種類があるのでしょうか?
回答:バジルは、シソ科オキムム属に分類される67種以上の品種が存在し、全体では100以上の品種が確認されています。中でも特によく知られているのは、イタリア料理に欠かせない「スイートバジル」と、東南アジア地域で伝統的な薬用ハーブとして用いられる「ホーリーバジル」です。スイートバジルには、ジェノベーゼバジル、タイバジル、ダークオパールなどが含まれ、ホーリーバジルには、ラーマトゥルシー、クリシュナトゥルシー、ガパオなどが存在します。
質問:バジルの旬はいつですか?
回答:バジルは温暖な気候を好むため、暖かい時期に生育が盛んになります。日本では、気温が上昇する5月下旬頃から生育が活発になり、梅雨明け後の7月頃から残暑が残る9月頃までが旬とされています。この時期に収穫されるバジルは、特に豊かな香りと風味を楽しむことができます。
質問:バジルにはどんな栄養や健康に役立つ成分が含まれていますか?
回答:バジルは、栄養価が非常に高く、特にビタミンやミネラルが豊富です。例えば、ホウレンソウやピーマンといった野菜に匹敵するほどの栄養素を含んでいます。具体的には、貧血の予防に効果的な鉄分、皮膚や粘膜の健康維持をサポートし、肌のトラブルを防ぐβ-カロテン、体のサビつきを防ぐ抗酸化作用を持つビタミンE、丈夫な骨や血管を保つビタミンK、血圧を下げる効果が期待できるカリウム、そして骨粗しょう症の予防に役立つカルシウムなどが豊富に含まれています。さらに、リナロールやメチルオイゲノール、8-シネオールといった香りの成分であるテルペノイドや、抗酸化作用を持つフラボノイド(ルテオリン、アピゲニン、ロスマリン酸など)も豊富に含有しています。