甘くて手軽な果物として、世界中で愛されているバナナ。実は300種類以上もの多様な品種が存在することをご存知でしょうか?定番の甘みが特徴の品種から、珍しい風味を持つ希少種まで、バナナの世界は奥深いものです。この記事では、人気の高い品種はもちろん、あまり知られていない個性的なバナナまで徹底解説。あなたの知らないバナナの魅力がきっと見つかるはずです。
バナナの種類:その数は300を超える多様性
バナナの世界は非常に広く、確認されているだけでも300種類以上の品種が存在すると言われています。これらのバナナは大きく分けて、そのまま食べられる「生食用バナナ」と、加熱調理して食べる「調理用バナナ(プランテン)」の2種類があります。普段、私たちがお店で見かけるのは、ほとんどが生食用バナナです。
食用バナナの分類:ユームサ節とは
食用として栽培されているバナナは、バショウ科バショウ属の植物であり、その中でも特にユームサ節(Eumusa section)に分類されるものが大半を占めます。栽培バナナの多くは、学術的にはMusa × paradisiaca(ムサ・パラディシアカ)と呼ばれ、これはマレー半島が原産のMusa acuminata(ムサ・アクミナータ)と、インド東部から太平洋の島々が原産のMusa balbisiana(ムサ・バルビシアナ)という2つの野生種が自然交配して生まれたと考えられています。ほぼ全ての食用バナナは、Musa acuminataの遺伝子を受け継いでいます。バナナの品種を分類する際に使われるAABやAAAといった記号は、これらの野生種の遺伝子の組み合わせを示しており、3つの文字が並んでいる場合は3倍体であることを意味します。
日本で最もポピュラーなバナナ:キャベンディッシュ種
日本のスーパーマーケットで最もよく見かけるバナナは、キャベンディッシュ種と呼ばれる品種です。キャベンディッシュ種の起源は、1830年にイギリスのチャッツワース・ハウスという邸宅に、モーリシャスから持ち込まれたバナナであるとされています。その後、このバナナは世界中に広がり、チャッツワース・ハウスがキャベンディッシュ家の所有であったことから、その名が付けられました。
ジャイアント・キャベンディッシュ:市場を席巻する主力品種
現在、日本で販売されているバナナの多くは「ジャイアント・キャベンディッシュ」という品種であり、主にフィリピン、エクアドル、ペルーなどで栽培されています。「キャベンディッシュ」と一般的に呼ばれる場合、多くはこのジャイアント・キャベンディッシュを指します。厚い皮に覆われているため比較的日持ちが良く、あっさりとした上品な甘さが特徴です。特に、標高400mから1000mほどの高地で栽培されたものは「高地栽培バナナ」や「高原バナナ」といった名前でブランド化され、特別な価値を与えられています。
グラネイン:芳醇な甘さが魅力
「Grand Nain(グラネイン)」は、キャベンディッシュ種の一種であり、特にチキータブランドのバナナとして日本で広く知られています。主に南米やインドで栽培され、その特徴は、際立つ甘さと豊かな風味が織りなす、奥深い味わいです。生育が早く、耐風性に優れているため、栽培しやすいという利点もあります。
その他の食卓を彩るバナナの種類
世界には、キャベンディッシュ種以外にも多様なバナナが存在します。ここでは、日本国内でも比較的容易に入手できる品種をご紹介します。
島バナナ:南国の恵み
「島バナナ(AAB)」は、主に沖縄県や鹿児島県などの島々で栽培されているバナナです。一般的なバナナよりも小ぶりで、甘味と酸味が調和した、濃厚な風味が特徴です。その希少性から、比較的高級な価格で取引されています。1888年頃に小笠原から沖縄へ伝わったとされ、遺伝子型はフィリピンのラツンダンバナナと同一です。
台湾バナナ(北蕉):滋味あふれる風味
台湾では多種多様なバナナが栽培されていますが、その代表格が「北蕉(ほくしょう)」です。キャベンディッシュ種に分類される古い品種で、およそ260年前に中国南部から持ち込まれたと伝えられています。一般的なバナナに比べて小ぶりで丸みを帯びた形状をしており、力強く、滋味あふれる味わいが特徴です。
モンキーバナナ(オリート):小さくて濃厚な甘さ
「モンキーバナナ(AA)」は、長さ約7cmと小ぶりなバナナです。フィリピン産のものは「セニョリータ」、エクアドル産は「ボニータ」という名で親しまれています。濃厚な甘みが特徴で、手軽に食べられるため、お子様のおやつやデザート作りに最適です。
ラカタン:さわやかな酸味が魅力
「ラカタン(AA)」は、主にフィリピンで栽培されているバナナです。外見は一般的なバナナと似ていますが、やや小ぶりで果肉の色が黄金色をしているのが特徴です。クエン酸を豊富に含み、ほのかな酸味とすっきりとした後味が楽しめます。
モラード(レッドバナナ):鮮やかな赤色のバナナ
「モラード(レッドバナナ)(AAA)」は、フィリピン原産の赤い皮を持つバナナです。「Morado」とはスペイン語で赤紫を意味します。果皮は鮮やかな赤色をしていますが、果肉は一般的なバナナと同様に黄色みを帯びています。甘さは控えめで、熟すと独特の香りが広がります。
銀バナナ:珍しい沖縄県産
「銀バナナ(ナムアヌアン)」は、近年沖縄県での栽培が始まった新しい品種です。未熟な状態では果皮が青く、表面に白い粉をまとっているように見えることから、その名が付けられました。島バナナよりも肉厚で、濃厚な風味が特徴です。
アイスクリームバナナ:魅惑のバニラフレーバー
「アイスクリームバナナ」としても知られるブルー・ジャワ(Blue Java)(ABB)は、未熟な状態の果皮が独特の青みを帯びた銀色を呈する、一風変わった品種です。他の熱帯植物と比較して寒さに強いという特性を持ちます。その味わいはバニラカスタードを彷彿とさせ、口当たりも非常に滑らかであると評されています。
キウイーナ:爽やかな酸味が特徴
「キウイーナ」は、フィリピンに拠点を置くスミフルバナナ研究所で、長年の品種改良の末に生まれたバナナです。一般的なバナナよりも酸味が際立っており、キウイフルーツのような、すっきりとした爽快な風味を堪能できます。
グロスミシェル:失われた伝説の品種
「グロスミシェル(AAA)」は、かつて1950年代まで世界のバナナ市場を席巻していた主要品種でしたが、パナマ病の蔓延により壊滅的な被害を受け、栽培されるバナナの主流はキャベンディッシュ種へと移行しました。現在ではわずかに栽培が続けられており、地域によって異なる名称で呼ばれています。ミャンマーではThihmwe、マレーシアではPisang Ambon、キューバではJohnson、ハワイではBluefieldsとして知られています。近年、国産バナナとして再び注目を集めています。
調理用バナナ:プランテインについて
調理用バナナは、加熱調理を前提として食されるバナナの総称です。生食用のバナナと比較して、デンプンを豊富に含み、甘味が少ないのが特徴です。ここでは、代表的な調理用バナナであるプランテインについてご紹介します。
プランテイン:料理用バナナの代表格
「プランテイン」という名前は、特定のバナナの品種を指すのではなく、料理に使われるバナナ全般を指す言葉として使われています。熟すと甘みが増し、そのまま食べることもできます。日本で見かけるものの多くはフィリピンから輸入されています。
サババナナ:チップスの材料として有名
「サババナナ」は、フィリピンをはじめ、インドネシア、マレーシアなどの東南アジア地域で広く栽培されている品種です。生で食べても美味しく、現地では加熱調理されることが多いです。日本で販売されているバナナチップスの多くはこのサババナナが原料です。また、フィリピンではバナナケチャップの材料としても利用されています。一般的なバナナに比べて小ぶりで太く、断面が四角形または五角形をしているのが特徴です。
ツンドク:その形からホーンバナナとも
「ツンドク」は、通常のバナナよりもサイズが大きく、皮が緑色をしているのが特徴です。主にフィリピンで栽培されており、形が牛の角に似ていることから、「ホーンバナナ」や「牛角バナナ」という別名でも呼ばれています。甘みは控えめで、渋みがやや強いのが特徴です。
カルダババナナ:フィリピンの食卓を支える
「カルダババナナ」は、一般的なバナナよりも小さく、ずんぐりとした形をしています。フィリピンが主な産地で、現地では主食として、またバナナチップスなどのおやつとして親しまれており、様々な調理法で食べられています。
バナナ選びのコツ
おいしいバナナを選ぶには、いくつかの重要な点に注目しましょう。
- 色:鮮やかな黄色で、表面にシュガースポットと呼ばれる黒い斑点が出始めたものが、甘みが強くおすすめです。
- 形状:丸みを帯びており、ゴツゴツしていないものが良いでしょう。
- 香り:芳醇な甘い香りが漂っているか確認しましょう。
- 重量:手に持った時に、見た目よりも重く感じるものが、水分を多く含んでいて美味しい傾向があります。
バナナの保存方法
バナナは、保存方法次第で鮮度を長く保つことができます。最適な方法で保存し、おいしさを最大限に引き出しましょう。
- 常温保存:直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い場所に置くのが基本です。
- 冷蔵保存:バナナを長持ちさせたい場合は、一本ずつ丁寧にラップで包み、冷蔵庫の野菜室へ。
- 冷凍保存:皮を剥き、食べやすいサイズにカットしてから冷凍用保存袋に入れ、冷凍庫で保存します。スムージーなどに最適です。
まとめ
この記事では、バナナの種類、選び方のポイント、そして適切な保存方法について詳しくご紹介しました。世界には驚くほど多くの種類のバナナが存在し、それぞれが独自の風味と食感を持っています。ぜひ、いろいろなバナナを試食して、自分にとって最高のバナナを見つけてみてください。また、バナナは栄養満点で、手軽に摂取できるヘルシーな食品です。毎日の食生活にバナナを取り入れて、より健康的なライフスタイルを送りましょう。
質問:バナナの最適な保存方法は?
回答:バナナの保存方法は、どれくらいの期間保存したいかによって異なります。すぐに食べる予定なら常温で、少し長めに保存したいなら冷蔵庫が適しています。さらに長期間保存したい場合は、冷凍保存がおすすめです。
質問:バナナの皮に現れる黒い点は、食べごろを示すものですか?
回答:その通りです。バナナの皮に現れるシュガースポットと呼ばれる黒い斑点は、バナナが熟成し、甘味が最大限に引き出されている証拠です。シュガースポットが現れたバナナは、風味豊かで最もおいしくいただける状態と言えるでしょう。
質問:料理に使うバナナは、どこで購入できますか?
回答:料理用バナナは、一般的なスーパーマーケットでは取り扱いが少ない場合がありますが、輸入食品を扱うお店や、こだわりの食材を扱うスーパーなどで見つけることができます。また、インターネット通販でも購入できることが多いです。