愛媛県生まれの愛宕柿は、その名の由来に京都の愛宕山との深い繋がりを持つとされる歴史ある渋柿です。かつては脱渋が難しいとされていましたが、先人たちの努力によって生食も可能になりました。この記事では、愛媛県周桑郡を発祥とする愛宕柿のルーツを辿り、脱渋技術の発展とともに食卓へ届けられるまでの道のりをご紹介します。干し柿として親しまれてきた時代から、現代の新たな楽しみ方まで、愛宕柿の魅力を深掘りしていきましょう。
愛宕柿とは?その歴史と「完全渋柿」という個性
愛媛県発祥の愛宕柿(あたごがき)は、特に周桑地域がルーツとされる渋柿です。現在では愛媛県を中心に、岡山県などの近隣地域で栽培されています。名前の由来は定かではありませんが、京都の愛宕山に献上されたことから名付けられたという説や、京都愛宕産の柿の種から生まれたという説があります。いずれにしても、京都の「愛宕」との深い繋がりが感じられます。愛宕柿は「完全渋柿」に分類され、渋抜きが難しいことで知られています。炭酸ガスやアルコールを用いた脱渋には、柿の状態にもよりますが、通常10日から2週間程度かかります。古くから周桑地域では干し柿用として栽培されていましたが、昭和初期頃から渋抜きされたものも出荷されるようになり、生産量を増やしました。脱渋された愛宕柿は、ポリ袋に入れて販売されるのが一般的です。しかし、直売所などでは、現在でも干し柿用として渋柿のまま販売されていることもあります。近年では、徳島県産をはじめとする渋抜きされた愛宕柿がスーパーなどでも見られるようになり、より手軽に生で味わえるようになりました。
愛宕柿の見た目と風味の特徴
愛宕柿は、230gから大きいものでは350gにもなる、比較的大きな柿です。一番の特徴は、釣り鐘のような形で先端が尖った独特の形状です。表面はつやのある明るいオレンジ色で、果肉も同様の鮮やかなオレンジ色をしています。渋抜きされた愛宕柿は、程よい硬さと上品な甘さが特徴で、すっきりとした味わいが楽しめます。サクサクとした食感で、サラダやチーズと合わせておつまみとして食べるのもおすすめです。甲州百目(蜂屋柿)と大きさや形が似ていると感じる方もいるかもしれませんが、並べてみると違いがよく分かります。愛宕柿の方がやや大きく、明るいオレンジ色をしているのに対し、甲州百目の方が赤みが強い傾向にあります。また、先端の形など、細部も少しずつ異なっています。(写真は左が愛宕柿、右が甲州百目=蜂屋柿です。)
愛宕柿の旬と主な産地

愛宕柿は晩生種の柿で、収穫時期は11月中旬から12月中旬と、柿の中でも最も遅い時期になります。収穫後、干し柿にするものはすぐに市場に出荷されますが、生食用には約10日から2週間かけて渋抜き処理を行います。そのため、生食として美味しく食べられる時期は12月から1月頃となり、お正月の食卓にも彩りを添えます。干し柿は12月中旬頃から出回り始め、冬の味覚として親しまれます。愛宕柿の主な産地は、発祥の地である愛媛県を中心とした瀬戸内地域です。特に愛媛県は全国生産量の約半分を占めており、栽培面積は94.9haで全国シェアの49.38%を誇ります。次いで徳島県が62.2ha(32.36%)、香川県が18.7ha(9.73%)、岡山県が14ha(7.28%)、高知県が1.3ha(0.68%)と続き、これらの地域が愛宕柿の主要な産地となっています。
まとめ
愛媛県原産の愛宕柿は、晩生種の渋柿でありながら、独自の渋抜き技術によって生食でも楽しめるようになった魅力的な果実です。釣り鐘型の美しいフォルムと、つややかなオレンジ色の果皮、サクサクとした食感と上品な甘さが特徴で、サラダやおつまみにもよく合います。収穫は11月中旬から12月中旬に行われ、生食の旬は12月から1月、干し柿は12月中旬から出回ります。愛媛県を中心とした瀬戸内地域で大切に育てられており、その歴史や特徴、さまざまな食べ方を知ることで、愛宕柿の魅力をより深く堪能できるでしょう。
愛宕柿とはどのような柿ですか?
愛媛県が発祥の地である愛宕柿は、晩生種の渋柿として知られています。その特徴は、230g程度のものから、大きいものになると350gにも達する大ぶりな果実です。形状は釣り鐘型で、先端が細く尖っているのが特徴。表面はつややかな明るいオレンジ色をしており、果肉はサクサクとした心地よい食感を楽しめます。
愛宕柿の旬はいつですか?
愛宕柿の収穫シーズンは、一般的に11月中旬から12月中旬にかけて。他の柿に比べて収穫時期が遅いのが特徴です。生で美味しくいただけるのは、渋抜き後の12月から1月頃。干し柿としては、12月中旬頃から市場に出回ります。
愛宕柿はどこで栽培されていますか?
愛宕柿の主な産地は、発祥の地である愛媛県で、全国の栽培面積の約半分(49.38%、94.9ヘクタール)を占めています。次いで、徳島県(32.36%、62.2ヘクタール)、香川県(9.73%、18.7ヘクタール)、岡山県(7.28%、14ヘクタール)など、瀬戸内海沿岸地域が中心的な産地となっています。













