秋の味覚として親しまれる柿。中でも渋柿は、独特の渋みが特徴ですが、適切な渋抜きを施すことで、甘く美味しく生まれ変わります。(渋抜きや調理を行う際は、柿をよく洗い、清潔な手や器具を使用しましょう)今回は、渋柿を美味しく食べるための渋抜き方法を徹底解説!定番のアルコール抜きから、手軽な冷凍法まで、様々なテクニックをご紹介します。さらに、渋抜き後の柿を使った絶品レシピも公開。渋柿の新たな魅力に出会えること間違いなし!
渋柿と甘柿の違い
秋の味覚として親しまれる柿ですが、大きく分けて甘柿と渋柿が存在します。この二つの違いは、渋みの原因となるタンニンの性質に起因します。甘柿に含まれるタンニンは不溶性であり、唾液に溶け出さないため、渋みを感じることはありません。一方、渋柿に含まれるタンニンは水溶性で、唾液に溶け出しやすく、これが強い渋みとなって感じられます。したがって、渋柿は水溶性タンニンを不溶性に変化させる「渋抜き」という処理を経て、美味しく食べられるように工夫されています。
渋柿の種類
野生のカキノキ(ヤマガキ)が品種改良されて、徐々に品種が増え、江戸時代末期には200品種以上あったと記録されています。その後も全国各地で新しい品種が増え、昭和初期には800以上の品種があったと推定されています。渋柿にも様々な種類が存在し、それぞれに異なる特徴を持っています。しかし、どの品種であっても、適切な渋抜きを行うことで美味しく味わうことができます。
甘柿と渋柿の見分け方
甘柿と渋柿は、その外観からある程度区別することが可能です。一般的に、扁平で四角い形状をしているのが甘柿、縦長で先端がやや尖った形状をしているのが渋柿である傾向が見られます。ただし、品種によっては例外も存在するため、注意が必要です。
中身で見分ける
柿を切った際、果肉にゴマのような黒い点が見られることがあります。これはタンニンが不溶化したものであり、この黒い点が多いほど渋みが少ない傾向にあります。しかしながら、この方法は柿の品種や熟度によって異なるため、あくまで参考程度に留めておくことが賢明です。
渋抜き入門:アルコールを用いる方法
渋抜きとは、渋柿特有の渋み成分である水溶性タンニンを、不溶性の状態へと変化させる処理のことです。中でも広く用いられているのが、アルコールを活用する方法です。アルコールがタンニンとアセトアルデヒドを結合させ、タンニンを不溶化することで、あの独特な渋さが和らぎます。
具体的な渋抜きの手順
最初に、渋柿の表面についた汚れを優しく丁寧に拭き取ります。次に、ボウルなどの容器に、アルコール度数が30度以上の焼酎などのアルコール飲料を注ぎ、渋柿のヘタを下向きにして数秒間浸します。その後、渋柿をポリ袋に入れ、しっかりと口を閉じて、風通しの良い涼しい場所で1週間から3週間程度保管します。渋柿の大きさによって熟成時間は調整が必要です。1週間ほど経過したら一度味見をし、甘さを確認することをおすすめします。
渋抜き成功の秘訣
アルコールに浸したヘタの部分を拭き取らず、焼酎が十分に付着した状態を維持したままポリ袋に入れることが大切です。渋抜きは常温(室温)で行うのが基本です。温度が高い方が化学反応が進みやすく、効率的に渋が抜けます。冷蔵庫などの低温下では渋抜きのスピードが著しく遅くなるため、通常よりもかなり長い時間(数週間〜1ヶ月以上)が必要になります。渋抜き後の柿は鮮度が落ちやすいので、なるべく早くお召し上がりください。
アルコールを使わない渋抜き方法
アルコールの他に、渋柿を甘く変える方法はいくつかあります。
りんごを活用した渋抜き
渋柿と一緒にりんごをポリエチレン袋に入れ、しっかりと密閉して約1週間ほど置いておくと、りんごから出るエチレンの影響で、渋柿の渋さが軽減されます。渋柿が5個ならば、りんごは1個を目安にしてください。袋の口がきちんと閉じられていないと、他の野菜や果物の熟成を促進してしまう場合があるため、気をつけましょう。
冷凍による渋抜き
渋柿を冷凍庫で凍らせることで、細胞が壊れ、タンニンが不溶化します。完全に溶ける前に、シャーベットのような状態で食べると、渋みが抑えられ、美味しくいただけます。ただし、溶けすぎると食感が損なわれることがあるので、注意が必要です。
渋柿を干し柿にする方法
渋柿を甘くする方法として、昔から行われているのが干し柿作りです。渋柿を丁寧に洗い、皮をむいて乾燥させることで、水分が抜け、甘みが濃縮されます。風通しの良い場所を選び、数週間から数ヶ月かけてじっくりと乾燥させます。干し柿は、生の柿とは違った特別な風味と食感を味わうことができます。
干し柿作りの秘訣 **カビを防ぐためにも、柿を干す前には表面の水分をしっかり拭き取り、清潔な紐で吊るしましょう。**
干し柿を作る際には、晴天の日を選び、風通しの良い場所で乾燥させることが大切です。雨に濡れるとカビが発生する原因となるため、注意が必要です。また、乾燥させている間に表面を軽く揉むことで、水分が均等に抜け、より一層美味しく仕上がります。
渋柿を活用した調理法:加熱による美味しさの発見
渋柿は、必ずしも手間のかかる渋抜き作業をしなくても、加熱調理することでその美味しさを引き出すことが可能です。
渋柿の風味豊かな かき揚げ
細かく切った渋柿を、玉ねぎや人参といったお好みの野菜と混ぜ合わせ、かき揚げにすることで、ほのかな甘さと独特の風味を堪能できます。加熱によって渋みが穏やかになり、美味しくお召し上がりいただけます。
材料
- 渋柿:1個
- 玉ねぎ:1/4個
- 人参:1/4本
- 小麦粉:大さじ3
- 水:大さじ2
- 揚げ油:適量
作り方
- 渋柿、玉ねぎ、人参をそれぞれ細かく刻みます。
- 小麦粉と水を混ぜ合わせ、衣を作ります。
- 刻んだ野菜と渋柿を衣の中に混ぜ込みます。
- 揚げ油を170℃に熱し、かき揚げを丁寧に揚げていきます。
- 表面がきつね色になったら油をしっかりと切り、お皿に盛り付けて完成です。
渋柿ジャム
渋柿をじっくりと煮詰めて作る自家製ジャムは、凝縮された甘みと独特の香りが格別です。朝食のトーストやヨーグルトに添えたり、手作りスイーツの材料としても重宝します。
材料
- 渋柿:500g
- グラニュー糖:250g
- レモン果汁:大さじ1
作り方
- 渋柿は丁寧に皮を剥き、種を取り除いたら、細かく刻んで準備します。
- 鍋に刻んだ渋柿、グラニュー糖、レモン果汁を入れ、全体をよく混ぜ合わせます。
- 焦げ付かないように弱火でじっくりと混ぜながら煮詰めていきます。
- 木べらで鍋底をかいたときに、一瞬道ができるくらいのとろみがついたら火を止めます。冷めると固くなるので、少し緩いと感じる程度で火を止めるのが目安です。
- 粗熱を取ってから、清潔な保存瓶に移し替えて保存してください。
まとめ
渋柿は、少し工夫を加えることで、格別な味わいを持つ食材へと変化します。渋抜きや加熱といった様々な調理法を試し、渋柿本来の美味しさを堪能してください。また、干し柿のような伝統的な保存食としても優れています。この記事が、渋柿の新たな魅力を発見する一助となれば幸いです。
渋柿はどうして渋いのでしょうか?
渋柿特有の渋さは、可溶性のタンニンを豊富に含んでいることに起因します。このタンニンが唾液と結合することで、渋味として認識されます。
渋抜きにはどれくらいの時間が必要ですか?
渋抜きの時間的長さは、選択する方法や柿のサイズによって変動します。アルコールを利用した手法では、おおよそ1週間から3週間が目安となります。りんごを用いる場合は約1週間、冷凍処理を行う場合は数時間程度で渋抜きが完了します。
渋抜き後の柿はどれくらい保存できますか?
渋抜きを行った柿は、通常の柿と比較して保存期間が短いです。冷蔵庫で保管し、およそ1週間を目安に食べきるように心がけましょう。