りんご「春明21」:晩秋の恵み、春まで続く美味しさ
晩秋の味覚として知られるりんご「春明21」。シャキシャキとした食感と、口いっぱいに広がる甘みが特徴です。青森県生まれのこの品種は、なんと翌年の春先まで楽しめるというから驚き。収穫直後のフレッシュな酸味と硬めの果肉から、貯蔵期間を経てまろやかでジューシーな味わいへと変化していく過程も魅力の一つです。今回は、晩秋の恵み「春明21」の美味しさの秘密に迫ります。

春明21(あおり21)とは?品種の基礎知識

青森県生まれの春明21(しゅんめい21)。その正式名称は「あおり21」であり、春明21はブランド名として使われています。「ふじ」と「レイ8」を掛け合わせた晩生品種で、レイ8は「東光」と「紅玉」の血を引いています。特筆すべきは、その優れた保存性。11月初旬に収穫された後、翌年の5~6月頃まで出荷できるほどです。収穫期は酸味が際立ち、果肉も硬めですが、時間を置くことで果肉は程よく柔らかくなり、酸味も穏やかに変化します。果実は大きく、糖度も高く、果肉はきめ細かくジューシーです。

春明21(あおり21)の歩み:開発から品種登録、そして商標登録へ

春明21(あおり21)は、1984年(昭和59年)に青森県りんご試験場(現在の地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所)で、「ふじ」と「レイ8」を交配して誕生しました。1997年(平成9年)に第一次選抜、2004年(平成16年)に第二次選抜を経て、2006年(平成18年)に種苗法に基づき「あおり21」として品種登録が出願され、2008年(平成20年)に登録されました。しかし、その後、登録料の未払いにより、登録日に育成者権が消滅するという珍しい事態に。品種登録は失効しましたが、その貯蔵性の高さが認められ、2010年(平成22年)に青森県が「春明21」として商標登録を行い、ブランド保護に努めています。

春明21(あおり21)の特徴:見た目、味わい、食感をつぶさに解説

春明21は、300~400gと比較的大きめのりんごで、縦長の楕円形をしています。果皮は黄色のベースに、縞模様の赤い色が入り、「ふじ」によく似た外観です。収穫したての果肉は黄白色で、非常に硬く、甘味と酸味が際立っています。蜜は入りにくい傾向にありますが、栽培条件によっては入ることもあります。農林水産省の品種登録データベースによれば、果肉は褐変しやすく、硬さは非常に硬く、肉質は緻密、蜜は少ない、甘味は強く、酸味も強く、果汁はやや多いとされています。

春明21(あおり21)の味:収穫直後と貯蔵後の変化を比較

春明21は、収穫直後は果肉が非常に硬く、強い酸味が特徴的なため、本来の美味しさを引き出すには貯蔵が不可欠です。貯蔵することで酸味が和らぎ、甘みが増加し、果肉の硬さも程よくなります。実際に、収穫直後の春明21を試食したところ、非常に硬く、酸味が強く感じられましたが、約1ヶ月間冷蔵庫で保存したものを再度試食したところ、硬さが軽減され、甘みと酸味のバランスがとれた美味しいりんごへと変化していました。さらに3ヶ月ほど貯蔵すると、甘味がより一層増し、さらに美味しくなることが期待できます。

春明21(あおり21)の食感:心地よい歯触りとあふれる果汁

春明21の魅力の一つは、その食感です。噛んだ瞬間に感じる、心地よい歯ごたえが特徴と言えるでしょう。収穫後の貯蔵期間を経ても、その硬さは失われにくく、シャキッとした食感を長く楽しめます。さらに、口の中に広がる豊富な果汁は、春明21ならではの味わいです。硬めのりんごがお好みの方には、きっとご満足いただけるでしょう。

春明21(あおり21)の旬と産地:出会える時期と場所

春明21は晩生種に分類され、青森県では10月下旬頃から実りの時期を迎えます。収穫は10月末から11月中旬にかけて行われますが、収穫直後は硬さと酸味が際立つため、美味しく味わえるのは貯蔵後の3月から6月頃です。主な産地は青森県ですが、現在では育成者権が消滅しているため、他の地域での栽培も行われています。青森県における栽培面積は、平成29年産特産果樹生産動態等調査によると、25.8haと報告されています。

春明21(あおり21)の選び方と保存方法:美味しさを長持ちさせるには

春明21を選ぶ際には、果皮の色が均一に色づき、手に取った時にずっしりとした重みを感じるものを選ぶのがおすすめです。保存方法としては、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管すると良いでしょう。比較的日持ちする品種ではありますが、時間が経過すると果実の中心部が変色する場合があります。これは春明21特有の性質であり、品質に問題はありません。冷蔵保存することで、より長く美味しさを保つことができます。

春明21(あおり21)とふじの違い:それぞれの個性

春明21は、その親品種である「ふじ」と似た外見を持ちますが、いくつかの点で異なる特徴があります。最も顕著な違いは、貯蔵性です。春明21はふじよりも貯蔵性に優れており、より長期間の保存が可能です。また、果肉の硬さも異なり、春明21はふじよりも硬く、よりシャキシャキとした食感が楽しめます。蜜の入りやすさにも違いがあり、春明21はふじに比べて蜜が入りにくい傾向があります。味わいに関しては、どちらも甘味と酸味のバランスがとれていますが、春明21の方がやや酸味が強く感じられるかもしれません。

春明21(あおり21)栽培の難しさ:希少な理由

春明21は、栽培に手間がかかるため、生産農家が限られており、市場での流通量も多くありません。栽培が難しい要因として、特に「つる割れ」が起きやすいことが挙げられます。つる割れとは、りんごのヘタ部分にひびが入る現象で、品質低下につながります。さらに、果肉内部の変色も起こりやすいという特徴があります。これらの理由から、多くの人に販売する大規模店舗での取り扱いは難しいと判断され、栽培を断念する農家も少なくありません。

春明21(あおり21)を購入できる場所:通販情報など

春明21は、一般的なスーパーマーケットではなかなか見かけることがありませんが、産地直送のオンラインショップや、品質にこだわった果物専門店などで手に入れることができます。また、青森県内の道の駅や観光地などでも販売されている場合があります。インターネット通販を利用すれば、どこにいても気軽に購入できるのが魅力です。

春明21(あおり21)の今後の展望:さらなる普及に向けて

春明21は、栽培の難しさから生産量が限られていますが、その独特な食感と風味、そして日持ちの良さから、根強いファンがいます。将来的には、栽培技術の進歩や、より多くの農家が栽培に挑戦することで、生産量が増え、より多くの人が春明21を味わえるようになることが期待されます。さらに、春明21の魅力を積極的にアピールすることで、ブランド価値を高めていくことも重要です。

まとめ

春明21(あおり21)は、他にない食感と長期保存が可能な点が魅力的なりんごです。栽培が難しいため希少な品種ではありますが、もし見かけることがあれば、ぜひ一度味わってみてください。この記事を通じて、春明21の魅力を深く理解していただけたら幸いです。

質問:春明21はどこで手に入りますか?

回答:春明21は、生産者から直接購入できるオンラインストアや、品質にこだわった果物を扱う専門店などで見つけることができます。さらに、青森県内のロードサイドステーションや観光地のお土産店などでも販売されている場合があります。

質問:春明21の旬な時期はいつですか?

回答:春明21は晩生品種であり、収穫は10月末から11月中旬にかけて行われますが、最もおいしい時期は貯蔵後の3月から6月頃と言われています。

質問:春明21と一般的なふじりんごの違いは何ですか?

回答:春明21は、ふじりんごに比べて保存期間が長く、果肉の硬さと、それに伴うシャキシャキとした食感が際立っています。また、蜜入りはふじりんごよりも少ない傾向があります。
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