食品アレルギー表示義務:知っておくべきこと
食物アレルギーを持つ人が安心して食品を選べるよう、日本では「食品表示法」に基づいてアレルゲンの表示が義務づけられています。表示義務の対象となる品目や表示のルールは法律により明確に定められており、消費者だけでなく、食品事業者にとっても正しい知識が求められます。
この記事では、アレルギー表示の基礎から最新の制度改正までをわかりやすく解説します。アレルギーをお持ちの方やご家族、食品を取り扱う事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、特定の食品に含まれるタンパク質(アレルゲン)に対して、体の免疫システムが過剰に反応し、蕁麻疹・腹痛・呼吸困難・アナフィラキシーなどの症状を引き起こす状態です。多くは乳幼児期に発症しますが、成人になってから発症するケースもあります。

食物アレルギー表示の重要性

アレルギー表示は、アレルギーを持つ人が安全に食品を選ぶための重要な情報です。表示がなければ、知らずにアレルゲンを摂取してしまい、重篤な健康被害につながるおそれがあります。
食品のパッケージには、原材料欄でアレルゲンが明示されるほか、「原材料の一部に○○を含む」といった注意書きが添えられることもあります。これらはすべて、消費者がアレルギーを回避するための手がかりになります。

アレルギー表示の対象となる食品

アレルギー表示が法律で義務付けられているのは、容器や包装が施された加工食品です。具体的には、箱入り、袋詰め、缶詰、瓶詰め、ペットボトル入りの加工食品などが対象となります。一定量以上のアレルギー物質が原材料に含まれる場合、食品表示法に基づき、その旨を表示することが義務付けられています。

アレルギー物質の種類:特定原材料と特定原材料に準ずるもの

アレルギーを引き起こす物質は、表示が義務付けられている「特定原材料」と、可能な限り表示することが推奨されている「特定原材料に準ずるもの」の2種類に分けられます。特定原材料は、過去に発生した健康被害の重さや発生頻度などを考慮して定められています。

特定原材料(表示義務):8品目

食品アレルギーを持つ人が食品を選ぶ際に重要な情報となるのが、アレルギー物質の表示です。現在、特に注意が必要な特定原材料として、以下の8品目が法律で表示が義務付けられています。えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)です。これらの原材料が食品に含まれている場合は、パッケージに必ず記載されています。

特定原材料に準ずるもの(表示推奨):20品目

特定原材料に準ずるものとして、アレルギーを起こす可能性のある食品として20品目が挙げられ、可能な限り表示することが推奨されています。具体的には、アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンが含まれます。これらの品目についても、アレルギーを持つ方は注意が必要です。

外食・持ち帰り食品におけるアレルギー対策

スーパーやデパートなどで製造・販売されるお惣菜、お弁当、パン、お菓子など、個別に包装されていない食品や、レストランなどで提供される料理には、アレルギー表示の義務はありません。これらの食品を口にする際は、お店のスタッフに直接アレルギーに関する情報を尋ねることが大切です。

支援ツールと情報提供(事業者向け)

消費者庁や自治体は、外食や中食を提供する事業者向けに、以下のような支援ツールを提供しています:
  • 食物アレルギー対応ガイドライン
  • 研修用動画やパンフレット
  • 表示例やコミュニケーションツール
これらは事業者と消費者の双方が安全にやり取りするための基盤になります。

アレルギー表示に関する情報収集

アレルギー表示に関する最新情報は、以下の公的機関から確認できます:
  • 消費者庁公式サイト(食品表示の手引き)
  • 厚生労働省(健康被害報告)
  • 自治体の保健所や生活衛生課
また、加工食品の製造事業者向けには、「加工食品の食物アレルギー表示に関する手引き」も用意されています。

結び

食物アレルギー表示は、アレルギーを持つ人々が安心して食事をするために非常に重要な情報です。消費者それぞれが正しい知識を身につけ、食品関連事業者が適切な表示を行うことで、食物アレルギーによる健康への影響を未然に防ぐことができます。常に最新の情報を確認し、安全な食生活を送りましょう。

食物アレルギー表示で必ず表示しなければならないものは何ですか?

食物アレルギー表示で表示が義務付けられている特定原材料は、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の8品目です。これらの品目が含まれる食品には、必ずアレルギー表示を行う必要があります。

食物アレルギーの表示で、推奨されているものは何ですか?

食品アレルギーの表示において、特に推奨されている品目(特定原材料に準ずるもの)として、アーモンド、アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ゴマ、サケ、サバ、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、モモ、ヤマイモ、リンゴ、ゼラチンの20品目が挙げられます。

外食する際にアレルギーに関して注意すべき点は?

飲食店では、メニューにアレルギーに関する情報が記載されていないことも少なくありません。そのため、お店の方に直接尋ねることが大切です。さらに、アレルゲンが意図せず混入してしまう可能性(コンタミネーション)についても確認しておくと、より安全に食事を楽しめます。

アレルギー