アサイーベリー 緑内障

近年、健康食品として注目を集めているアサイーベリー。その豊富な栄養価から、様々な健康効果が期待されていますが、中には「緑内障に効果がある」という情報も耳にするかもしれません。緑内障は、進行すると失明に至る可能性もある深刻な病気です。アサイーベリーが本当に緑内障に効果があるのか、あるとすればどのようなメカニズムなのか、医学的な根拠に基づいた真相をしっかりと見極める必要があります。この記事では、アサイーベリーと緑内障の関係について、詳しく解説していきます。

アサイーベリーとは

アサイーベリーは、ブラジル、アマゾン原産のヤシ科の植物になる果実です。 濃い紫色をした小さな果実には、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれています。さらに、ビタミンやミネラル、アミノ酸など、健康維持に欠かせない栄養素がバランスよく含まれているため、スーパーフードとしても知られています。特に、その栄養価の高さから「プライマリスーパーフード10」の一つに選ばれています。

緑内障に関わるアントシアニンの作用

アントシアニンは、ポリフェノールの一種であり、特に目の健康維持に重要な役割を果たすと考えられています。緑内障に対しては、主に以下の3つの作用が期待されています。

強力な抗酸化作用により、アントシアニンは、加齢や紫外線などが原因で発生する酸化ストレスから、目の組織、特に網膜や視神経を保護します。研究データによると、アントシアニンを添加した網膜細胞は、酸化ストレス下でも高い生存率を維持することが示されています。

緑内障の進行には、目の血流障害が関与していることが知られています。アントシアニンには血流を改善する作用があり、目の毛細血管の血流を促進することで、網膜や視神経への栄養供給をサポートします。臨床研究では、緑内障患者におけるアントシアニンの摂取が、目の血流改善と視野狭窄の進行抑制に繋がる可能性が示唆されています。

ロドプシンは、光を感知して脳へ情報を伝達する上で不可欠な物質です。アントシアニンは、ロドプシンの再合成を促進する効果が期待されています。加齢やストレスによってロドプシンの再合成が滞ると、視機能の低下や眼精疲労を招き、緑内障のリスクを高める可能性があります。アントシアニンの摂取は、ロドプシンの機能をサポートし、目の健康維持に貢献すると考えられています。

アサイーベリーのアントシアニンの抗酸化力

アントシアニンは多様な食品に存在しますが、その抗酸化能力には差があります。これは、アントシアニンの種類が食品によって異なるためです。したがって、アントシアニンの抗酸化効果を最大限に活用したい場合、より高い抗酸化力を持つ食品を選ぶことが効果的です。食品の抗酸化力を測る指標としてORAC値が用いられます。ORAC値は米国農務省などが開発したもので、信頼できる栄養情報として広く認識されています。アントシアニン豊富な食品の中でも、アサイーベリーは非常に高いORAC値を持ち、その抗酸化力はブルーベリーの約10倍と言われています。

アサイーベリーのアントシアニンの持続性

一般的に、アントシアニンは水溶性のため、摂取しても比較的速やかに体外へ排出されます。しかし、アメリカの大学における研究では、アサイーベリー由来のアントシアニンを摂取した結果、2時間後に血中濃度が最大となり、未摂取者の2~3倍に増加することが確認されました。さらに、尿からの排出が確認されなかったことから、アサイーベリーのアントシアニンは、体内に効率よく吸収され、持続的な抗酸化効果を発揮する可能性が示唆されています。

ビタミンと緑内障

アサイベリーは、目の健康をサポートする栄養素を豊富に含んでいます。視神経や網膜機能を助けるビタミンB群に加え、抗酸化作用を持つビタミンC・Eが、酸化ストレスから目を保護します。加齢や紫外線、不規則な生活習慣によって引き起こされる酸化ストレスは、緑内障の要因の一つとされています。そのため、抗酸化作用のあるビタミンの積極的な摂取は、目の健康維持に役立つと考えられています。特に、高い抗酸化力を持つビタミンを意識的に摂ることで、より効果的なケアが期待できるでしょう。アサイベリーには、100gあたり1323mgものビタミンCが含まれており、これはレモンの10倍以上の量に相当します。また、ビタミンEも100gあたり45.3mgと豊富で、うなぎの約9倍の含有量です。アサイベリーの抗酸化力をORAC値で評価したところ、1027μmolTE/gという結果が得られました。これは、ブルーベリーと比較して約11.6倍もの高い抗酸化力を持つことを示しています。

シアニジンと緑内障

アサイーベリーは、視機能のサポートに役立つとされるシアニジンを豊富に含んでいます。シアニジンにはシアニジン-3-グルコシドとシアニジン-3-ルチノシドの2種類があり、それぞれ異なる効果が期待されています。シアニジン-3-グルコシドは視力低下の抑制に寄与するとされ(ブルーベリーに多く含まれる)、シアニジン-3-ルチノシドはピント調節機能の改善や眼精疲労の緩和に役立つとされています(カシスに多く含まれる)。主要なベリー類におけるシアニジンの含有量を比較すると、アサイーベリーはシアニジン-3-グルコシドとシアニジン-3-ルチノシドの両方を特に多く含んでいることがわかります。具体的には、アサイーベリー1gあたり、シアニジン-3-グルコシドは11.8mg、シアニジン-3-ルチノシドは22.3mg含まれています。一方、カシスはそれぞれ1.27mgと8.24mg、ブルーベリーは0.03mgと微量です。アサイーベリーはこれらのシアニジンの相乗効果により、眼圧上昇の原因ともなる眼精疲労の軽減に貢献すると考えられています。

亜鉛と緑内障

人体に不可欠なミネラル、亜鉛。その量は体内に2~4gとされ、特に目の網膜に豊富に存在します。研究では、亜鉛が視神経やロドプシンの機能維持に関わり、さらに抗酸化作用を持つことが示唆されています。そのため、亜鉛が不足すると視神経の機能が損なわれ、視力低下などのトラブルが起こる可能性があります。正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内でも視神経が弱いと進行しやすいと言われています。視神経の健康維持のために、亜鉛を意識的に摂取することは、緑内障の進行を抑制する上で有効な手段となるかもしれません。

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