柿 陽豊：甘柿の新品種、その魅力と栽培の現状

秋の味覚を代表する柿。その中でも「陽豊（ようほう）」は、甘柿の新品種として注目を集めています。親品種である「富有柿」と「次郎柿」の良いところを受け継ぎ、糖度の高さとシャキシャキとした食感を両立。近年、その美味しさが広く知られるようになってきました。この記事では、陽豊柿の魅力に迫るとともに、栽培の現状や今後の展望について詳しく解説していきます。

陽豊柿（ようほうがき）は、甘柿の代表格である「富有柿」と「次郎柿」を交配して誕生した品種です。両方の品種の良いところを併せ持っており、1991年11月19日に品種登録されました（登録番号, 第2888号）。育成権は2021年11月18日に満了しており、現在は様々な地域で栽培が試みられています。

陽豊柿の果実は、一つあたり約230g前後の伊豆柿と近い重さです。形状は次郎柿よりも富有柿に近く、目を引くのは、鮮やかな橙紅色から深みのある茜色へと変化する美しい色合いです。果肉は少し硬めですが、熟成が進むにつれて、とろけるような滑らかな食感へと変化します。十分に熟すと糖度は20度程度まで上昇し、非常にジューシーで濃厚な甘さを堪能できます。本来は種がある品種ですが、市場に出回っているものは種なしのものがほとんどです。また、他の柿に見られるような、種があった部分の硬い食感が少ないため、果肉本来の美味しさを心ゆくまで味わえます。

陽豊柿は中生種に分類され、収穫時期は10月下旬頃から12月初旬頃までです。市場への出荷も同時期に行われますが、特に美味しく味わえる旬の時期は、11月から12月初旬にかけてとなります。

陽豊柿は、生産量が限られているため「幻の柿」とも呼ばれています。以前は岐阜県のJAにしみの管内が主な産地であり、年間出荷量は約20トンでしたが、現在では各地で栽培されるようになっています。岐阜県産のものは、かつてはテレビショッピングを通じて販売されていました。愛知県など、他の地域でも栽培されており、徐々にその名前が知られるようになりつつあります。

陽豊柿は生産量が限られているため、通常のスーパーマーケットなどではあまり見かけることはありません。主に岐阜県や愛知県などの産地周辺の農産物直売所や、オンラインショップなどで販売されていることがあります。もし見つけたら、ぜひ味わってみてください。きっとその芳醇な甘さに感動するでしょう。

陽豊柿を選ぶ際は、まず鮮やかで深みのあるオレンジ色をしているかチェックしましょう。また、果皮に張りがあり、傷や凹みがないものを選ぶのがポイントです。手に持った時にずっしりとした重みを感じられるものは、果肉がぎっしり詰まっていて美味しい可能性が高いです。

陽豊柿は、乾燥を防ぐためにビニール袋などに入れて冷蔵庫で保存するのがベストです。十分に熟したものは傷みやすいので、なるべく早く食べるようにしましょう。少し硬めのものは、常温で数日間置いて追熟させると、さらに甘みが増して美味しくいただけます。

陽豊柿を美味しくいただくには、軽く水洗いした後、皮を剥いてそのまま食べるのが一番です。種がないので、まるごと味わえるのも魅力。その他、サラダやヨーグルトに加えても美味しく、冷凍すればシャーベットのようなデザートとしても楽しめます。

陽豊柿には、私たちの健康維持に役立つとされる栄養素も含まれています。例えば、皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンA（β-カロテンとして含有）やビタミンC、お腹の調子を整えるのを助ける食物繊維などが豊富です。

その希少性と格別の美味しさから「幻の柿」とも称される陽豊柿。店頭で見かける機会は少ないかもしれませんが、もし出会えたなら、ぜひその芳醇な甘さととろける食感を体験してみてください。そして、陽豊柿を大切に育てている農家の方々を応援しましょう。

陽豊柿は希少なため、普通のスーパーではあまり見かけません。生産地の近くにある直売所や、インターネット通販などを利用して探してみるのがおすすめです。

本来、陽豊柿は種を持つ品種として知られていますが、現在市場に出回っているものの多くは種なしとなっています。

陽豊柿が最も美味しく味わえる旬の時期は、11月頃から12月の初め頃までとされています。