希少な白い宝石!白いちごの魅力に迫る
可憐な姿と上品な甘さが魅力の「白いちご」。その希少性から、まるで宝石のような輝きを放つ白いちごは、贈り物としても人気を集めています。一口食べれば、甘酸っぱいイメージを覆す、奥深い味わいに驚くはず。今回は、可憐な姿と上品な甘さが魅力の白いちごの知られざる魅力に迫ります。その誕生秘話、人気の品種など、白いちごの魅力をご紹介します。

白いちごとは?その誕生と特徴、なぜ高価なのかを徹底解説

白いちごとは、名前の通り、果皮が白い色をしているいちごのことで、特定の品種名ではありません。薄い色をしたイチゴの総称として使われています。その色合いは、純白に近いものから、淡いピンク色のものまで様々です。一般的に私たちがよく目にする赤いイチゴは、太陽光を浴びることでアントシアニンという色素が作られ、赤く色づきます。アントシアニンはポリフェノールの一種で、ブドウやブルーベリーにも多く含まれる天然の色素です。白いちごが白い色を保つのは、アントシアニンが日光に当たっても生成されにくい性質を持っているためです。白いちごが生まれたきっかけは、ある種苗会社がイチゴの品種改良を行う過程で、偶然発見された突然変異によるものとされています。また、もともと自然界に自生する白いイチゴや、既存の赤いいちごが突然変異を起こして白くなったものも存在します。各地で品種改良が進み、白いちごが市場に出回るようになったのは、ここ20年ほどのことで、その歴史は比較的浅いと言えるでしょう。
見た目だけでは、まだ熟していないと感じる方もいるかもしれませんが、十分に熟した白いちごは、赤いいちごにも劣らない甘さを持っています。一般的な赤いイチゴとの大きな違いとして、専門家の多くが「香り」を挙げます。桃や洋梨を思わせるような、豊かな香りが特徴的な品種が多く存在します。中には、特定の品種でココナッツや甘いカラメルのような、独特な風味を持つものもあります。甘さについては、一部の品種では赤いいちごよりも控えめだと評価されることもありますが、栽培農家からは、品種改良の進展によって、数年後には赤いいちごに匹敵するほどの甘さを持つ品種が登場するだろうという期待の声も聞かれます。
白いちごは、栽培の難しさも高価である理由の一つです。市場に出回るどの品種も、通常の赤いイチゴの2倍以上の価格で取引されることが多く、希少価値の高さから、わずか10粒ほどが入った1パックに1万円以上の値段がつけられることもあります。これほど高価である主な理由として、生産者が非常に限られており、結果として生産量が非常に少ない点が挙げられます。そのため、市場では産地の近くやデパートの高級フルーツ店でしか見かけることが少なく、スーパーで見かけることはまれです。しかし、近年需要が高まっていることから、今後は少しずつ生産量や流通量が増え、将来的には価格が下がる可能性も期待されています。

白いちごの主要品種とその魅力

いちご売り場における白いちごの取り扱いについて、近年さまざまな情報を参照すると、売り場全体の一部に白いちごが並ぶことが多く、流通している品種は2〜3種類ほどに限られている傾向があるようです。こうした情報をもとに整理すると、白いちごには意外にも多くの品種が存在していることがわかります。
この記事では、一般的に流通している代表的な白いちごの品種と、それぞれの特徴について紹介します。「淡雪」「ミルキーベリー」「真珠姫」「天使のいちご」「桃薫」などの定番に加えて、「初恋の香り」「雪うさぎ」「コットンベリー」「パールホワイト」といった新しい品種も取り上げます。
そのほか、「天使の実」や「ゆきざくら」など希少な品種も紹介されることがありますが、生産量が限られているため、店頭で見かける機会は多くありません。一方で、「淡雪」は比較的多くの売り場で取り扱われており、その人気と信頼の高さがうかがえます。
白いちごはその見た目の珍しさだけでなく、香りや味わい、食感も品種ごとに個性があり、多くの人々の関心を集めています。ここからは、一般的に流通している代表的な白いちごの品種と、それぞれの特徴についてご紹介します。

淡雪(あわゆき)

「淡雪」は、2013年に品種登録された鹿児島県生まれの品種で、「さがほのか」の変異株として誕生しました。果皮は真っ白というよりも、薄いオレンジ色や淡いピンク色をしており、特に外側に近い部分はサーモンピンク色を帯びているのが特徴です。実の中心は白い色をしています。白いちごの中でも、香りの強さよりも甘みが際立つのが特徴で、酸味が少なく上品な甘さが魅力です。ハリとツヤがあり、果肉は白いちごの中では比較的しっかりしていると評価されています。当初は西日本を中心に栽培されていましたが、近年では関東地方でも取り扱う農家が増え、比較的多く流通しています。出荷時期は12月から4月頃です。

ミルキーベリー

栃木県で生まれた「ミルキーベリー」は、他にはない味わいが魅力の白いちごです。栃木県が独自に開発したこの品種は、まるでミルクのように真っ白な見た目と、口の中に広がる上品な甘さが特徴。栽培が始まったばかりで、まだ市場に出回る量が少ないため、その希少性が注目を集めています。

真珠姫

長い年月をかけて開発された「真珠姫」は、格別な香りが自慢の白いちごです。完熟した白桃やライチを思わせるトロピカルな香りと、濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。生産者が限られているため、手に入れるのが難しい希少な品種として知られています。

天使のいちご(AE/エンジェルエイト)

「天使のいちご(AE/エンジェルエイト)」は、甘さと酸味のバランスが絶妙な白いちごです。四季なりいちごなので、収穫期間が長く、長く楽しめるのが魅力。ヘタの下まで白く色づき、表面の種が赤くなったら食べ頃です。

桃薫(とうくん)

「桃薫」は、淡いピンク色の果皮を持つ、ユニークな白いちごです。桃やココナッツのような甘い香りに加え、カラメルのような香ばしさも感じられるのが特徴。その個性的な香りが、多くの人々を虜にしています。

初恋の香り

「初恋の香り」は、山梨県の種苗会社三好アグリテック株式会社によって2006(平成18)年に登録出願、2009(平成21)年に品種登録された白いイチゴの品種で、登録品種名は「和田初こい」となっており、「初恋の香り」という名前は三好アグリテックが販売する上でのブランド商標となっています。(出典: 旬の果物百科『白いちご 初恋の香り(和田初こい)の来歴や特徴』, URL: https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Strawberry-Hatukoi.htm, 2022-01-01)

白雪の舞

「白雪の舞」は、2014年に品種登録された、美しい白いちごです。その果肉は清らかな純白で、熟成が進むにつれて表面の種子が鮮やかな赤色を帯び、そのコントラストがまるで雪の中で遊ぶウサギのように見えることから、この名が付けられました。酸味はごくわずかで、優雅な甘さが際立ち、果実の大きさも魅力の一つです。最盛期は12月から5月頃で、この時期に旬を迎えます。「白雪の舞」は、種子が鮮やかに赤く染まった時が、最高の食べ頃のサインです。

綿雪の雫

「綿雪の雫」は、奈良県の生産者が「従来の赤い苺を超える、革新的な白い苺を!」という強い意志を込めて開発し、2021年に品種登録を出願したばかりの新しい品種です。ふっくらとした愛らしい三角形と、全体を包む淡いピンク色が、見る人を魅了する白い苺として知られています。芳醇な香りが特徴で、酸味はほとんどなく、赤いいちごにも匹敵する濃厚な甘さが魅力です。特に、他のどの白い苺よりも、赤いいちごに近い深い甘さを感じさせてくれます。果肉全体が淡いピンク色に染まるのも、この品種ならではの美しさです。

真珠の輝き

「真珠の輝き」は、奈良県で誕生し、2015年に品種登録された白いちごで、そのロマンチックな名前が広く親しまれています。形は縦長の丸みを帯びた三角形で、熟すと果皮は白から淡いピンクを帯びた白色へと変わり、表面の種子が赤く色づきます。上品な甘さと控えめな酸味が調和し、洗練された味わいが魅力です。旬は12月頃から4月頃までとされています。果肉が淡いピンク色を帯びる点は白雪の舞と共通していますが、白雪の舞の果肉が純白であるのに対し、真珠の輝きはよりはっきりとした薄いピンク色をしています。

白いちごと赤いいちご、どこがどう違うの?


一般的ないちごといえば「赤」。けれど近年、真っ白ないちごを見かける機会が増えてきました。市場や贈答用フルーツのコーナーでは、透明感のある白いちごが静かに注目を集めています。
「色が違うだけ?」と思われるかもしれませんが、実は見た目以上に中身にもはっきりとした違いがあります。ここでは、白いちごと赤いいちごの主な違いを整理してみましょう。

赤くならない理由は「色素の欠乏」

赤いいちごが鮮やかに色づくのは、果皮や果肉にアントシアニンという色素が生成されるためです。一方で、白いちごにはこの色素がほとんど作られないか、発現が抑えられているため、熟しても白や淡いピンク、クリーム色のまま。品種によっては、果肉まで真っ白に近いものもあります。
この色素の違いは、自然の突然変異や品種改良によって生まれたもので、見た目の印象を大きく左右しています。

味わいの違いは? ― 白いちごは「やさしい甘さと香り」が魅力

白いちごは見た目だけでなく、味や香りにも独特の個性があります。酸味が控えめで甘さが際立つ傾向があり、やさしい口当たりが特徴。また、品種によってはパイナップルや洋梨のような、少し南国風のフルーティな香りを感じることも。
赤いいちごが「甘酸っぱさ」でバランスを取るのに対して、白いちごは「まろやかな甘さと香り」で勝負している、そんな印象を持つ人も多いようです。

傷みやすくて希少、それが価格にも影響

白いちごは果肉が非常にやわらかく、水分も多いため、収穫や流通の際に傷みやすいというデリケートな一面があります。そのため栽培・出荷には細かな配慮が必要で、必然的に流通量も限られてしまいます。
また、品種によっては一株あたりの収穫量も少ないことから、希少性が高く、自然と価格も上がってしまうのです。

品種によっても違う「白」の表情

ひとくちに白いちごといっても、色のトーンや味わいはさまざま。「淡雪」「ミルキーベリー」「パインベリー」「初恋の香り」など、個性豊かな品種が存在し、それぞれに特有の魅力があります。
白さが際立つもの、香りが強いもの、果汁が豊富なものなど、自分好みの白いちごを探すのも楽しみのひとつです。

まとめ

白い苺は、その希少性や見た目の美しさ、独特の香りや味わいで注目を集めています。本記事では代表的な品種や赤いいちごとの違いなどをご紹介しました。栽培量が限られるため、事前の確認や予約がおすすめです。特別な白い苺の魅力を、ぜひ一度味わってみてください。

なぜ白いイチゴは白いの?

白いイチゴの特異な色合いは、赤いイチゴがその鮮やかな色を出すために不可欠な色素、「アントシアニン」の生成が抑制される、またはごくわずかしか生成されない性質に起因します。アントシアニンはポリフェノールの一種であり、多くの果実が成熟するにつれて色づく過程で重要な役割を果たしますが、白いイチゴの場合、この色素の生成が抑えられています。

白いイチゴの甘さは、赤色のイチゴに匹敵する?

十分に熟した白いイチゴは、赤色のイチゴと遜色ない甘さを誇ります。かつては、一部の品種で甘さが控えめなものも見られましたが、品種改良の進展により、現在では糖度13~15度に達する品種も登場しています。これは一般的な赤色のイチゴの平均糖度(約10度)を上回る数値であり、その甘さは年々進化を遂げています。

白いイチゴの一番の魅力は何?

白いイチゴの最大の魅力は、他に類を見ない「香り」と「酸味の穏やかさ」です。多くの品種が、桃や洋梨を思わせる豊かな香りを持ち、中にはココナッツや甘いカラメルのような、エキゾチックな風味を湛えるものも存在します。酸味が少ないため、イチゴ本来の甘さが際立ち、まろやかで優しい味わいを堪能できます。

白いイチゴはどうして値段が高いの?

白いイチゴが高価である主な理由は、栽培の困難さと希少性にあります。アントシアニンの生成を抑制するための特殊な栽培技術が求められ、通常の赤いイチゴよりも多くの手間と注意が必要です。さらに、特定の品種に至っては、ごく限られた生産者しか栽培していないため、市場に出回る量が非常に少なく、希少価値が高まります。その結果、通常の赤いイチゴの2倍以上の価格で取引されることもあり、場合によっては10粒で1万円を超えるような高値で販売されることも珍しくありません。

白いちごの旬はいつですか?

白いちごが最も美味しく食べられる時期は、品種や栽培されている場所によって異なりますが、おおむね冬から春にかけてが中心です。四季成り性の品種、例えば「天使のいちご」などは、春から秋にかけて比較的長く収穫できます。しかし、収穫できる量には限りがあるため、いちご狩りなどで白いちごを楽しみたい場合は、事前に農園に連絡して確認することをおすすめします。



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