冬の味覚として親しまれる柚子は、その爽やかな香りと酸味で、私たちの食卓を豊かに彩ってくれます。柚子の魅力は、果汁だけでなく、香り高い皮、そして意外にも種まで、余すところなく活用できる点にあります。この記事では、そんな柚子のポテンシャルを最大限に引き出すための活用術を徹底解説。料理やお菓子、飲み物はもちろん、暮らしを彩るアイデアまで、柚子をまるごと使い尽くすためのレシピと保存方法を、詳しくご紹介します。この冬は、柚子を余すことなく味わい尽くし、その魅力を再発見してみませんか?
はじめに:ゆずの多面的な魅力に迫る
爽快な香りと心地よい酸味が特徴のゆずは、日本の食卓に欠かせない柑橘類として、様々な料理に奥深い風味と鮮やかなアクセントを添えてくれます。冬至のゆず湯は広く知られていますが、ゆずの魅力はそれだけに留まりません。果汁はもちろん、皮、そして種に至るまで、余すところなく活用できる点が大きな魅力です。この記事では、ゆずの基本的な情報から、料理、お菓子、飲み物といった食の分野はもちろんのこと、器や飾り付けなどの生活を彩る活用法、さらには鮮度を保つための効果的な保存方法、そして様々な用途に合わせた具体的なレシピまで、幅広くご紹介します。ゆずの持つ可能性を最大限に引き出し、日々の食卓や生活空間に彩りと豊かさをもたらすためのヒントを詰め込みました。過去の情報に新たな活用法やレシピを加え、ゆずを丸ごと使いこなすための集大成としてお届けします。
ゆずの基礎知識:多様な種類、旬、成分、秘められた可能性
日本の食文化に深く根ざし、その独特の香りと酸味で多くの人々を魅了するゆず。近年では、その魅力が海外にも広がり、「Yuzu」として世界の有名レストランのシェフたちからも注目され、新たな料理の発想源となっています。ゆずにはいくつかの種類があり、それぞれに異なる特徴があります。例えば、「花柚子」は、美しい花も楽しむことができ、小ぶりながらも香りが際立っています。「鬼柚子」や「獅子柚子」は、一般的なゆずよりも大きく、独特の形状が特徴で、厚い皮は加工品に適しています。これらの個性的なゆずは、観賞用としても楽しまれ、食卓を飾るアクセントとしても存在感を放ちます。
ゆずの旬は、一般的に秋から冬にかけての10月から12月頃ですが、特に香りの強い青柚子は夏に収穫されます。完熟した黄色のゆずは、まろやかな酸味と豊かな香りを持ち、ジャムや調味料、お菓子など幅広い用途で利用されます。
一方、青柚子は、フレッシュな香りと強い酸味、そしてピリッとした風味が特徴で、柚子胡椒などの薬味として珍重されます。ゆずの爽やかな香りは、リモネンやピネンといった芳香成分によるもので、リラックス効果があるとも言われています。また、ビタミンCをはじめとする豊富な栄養素を含み、風味だけでなく健康面でも優れた果実です。ゆずは、皮、果肉、種といったすべての部分に異なる使い道があり、まさに「捨てる部分がない」と言えるでしょう。皮は香りづけや飾りとして、果肉は果汁として、種は化粧水や入浴剤として活用できるなど、その可能性は無限に広がっています。

ゆずを長持ちさせる保存術:鮮度と香りを維持するコツ
たくさんのゆずを手に入れた際に、その風味を最大限に活かすためには、適切な保存方法を身につけることが不可欠です。ゆずの繊細な香りは揮発しやすいため、香りを逃さないように保存することが、鮮度を保つ上で最も重要になります。丸ごとのゆずを保存する場合は、一つずつキッチンペーパーで丁寧に包み、さらに密閉できる保存袋やラップでしっかりと包んで冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。これにより、乾燥を防ぎ、香りの劣化を最小限に抑えることができます。ただし、丸ごとの状態でも香りは徐々に失われていくため、できるだけ早く使い切るように心がけましょう。長期保存や、すぐに使える状態にしておきたい場合は、皮と果汁を分けて保存する方法が便利です。まず、皮を薄く剥き、細切りにした後、風通しの良い場所で半日ほど乾燥させてセミドライ状態にします。この半乾燥状態にすることで、香りが凝縮され、保存性も向上します。セミドライにした皮は、保存袋に入れて冷凍庫で保存すれば、いつでも手軽にゆずの風味を楽しむことができます。次に、果汁の保存方法ですが、ゆずの果汁をしっかりと搾り、煮沸消毒した清潔なガラス瓶に入れて冷蔵保存するのが最適です。ゆずの果汁は酸性が強いため、金属製の容器よりもガラス製の容器を使用することで、品質を保ちやすく、風味を損なわずに保存できます。さらに長期間保存したい場合や、少量ずつ使いたい場合は、搾った果汁を製氷皿に入れて冷凍保存するのがおすすめです。冷凍したゆず果汁キューブは、ゆずソーダの氷として使用したり、醤油と混ぜて手軽なポン酢として利用したりと、様々な料理や飲み物に手軽に活用できます。これらの保存方法を組み合わせることで、旬のゆずを一年を通して、その豊かな香りと風味とともに堪能することが可能になります。
食卓を豊かにするゆず調味料:自家製ポン酢、味噌、柚子胡椒
ゆずを使った調味料は、いつもの食卓をより豊かなものにし、普段の料理に新しい風味をもたらしてくれます。市販品も手軽でおいしいですが、手作りすることで、より新鮮で自分の好みに合わせた味に調整できるのが魅力です。まず、手軽に作れる自家製ポン酢しょうゆは、市販のポン酢とは一線を画す、奥深い味わいと豊かな香りが楽しめます。醤油、かつお節、昆布などを組み合わせて電子レンジで加熱し、だしの旨味を十分に引き出した後、搾りたてのゆず果汁と細かく刻んだゆずの皮を加えます。一晩以上寝かせることで、鍋でだしを取る手間を省きながらも、旨味が凝縮された本格的なポン酢しょうゆが完成します。
和え物や炒め物はもちろん、鍋料理のつけだれとしても大活躍間違いなしです。保存する際は、煮沸消毒した清潔な保存瓶に入れ、冷蔵庫で保存し、風味が落ちないうちに早めに使い切るようにしましょう。
次に、ご飯のお供やおかずの味付けに最適な万能調味料「ゆず味噌」は、ふろふき大根や豆腐に添えたり、肉や魚を漬け込んだりと、様々な用途で活用できます。ゆずの爽やかな香りが、いつもの料理の味をワンランクアップさせてくれます。
手作りのポイントは、ゆずの皮の苦味を抑えるために、皮を一度茹でてから冷水にさらし、アクを丁寧に抜くことです。皮を細かく刻むことで、味噌にゆずの食感も加わり、より一層楽しめる一品に仕上がります。豆腐にゆず味噌をのせて焼き上げれば、シンプルながらも食卓を華やかに彩る一品に。また、優しい甘さの白味噌を使ったゆず味噌は、かぼちゃなどの甘みのある野菜との相性が抜群で、食卓を彩る素敵な副菜として活躍します。
そして、今や全国的な人気を誇る調味料「柚子胡椒」。ゆずの爽やかな香りと、唐辛子のピリッとした辛さが絶妙に調和した柚子胡椒は、まさに発明品と言えるでしょう。

一般的には、夏に旬を迎える青柚子と青唐辛子を細かく刻み、すり鉢などで塩と一緒に丹念にすり合わせた後、熟成させて作られます。市販品も手軽でおいしいですが、自家製柚子胡椒は、青唐辛子の刺激的な辛さとゆずのフレッシュな香りをよりダイレクトに味わうことができます。青唐辛子を扱う際は刺激が強いため、フードプロセッサーなどを利用すると手軽に作ることができます。
薬味としての印象が強い柚子胡椒ですが、その活用方法は多岐にわたります。定番の鍋料理はもちろんのこと、ドレッシングに加えてサラダやマリネのソースとして、あるいは和風パスタの隠し味としてもおすすめです。
例えば、ゆず胡椒と昆布茶を使ったツナマヨをのせたペペロンチーノは、和と洋の味わいが絶妙にマッチした一品です。また、ゆず胡椒味噌を塗った焼きおにぎりは、お弁当にもぴったり。大人向けの洋食として、ゆず胡椒あんをかけたオムライスも、おもてなし料理として喜ばれるでしょう。
食卓を彩るゆずの香るおかずレシピ
いつもの料理にゆずの皮や果汁を加えるだけで、爽やかな香りが食欲を刺激し、普段のおかずが特別な一品に変わります。ここでは、食卓を風味豊かに彩る、ゆずを使った手軽でありながら本格的なおかずレシピをご紹介します。まず、前菜や箸休めに最適な漬物として、「大根とゆずの浅漬け」がおすすめです。
食べやすい大きさに切った大根に、ゆずの皮と果汁を合わせた漬け汁を使うことで、風味と食感のバランスが取れた、シンプルながらも奥深い味わいを楽しめます。
また、「ゆず香る上品なかぶ漬け」は、かぶとゆずを昆布風味の合わせダレに漬け込むことで、香り高く、風味と食感に優れた一品になります。
たくさん作って冷蔵庫に保存しておけば、いつでも上品な味わいを堪能できます。さらに、「サラダ感覚!キャベツとゆずのピクルス風漬物」は、キャベツとゆずを浅漬けの素などで漬け込むことで、ピクルスのように楽しめる新感覚の漬物となり、サンドイッチの具材としても活用できます。

主菜や副菜を格上げするゆず料理としては、「厚揚げのゆずあんかけ」がおすすめです。トースターでカリッと焼いた厚揚げに、ゆずの皮と果汁を使った爽やかなあんかけをかけるだけで、簡単なおつまみにも最適です。また、「爽やかなゆず風味のゆで豚」は、すりおろしたゆずの皮や果汁が入った甘辛だれに、熱々のゆで豚を漬け込むことで、肉に味が染み込み、口いっぱいにゆずの香りが広がる贅沢な一品となります。
さらに、「ゆずの香りが広がる白菜と里芋の煮物」は、ゆずの皮をたっぷり使った優しい味わいで、幅広い年齢層に喜ばれるでしょう。和洋折衷の「かぼちゃとゆずの麹グラタン」は、塩麹がかぼちゃの甘みを引き立て、ゆずの爽やかな香りが全体を引き締める、おしゃれな一皿です。
そして、ゆず果汁を搾った後の皮も無駄にしない「柚子練り」は、刻んだ皮に砂糖などを加えて作る、お茶請けや料理の隠し味にも使える万能な一品です。体を温める麺料理や鍋料理では、「鶏の旨味とゆずの香り際立つ麺料理」として、以前紹介した「ゆずの鶏塩うどん」は、すりおろしたゆずの皮と調味料を鶏肉に揉み込んで調理するため、鶏肉にゆずの香りが深く染み込み、鶏の旨味とゆずの爽やかな風味が調和したあっさりとした味わいが特徴です。
これに加えて、以前紹介した「鶏ねぎゆず蕎麦」は、鶏の旨味に加え白だしを使うことで、手軽にワンランク上の蕎麦の味を楽しめます。また、「シンプルながら奥深い『ゆず塩鍋』」は、以前紹介した「シャキシャキ野菜のゆず塩鍋」のように、薄切りの豚肉と千切り野菜を合わせ、鍋つゆにゆずの皮を入れ、仕上げにゆず果汁をかけることで、ゆずの爽やかな酸味と香りが食欲をそそり、野菜をたっぷり摂れるヘルシーな鍋として楽しめます。
以前紹介した「ゆず塩鍋」では、簡単な調味料で豚こま肉でも奥深い味わいに仕上がる点が強調されており、お好みで唐辛子を加えてアレンジするのもおすすめです。最後に、特別な日に彩りを添えるゆずご飯ものとして、「季節の香り豊かな舞茸ご飯」は、野菜やきのこなど具材たっぷりの炊き込みご飯に醤油麹がしみじみとした深い味わいを加え、ゆずを添えることで香り豊かな一品になります。
また、「豪華絢爛!カニとサーモンのゆず香るお寿司」は、市松模様が美しいカニとスモークサーモンのお寿司にゆずの皮や果汁を使うことで、爽やかな和の香りが立ち、ホームパーティーなどのおもてなしにも最適です。そして、お正月の定番である「香り華やかなゆず入りの五目なます」は、干し椎茸のうま煮やいなり煮、ゆずなどが入った見た目も美しく、香りも良い贅沢な一品で、冷凍保存も可能なので作り置きにも便利です。
甘酸っぱい誘惑:ゆずを使った絶品スイーツ&ドリンク
ゆずは、その爽やかな酸味と豊かな香りを生かして、様々なスイーツやドリンクに形を変えます。ここでは、ゆずの魅力を心ゆくまで楽しめるスイーツとドリンクのレシピをご紹介します。まず、ゆずを大量に消費したい時に最適なのが「ゆずジャム」です。
パンやヨーグルトに添えるだけでなく、お湯に溶かしてゆず茶にしたり、炭酸水で割ってゆずソーダにしたりと、様々な楽しみ方ができます。手作りゆずジャムの基本レシピでは、ジャムを煮詰める際に下茹でしたゆずの皮を加えることで、より風味が強くなり、皮の苦味を抑えた仕上がりになります。ゆずの皮と果汁の量に合わせて砂糖の量を調整することで、自分好みの甘さに仕上げることができ、ゆずを大量消費したい時に最適です。
また、少量のゆずで手軽にジャムを作るなら「レンジで手軽に作るゆずジャム」がおすすめです。皮、果汁、調味料を混ぜ合わせてからレンジで加熱するだけで完成し、砂糖のほかにはちみつも使うことで、加熱時間が短くてもコクのある甘味のゆずジャムに仕上がります。
さらに、ゆずがたくさん手に入ったら作っておきたいのが「簡単なゆずシロップ」です。ジャムの代わりにしたり、お湯に溶かしてゆず茶にするなど、様々な使い道があり、作り方も簡単です。
また、「輪切りゆずのはちみつ漬け」は、輪切りにしたゆずをはちみつに漬け込むだけで、果肉も無駄なく使えます。ゆず茶としてはもちろん、紅茶に入れても美味しく、お菓子作りにも重宝します。
ゆずの爽やかさが際立つデザートとしては、まず「冷凍保存可能なゆずピール」があります。ゆずの皮を下茹でしたり、砂糖を加えて煮た後に乾燥させることで作られ、そのままお茶請けにしても、お菓子作りの材料にしても美味しく、一度作ったら冷凍保存しておけば長く楽しめます。オレンジピールやレモンピールの代わりにも使え、温かい甘酒に浮かべて風味をアレンジするのもおすすめです。
次に、「ホットケーキミックスで簡単!ゆずのパウンドケーキ」は、生地にすりおろしたゆずの皮を混ぜ込み、焼き上がったケーキの表面にはゆず果汁入りのシロップを塗ることで、甘さ控えめで朝食にもぴったりの一品となります。ホットケーキミックスを使うため手軽に作れるのが魅力で、アーモンドスライスをプラスするとより風味豊かに仕上がり、冷凍して好きな時に楽しむこともできます。
その他にも、ゆずジャムや果汁を使って簡単にできる「爽やかゆずゼリー」は、柔らかな口当たりでとろける美味しさ。和洋問わず食後のデザートに最適です。
「ババロア風ゆずヨーグルトデザート」は、ゆずジャム(ゆず茶)を使って作る、和洋どちらにも合うデザートで、ハンドミキサーで混ぜることでババロアのような食感になります。
「濃厚なクレーム・オ・ユズ(柚子クリーム)」は、シフォンケーキやパンケーキに添えたり、パンに塗ったりと、様々な用途に使える贅沢なクリームです。「ゆず茶を使ったシフォンケーキ」は、余ったゆず茶を活用するのにおすすめのレシピで、生クリームを添えればリッチなティータイムを演出できます。
「大人向けのゆずとチョコレートのサバラン」は、ゆずとブランデーが香る大人のスイーツで、ゆずと相性の良いチョコレート風味がたまらない美味しさで、お酒好きな方にも喜ばれます。
「和の趣も!黒豆とゆずのチーズケーキ」は、黒豆煮とゆずがよく合う、少し和風のチーズケーキで、市販の黒豆煮を使えば手軽に作ることができ、断面も美しくおもてなしにもぴったりです。さらに、白玉粉を使ってレンジで簡単にできる
「もっちりゆず餅」は、ゆず茶やゆずジャムをまぶし、皮のすりおろしをかければ、香り高いおやつが完成します。
そして、ゆずの果汁だけでなくすりおろした皮も加える「ゆずシャーベット」は、ゆずの風味が存分に楽しめる爽やかなデザートで、脂っこい食事の後の口の中をさっぱりとさせてくれます。
心安らぐゆずドリンクとして「温まるゆずはちみつのホットドリンク」は、絞りたてのゆず果汁を使った甘酸っぱいドリンクで、仕上げに千切りにしたゆずの皮をのせることで香りが増し、はちみつの量はお好みで調整可能です。
「風味豊かな柚子ネード」は、ゆず果汁にしょうがを合わせた爽やかな風味のホットドリンクで、ほんのり効いたしょうがとゆずの香りが楽しめます。
そして、「シュワシュワ爽快!ゆずとはちみつのソーダ」は、ゆずとはちみつと炭酸水があればすぐに作れる爽やか風味のドリンクで、湯上りに飲めば忘れられない一杯となり、シュワシュワの泡とゆずの香りに幸せな気分に包まれるでしょう。
料理を華やかに演出するゆずの活用術
ゆずは、その美しい色合いと香りを活かし、料理の見た目をさらに華やかに、そして風味豊かに演出する「器」や「飾り」としても活躍します。ゆずならではの特別な使い方としておすすめなのが、「ゆず釜」です。ゆずの果肉をスプーンで丁寧にくり抜き、残った皮を器として使います。このゆず釜に、おせち料理の紅白なますや酢の物などを盛り付けると、食卓が一気に華やかになるだけでなく、盛り付けられた料理にゆずの爽やかな香りが移り、風味豊かな一品に仕上がります。さらに一手間加えて、ゆず釜の断面に切り込みを入れるアレンジもおすすめです。
これにより、より洗練された美しい器となり、おもてなしの席でも喜ばれることでしょう。また、和食では煮物、吸い物、蒸し物など、様々な料理の香り付けや彩りとして、ゆずの皮がよく使われます。単に皮を添えるだけでなく、繊細な飾り切りを施すことで、香りだけでなく見た目にも上品で華やかな印象を与えることができます。
代表的な飾り切りとしては、ゆずの皮の黄色い部分だけを薄く削いだ「へぎゆず」や、松の葉に見立てて細く切り込みを入れる「松葉ゆず」などがあります。これらの飾り切りは、料理に季節感と風情を添え、食欲をそそるだけでなく、日本の伝統的な美意識を感じさせます。お正月料理の定番であるお雑煮も、ゆずの皮を添えることで見た目が格段に華やぎます。もし飾り切りが難しいと感じる場合は、皮を細く千切りにするだけでも十分効果的です。
ただし、ゆずの皮の白い部分は苦味が強いため、黄色い部分だけを薄く削り取って使うのがポイントです。このように、ゆずは食べるだけでなく、その姿形や香りを最大限に活かして、食卓を豊かに彩るための様々な活用方法があります。
その他:ゆずの香りを贅沢に楽しむ「ゆず風呂」
ゆずの活用法は、食に関するものだけではありません。ゆずの爽やかな香りは、心身のリラックスにも効果的であり、古くから日本の冬の風物詩として親しまれているのが「ゆず風呂」です。冬至の日には、無病息災を願ってゆず風呂に入る習慣がありますが、これは単なる伝統だけでなく、ゆずが持つ様々な効能に基づいています。ゆずの皮に含まれる精油成分、特にリモネンやシトラールといった芳香成分は、温かいお湯によって揮発し、浴室いっぱいに心地よい香りを広げます。この香りは、自律神経を整え、ストレスを和らげ、心身をリラックスさせるアロマテラピー効果が期待できます。
また、ゆずには血行促進作用があるとされており、湯冷めしにくく体を芯から温める効果も期待できます。これにより、冷え性の改善や疲労回復にも役立つと言われています。さらに、ゆずの果皮にはクエン酸やリンゴ酸といった有機酸やビタミンCも豊富に含まれており、これらがお湯に溶け出すことで、肌をしっとりと保ち、美肌効果も期待できるでしょう。ゆず風呂を楽しむ際は、ゆずを丸ごと数個お湯に浮かべたり、半分に切って香りが出やすいようにしたり、また布袋などに入れて浮かべると、果肉が散らばるのを防ぎながら、ゆずの成分をしっかりと抽出できます。贅沢な香りに包まれて、日頃の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュするひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。食用としてだけでなく、このように五感で楽しめるのがゆずのもう一つの大きな魅力です。

まとめ
柚子は、その清々しい香りと爽やかな酸味に加え、果皮から果汁、そして種まで、そのすべてを余すことなく活用できる、日本が誇る柑橘類です。ここでは、柚子の基礎知識に始まり、その多様な品種、旬の時期、健康に寄与する香り成分や栄養成分について詳しくご紹介します。保存方法については、柚子を丸ごと保存する際のポイントから、果皮や果汁を長期にわたって保存するためのセミドライ加工や、製氷皿を活用した冷凍保存術まで、鮮度と香りを最大限に維持するための秘訣を伝授します。 さらに、食卓を豊かに彩る多彩なレシピもご紹介。手軽に作れる自家製ポン酢や、ご飯のお供にもおかずにもなる万能な柚子味噌、そしてピリッとした辛さが食欲をそそる柚子胡椒などの調味料は、いつもの料理を一段と引き立てます。 浅漬け、煮物、鍋料理、炊き込みご飯、お寿司といった定番の和食から、パスタ、グラタン、オムライスなどの洋食まで、柚子の風味を活かした幅広いアレンジレシピも紹介します。
デザートやお菓子作りでは、柚子ジャム、柚子シロップ、パウンドケーキ、ゼリー、シャーベット、そして大人の味わいのサバランやチーズケーキまで、甘酸っぱい魅力が詰まったレシピが満載です。 心温まるホットドリンクや爽快なソーダなど、柚子の香りを手軽に楽しめる方法もおすすめです。 さらに、料理の見た目を美しくする柚子釜や、繊細な飾り切りで彩りを添えるテクニック、心身を癒す柚子風呂といった、食以外の側面からも柚子の魅力に迫ります。 このガイドでご紹介した幅広い柚子の活用方法とレシピを参考に、旬の柚子をまるごと使いこなし、その豊かな恵みを日々の生活に取り入れてみてください。きっと、新たな発見と食の楽しみが広がるはずです。
柚子の皮、果肉、種はそれぞれどのように活用できますか?
柚子は、皮、果肉、種子のすべてに利用価値があります。皮はその独特のさわやかな香りを活かして、料理の風味づけや飾りつけ(へぎ柚子や松葉柚子など)、ジャム、ピール、柚子味噌、柚子胡椒といった調味料、さらには柚子釜として器としても使われます。 果肉から得られる果汁は、ポン酢やドレッシング、柚子茶や柚子ソーダなどのドリンク、ゼリーやシャーベットといった甘酸っぱいお菓子に最適です。種子にはペクチンが豊富に含まれており、化粧水や入浴剤、ジャムのとろみをつける際に活用できます。
柚子の保存方法で、特に香りを長持ちさせるコツは何ですか?
柚子の香りをできるだけ長く保つためには、乾燥と酸化を防ぐことが大切です。丸ごと保存する場合は、一つずつキッチンペーパーで丁寧に包み、さらに密閉できる保存袋やラップでしっかりと包んで冷蔵庫の野菜室で保管します。 皮を長期保存したい場合は、薄く剥いて細かく切り、天日で半日ほど乾燥させてセミドライの状態にしてから、保存袋に入れて冷凍庫で保存すると香りが凝縮されます。 果汁は、絞った後すぐにガラス瓶に入れて冷蔵保存するか、製氷皿で凍らせて小分けにして冷凍保存すると便利です。
柚子は食用の他にどのような使い道がありますか?
柚子は、食用以外にもその香りや成分を活かした様々な用途があります。最も広く知られているのは「柚子風呂」で、冬至の日に柚子を湯船に浮かべることで、体を温め、リラックス効果や美肌効果が期待できます。 また、柚子の種から抽出されるペクチンを利用して、手作りの化粧水や入浴剤を作ることもできます。 さらに、鬼柚子や獅子柚子といった大型の柚子は、その独特な形状から観賞用としても楽しまれています。 柚子の皮は、和食の盛り付けにおいて「柚子釜」として料理の器として使われたり、「へぎ柚子」や「松葉柚子」のように飾り切りとして料理に彩りを添えるためにも使われます。
食卓を彩る、簡単でおすすめのゆず料理レシピはありますか?
手軽に作れて食卓が華やぐゆず料理として、「ゆず大根」はいかがでしょう。ゆずの皮と果汁を活かした漬けダレで簡単に作ることができ、食感も楽しい箸休めに最適です。「厚揚げのゆずあんかけ」は、香ばしく焼き上げた厚揚げに、ゆずの香りが心地よいあんをかけるだけで、ちょっとしたおつまみにもなります。特別な日の食卓には、「ゆず風味の五目なます」や、見た目も美しい「カニとサーモンのゆず手まり寿司」もおすすめです。ゆずならではの清々しい香りと彩りが、普段の食卓をより一層豊かなものにしてくれるでしょう。
ゆずジャムやシロップ以外に、ゆずをたくさん使えるデザートや飲み物のアイデアは?
ゆずを大量に消費できる、ジャムやシロップ以外のアイデアもたくさんあります。「ゆずハニー」は、スライスしたゆずをハチミツに漬け込むだけで、ゆず茶や紅茶に入れたり、お菓子作りに利用できます。「ゆずピール」は、冷凍保存も可能なので、お茶請けやお菓子作りに便利で、長期保存もできます。また、ゆずジャムや果汁を使った「ゆずゼリー」や、ゆずジャムやゆず茶をアレンジした「ゆずヨーグルトババロア」もおすすめです。飲み物としては、ゆずとハチミツを炭酸水で割った「ゆずハニースカッシュ」が、暑い季節にぴったりの爽やかなドリンクです。