太陽の恵みをたっぷり浴びて育った、糖度を極めた絶品トマト。一口食べれば、まるでフルーツのような甘みが口いっぱいに広がります。近年、その濃厚な味わいと栄養価の高さから、高糖度トマトは多くの人々を魅了し続けています。この記事では、高糖度トマトの定義、栽培のポイント、おすすめ品種を徹底解説。家庭菜園でも挑戦できる、甘さを最大限に引き出す栽培の秘訣もご紹介します。さあ、極上の甘さを追求する、トマトの世界へ飛び込みましょう!
高糖度トマトとは?定義と付加価値の源泉
高糖度トマトに明確な定義や基準はありませんが、一般的には糖度8度以上のものを「高糖度トマト」として販売することが多いです。糖度8度以上という数値は、一般的なイチゴに匹敵する甘さであり、消費者に強い印象を与えます。店頭でよく見かける「フルーツトマト」という名称は、特定の品種名ではなく、栽培方法を工夫して糖度を高めたトマトの総称です。具体的には、トマトへの水分供給を極力抑え、完熟させることで糖度と酸味を凝縮させます。この水分を制限する栽培方法が、トマト本来の旨味や甘みを最大限に引き出し、フルーツのような濃厚な味わいを生み出す秘訣なのです。
高糖度トマトは、生産者が栽培方法を工夫し、独自のブランドを確立することで、一般的なトマトよりも高い価格で販売されています。静岡県産の高糖度トマト「アメーラ®」は、その優れた品質と味わいにより、スーパーや百貨店のバイヤーから高い評価を得ています。2017年に日本政策金融公庫が行ったトマトの消費動向調査では、半数以上の消費者が「一般的なトマトより高くても高糖度トマトを購入したい」と回答しており、高糖度トマトに対する消費者の期待と需要の高さが明確に示されています。高糖度トマトの栽培は、一般的なトマト栽培よりも高度な技術と管理が求められますが、高い販売価格と収益性が期待できるため、農業経営の安定化や生産者の収入向上に貢献します。消費者のニーズに応えつつ、農業経営に新たな可能性をもたらす魅力的な選択肢と言えるでしょう。
高糖度トマト栽培の要:糖度を高めるメカニズムと栽培技術
高糖度トマトの美味しさを左右する主な成分は、ブドウ糖や果糖といった単糖類です。しかし、トマトは本来、果実に糖を蓄える能力が低い植物であるため、高糖度を実現するためには特別な栽培管理が不可欠です。糖度を高めるための栽培管理は、主に以下の2つの方法で行われます。
糖度向上のための二つの主要な方法
一つ目は、根域の水分量を低く保つ(水分ストレスを与える)方法です。この方法では、与える水の量を厳密に管理し、根の周りの水分量を意図的に制限します。この水分ストレスによって、植物は水分を求めて根を深く張り、土壌中の養分を効率的に吸収しようとします。水分管理を効果的に行うためには、土壌水分センサーが役立ちます。また、遮根シートや防根透水シートを使用して根の範囲を制限することで、土壌水分をより適切に把握し、コントロールできます。この方法は、水はけの良い土壌での栽培が前提となり、主に土耕栽培において、植物に水分ストレスを与え、果実の糖度向上に貢献します。
二つ目は、高濃度の培養液を使用し、根域の肥料濃度を高める方法です。この方法は、土を使わずに培養液でトマトを栽培する養液栽培で特に有効です。養液栽培では、トマトの成長に必要な窒素、リン酸、カリウムなどの栄養素を、通常よりも高濃度で配合した培養液を根に供給します。研究により、トマトに高濃度の培養液を与えることで、葉で生成された光合成産物(糖分など)が果実へ効率的に運ばれることがわかっています。さらに、果実内部で糖代謝酵素の活性が高まり、果実中の糖分の生成と蓄積が促進されることも明らかになっています。養液栽培では、水分ストレスの付与と高濃度培養液の使用を組み合わせることで、果実の糖度を最大限に高めることができます。
高糖度トマト栽培で成功するためのポイント
高糖度トマト栽培では、糖度を上げるために、一般的なトマト栽培とは異なる管理が求められます。高糖度化を図ると、果実のサイズは通常、小さくなる傾向にあります。これは、糖分が凝縮されることによる自然な現象です。栽培方法としては、1段目から3段目までの果房を収穫する「低段栽培」が推奨されます。低段栽培は、果実の糖度を均一に保ち、果実の大きさのばらつきを抑えることができるためです。しかし、収穫できる果房数が限られるため、単位面積あたりの植え付け密度を大幅に増やす必要があります。通常の2倍から5倍の密度で栽培し、多作することで、全体の収穫量を確保し、安定した収益につなげます。ここで言う果房とは、複数の果実が房状に実る部分のことです。
厳選!トマト品種カタログ:280種以上の中から選ぶおすすめ品種
トマトは、世界中で栽培されている人気の野菜です。日本国内だけでも、280を超える品種が登録されており、その多様性は目を見張るものがあります。用途に応じて、生食用、調理用、加工用に分けられ、特に日本では生食用の品種が豊富に開発されています。果実の色も、桃色系、赤系、緑系など様々で、大きさも大玉、中玉(ミディ)、小玉(ミニ/チェリートマト)と多岐にわたります。高糖度トマト栽培においては、品種選びが非常に重要です。栽培のしやすさ、品質の安定性、そして消費者の好みを考慮して最適な品種を選ぶ必要があります。ここでは、スーパーなどでよく見かける定番品種から、特に糖度が高いことで知られる品種まで、ハウス栽培にも適したおすすめのトマト品種を、サイズ別に厳選してご紹介します。
1. 大玉トマト:おすすめ品種
大玉トマトとは、一般的に果重が100g以上のものを指します。中には200gを超えるものもあります。日本市場では、桃色系の品種が主流で、「桃太郎」や「ファースト」、「りんか®409」などが代表的な品種として広く栽培されています。
桃太郎:味と品質のバランスが取れた定番品種
「桃太郎」は、1985年に初代が登場して以来、日本で最も多く生産されている桃色系の大玉トマトの代表的な品種です。完熟してから収穫しても、輸送中の傷みが少なく、店頭での日持ちが良いという特徴を持っています。果実は丸みを帯びた腰高の形状で、平均果重は約200gです。糖度と酸味のバランスが良く、濃厚な味わいが楽しめます。果肉がしっかりとしているため、サラダやスライスなどの生食はもちろん、スープや炒め物などの加熱調理にも適しています。タキイ種苗が開発した「桃太郎」シリーズは、20種類以上のラインナップがあり、岡山県、福島県、北海道など、日本全国で栽培されています。夏秋トマトとして、主に6月から12月にかけて収穫されますが、様々な作型に対応しているため、一年を通して市場に流通しています。
ファースト:昔ながらの風味が魅力の伝統品種
「ファースト」は、時代を遡ること昭和初期、愛知県で誕生しました。その由緒ある歴史から、「あいちの伝統野菜」としての認定を受けている、由緒正しい桃色系の大玉トマトです。平均的な重さは約230gで、先端が尖った独特のフォルムが目を引きます。甘みと酸味の絶妙なハーモニーが特徴で、「昔ながらのトマトの風味」を求める人々から愛されています。また、皮が薄く、果肉内部のゼリー状の部分が少ないため、カットしても形が崩れにくいという長所があります。そのため、サンドイッチの具材や、トマトスライスなど、形状を維持したい料理に最適です。かつては日本を代表する品種として広く栽培されていましたが、栽培の難易度が高く、輸送時の繊細さから、現在では比較的珍しい品種となっています。主に愛知県をはじめとする各地で、冬春トマトとして栽培され、12月から5月にかけて旬を迎えます。
りんか®409
「りんか®409」は、完熟状態で収穫されても、その鮮度を長く保つことができるように開発された、桃色系の大玉トマト品種です。特に、気温が高い時期でも安定して実をつける能力に優れており、厳しい環境下でも安定した収穫が期待できる点が強みです。果実は、腰高で丸みを帯びており、皮と果肉の色は、一般的な桃色系トマトよりも濃い赤色をしています。肉質はきめ細かく、少しねっとりとした食感が特徴で、強い甘みと程よい酸味が調和し、濃厚で奥深い味わいを堪能できます。生のまま食べるのはもちろん、その豊かな風味はパスタソースなどの加熱料理にも最適です。露地栽培と水耕栽培の両方に対応できるため、日本全国で広く栽培されています。さらに、病気への抵抗力が強いため、農薬の使用を減らした栽培にも適しており、環境に配慮した農業に取り組む生産者からも支持されています。収穫時期は地域や栽培方法によって異なりますが、主に夏秋トマトとして6月から11月頃に出荷されます。
サンロード
「サンロード」は、完熟状態で収穫された後も、その優れた保存性を維持し、さらに果実が割れにくく、病気にも強い特性を持つように開発された、桃色系の大玉トマトです。果実は腰高で丸みを帯びた形状をしており、平均的な重さは150gから250g程度で、比較的大きめのサイズに育ちます。果肉は柔らかく、非常にジューシーで、強い甘みと適度な酸味がバランス良く感じられ、口の中に豊かな旨味が広がります。その独特の風味と食感は、生食はもちろん、トマトジュース、リゾット、カレーなど、様々な加工や加熱調理に活用できます。多様な病害に対する抵抗力を持っているため、農薬の使用量を減らした栽培にも適しており、環境への負荷を低減した農業を目指す生産者から支持されています。日本全国で栽培されており、特定の地域では「サンロード」をブランド化して販売している事例も見られます。主に夏秋トマトとして栽培され、6月から11月頃が収穫時期ですが、栽培方法を工夫することで、初夏や初冬にも出荷している地域もあり、比較的長い期間市場で見かけることができます。
パルト
「パルト」は、サカタのタネが手がける「王様トマト」シリーズの一員として開発された、桃色系の大玉トマトであり、赤く熟した状態で出荷される点が大きな特徴です。果実は腰高で丸みがあり、平均的な重さは約200g程度に成長します。果肉は硬めで、シャキシャキとした独特の食感が特徴で、強い甘みと適度な酸味のバランスがとれた、洗練された味わいが魅力です。果肉がしっかりとしているため、形が崩れにくく、トマトカップサラダや、おでんの具材として丸ごと使用しても、見栄えが良く、料理の幅を広げます。主に夏秋トマトとして全国的に栽培されており、早熟栽培が可能な品種であるため、通常の収穫時期よりも約1ヶ月早く、5月から10月頃に出荷されることが多いです。
ルネッサンス
「ルネッサンス」は、その名の通り、鮮やかな赤色が目を引く大玉トマトです。先端が少し尖った形状は、まるでファーストトマトを彷彿とさせます。半分に切るとハート型に見える可愛らしさも人気の秘密です。平均的な重さは150g程度で、皮は薄く、果肉はしっかりとしていて、ゼリー状の部分が少ないのが特徴です。フルーツトマト栽培で水分を制限して栽培されることもありますが、通常の栽培方法で育てられた「ルネッサンス」は、甘みと酸味の絶妙なバランスが楽しめます。愛知県農業総合試験場とサカタのタネが共同で開発した品種で、愛知県設楽町の名倉地区では特産品として親しまれています。主に8月から10月にかけて収穫される夏秋トマトです。
2. 中玉トマトの品種(ミディトマト)
中玉トマトは、重さが30g~60g程度、直径が4cm~5cm程度のトマトを指し、「ミディトマト」と呼ばれることもあります。栽培方法を工夫することで糖度を高めた「フルーツトマト」としても多く栽培されており、房ごと収穫できる品種も増えてきました。一口で食べやすいサイズと、調理への使いやすさから、近年ますます需要が高まっています。
フルティカ
「フルティカ」は、鮮やかな赤色と丸みを帯びた形が可愛らしい中玉トマトです。平均的な重さは40g~50g程度で、糖度は7度~8度と高く、酸味が少ないため、濃厚な甘みとコクが際立ちます。まるでフルーツのような贅沢な味わいが魅力です。なめらかで弾力のある果肉と、口に残りにくい薄い果皮も特徴で、ゼリー状の部分が少ない点も評価されています。生でそのまま食べるのはもちろん、ピザのトッピングやカプレーゼなど、さまざまな料理にも適しています。また、実が割れにくい性質を持つため、夏から秋にかけての露地栽培にも適しています。日本各地で栽培されており、露地栽培やハウス栽培によって一年を通して出荷されています。1つの房にたくさんの実がつくため、房ごと販売されることも多く、その見た目の美しさも人気を集めています。
レッドオーレ
「レッドオーレ」は、濃い赤色と真ん丸な形が印象的な中玉トマトです。平均的な重さは約50gで、ピンポン玉くらいの大きさです。糖度が非常に高く、酸味がほとんどないため、とろりとした食感とともに、フルーティーで濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。生のまま焼いて旨味を凝縮させたり、肉と一緒に煮込んだりする加熱調理にも最適です。同じ「オーレ」シリーズには、薄黄色の「イエローオーレ」やオレンジ色の「オレンジオーレ」もあり、食卓を彩り豊かに演出できます。さまざまな栽培方法に対応できるため、全国各地で栽培され、一年を通して市場に出回っています。特に静岡県清水区の三保・駒越地区は、温暖な気候を活かしたハウス栽培で知られ、9月中旬から6月下旬にかけて出荷されています。
シンディースイート
「シンディースイート®」は、目を引く鮮やかな色合いと美しい光沢を持ち、やや縦長の丸みを帯びた形状が特徴的な、秀でた外観の中玉赤色トマトです。平均的な重さは約40g、糖度は平均して9度と非常に高く、それに調和する適度な酸味があるため、まるで高級なフルーツのような、洗練された味わいが楽しめます。果皮はやや厚めで、果肉はしっかりとしており、満足感のある食感が得られます。そのまま生で食べるのはもちろん、サラダのメイン食材として、また、ピクルスやマリネ、さらには加熱調理にも適しています。実割れしにくく、日持ちが良いことに加え、トマトモザイクウイルスや葉かび病など、多くの病気に対して抵抗力を持つため、農薬の使用を抑えた栽培にも適しており、生産者にとっても扱いやすい品種です。同じシリーズには、オレンジ色の「シンディーオレンジ」も存在します。山形県、新潟県、北海道など、様々な地域で栽培され、主に6月から11月にかけて収穫・出荷される夏秋トマトとして、市場に流通しています。
華クイン
「華クイン」は、深みのある赤色と美しい輝きを放ち、縦長の球形で先端がわずかに尖った、非常に整った形状が魅力的な中玉赤色トマトです。平均的な重さは約40gで、高い糖度に加え、バランスの取れた酸味と濃厚な旨味が感じられるため、非常に調和の取れた、豊かな風味が特徴です。果皮が薄いため、口の中に残りにくく、まるでデザートやおやつのように気軽に食べられることから、サラダやお弁当の彩りとしても重宝されています。富山県、長野県、山形県など、日本各地で栽培されており、特に新潟県の魚沼・十日町地域では、「華クイン」が豊富なカルシウムとビタミンCを含んでいることから「カルビタ」と名付けられ、昼夜の寒暖差を活かして高い糖度で栽培され、地域ブランドとして確立されています。主に夏秋トマトとして6月から11月にかけて収穫・出荷さます。
カンパリ
「カンパリ」は、1990年代にオランダから日本に導入された中玉トマトであり、ヨーロッパ、カナダ、メキシコなど、世界中で広く栽培されている品種です。果実は真ん丸い球形で、重さは40gから50g程度です。果肉は程よく締まっており、果皮にハリがあるのが特徴です。糖度に加え、適度な酸味も含まれているため、トマトらしい爽やかでバランスの取れた風味が楽しめます。特に冬に栽培されたものは、糖度がさらに高まり、濃厚な味わいになる傾向があります。そのしっかりとした果肉と風味は、パスタソース、グリル、煮込み料理など、加熱調理にも最適です。ヨーロッパでは房付きで収穫されることが一般的ですが、日本では一つずつ収穫され、出荷されています。北海道、千葉県、神奈川県、大分県、熊本県など、日本全国で栽培されており、ハウス栽培や露地栽培など、様々な栽培方法に対応しているため、一年を通して市場に出回っています。
シシリアンルージュ
「シシリアンルージュ」は、イタリアで生まれた調理用の中玉トマトで、直径4cmから5cmほどの細長い形状をしており、重さは20gから30g程度の赤色系の品種です。甘みに加え、程よい酸味があり、特に旨味成分であるグルタミン酸が豊富に含まれているのが特徴です。さらに、機能性成分として知られるリコピンやプロリンも多く含んでいます。加熱することでこれらの旨味成分が凝縮されるため、オリーブオイルで炒めるなど、シンプルな調理法でも本格的で深みのある味わいを堪能できます。この品種は、育種家であるマウロ氏の名前にちなんで、「マウロの地中海トマト」シリーズとして日本で展開されています。長野県、群馬県など、各地で栽培されており、幅広い栽培方法に対応しているため、一年を通して市場に出回りますが、旬は6月から9月です。
サラダプラム
鮮やかな赤色が目を引く「サラダプラム」は、卵型のユニークな形状をした中玉トマトです。重さは平均25g程度で、甘さと酸味の絶妙なバランスが特徴。口に含むと爽やかな風味が広がります。果肉とゼリーのバランスも良く、しっかりとした食感で、サラダに加えても存在感を発揮します。カゴメが独自に開発した品種で、同社の直轄および契約農家によって一年を通じて栽培されています。
3. ミニトマトの品種(チェリートマト)
ミニトマト、別名チェリートマトは、重さ10gから30g、直径1cmから3cmほどの小さなトマトを指します。その魅力は、一口で食べられる手軽さと、色や形のバラエティに富んでいること。特に赤色のミニトマトは、大玉トマトと比較して栄養価が高い傾向があります。ちなみに、かつて親しまれた「プチトマト」は、昭和50年頃にタキイ種苗が、ベランダで家庭菜園を楽しめるように販売した種の名称です。同種は2007年に販売終了しました。
アイコ
ミニトマトの代表的な品種の一つ「アイコ」は、細長い卵型と鮮やかな赤色の光沢が印象的です。重さは約20g、長さは3cmから4cm程度。糖度が高く酸味が少ないため、非常に甘く食べやすいのが特徴です。果肉は厚めでゼリー部分が少ないため、なめらかで濃厚な味わいが楽しめます。サラダやマリネとしてそのまま食べるのはもちろん、加熱しても煮崩れしにくいので、様々な料理に活用できます。栽培のしやすさから全国で栽培されており、一年を通して安定供給されています。また、「イエローアイコ」や「オレンジアイコ」、「チョコアイコ」など、豊富なカラーバリエーションがあり、食卓を華やかに彩ります。
千果(チカ)
ミニトマトの定番品種として知られる「千果(チカ)」は、鮮やかな赤色と美しいツヤが特徴です。直径約3cmの丸い形で、重さは15gから20gほど。高い糖度と程よい酸味のバランスが絶妙で、日本人の味覚に合う濃厚な味わいが楽しめます。緻密な果肉と少ないゼリー、薄い皮が特徴で、口当たりが良く、食味の良さで高い評価を得ています。彩り豊かでお弁当にもぴったり。甘みが強いため、デザートとしてそのまま食べるのはもちろん、パウンドケーキなどのスイーツ作りにも適しています。栽培のしやすさも魅力で、異常主茎の発生が少なく、トマトモザイクウイルスや萎凋病などの病害にも強いため、安定した栽培が可能です。全国各地で栽培されており、一年を通して市場に出回っています。濃い黄色の「オレンジ千果」も人気です。
フラガール
「フラガール」は、鮮やかな赤色と、長さ4cmほどの縦長楕円形が目を引くミニトマトです。重さは18gから24g程度で、口にした瞬間、濃厚な甘みと爽やかな酸味が絶妙に調和した、まるでフルーツのような味わいが広がります。特筆すべきは、その食感。プリッとしたハリのある皮と、シャキシャキとしたクリスピーな歯ごたえが、食べる楽しさを倍増させます。サラダやパスタの彩りとしてはもちろん、冷やしてそのまま食べるのも格別です。ヘタ離れが良い性質も持ち合わせているため、調理がしやすく、果実だけを収穫して出荷されることもあります。主に夏から秋にかけて旬を迎え、各地で栽培されています。6月から11月頃まで販売されていて、濃い黄色の「フラガールオランジェ」という品種も人気です。
キャンディドロップ
「キャンディドロップ」は、可愛らしい赤色と、直径3cmから4cm程度のプラムのような形が特徴的なミニトマトで、重さは15gから22g程度です。この品種の最大の魅力は、何と言ってもその圧倒的な甘さ。糖度が12度を超えることもあり、まるでフルーツを食べているかのような、濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。パリッとした皮と、サクッとした果肉の食感が、甘さを一層引き立て、忘れられない味わいを生み出します。この極上の甘さを最大限に楽しむには、生のまま食べるのが一番のおすすめ。デザート感覚で楽しむことができます。また、フルーツサラダに加えることで、鮮やかな赤色と甘みがアクセントになり、料理全体の見た目と味を格段に向上させます。主に夏秋トマトとして栽培され、6月から11月頃に収穫・出荷されます。
ピンキー
「ピンキー」は、やや縦長の丸い形をしており、直径は約26mm、重さは15~20g程度です。一般的な真っ赤なトマトと比べると、少し淡い色合いで、光沢があり、つややかな見た目が特徴です。皮が薄くて柔らかいため、口に残る感じがなく、非常に食べやすいのが魅力です。糖度が高く、酸味は控えめなので、甘みと酸味のバランスが絶妙で、大玉トマトに似た風味と食感を楽しめます。そのまま丸ごと食べるのが最もおすすめです。様々な栽培方法に適応できるため、日本全国で栽培されており、一年を通して市場に出回っています。「ピンキーカクテル」は、この「ピンキー」を改良して作られたミディトマトの品種です。
アンジェレ
「アンジェレ」は、ヨーロッパ生まれのミニトマトで、デーツのような細長い形をしており、ヘタを取らずに収穫されるのが特徴です。糖度は8度程度と高く、酸味が少ないため、豊かなうま味を感じられます。皮は少し硬めで、果肉はしっかりとしており、ゼリー状の部分が少ないため、サクッとした食感で食べ応えがあります。生のまま食べるのはもちろん、マリネやピクルス、肉巻きなどの加熱調理にも適しています。JA全農が開発したオリジナル品種で、契約したJAの生産者のみが栽培しており、全国統一の品質基準を満たしたA品のみが出荷されています。東日本では秋冬トマトとして、西日本では冬春トマトとして栽培されています。
ロッソナポリタン
鮮やかな赤色が目を引く「ロッソナポリタン」は、直径3~4cmほどのプラム型ミニトマト。重さは10〜15gと手軽なサイズです。「マウロの地中海トマト」シリーズの一員で、中玉品種「シシリアンルージュ」をさらに小さくしたような愛らしい姿をしています。特筆すべきはその糖度で、平均9~11度と非常に高く、濃厚な甘みが楽しめます。さらに、うまみ成分であるグルタミン酸も豊富に含み、深みのある味わいを実現。健康をサポートするプロリンやリコピンといった機能性成分もたっぷりです。少し硬めの皮が特徴で、噛むほどに緻密な果肉から濃厚な甘さと旨味が溢れ出します。生でそのまま食べるのはもちろん、加熱調理にも適しており、特に絶品ナポリタンソース作りに最適です。栽培のしやすさも魅力で、沖縄から北海道まで、日本全国で栽培が可能。
乙女の涙スウィーティア
その名の通り、涙のようなユニークな形状が印象的な「乙女の涙スウィーティア」。長さは約5cmで、つややかな果皮と、ゼリー部分が少ない緻密な果肉が特徴です。プリッとした食感が心地よく、一口食べればその美味しさに魅了されます。糖度は9〜12度と非常に高く、特に旬を迎える春には、ベリーのような甘い香りが際立ちます。まるでフルーツのような甘さは、そのまま食べるのはもちろん、細長い形状を活かして、巻き寿司の具材にするなど、料理のアクセントとしても最適です。高知県の井上石灰工業が独自に開発した希少品種で、同社でのみ栽培されています。冬春トマトとして1月から6月頃に出荷されます。
好みや用途で選ぶ!目的別おすすめトマト品種
日本では、甘みが強いトマトが人気を集めており、手軽に食べられる中玉やミニトマトを中心に、高糖度品種の開発が盛んです。近年では、大玉トマトにおいても、樹上でじっくりと完熟させてから収穫することで、甘みや旨みを最大限に引き出した品種が登場しています。「トマトは青臭くて苦手」というイメージを覆すような品種も多く、消費者の選択肢はますます広がっています。トマトを選ぶ際には、糖度や酸味だけでなく、果肉の質感や皮の厚さ、そして凝縮された旨みなど、それぞれの品種が持つ個性的な味わいを考慮することが大切です。ここでは、様々な好みや用途、食べるシーンに合わせて、特におすすめのトマト品種をご紹介します。
とにかく甘いトマトが好きな人におすすめの品種
甘さを追求するなら、「キャンディドロップ」は外せません。まるでスイーツのような極めて高い糖度(12度以上になることも)を誇り、弾けるような食感とともに、濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。また、「ロッソナポリタン」も高糖度で、うまみ成分であるグルタミン酸が豊富に含まれているのが魅力です。硬めの果皮に包まれたコクのある甘さは、一度食べたら忘れられない味わいです。
さっぱりとしたトマトがお好みのあなたへ
みずみずしく、後味すっきりとしたトマトを求めるなら、「ルネッサンス」がおすすめです。果肉は比較的やわらかく、口にした時のなめらかさと、ほどよい酸味が特徴のピンク系大玉トマトです。「サラダプラム」は、その名の通りサラダとの相性が抜群。さっぱりとした風味と、シャキッとした食感は、葉物野菜にも負けません。軽やかな味わいを求めるシーンに最適です。
甘みと酸味の絶妙なバランスが魅力の品種
甘さと酸っぱさのハーモニーを大切にするなら、日本のトマトの定番「桃太郎」を選んでみましょう。しっかりとした甘さの中に、さわやかな酸味が感じられるピンク系大玉トマトです。「ファースト」は、マイルドな甘さと心地よい酸味が特徴で、「昔ながらのトマトの味」を楽しみたい方におすすめのピンク系大玉トマトです。「千果」は、凝縮された甘さと、それを引き立てる酸味のバランスが秀逸。日本人が好むトマトの味が詰まったミニトマトです。
しっかりとした食感が好きな方におすすめの品種
噛み応えのあるトマトがお好みなら、「アンジェレ」はいかがでしょうか。ヨーロッパ生まれのミニトマトで、ハリのある皮と、引き締まった果肉が特徴。デーツのようなユニークな形をしており、パリッとした食感を楽しめます。「カンパリ」は、こちらも皮がしっかりとしていて、果肉はやや硬めの中玉トマトです。トマト本来の味が濃く、食べ応えがあり、その食感の良さも人気の秘密です。
お子様にもおすすめの品種
お子様が喜んで食べてくれるトマトをお探しなら、「華クイン」がぴったりです。皮が薄く、甘みと酸味のバランスが絶妙で、とても食べやすい中玉トマトです。しかも、カルシウムとビタミンCが豊富に含まれているのも嬉しいポイントです。「ピンキー」もまた、薄皮で、甘さと酸味のバランスが良いミニトマトです。口の中に皮が残る心配がなく、やさしい味わいなので、小さなお子様でも安心して美味しくいただけます。
日本では、甘いトマトが人気を集めており、使い切りサイズの中玉トマトや、手軽に食べられるミニトマトで、糖度の高い品種が続々と開発されています。近年では、大玉トマトも樹上で完熟させてから収穫する品種が登場し、甘みや旨味が格段に向上しています。トマトは青臭くて苦手、というイメージを覆すような品種もたくさんあります。糖度と酸度だけでなく、果肉の質感、皮の厚さ、旨味など、それぞれの品種によって異なる味わいを持つトマト。ぜひ、あなたの好みや、用途、食べるシーンに合わせて、色々な品種を試してみてください。
まとめ
高糖度トマトは、その名の示す通り、高い糖度とまるで果物のような甘さが特徴であり、消費者から高い評価を受けています。明確な基準はありませんが、一般的に糖度8度以上が一つの目安とされ、「フルーツトマト」という名称で広く知られています。この高い付加価値は、水分量を調整したり、高濃度の培養液を使用したりする高度な栽培技術と、徹底した管理によって実現されており、農業経営の安定化と生産者の収入向上に貢献しています。高糖度トマト栽培は日本の農業に新たな可能性をもたらす、魅力的な選択肢と言えるでしょう。この記事が、高糖度トマトへの理解を深め、栽培や購入の参考になれば幸いです。
高糖度トマトの定義や基準は明確に定められていますか?
高糖度トマトに関して、法律などで定められた明確な定義や基準は存在しません。しかし、一般的には糖度が8度以上のトマトを「高糖度トマト」と表示して販売することが多いようです。これは、一般的なイチゴと同程度の甘さとして認識されています。
「フルーツトマト」と「高糖度トマト」は同じ意味合いで使われますか?
「フルーツトマト」は特定の品種を指す名称ではなく、トマトの水分量を極力抑え、完熟させて糖度と酸味を高めたトマトの総称として用いられます。したがって、「高糖度トマト」と「フルーツトマト」は、実質的にほぼ同じ意味合いで使われることが多いと言えます。
高糖度トマト、その甘さを引き出す栽培の秘訣とは?
高糖度トマトを作る上で重要なのは、栽培方法です。主に二つのアプローチが存在します。一つは、水の量を細かく管理し、根の周りの水分量を抑えることでトマトにストレスを与える方法です。この方法では、土壌水分センサーや特殊なシートを使用することがあります。もう一つは、土を使わない養液栽培で、トマトが必要とする栄養素を凝縮した液体肥料を使用する方法です。これらの方法により、トマトは糖分を果実に集中的に蓄え、甘さを増します。
高糖度トマト栽培におすすめの品種は?
高糖度トマトの栽培には、様々な品種が適しています。例えば、ミニトマトなら「千果」、中玉トマトなら「フルティカ」や「シンディースイート®」、そして特に甘いミニトマトとして「キャンディドロップ」が挙げられます。さらに、本記事では「ピンキー」、「アンジェレ」、「ロッソナポリタン」、「乙女の涙スウィーティア」など、様々なミニトマト品種についても詳しく解説します。これらの品種は、栽培のしやすさ、品質の高さ、消費者の好みに合わせて選ばれています。