柑橘界に現れた新たな星「紅プリンセス」。愛媛県農林水産研究所が「紅まどんな」と「甘平」を交配し、長い年月をかけて開発したオリジナル品種です。美しい紅色、濃厚な甘み、とろけるような食感は、まさに柑橘のプリンセス。2025年からの本格販売を控え、市場に出回る量はまだ少ないですが、そのポテンシャルは未知数です。本記事では、みかんの新たな可能性を秘めた「紅プリンセス」の魅力に迫ります。
紅プリンセスの特徴

紅プリンセスは、その両親である「紅まどんな」と「甘平」の美点を余すところなく受け継いでいます。外観は紅まどんなを彷彿とさせる、なめらかな雫型で、鮮やかな赤みがかったオレンジ色の果皮が特徴です。手に取ると、ずっしりとした重みに、果肉の詰まり具合が感じられ、プルンとした弾力に期待が高まります。一口食べると、果汁が口いっぱいに広がり、ゼリーのようなとろける食感が楽しめます。紅まどんなを凌ぐ甘さと、甘平の濃厚な甘さを兼ね備え、酸味が少ないため、より甘さが際立ちます。薄い内皮と種なしであることも魅力で、手軽にそのまま味わえます。オレンジを思わせる、爽やかで上品な香りも楽しめます。
開発ストーリー:17年の歳月をかけた開発
「紅プリンセス」は、17年もの歳月をかけて開発された、愛媛生まれの新品種みかんです。開発には長期にわたる試験や栽培研究が行われ、自然災害を乗り越えながら、ついに品種登録に至りました。
2005年|交配スタート
紅プリンセスの開発は、平成17年(2005年)に交配が行われたことから始まりました。 愛媛県農林水産研究所 果樹研究センター「みかん研究所」で、さまざまな選抜や試験栽培が行われました。
出典:愛媛県『"愛媛果試第48号"の品種特性』 https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/2253.pdf
2018年|西日本豪雨による大打撃
平成30年(2018年)の西日本豪雨により、「みかん研究所」がある愛媛県宇和島市吉田町は甚大な被害を受けました。
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傾斜地に土砂が流入し、樹が流失
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試験ハウス2棟が全壊
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土砂が堆積し、栽培試験の継続が困難に
このような状況下でも、研究者たちは復旧と研究継続に尽力しました。
2022年|ついに品種登録
令和4年(2022年)6月9日、ついに紅プリンセスは品種登録されました。 交配から17年、多くの試練と努力を経て、ついに市場に送り出される日を迎えました。
出典:愛媛県『"愛媛果試第48号"の品種特性』 https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/2253.pdf
被災を乗り越えた開発陣の情熱
研究施設が甚大な被害を受ける中でも、「紅プリンセス」の開発をあきらめなかった研究者たちの熱意と努力が、この品種には込められています。紅プリンセスは、単なる新品種ではなく、困難を乗り越えた開発ストーリーそのものです。
紅プリンセスの旬な時期
紅プリンセスの旬は、3月中旬から4月上旬頃で、紅まどんな(12月頃)や甘平(1~2月頃)に続く、春の柑橘としてその登場が待ち望まれています。ただし、収穫時期は農家によって調整されており、2月でも美味しく味わえるものも存在します。気候や栽培環境によって味わいが微妙に変化するため、農家は最高の甘さを引き出すタイミングを見極め、収穫を行っています。
紅プリンセスの味わい方
紅プリンセスは皮が非常に薄いため、手で簡単に剥くことができます。ただし、果汁が豊富で溢れやすいので、くし形にカットして召し上がるのがおすすめです。スマイルカットよりも、くし形カットの方が、ジューシーでとろけるような果肉の食感をより一層お楽しみいただけます。薄い内皮もそのまま食べられます。冷蔵庫で冷やしてからいただくと、さらに美味しくなります。
愛媛県のみで育つ希少な紅プリンセス

紅プリンセスは、愛媛県が独自に開発したオリジナル品種であり、現在、愛媛県内でのみ栽培されています。紅まどんなや甘平と同様に、希少価値の高い柑橘として注目を集めています。市場に出回り始めたばかりで、まだ生産量は限られていますが、愛媛県を代表する柑橘として、これから全国へと広まっていくことが期待されています。
まとめ
紅プリンセスは、「紅まどんな」と「甘平」の優れた特性を受け継ぎ、ゼリーのような食感と濃厚な甘みが特徴の柑橘です。愛媛県でのみ栽培され、旬は3月中旬から4月上旬。手で剥いて食べることもできますが、くし形にカットして食べるのがおすすめです。店頭で見かけた際にはぜひ手に取って、春の訪れを感じてみてください。
質問1
紅プリンセスはどこで手に入れることができますか?
紅プリンセスは、主に愛媛県内の農産物直売所やインターネット通販サイトで購入可能です。生産量が限られているため、もし見つけたらお早めにお求めになることを推奨します。
質問2
紅プリンセスを長持ちさせるには、どのように保管すれば良いですか?
紅プリンセスは、直射日光を避け、涼しく換気の良い場所で保管するのが最適です。冷蔵保存する場合は、乾燥を防ぐためにポリ袋などに入れてください。
質問3
紅プリンセスはギフトとして贈るのに向いていますか?
もちろんです。紅プリンセスはその希少性と美しい外観から、贈り物としても大変喜ばれます。日頃お世話になっている方への特別なギフトとして、ぜひご検討ください。