食卓に彩りを添える、美しい葉野菜スイスチャードをご存知ですか?鮮やかな赤色の茎が特徴で、その見た目からは想像できないほど栄養満点な食材です。サラダや炒め物、スープなど、様々な料理に活用でき、いつもの食卓を華やかに演出してくれます。この記事では、スイスチャードの魅力と、手軽に試せる活用レシピをご紹介。見た目も味も楽しめるスイスチャードで、食卓をより豊かに彩りましょう。
赤い茎の野菜:スイスチャードとは
スイスチャードは、ヒユ科フダンソウ属に分類される葉野菜で、ホウレンソウと同じアカザ科フダンソウ属とされることもあります。「不断草」という和名は、ほぼ一年中収穫できることに由来します。暑さ、寒さに強く、栽培しやすいのが特徴です。スイスチャードの最も目を引く点は、そのカラフルな茎の色です。鮮やかな赤色や黄色、ピンク、白色、オレンジ色など、非常に多様な色彩を持っています。これらの独特な色は、ベタレインというポリフェノールの一種によって生み出されます。見た目の美しさに加え、育てやすさも魅力です。また、サラダに使われるベビーリーフミックスの中に、スイスチャードの若葉が含まれていることもあり、意外と身近な野菜かもしれません。
スイスチャードの旬
スイスチャードは、その名が示すように、真冬を除けばほぼ一年を通して収穫できます。この丈夫さが、一年中楽しめる野菜としての価値を高めています。特に出荷量が多く、美味しく収穫できるのは、初夏から秋にかけてです。この時期のスイスチャードは、色鮮やかで栄養価も高い傾向にあります。
赤い茎の野菜:スイスチャードの栄養価と鮮やかな色彩の秘密
スイスチャードには、どのような栄養成分が含まれているのでしょうか?ここでは、スイスチャードの葉を生の状態と茹でた状態、それぞれ可食部100gあたりのカロリーと主要な栄養素について詳しく見ていきましょう。
《スイスチャードの葉 可食部100gあたりの熱量》 ・生…約17kcal ・ゆで…約26kcal
《スイスチャードの葉 可食部100gあたりのタンパク質》 ・生…約2.0g ・ゆで…約2.8g
《スイスチャードの葉 可食部100gあたりの脂質》 ・生…約0.1g ・ゆで…約0.1g
《スイスチャードの葉 可食部100gあたりの糖質》 ・生…約0.4g ・ゆで…約1.6g
茹でたスイスチャードの場合、タンパク質や糖質の数値がわずかに増加しているように見えますが、これは加熱によって水分が減少し、重量が変化したためです。次に、その他の栄養成分について、生と茹でたスイスチャードの数値を比較してみましょう。
《生の赤い茎の野菜:スイスチャードの葉 可食部100gあたりの栄養成分》 ・炭水化物…約3.7g ・食物繊維…約3.3g ・カリウム…約1200mg ・カルシウム…約75mg ・鉄…約3.6mg ・マグネシウム…約74mg ・ビタミンA…約310μg ・ビタミンB₂…約0.23mg ・ビタミンB₆…約0.25mg ・ビタミンC…約19mg ・ビタミンE…約1.7mg ・ビタミンK…約180μg ・葉酸…約120μg
《茹でた赤い茎の野菜:スイスチャード100gあたりの栄養成分》 ・炭水化物…約5.4g ・食物繊維…約3.8g ・カリウム…約760mg ・カルシウム…約130mg ・鉄…約2.1mg ・マグネシウム…約79mg ・ビタミンA…約320μg ・ビタミンB₂…約0.11mg ・ビタミンB₆…約0.14mg ・ビタミンC…約7mg ・ビタミンE…約1.7mg ・ビタミンK…約220μg ・葉酸…約92μg
葉物野菜は加熱すると体積が減少し、不足しがちな食物繊維やカルシウムなどの栄養素を効率的に摂取できます。ただし、水溶性のビタミンは水に溶け出しやすいため、茹で時間を短縮したり、電子レンジを活用するなどして、栄養素の損失を最小限に抑える工夫が必要です。
スイスチャードの鮮やかな色彩は、見た目の美しさだけでなく、栄養面でもメリットをもたらします。茎のカラフルな色は、「ベタレイン」という天然色素によるものです。ベタレインには、赤紫色や黄色など様々な種類があり、これらの色素の組み合わせによって、多様な色合いの茎が生まれます。ベタレインは、見た目の美しさに加えて、高い栄養価を持つことが、スイスチャードの大きな魅力の一つです。
【出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)】
赤い茎の野菜:スイスチャードの多彩な食べ方と調理のコツ
スイスチャードの特性を理解した上で、具体的な食べ方を知りたいと思われる方もいるでしょう。ここでは、スイスチャードのカラフルな色合いを最大限に活かし、食卓を華やかにする様々な食べ方をご紹介します。生食から加熱調理まで、スイスチャードの魅力を余すところなく引き出す方法を探ってみましょう。
彩りを添える!スイスチャードのおにぎり
せっかく色とりどりのスイスチャードを使うなら、その美しい色合いを最大限に活かしたいものです。そこで、スイスチャードの葉を丸ごと使ったおにぎりはいかがでしょうか。軽く茹でたスイスチャードでご飯を包めば、見た目にも楽しいカラフルおにぎりが完成します。色鮮やかさを保つためには、スイスチャードを茹ですぎないことが重要です。葉で包んだオイルおにぎりは、柚子胡椒や塩麹、ごま油の風味が食欲をそそり、和と洋の要素を融合させた味わいを楽しめます。しっかりとした葉を持つスイスチャードならではの一品で、お弁当を美しく彩るのに最適です。さらに、おにぎりの具材としてスイスチャードの茎やしらすを混ぜ込むことで、彩りが一層豊かになり、見た目も華やかで栄養バランスも優れたお弁当にぴったりの一品になります。
新鮮な味!生で楽しむスイスチャード
スイスチャードは、若葉や内側の柔らかい葉であれば、生でも美味しくいただけます。中でも、葉とフルーツを組み合わせたおしゃれなグリーンスムージーは、手軽に栄養を補給できる朝食に最適です。ただし、大きく育ったスイスチャードの外側の葉は硬い場合があるため、生食にはあまり向きません。そのような場合は、さっと茹でたり、漬物にしたりして食べるのがおすすめです。特に浅漬けにすると、葉の緑色と茎のカラフルな色が鮮やかに混ざり合い、見た目にも美しい一品となります。
炒め物で引き立つ風味と彩り
赤い茎の野菜は、炒め物にすると持ち味を発揮します。特に優れているのは、特有のクセや青臭さが穏やかなため、他の食材の持ち味を損なわないことです。肉や魚介類、和食や中華料理など、多様なジャンルの料理に調和します。例えば、塩胡椒に加えてごま油とニンニクでシンプルに炒めると、赤い茎の野菜本来の甘味と歯ごたえを堪能でき、見た目も鮮やかです。加熱によって嵩が減るので、たっぷりの赤い茎の野菜を効率的に摂取できるのも炒め物の利点です。
赤い茎の野菜を使った多彩なレシピ
赤い茎の野菜は、その色彩豊かな見た目から、様々な料理で活躍します。赤い茎の野菜の魅力を最大限に引き出す色々なレシピを紹介します。毎日の食卓に彩りと栄養をプラスし、赤い茎の野菜の新たな美味しさを体験してみましょう。(参考:DELISH KITCHEN)
パスタ:彩り豊かで風味豊かな一皿
赤い茎の野菜は、シンプルなパスタを鮮やかに変化させます。 例えば、「赤い茎の野菜のペペロンチーノ」は、ペペロンチーノならではのニンニクの風味と相性が良く、見た目も味も楽しめます。食卓を華やかにする一品です。
「ウインナーと赤い茎の野菜のトマトソースパスタ」は、きのこたっぷりのトマト風味のソースを使ったパスタです。野菜は赤い茎の野菜のみですが、カラフルなため見た目もきれいです。ウインナーをたくさん入れれば、子供も喜ぶ栄養満点のパスタになります。
「鮮やか!赤い茎の野菜と桜海老のパスタ」では、赤い茎の野菜の茎の彩りを最大限に活かすため、炒めすぎないように手早く炒めることが重要です。桜海老と白ワインの風味が豊かで、大人におすすめのパスタです。
サラダ:食感と彩りを楽しむ
赤い茎の野菜はサラダに入れることで、食感と見た目の両方を豊かにします。 「赤い茎の野菜のシンプルサラダ」は、赤い茎の野菜とカッテージチーズを使用し、カフェ風に仕上げるレシピです。アンチョビペーストを加えたレモンドレッシングで、さっぱりといただけます。サラダ一つで、おしゃれな気分がアップします。また、軽く茹でた赤い茎の野菜を水切りし、好みのドレッシングをかけるだけで、色鮮やかで華やかな温野菜サラダとしても楽しめます。
「赤い茎の野菜とマカロニのサラダ」は、赤い茎の野菜に加えてツナ缶とマカロニを使い、食べ応えのあるサラダに仕上げています。レモンドレッシングには粉チーズを加え、コクのある味わいにしました。食卓を彩るカラフルな一品です。
和え物・おひたし・ナムル:滋味あふれる和の味
スイスチャードは、日本の食卓にもすんなりと溶け込みます。 「旨みたっぷり!スイスチャードとツナのシンプル和え」は、油を切ったツナ缶と茹でたスイスチャードを和えるだけの簡単レシピ。ごま油を少量加えることで風味と栄養価が向上し、様々なオイルでアレンジして好みの味を見つけるのも楽しいでしょう。
「塩麹の奥深い味わい!スイスチャードの和風おひたし」もおすすめです。塩麹を使用することで、素材本来の旨味が引き立ちます。鮮やかな色合いは、食卓を彩る一品として最適です。
「スイスチャードナムル」は、まるでほうれん草のように、ナムルとして美味しくいただけます。茹でて水気を絞ったスイスチャードを、ニンニクと白ごまの香りが食欲をそそる特製ダレで和えれば、普段とは一味違う副菜の完成です。シャキシャキとした食感と、ごま油の香りが食欲をそそる、彩り豊かな一品です。
ご飯もの:食卓を華やかに彩る
「スイスチャードの華やかバラちらし寿司」は、スイスチャードに加え、スモークサーモンや卵焼きなどの彩り豊かな具材をご飯と一緒に盛り付けた、見た目も美しいバラちらし寿司です。酢飯とマヨネーズのハーモニーが絶妙で、おもてなし料理にもぴったり。その美しい断面は、食卓をより一層華やかに演出します。
炒め物:シンプルながらも栄養満点
スイスチャードは、炒め物としても美味しくいただけます。 「スイスチャードと豚肉のスタミナ炒め」は、塩コショウに加え、ごま油とニンニクで風味付けしたシンプルな炒め物。鮮やかな色合いと食欲をそそる香りが特徴です。
「栄養満点!スイスチャードとベーコンの簡単炒め」は、ベーコン、オリーブオイル、チキンストックの旨味をスイスチャードと共に味わえる一品。ニンニクの風味と、仕上げに加えるリンゴ酢が味の決め手です。朝食にいただく際はニンニクを抜いても美味しく、十分な栄養と活力を得られるでしょう。
「手軽でおしゃれ!スイスチャードとコーンのシンプル炒め」は、コーンとスイスチャードをオリーブオイルで炒め、塩で味を調えるだけの簡単レシピ。黄色、緑、赤紫の色合いが美しく、食卓を楽しく彩ります。
その他:スープやキッシュなど、様々なアレンジ
「スイスチャードの彩りオープンオムレツ」は、一日の始まりに元気を与えてくれる一品。卵の黄色とスイスチャードの緑、そして茎の鮮やかな色が食欲をそそり、忙しい朝でも手軽に作れます。スイスチャードをプラスするだけで、いつもの朝食がおしゃれなカフェ風に変わります。
「スイスチャードとエビのアヒージョ風オイル蒸し」は、クセの少ないスイスチャードをオイル蒸しで美味しくいただくレシピ。ニンニクをたっぷり使用し、食欲を刺激する香りに仕上げたオイル蒸しは、おかずとしてはもちろん、お酒のお供にも最適です。食卓を華やかに彩ること間違いなしです。
「スイスチャードの滋味深いコンソメスープ」は、シンプルなコンソメスープにスイスチャードを加えることで、彩り豊かで贅沢なスープに変わります。手軽に作れるので朝食にもぴったり。野菜が苦手なお子様でも、スイスチャードの鮮やかな色合いに惹かれて食べてくれるかもしれません。
「具沢山で栄養満点!スイスチャードの贅沢キッシュ」は、ボリューム満点のキッシュにスイスチャードを加えたレシピです。加熱するとカサが減るので、たっぷりと加えても大丈夫。キノコや玉ねぎなど、お好みの具材と一緒に楽しんでみてください。
「スイスチャードの和風だしカレー」は、透き通ったスープが特徴的な、ルーを使用しない珍しいカレーです。スイスチャードのカラフルな色合いが映え、見た目にも新鮮な一皿を楽しめます。
赤い茎の野菜の育て方
スーパーでは見かける機会が少ないかもしれませんが、赤い茎の野菜は自宅で簡単に育てられます。栽培しやすい野菜なので、家庭菜園が初めての方にもおすすめです。
初心者でも簡単!種から育てるコツ
赤い茎の野菜は、暑さや寒さに強く、真冬の厳しい時期を除けば、ほぼ一年を通して栽培と収穫が可能です。特に、夏の暑い時期にも収穫できるため、これからベランダ菜園を始める方にもおすすめです。種まきの時期は、一般的に4月から10月頃までと幅広く、気軽に始められます。発芽から収穫までの期間も比較的短く、初心者でも成功体験を得やすいでしょう。赤い茎の野菜は、食用として楽しむだけでなく、茎の鮮やかな色合いから、ガーデニングのアクセントとしても人気があります。食卓を彩る食材としてだけでなく、ベランダや庭を鮮やかに飾る観賞用としても楽しむことができ、育てる楽しみと食べる楽しみの両方を提供してくれる魅力的な野菜と言えるでしょう。
まとめ
赤い茎の野菜は、ほぼ一年中収穫できる丈夫な性質を持ち、カラフルな色合いが特徴の美しい葉野菜です。鮮やかな赤や黄色、ピンク、白などの茎の色は、見た目の美しさだけでなく、豊富な栄養価も兼ね備えています。味にクセがなく、他の食材の風味を邪魔しないため、どんな料理にも合わせやすく、ゆでても炒めても美味しくいただけます。サラダや炒め物にもう少し彩りを加えたいときにぴったりで、赤い茎の野菜を加えるだけで食卓が華やかになります。今回ご紹介したレシピはどれも手軽に作れ、赤い茎の野菜の色と風味を活かした料理ばかりなので、ぜひ挑戦して食卓を豊かに彩りましょう。また、育成が容易で家庭菜園にも適しており、その美しさから観賞用としても楽しめます。赤い茎の野菜を食生活やガーデニングに取り入れて、彩り豊かに元気に過ごしてみてはいかがでしょうか。
赤い茎の野菜の別名は何ですか?
赤い茎の野菜は、地域や品種によって様々な別名で呼ばれています。特徴的な色合いや生育の様子から名付けられたものが多くあります。
スイスチャードの茎がカラフルなのはなぜ?
スイスチャードの茎に見られる、赤、黄、ピンク、白、オレンジといった鮮やかな色彩は、ベタラインと呼ばれるポリフェノールの一種が関係しています。ベタライン色素は、赤紫色系と黄色系の色素の配合比率によって、さまざまな色合いを作り出します。
スイスチャードは生のまま食べられる?
スイスチャードの若い葉や、株の内側の柔らかい葉は、サラダなど生食に適しています。グリーンスムージーの材料としても活用できます。ただし、大きく成長した外側の葉は硬いことがあるため、軽く茹でるか、浅漬けにする調理法がおすすめです。
スイスチャードの美味しい時期は?
スイスチャードは、基本的に真冬を除けば一年を通して収穫できます。中でも、市場への出荷量が多く、最も美味しいとされる旬の時期は、初夏から秋にかけてです。
スイスチャードを茹でる時の栄養キープ術は?
スイスチャードは、茹でることで食物繊維やカルシウムを効率的に摂取できます。ただし、水溶性の栄養成分は茹で汁に溶け出しやすいため、茹で時間を短くしたり、電子レンジでの加熱調理を取り入れたりすることで、栄養素の損失を最小限に抑えられます。