秋の訪れを告げる味覚、甘柿。その名の通り、口にした瞬間広がる上品な甘さは、まさに自然からの贈り物です。渋みがなく、そのまま手軽に味わえるのが魅力で、お子様からご年配の方まで、幅広い世代に愛されています。この記事では、そんな甘柿の魅力に迫り、その美味しさを最大限に引き出す食べ方や、秋の食卓を豊かに彩るレシピをご紹介します。甘柿を味わい尽くし、秋の恵みを心ゆくまで堪能しましょう。

甘柿とは?
甘柿とは、その名の通り、強い甘味が特徴的な柿の一種です。渋みが少ないため、収穫後すぐに生で味わうことができ、様々な料理やお菓子作りにも活用されています。自然に甘くなる品種であり、渋抜きの手間をかけることなく食べられるのが魅力です。
甘柿の特徴
甘柿の何よりの魅力は、その上品な甘さにあります。品種によって食感は様々ですが、一般的には果肉が柔らかく、とろけるような舌触りを楽しむことができます。歯ごたえのある食感が好みであれば、硬めの品種を選ぶのも良いでしょう。
甘柿と渋柿の違い
柿は大きく、甘柿と渋柿の二種類に分けられます。渋柿は、熟しても渋みが残るため、アルコールや炭酸ガスを用いた渋抜き処理を経て出荷されます。柿の渋みの原因は可溶性タンニンという成分です。渋抜き処理を行うことで、このタンニンが不溶性に変化し、渋みを感じなくなるのです。
甘柿の分類:完全甘柿と不完全甘柿
甘柿はさらに、完全甘柿と不完全甘柿という二つのタイプに分類されます。完全甘柿は、種子の有無に関わらず、自然に渋みが抜ける品種です。一方、不完全甘柿は、種子が多くできることで果肉が黒ずみ、渋みが抜けるという特徴を持ちます。種子が多いほど、果肉にゴマと呼ばれる黒褐色の斑点が現れます。種子が少ない場合、ゴマの発生も少なく、渋みが完全に抜けきらないこともあります。
代表的な甘柿の種類
甘柿は、その多様な品種によって、さまざまな風味と食感を楽しむことができます。ここでは、特に人気のある甘柿の種類をピックアップし、その特徴を詳しくご紹介します。
完全甘柿の品種
完全甘柿は、種子の有無に関わらず自然に渋みが抜け、濃厚な甘さが際立つのが特徴です。ただし、渋抜きには一定以上の気温が必要となるため、主に温暖な地域で栽培されています。
富有(ふゆう)
富有柿は、とろけるような柔らかい食感が魅力の柿です。口に含むと、芳醇な果汁と上品な甘さが広がります。表面の滑らかな光沢も美しく、見た目にも楽しめます。日本各地で広く栽培されており、旬は11月から12月にかけて。重さは230〜280g程度で、やや扁平な形をしています。果皮は鮮やかな橙紅色に染まり、糖度は15度~18度と非常に高いのが特徴です。熟度によって食感が変化し、サクサクとした歯ごたえから、とろけるような舌触りへと変わります。また、貯蔵性にも優れているため、比較的長い期間楽しむことができます。江戸時代に栽培が始まり、明治時代に「富有」と名付けられました。岐阜県瑞穂市が原産とされ、現在では北海道と東北地方を除く日本全国で栽培されている、甘柿の代表的な品種です。
次郎(じろう)
次郎柿は、鮮やかなオレンジ色の果皮と、四角いフォルムが印象的な柿です。種が少ないため、手軽に食べられるのも人気の理由の一つです。シャリシャリとした歯ごたえのある食感と、しっかりとした甘さが楽しめます。果実の重さは250〜300g程度で、平たい四角形をしており、表面には4本の溝があります。果皮は美しい橙色で、糖度は16度~18度と富有柿に匹敵する甘さです。硬めの肉質で、カリッとした食感が特徴です。国内では富有柿に次いで多く栽培されており、日持ちが良いのも魅力です。旬は10月下旬から11月頃で、スーパーや青果店、産地直売所などで購入できます。静岡県が原産で、愛知県、静岡県、三重県などが主な産地として知られています。
太秋(たいしゅう)
太秋柿は、その堂々とした大きさと、手に持った時の重みが魅力です。食べごたえがあるのはもちろん、種が少ないため、手軽に味わえる点も人気の理由です。強い甘みと、シャキシャキとした独特の食感も楽しめます。1995年に品種登録された、比較的歴史の浅い品種で、主に熊本県、福岡県、愛媛県などで栽培されています。栽培の難しさから収穫量が安定せず、他の品種に比べて市場に出回る量が限られています。果実は320g程度と大きく、中には500gを超えるものも。扁円形で、色は鮮やかな橙色をしています。糖度は平均17度、高いものでは20度を超えることもあり、果汁たっぷりでジューシーな味わいが特徴です。シャキシャキとした食感は、他の柿では味わえない特別なものです。完熟しても少し緑色が残ることがあり、果頂部に「条紋」と呼ばれる細い線が出やすいのも特徴です。この条紋が出ている部分は特に糖度が高いと言われ、甘く熟した証とされています。収穫時期は10月中旬から11月上旬で、スーパーや八百屋、農家の直売所やオンライン通販など、様々な場所で購入できます。
太秋柿は、主に西日本で栽培されていますが、近年では様々な地域での栽培が広がっています。地域によっては、特有の栽培方法で大玉の「太秋」を生産しているところもあります。一般的な柿が約200gなのに対し、350g以上の大玉に育てるには、大胆な剪定と摘蕾・摘果によって養分を実に集中させることが重要です。温暖な気候と太陽の光を浴びて育った太秋柿は、従来の柿のイメージを覆すシャキシャキとした食感と上品な甘さが特徴です。柿特有のねっとりとした食感が苦手な方にもおすすめです。ぜひ、太秋柿をきっかけに、色々な種類の柿を試してみてください。
伊豆(いず)
伊豆柿は、果汁が豊富で、果肉がやわらかいのが特徴です。10月上旬に熟す早生品種で、スーパーマーケット、産地直売所、オンライン通販など、様々な場所で販売されています。静岡県が原産地で、主な産地は福岡県、島根県、香川県などです。果実は300g程度と大きく、四角い扁円形で橙紅色をしています。糖度は14度から15度で、富有と興津1号を交配して1955年に生まれました。
輝太郎(きたろう)
輝太郎柿は、果肉がジューシーで、なめらかな舌触りが特徴です。9月下旬から収穫できる早生の甘柿です。島根県が原産地で、島根県のオリジナル品種であり、同県出身の漫画家、水木しげる氏の代表作にちなんで名付けられました。2010年に品種登録されています。果実は平均300gと大きく、厚みのある円形で、果皮はつやのある濃い橙色をしています。糖度は20度以上に達することもあります。
ねおスイート
ねおスイートは、平均糖度が20度以上と非常に高く、サクサクとした食感が特徴です。富有柿よりも早く、10月に収穫される中生品種です。生産量は限られていますが、岐阜県内のJA直売所やオンライン通販で購入できます。特に、糖度20度以上で300g以上の大玉のものは、高級ブランド「天下富舞(てんかふぶ)」として出荷されています。岐阜県が原産地で、2015年に品種登録された岐阜県のオリジナル品種です。高糖度の新秋とサクサク食感の太秋を交配し、10年の歳月をかけて育成されました。果実は中くらいの大きさで、腰高の扁円形をしており、果皮は橙色で条紋(ひび割れ)が入ります。
紀州てまり
紀州てまりは、ジューシーな果汁と、心地よいシャキシャキとした食感が魅力の甘柿です。収穫時期は10月下旬頃からと短く、生産量も限られていますが、産地直送の通販サイトや、和歌山県のふるさと納税の返礼品などで手に入れることができます。和歌山県が原産で、2019年に品種登録されたオリジナルの品種です。2008年に和歌山県果樹試験場かき・もも研究所において、「早秋」と「太秋」を掛け合わせて育成されました。果実の重さは300gを超える大玉で、やや扁平な丸みを帯びた形をしており、果皮は淡いオレンジ色をしています。糖度は16度から17度と、甘みが強いのが特徴です。
不完全甘柿の品種
不完全甘柿とは、種ができることで渋みが抜ける性質を持つ品種のことです。種が形成されると、果肉の中にタンニンが凝縮された黒褐色の斑点(ゴマ)が多数現れます。種が少ない場合はゴマの発生も少なく、渋みが抜けきらないことがあります。
禅寺丸
禅寺丸は、日本で最も古い甘柿の一つとして知られています。果肉は硬めで、種が大きいのが特徴です。一般の市場にはあまり流通せず、9月下旬から10月上旬の収穫時期に、地元の農産物直売所などで販売されることがあります。また、毎年10月に開催される「王禅柿まつり」では、保存会による直売も行われます。神奈川県が原産地であり、鎌倉時代に王禅寺(現在の川崎市麻生区)で発見されたと伝えられています。江戸時代には王禅寺周辺で盛んに栽培され、明治時代に最盛期を迎えましたが、新品種の登場や都市化の影響で市場から姿を消しました。その後、「柿生禅寺丸保存会」が結成され、地域固有の品種として保護されています。果実は丸くて小ぶりで、濃い赤橙色をしています。糖度は15度程度です。
西村早生
西村早生は、果肉に褐色の斑点(ゴマ)がびっしりと入っているのが特徴です。9月上旬から10月下旬にかけて収穫される早生品種です。滋賀県が原産地であり、主な産地としては、福岡県、岐阜県、鹿児島県などが挙げられます。「富有」と「赤柿」が自然交雑して生まれたとされ、1960年代に園主の名前にちなんで「西村早生」と名付けられました。種が多くなるほど果肉に黒い斑点が現れ、甘みが増します。果実の重さは200g程度で、糖度は15度ほど。果肉はねっとりとした食感で、カリカリとした歯ごたえとさっぱりとした味わいが楽しめます。
甘柿を活用したおすすめレシピ
甘柿はそのまま食べても十分美味しいですが、工夫次第で様々な料理に変身します。ここでは、甘柿の新たな魅力を発見できる、おすすめレシピを3つご紹介いたします。
甘柿の簡単ゼリー
甘柿本来の甘さを活かした、つるんとした食感が楽しいデザートです。お子様にも喜ばれること間違いなし。
材料
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熟した甘柿
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粉ゼラチン
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グラニュー糖
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レモン果汁
レシピ
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甘柿は丁寧に皮を剥き、種を取り除いてから、滑らかになるまでミキサーで撹拌します。
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別の鍋に水、砂糖、レモン果汁を入れ、中火で加熱します。
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沸騰したら火を止め、ゼラチンを加えて完全に溶かします。
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1と3を混ぜ合わせ、お好みの型に流し込み、冷蔵庫でしっかりと冷やし固めます。
甘柿のシャーベット
甘柿本来の甘さを存分に味わえる、爽やかなシャーベットです。
材料
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甘柿
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レモン汁
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砂糖
レシピ
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甘柿の皮を剥き、種を取り除いて、ミキサーまたはフードプロセッサーでピューレ状にします。
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レモン汁と砂糖を加え、よく混ぜ合わせます。
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冷凍庫に入れ、冷やし固めます。
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固まったら、フォークなどで全体をかき混ぜ、シャーベット状に砕けば完成です。
甘柿とチーズディップ
意外な組み合わせがクセになる、甘柿とチーズの塩味が絶妙なディップ。ワインとの相性も抜群です。
材料
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完熟甘柿
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なめらかクリームチーズ
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お好みのクラッカー
レシピ
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甘柿は皮をむき、種を取り除き、食べやすい大きさにカットします。
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クリームチーズは室温に戻し、なめらかになるまで混ぜます。
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カットした甘柿とクリームチーズを混ぜ合わせます。
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クラッカーに3のディップを乗せて、お召し上がりください。
甘柿の選び方と保存方法
甘くて美味しい甘柿を選ぶにはコツがあります。また、保存方法を工夫することで、より長く甘柿を楽しむことができます。
甘柿の選び方
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ヘタがしっかりと果実に付いているものを選びましょう。
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表面に光沢があり、色の濃淡が均一なものがおすすめです。
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手に取った際に、見た目よりも重く感じるものを選ぶと良いでしょう。
甘柿の保存方法
甘柿は、室温で保管するとすぐに柔らかくなる傾向があるため、冷蔵保存が適しています。保存する際は、ビニール袋に入れ、ヘタを下向きにして保存することで、鮮度を保ちやすくなります。
甘柿で干し柿は作れる?
甘柿を原料として干し柿を作ることは可能です。しかし、甘柿は元々甘味が強いため、生のまま食すのが一般的です。干し柿として加工するならば、完全に乾燥させず、とろけるような食感が特徴の「あんぽ柿」にするのがおすすめです。
渋柿について
渋柿には、不完全渋柿と完全渋柿の2種類が存在します。不完全渋柿は、種子の周辺のみ渋みが自然に抜ける性質を持ちますが、完全渋柿は種があっても果実全体が渋いままです。どちらの種類の渋柿も、適切な渋抜き処理を行うことで甘くなり、また、干し柿に加工することでも渋みを抑えることができます。
不完全渋柿の品種
平核無(ひらたねなし)
新潟県が原産地であり、佐渡地域では「おけさ柿」、山形県では「庄内柿(しょうないがき)」という名で親しまれています。種なしの渋柿として広く知られ、日本各地で栽培されています。果実は扁平で、角が丸みを帯びた四角形をしており、重さは180~200g程度です。糖度は14度から16度と高く、果肉はきめ細かく柔らかいのが特徴で、果汁も豊富です。渋抜きが比較的容易であるため、干し柿の材料としても適しています。スーパーマーケット、青果店、産地直売所、オンライン通販などで手軽に入手できます。
刀根早生(とねわせ)
奈良県が発祥の地です。主な産地としては、和歌山県、奈良県、新潟県、山形県などが挙げられます。1955年に平核無の枝変わりとして発見され、接ぎ木によって育成され、1980年に品種登録されました。この品種名は、育成者の出身地である天理市に由来します。果実は大きく、品質が良いことで知られています。平核無柿よりも10日から15日ほど早く成熟し、9月下旬から10月上旬にかけて収穫されます。ハウス栽培されたものは、お盆の時期である8月にも市場に出回ります。果重は150~200gで、糖度は18度~20度と高く、果汁が豊富です。形状は扁平で四角形をしています。
甲州百目(こうしゅうひゃくめ)
正確な原産地は不明ですが、古くから山梨県の甲府盆地を中心に栽培されてきたことから、この名が付けられました。主な産地は、福島県、宮城県、山梨県などです。日本各地で栽培されており、蜂屋(はちや)、富士(ふじ)、渋百目(しぶひゃくめ)といった別名も持っています。果実の重さは通常350~400gで、大きいものになると500gに達することもあり、「百匁(ひゃくもんめ=約375g)」という重さにちなんで命名されました。果実はつりがねのような形をしており、色は赤橙色をしています。果汁が多く、果肉は柔らかめです。渋抜き後の糖度は20度以上にもなります。収穫時期は11月頃で、主に、あんぽ柿やころ柿(干し柿)などの加工品に利用されます。生果実は、産地直送の通販サイトなどで購入可能です。また、あんぽ柿やころ柿は、スーパーマーケット、青果店、産地の直売所や物産店などで販売されています。
太天(たいてん)
太天(たいてん)広島県生まれで、主に愛媛県で栽培されている柿です。「太天」は、栽培しやすく、大果で食味がよい晩生の渋ガキ品種です。現在の主力カキ品種の「富有」より肉質が軟らかく、多収です。渋ガキですが、渋を抜いたのち、甘ガキと同様に流通することが可能です果実は平たい形をしており、1個あたり平均490gと大きいのが特徴です。熟した果肉はやわらかく、「太秋」のようなサクサクとした食感と、緻密でなめらかな舌触りの両方を楽しめます。糖度は約17度と高く、果汁も豊富です。収穫時期は11月中旬で、スーパーマーケット、青果店、農産地直売所やオンラインショップなどで購入できます。
突核無(とつたねなし)/ベビーパーシモン
新潟県が原産地。佐渡島で発見された平核無の突然変異種で、非常に小さなピンポン玉ほどの大きさです。皮が薄く種がないため、渋抜き処理をすれば丸ごと食べられます。糖度は20度以上と非常に高く、シャキシャキとした食感が特徴です。品種登録はされていませんが、「ベビーパーシモン」として商標登録されており、主に新潟県産や岐阜県産のものがこの名称で販売されています。9月下旬から10月上旬にかけて出荷され、農産地直売所やインターネット通販などで入手可能です。苗木は「さど乙女」という登録商標で販売されています。
みしらず柿
福島県が原産地。会津地方で古くから栽培されており、皇室への献上品としても知られています。「身不知柿」という漢字表記の由来には、実がなりすぎて枝が折れるほどであること、将軍がその美味しさに感銘を受けたこと、美味しさのあまり食べ過ぎてしまうことなど、様々な説があります。果実は扁平でつりがねのような形をしており、1個あたり約250gです。渋抜きをすることで、ねっとりとした独特の食感が楽しめます。10月下旬から11月下旬にかけて出荷され、主に福島県内の直売所やスーパーマーケット、オンラインショップ、首都圏の一部店舗で購入できます。
完全渋柿の品種
種が入っていても渋みが残る品種を指します。食べるには渋抜きが必須です。
愛宕(あたご)
愛媛県が発祥の地とされる愛宕柿は、主に愛媛県をはじめ、徳島県、香川県、岡山県などで栽培されています。果実の重さは230g程度ですが、大きいものになると300gを超えることもあり、つりがねのような独特の縦長形状で先端が細くなっているのが特徴です。その栽培は1910年以前から確認されています。糖度は15度から18度とほどよい甘さを持ち、パリッとした食感が楽しめます。また、干し柿の材料としても利用されます。収穫時期は11月中旬から12月中旬にかけてで、晩生品種に分類されます。地元の直売所や産地直送のオンラインショップなどで購入が可能です。
市田柿(いちだがき)
長野県が原産の市田柿は、主に南信州の飯田市・下伊那郡、そして上伊那郡の一部で栽培されている渋柿の品種です。この柿は、ブランド干し柿である「市田柿」の原料として使用されています。成熟時の大きさは100~120gで、糖度は18度以上に達します。干し柿に加工されると、水分が抜け25gほどの大きさになり、糖度は60度から70度まで凝縮されます。表面には白い粉が付き、果肉はあめ色で、まるで羊羹のようなもっちりとした食感が特徴です。2016年には地理的表示(GI)保護制度に登録された、地域を代表する特産品となっています。干し柿としての出荷期間は11月下旬から翌年の2月頃までで、スーパーマーケット、青果店、直売所、物産展、産地直送のオンラインショップなどで購入できます。
西条(さいじょう)
広島県が産地の西条柿は、中国地方特有の品種であり、島根県、鳥取県、広島県で主に栽培されています。縦に長い円筒形で、表面に4本の溝があるのが外観上の特徴です。果肉はきめが細かく、やわらかい食感を持ち、糖度は18度以上で、上品な甘さが楽しめます。生果実としては10月中旬から11月中旬にかけて、また、10月下旬から年末にかけては、あんぽ柿や干し柿として出荷されます。購入場所としては、スーパーマーケット、青果店、産地の直売所、産地直送オンラインショップなどが挙げられます。
食感の好み別おすすめ品種
柿の食感は、硬くてコリコリとしたもの、水分が多くシャキシャキとしたもの、やわらかくてなめらかなものなど、品種によって大きく異なります。ご自身の好みに合った品種を選ぶことで、より一層美味しく柿を味わうことができるでしょう。
とろけるような食感が好きな方におすすめの品種
とろけるような、なめらかな食感を求めるなら、「輝太郎(きらたろう)」、「刀根早生(とねわせ)」、「甲州百目(こうしゅうひゃくめ)」、「西条(さいじょう)」、「みしらず柿」、「伊豆(いず)」、「平核無(ひらたねなし)」などが最適です。また、「富有(ふゆう)」や「太天(たいてん)」といった、水分が多くてシャキシャキした食感の柿も、追熟させることで、とろけるような食感に変化します。
十分に追熟させた柿は、皮を剥かずに半分にカットして、スプーンで味わうのがおすすめです。また、冷凍してシャーベットとして楽しむのも、ひと味違った美味しさに出会えます。
シャキシャキとした食感が好きな方におすすめの品種
なめらかな食感が苦手な方や、歯ごたえのあるシャキシャキとした食感を好む方には、水分をたっぷり含んだ「太秋(たいしゅう)」や、硬めの食感が特徴の「次郎(じろう)」がおすすめです。特に、「太秋」の大きな果実の生産に力を入れている大磯うみのかぜファームでは、有機質肥料を使用し、時間をかけて樹上でじっくりと熟成させることで、さっぱりとした甘さとみずみずしさを兼ね備えた柿を栽培しており、「柿が苦手な人でも食べやすい」と高い評価を得ています。
格別の甘さを求める方におすすめの品種
柿は一般的に糖度が高く、甘みが強い果物として知られています。中でも、特に甘みが際立つのは、甘柿の「太秋」、「ねおスイート」、「輝太郎」、そして渋抜き処理を施した「筆柿」、「刀根早生」、「甲州百目」などです。柿は酸味が少ないため、より糖度の高いリンゴやブドウよりも、甘さを強く感じられるかもしれません。
自家製干し柿に挑戦したい方におすすめの品種
干し柿作りには、渋柿が一般的に用いられます。渋柿は糖度が高いものが多く、干し柿にすることで渋みが抜け、まるで和菓子のような上品な甘さが生まれます。乾燥させることで水分が蒸発し、果肉が凝縮されるため、大きめの柿を選ぶのがおすすめです。具体的には、完全渋柿である「西条」や「市田柿(いちだかき)」、不完全渋柿の「平核無」や「甲州百目」などが適しています。
まとめ
今回は、甘柿の多様な品種、それぞれの特徴、おすすめの食べ方、選び方のコツ、そして保存方法について詳しくご紹介しました。甘柿は、その品種によって口当たりや甘味が異なり、色々な味わい方ができるのが魅力です。この記事を参考に、ぜひあなたにとって最高の甘柿を見つけて、その美味しさを堪能してください。
質問1
甘柿と渋柿は、どうすれば見分けられますか?
甘柿と渋柿を見分ける方法はいくつかあります。まず、見た目で判断する方法として、一般的に甘柿は丸みを帯びた形をしていることが多く、渋柿は細長い形をしていることが多いです。ただし、品種によっては例外もあるので、注意が必要です。確実に区別する方法としては、柿のヘタの部分を見る方法があります。甘柿のヘタは、4枚の萼片が均等に並んでいますが、渋柿のヘタは萼片が不揃いで、隙間があることが多いです。また、スーパーなどで販売されている場合、ラベルに「甘柿」または「渋柿」と明記されていることが多いので、確認すると良いでしょう。
質問2
甘柿をより長く美味しく保存するための最適な方法はありますか?
保存方法としては、冷蔵保存が一般的です。柿を一つずつ新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。こうすることで、乾燥を防ぎ、鮮度を保つことができます。さらに長期間保存したい場合は、冷凍保存も可能です。柿を洗い、水気を拭き取ってから、ラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。冷凍した柿は、シャーベットのようにして食べることもできます。また、干し柿にすることで長期保存も可能です。いずれの方法でも、柿の状態をこまめに確認し、傷み始めたものから先に消費するように心がけましょう。
質問3
甘柿を干し柿にする際、特におすすめの品種はどれですか?
干し柿作りに最適な甘柿の品種を選ぶなら、その特徴を考慮することが重要です。特に、果肉が柔らかく、糖度が高い品種が干し柿にした際に美味しく仕上がります。その中でも、もっともおすすめなのは「富有柿」です。富有柿は、甘みが強く、果肉が緻密で柔らかいため、干し柿にするとねっとりとした食感と濃厚な甘みが凝縮されます。また、果実が大きいので、食べ応えのある干し柿を作ることができます。渋みが抜けやすく、比較的加工しやすい点も、干し柿作り初心者におすすめできる理由の一つです。