「第4のチョコレート」として登場したルビーチョコレート。約80年ぶりに現れた新しいチョコレートは、スイスのバリーカレボー社が10年の歳月をかけて開発しました。その魅力は、着色料やフルーツフレーバーを一切使わない、ルビーカカオ豆本来の自然なピンク色とフルーティーな酸味。従来のチョコレートとは一線を画す、見た目も味わいも新しいルビーチョコレートの世界へご案内します。

「第4のチョコレート」ルビーチョコレートとは?
ルビーチョコレートは、ダーク、ミルク、ホワイトに続く新たな選択肢として、バリーカレボー社が長年の研究開発を経て2017年に発表した革新的なチョコレートです。特筆すべきは、着色料や香料を一切使用せず、ルビーカカオ豆由来の自然なピンク色と、ほんのりとした酸味が特徴である点です。従来のチョコレートとは一線を画す、その鮮やかな色合いと独特の風味は、チョコレート業界に新風を吹き込み、世界中で注目を集めています。バリーカレボー社の専門家たちは、長年の研究により、ルビーカカオ豆に天然に含まれる特有の成分が、他に類を見ない色と風味を生み出すことを突き止めました。そして、その成分を豊富に含むルビーカカオ豆を世界中から探し出し、最適な加工方法を確立し、ルビーチョコレートを製品化しました。特別な製法によって、ルビーカカオ豆に含まれる独自の成分が最大限に引き出され、その美しい色と風味を余すところなく堪能できます。
ルビーカカオ豆の特質:色と味わいの秘密「前駆体」とは?
ルビーチョコレートならではのピンク色とフルーティーな風味は、「ルビーカカオ豆」に由来します。ルビーカカオ豆は、ブラジル、エクアドル、コートジボワールなど、様々な地域で栽培されていますが、その特徴を決定づけるのは、産地や品種だけではありません。重要なのは、カカオ豆の中に自然に存在する「前駆体(前駆物質)」の有無です。バリーカレボー社が発表した資料によると、この前駆体の存在こそが、ルビーチョコレート特有の色と風味を生み出す鍵となります。つまり、ルビー色と風味を引き出す前駆物質を自然に含むカカオ豆こそが、真のルビーカカオ豆と定義されるのです。100年以上にわたるカカオに関する専門知識と、高度な選別・加工技術によって、これらの特別なルビーカカオ豆から作られるチョコレートが、バリーカレボー社の製品『ルビーチョコレートRB1』として市場に提供されています。着色料や香料に頼らず、カカオ豆本来の力を最大限に活かしている点が特徴です。ルビーチョコレートの独自性は、特定のカカオ豆が持つユニークな成分と、それを引き出すための特別な技術によって実現されています。
ルビーチョコレートの原材料と成分比
ルビーチョコレートは、独自の風味と色合いを実現するために、特定の原材料と成分比率で構成されています。一般的なチョコレートの主原料に加え、ルビーチョコレートならではの成分が配合されています。主な【原材料】は、砂糖、ココアバター、脱脂粉乳、全粉乳、カカオマス、乳化剤(大豆由来)、クエン酸、香料などです。これらの材料の絶妙なバランスが、ルビーチョコレートの滑らかな口溶け、鮮やかなピンク色、そして爽やかな酸味を生み出します。また、【成分比】は、47.3%乾燥カカオ固形分、26.3%乾燥乳固形分(最小%)、35.9%脂肪分と定められています (出典: Callebaut公式製品仕様書(ルビーチョコレートRB1)これらの数値はバリーカレボー社が定めるルビーチョコレートRB1の品質を保証する指標となっています。
ルビーチョコレートが持つ独自の性質と特徴
ルビーチョコレートは、その鮮やかなピンク色だけでなく、他のチョコレートにはない独自の性質と特徴を備えています。最も顕著な特徴は、着色料やフルーツフレーバーを一切使用せず、カカオ豆本来の力によって、ピンク色、フルーティーな酸味、そしてベリーのような香りを引き出している点です。これにより、自然な風味と色合いを楽しむことができます。口に含むと、一般的なミルクチョコレートのような甘さとは異なり、まず爽やかな酸味が広がり、その後にまろやかな甘さが残る、独特の味覚体験をもたらします。また、比較的融点が低いため、口の中でなめらかに溶けるという特徴も持っています。そのユニークな風味と美しい見た目から、製菓材料としても人気が高く、様々なスイーツやドリンクに応用されています。
ピンク色の鍵はpH値とポリフェノール:カカオ豆の色調変化メカニズム
ルビーチョコレート特有のピンク色は、カカオ豆に含まれる特定のポリフェノールと、製造過程におけるpH値の変化が密接に関係していると考えられています。カカオ豆を加工する際、pH値を調整することで、ココアバターを抽出するためにカカオ組織を柔らかくするだけでなく、酸味や苦味を抑えて、よりまろやかな風味を引き出す効果が期待できます。さらに、このpH値の変化は、カカオ豆が本来持つ暗褐色の色調を鮮やかな赤色へと変化させる重要な役割を果たします。科学的な研究から、ルビー色の正体はアントシアニンである可能性が高いと考えられています。RB1カカオマスを増やすと色味が濃くなるという観察結果も、ルビー色がカカオマスに含まれる特定の成分に由来することを示唆しています。色素は未発酵のカカオ豆に多く含まれていますが、発酵後の豆でも、コンチングやローストといった酸と熱を利用する特定の加工方法によって、色調変化を促すことができると考えられています。一般的に、カカオ豆のポリフェノールは発酵によって減少するとされていますが、特定の条件下では総ポリフェノール量が約1.5倍、フラバノールが約3.0倍、プロアントシアニジンが約2.5倍に増加するという報告もあります。これは、プエルトリコ産のトリニタリオ種のような特定の品種や、特殊な処理方法によるものと考えられます。

まとめ
ルビーチョコレートは、ミルク、ダーク、ホワイトに次ぐ「第4のチョコレート」として、その鮮やかなピンク色と、ベリーを思わせるフルーティーな酸味で世界中の人々を魅了しています。着色料や香料を一切使用せず、ルビーカカオ豆が持つ自然の力を引き出す独自の製法によって誕生しました。その科学的な秘密には、カカオ豆に含まれる特定の「前駆物質」や、pH値による色調変化のメカニズムが深く関わっています。その独特な風味と美しい色彩は、これからのチョコレート文化に新たな楽しみをもたらし続けるでしょう。ルビーチョコレートは、単なるお菓子としてだけでなく、新しい味覚体験と創造性を提供する可能性を秘めていると言えます。
ルビーチョコレートに関するよくある質問
ルビーチョコレートはなぜ「第4のチョコレート」と呼ばれているのですか?
ルビーチョコレートは、ミルク、ダーク、ホワイトチョコレートに続く、全く新しい種類のチョコレートとして、スイスのバリーカレボー社によって開発、発表されました。着色料やフルーツフレーバーを一切使用せず、ルビーカカオ豆が本来持つ自然なピンク色と、フルーティーな酸味が特徴であることから、従来のチョコレートのカテゴリーには当てはまらない「第4のチョコレート」と称されています。
ルビーチョコレートのピンク色は着色料によるものですか?
いいえ、ルビーチョコレートの鮮やかなピンク色は、着色料によるものではありません。特別なルビーカカオ豆に自然に含まれる「前駆体」と呼ばれる成分が、独自の加工技術によって引き出されることで、あの特徴的な色とフルーティーな風味が生まれるのです。
ルビーチョコレートの風味とは?
ルビーチョコレートは、従来のミルクチョコレートやダークチョコレートとは一線を画す、独特の味わいが魅力です。その特徴は、ベリーを思わせるような、自然な酸味と、それに寄り添う優しい甘さの絶妙なバランス。口にした時の爽やかさと軽やかさは、まるでベリー系のフルーツチョコレートを味わっているかのようです。
ルビーチョコレートはどこで手に入る?
ルビーチョコレートは、こだわりの品揃えが魅力の高級スーパーマーケット(例:成城石井)、洗練された百貨店のチョコレートコーナー、多様な品揃えのオンラインストア(製菓材料の専門店や大手ECサイトなど)、そして一部のコンビニエンスストアやカフェなどで見つけることができます。特に、お菓子作りをする方には、バリーカレボー社製のルビーチョコレートが広く知られており、オンラインで簡単に購入することも可能です。
ルビーカカオ豆とは、特別な品種や場所で採れたもの?
ルビーカカオ豆は、特定の品種や産地を特定するものではありません。バリーカレボー社によれば、重要なのはカカオ豆の種類や生育地ではなく、豆そのものが持つ特性、つまり「自然の力によって生まれた、特別な成分の有無」です。世界中のカカオ豆の中から、この特別な成分を持つ豆が厳選され、ルビーチョコレートの原料として使用されます。