お正月料理の定番、お餅。焼いたり、お雑煮に入れたり、色々な食べ方がありますよね。磯辺焼きやきなこ餅は、お子さんにも大人気です。でも、「お餅は太りやすい」ってよく聞きますよね。実際、お餅1個あたり、どれくらいのカロリーや糖質が含まれているのでしょうか?この記事では、丸餅と切り餅のカロリー・糖質量、ご飯との比較、お餅の栄養成分、そして、お餅を使ったヘルシーなレシピまで詳しく解説します。カロリーや栄養を理解して、お正月太り対策はもちろん、普段の食生活にもお餅を上手に取り入れて、健康的な食生活を送りましょう。
お餅1個あたりのカロリーと糖質量
お餅とご飯のカロリーを比較
お茶碗に軽く一杯盛られたご飯(約150g)は約240kcalと言われています。これを目安にお餅のカロリーを見てみましょう。市販の切り餅1個(約50g)は約110~120kcalなので、2個(約100g)食べると約220~240kcalとなり、ご飯一杯分とほぼ同じくらいのカロリーになります。一方、丸餅は1個(約35g)あたり約70~80kcalなので、3個(約105g)で約210~240kcalとなり、こちらもご飯一杯分と近いカロリーです。ただし、同じ重さで比較した場合、切り餅は3個(約150g)で約330~360kcal、丸餅は4個(約140g)で約280~320kcalとなり、どちらもご飯一杯分を上回ります。うるち米ともち米のカロリー自体に大きな差はありませんが、炊飯後、もち米は水分をあまり吸収しないため、結果的に密度が高くなり、カロリーも高くなる傾向があります。具体的には、100gあたり、うるち米は約168kcal、もち米は約202kcalと、もち米は約1.2倍のカロリーです。そのため、同じ量を食べるなら、お餅の方がご飯よりもカロリーが高くなることを覚えておきましょう。
お餅の栄養成分
どうしてもカロリーが気になるお餅ですが、どのような栄養素が含まれているのでしょうか?ここでは、お餅に含まれる主な栄養素を解説していきます。切り餅1個(約50g)に含まれるタンパク質は約2gです。つまり、2個食べると約4gのタンパク質を摂取できます。これは、8枚切りの食パン1枚に含まれるタンパク質(約4.5g)とほぼ同量です。また、切り餅1個(約50g)に含まれる炭水化物は約26gで、2個食べると約52gとなります。これは、茹でたそば200gに含まれる炭水化物(約52g)とほぼ同じ量です。お餅の主成分は炭水化物であり、特に糖質の割合が高いため、体や脳のエネルギー源として効率が良い食品と言えます。しかし、消費されなかった糖質は脂肪として蓄積されるため、食べ過ぎには注意が必要です。
低カロリー・低糖質のお餅や、手作りできる「餅風」も人気
近年、健康意識の高まりから、通常のお餅よりも小さいサイズでカロリー調整しやすいものや、糖質を抑えたお餅が販売されています。さらに、自宅で手軽に作れる低カロリー・低糖質な「餅風」レシピも注目を集めています。この餅風を作る際に役立つのが、サイリウムの粉末です。サイリウムとは、オオバコという植物の種子の殻を粉末にしたもので、100gあたりのカロリーはわずか6~7kcalと非常に低く、その約90%が食物繊維で構成されています。サイリウムは低カロリー・低糖質でありながら、水分を吸収して膨らむ性質があるため、満腹感を得やすく、ダイエット中の方には嬉しい食材です。ドラッグストアやインターネット通販などで簡単に手に入れることができます。サイリウムには整腸作用があるほか、脂質吸収抑制作用があり、脂肪蓄積の増加を抑制する可能性が示唆されています。サイリウムの粉末を、もち米の代わりに低糖質なおからパウダーなどと一緒に使用することで、腹持ちが良く、低カロリー・低糖質でありながら、お餅のようなモチモチとした食感を楽しめる餅もどきを作ることができます。ただし、サイリウムは食物繊維を豊富に含むため、摂取する際には、便秘などの消化器系の不調を防ぐために、十分な水分を摂取するように心がけてください。
お餅のアレンジメニューのカロリー
お餅は焼いてそのまま食べるだけでなく、きな粉をまぶしたり、お雑煮に入れたりと、様々な料理にアレンジして楽しむことができます。しかし、お餅を使った料理は、お餅自体のカロリーに加えて、他の食材や調味料のカロリーも加わるため、全体のカロリーや糖質量は大きく変動します。例えば、きな粉餅であれば、きな粉の種類や砂糖の量、お雑煮であれば、出汁の種類や具材(肉、野菜、練り物など)、味付け(醤油、味噌など)によって、栄養価やカロリーは大きく変わってきます。特に、お雑煮は地域によって様々なレシピがあり、それぞれ異なる栄養特性を持っています。ここでは、お餅を使った代表的なアレンジメニューのカロリーについて解説します。
あんこ餅のカロリー
通常、あんこ餅は、約40gのあんこと2個(約100g)の切り餅で作られ、カロリーは約320kcalです。これは、一般的なあんパン1個分のカロリーと同程度か、それ以上になる場合があります。カロリーを抑えるためには、甘さ控えめのあんこを選んだり、お餅の量を調整したりすることが効果的です。
きなこ餅のカロリー
一般的なきなこ餅は、大さじ1杯(約15g)のきな粉と大さじ1と1/2杯(約22.5g)の砂糖を使い、2個(約100g)の切り餅で作られます。この場合のカロリーは約315kcalとされています。きな粉はタンパク質や食物繊維が豊富ですが、砂糖の量によってカロリーが大きく変わるため、砂糖の使用量を減らすか、人工甘味料などの代替品を使うことをおすすめします。
豆餅のカロリー
豆餅とは、黒豆や赤エンドウ豆などの豆類を混ぜて作られたお餅のことです。豆餅と聞くと、揚げおかきを連想する人もいるかもしれませんが、ここでは揚げていないお餅を指します。一般的な豆餅1個(約50g)のカロリーは約134kcalです。豆を加えることで、お餅だけを食べるよりも食物繊維やタンパク質を摂取できるという利点があります。
わらび餅のカロリー
わらび餅は、山菜として知られるわらびの根茎から採取されるわらび粉を原料とする和菓子です。しかし、わらび粉は貴重なため、市販のわらび餅の多くは、わらび粉の代わりに片栗粉やサツマイモなど、芋由来のデンプンを使用しています。一般的なわらび餅1個(約16g)のカロリーは約30kcalで、5~6個食べると約170kcalになります。のどごしが良く、軽い食感から「ヘルシー」なイメージを持たれやすいですが、実際にはカロリーはそれほど低くありません。さらに、糖質も多く含まれており、1個約16gのわらび餅を6個食べると、糖質は約28gにもなります。これは、角砂糖1個(3g)とすると、約7個分に相当するため、摂取量には注意が必要です。
餅を食べると太るのか
「お餅=太る」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか? 太るかどうかは、食品自体のカロリーや糖質の量だけでなく、どれだけ食べるか、いつ食べるか、何と組み合わせて食べるか、そしてその人の活動量など、様々な要素が複雑に関係しています。お餅はエネルギー密度の高い食品なので、何も考えずにたくさん食べれば、当然カロリーオーバーになりやすいです。しかし、腹持ちが良く、GI値(血糖値の上昇度合いを示す指標)も比較的高めであるという特徴も持ち合わせています。GI値の高い食品は、血糖値が急激に上がりやすいという側面があるため、食べ過ぎには注意が必要ですが、食べる量やタイミングを意識すれば、ダイエット中でも楽しむことができます。
ダイエット中にお餅を食べる際の注意点
ダイエット中でもお餅を美味しく食べるためには、いくつか大切なポイントがあります。手軽に食べられるお餅ですが、ついつい食べ過ぎてしまいがちなので、注意が必要です。食べ方を工夫することで、お餅を賢くダイエットに取り入れることも可能です。
お餅がダイエットの助けになる理由
お餅がダイエットのサポートになる理由はいくつか考えられます。もち米に多く含まれるアミロペクチンは、冷めにくく、体を温めて代謝を促進する効果が期待できます。また、お餅は粘り気があるため、自然とよく噛んで食べる必要があります。満腹中枢は、食事を始めてから20~30分後に働き出すと言われているため、よく噛むことで満腹感を得やすくなり、結果的に食べる量を抑えることができます。さらに、お腹の中でゆっくりと消化されるため、腹持ちが良いというメリットもあります。ただし、お餅が冷たくなると消化が悪くなることがあるので、温かいうちに食べるのがおすすめです。また、のどに詰まらせないため、そして食べ過ぎを防ぐためにも、お餅はよく噛んでゆっくりと味わいましょう。
上手な食べ方1:食べる量をあらかじめ決めて、味付けはシンプルに
お餅は小さくて食べやすいので、ついつい何個も食べてしまいがちですが、お餅2個でご飯お茶碗一杯分くらいのカロリーがあります。無意識に食べ過ぎてしまうのを防ぐために、「お餅を食べるのは1回2個まで!」など、事前に食べる量を決めて、それ以上は食べないように意識しましょう。また、味付けが濃いとカロリーも高くなりがちなので、醤油や砂糖などの調味料は控えめにするか、出汁をしっかりと効かせた薄味にするなど、味付けを工夫することで、全体のカロリーを抑えることができます。
上手な食べ方2:食物繊維が豊富な食材を先に
お餅を単独で食べるのではなく、色々な食材と合わせて摂ることで、栄養バランスが良くなり、血糖値の上昇を緩やかにできます。特におすすめなのは、お餅を口にする前に、野菜やきのこのような食物繊維が豊富な食品を摂ることです。こうすることで、血糖値が急激に上がるのを抑え、脂肪が蓄積しにくくなる効果が期待できます。さらに、食物繊維は腸内環境を整え、便秘解消にもつながるため、ダイエットをサポートしてくれます。食物繊維たっぷりの野菜をたくさん入れたお味噌汁やお雑煮は、お餅を食べる際の理想的な組み合わせと言えるでしょう。
上手な食べ方3:消化を助ける食材と一緒に
お餅は消化に時間がかかる食品ですが、消化を助けてくれる食材と一緒に食べることで、胃腸への負担を減らすことができます。例えば、大根にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、お餅の主成分であるでんぷんの分解を助けてくれます。大根おろしとお餅を組み合わせた「からみ餅」は、美味しくて消化にも良い、定番の食べ方です。また、ビタミンB1が豊富な挽き割り納豆を使った納豆餅も、栄養バランスを考えた上でのおすすめです。ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変え、皮膚や粘膜の健康を維持するのに役立ちます。タンパク質源となる肉、魚、卵などと一緒に摂ることも、満腹感を持続させ、必要な栄養素を補給する上で効果的です。お雑煮のように、野菜やタンパク質が豊富な具材と組み合わせて食べるのは、まさに理想的なお餅の食べ方の一つと言えるでしょう。
ヘルシーに楽しむ!おすすめ餅レシピ7選
お餅は、ちょっとした工夫でヘルシーな料理にアレンジできます。ここでは、管理栄養士が厳選した、ダイエット中でも安心して楽しめるお餅レシピを7つご紹介します。これらのレシピは、栄養バランスに配慮し、カロリーと糖質を抑えながらも、満足できる美味しさを追求しています。
1. 野菜たっぷり、あっさり雑煮
色々な野菜をたっぷり使ったあっさり雑煮は、食物繊維とビタミンを豊富に摂れるので、お餅だけでは不足しがちな栄養を補えます。出汁をしっかりと効かせた優しい味付けにすることで、塩分や油分を控えられます。消化が良いのはもちろん、身体を温める効果も期待できます。
2. アレンジ自在!ねぎと豚バラの和風餅おこわ
小さく切った切り餅を米と一緒に炊き込むことで、独特のもちもち感を引き出しながら、おこわ全体のGI値をコントロール。豚バラ肉は余分な脂を落とし、ねぎと一緒に甘辛いタレで炒めれば、食欲をそそるおかずに。おこわ風にすることで、少量でも満足感が得られます。
3. 餅が変身!しらすと九条ねぎの和風餅ピザ
ピザ生地の代わりに薄く伸ばした切り餅を使うことで、手軽に糖質を抑えたピザが楽しめます。しらすは良質なカルシウム源、九条ねぎは風味豊かで食感のアクセントに。チーズは低脂肪タイプを選び、旬の野菜をトッピングすれば、栄養満点なヘルシー軽食やおつまみになります。
4. ふわもち新食感!長芋と切り餅の香ばし醤油バター焼き
すりおろした長芋を切り餅に混ぜて焼くことで、お餅の量を減らしつつ、ふわふわもちもちの新しい食感が生まれます。長芋に含まれる豊富な消化酵素は、胃腸にも優しく作用。バターは風味付け程度に控え、醤油で香ばしく焼き上げれば、シンプルながらも奥深い味わいが楽しめます。
5. 油揚げでヘルシー!簡単あんこ餅 de パイ風
パイ生地の代わりに油揚げを使うことで、糖質とカロリーを大幅にカット。油揚げで餅とあんこを包んでトースターで焼くだけで、外はサクサク、中はとろーりとしたあんこ餅パイが完成します。あんこを手作りして甘さを調整したり、市販の低糖あんこを使うのもおすすめです。
6. かぶのすりおろしで作るヘルシーお雑煮
美容に良いとされるビタミンAやCがたっぷりのかぶの葉と、良質なタンパク質源である豚肉を使った、身体に優しいお雑煮です。汁物を最初に摂ることで満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
◆材料(3人分)
かぶ 中2個
豚ひき肉 120g
切り餅(お好みのサイズにカット) 5個
だし汁 500ml
【A】しょうゆ 大さじ1
【A】みりん 大さじ1
【A】塩 小さじ1/4
豚ひき肉 120g
切り餅(お好みのサイズにカット) 5個
だし汁 500ml
【A】しょうゆ 大さじ1
【A】みりん 大さじ1
【A】塩 小さじ1/4
◆作り方
1: かぶは皮を丁寧に剥き、すりおろします。かぶの葉は細かく刻んでおきましょう。
2: 鍋に豚ひき肉を入れて炒め、肉の色が変わってきたらだし汁と[1]で準備したかぶを加え、温めます。餅と【A】の調味料を加え、餅が柔らかくなるまで煮込んでください。
2: 鍋に豚ひき肉を入れて炒め、肉の色が変わってきたらだし汁と[1]で準備したかぶを加え、温めます。餅と【A】の調味料を加え、餅が柔らかくなるまで煮込んでください。
7. 家族みんなで味わうお雑煮
鶏肉の旨味が溶け込んだ優しい味わいで、薄味でも美味しくいただけます。食物繊維が豊富なきのこや、余分な水分を排出するカリウムを多く含む葉物野菜を使用し、栄養面にも配慮した一品です。
◆材料(大人2人分+子供2人分)
鶏もも肉 200g
【A】塩 少量
酒 小さじ1
シイタケ 3個
ニンジン(輪切り) 4枚
ホウレンソウ 1/2束
切り餅 2個【
B】白玉粉 大さじ2
絹ごし豆腐 大さじ1と1/2(20g~お好みで)
出汁 3カップ
【C】酒、みりん 各小さじ2
醤油 大さじ1
◆作り方
1:鶏肉を小さく切り、【A】を揉み込みます。
2:シイタケは、大人は飾り切り、子供用は小さくカット。ニンジンは型抜きで可愛く。ホウレンソウは茹でて絞り、食べやすい長さに。
3:鍋に出汁、鶏肉、ニンジンを入れ、中火で加熱。沸騰したらアクを取り、弱火で10分煮込みます。シイタケを加え、柔らかくなったら【C】で調味。
4:【B】を混ぜて丸め、茹でて冷水へ。大人は餅を焼き、子供には豆腐白玉を。
5:器に餅または白玉、ホウレンソウ、シイタケ、ニンジンを盛り付け、鶏肉入りの出汁をかければ完成。
まとめ
お餅は、カロリーや糖質の含有量に配慮が必要な食品ですが、決してダイエットの邪魔者ではありません。丸餅や角餅の基本的なカロリーと糖質量を把握し、ご飯などの他の主食と比較することで、日々の食生活におけるお餅の位置づけを明確にできます。また、きなこ餅やお雑煮など、お餅を使った料理の種類によって大きく変動するカロリーを理解し、食べる量や組み合わせる食材を工夫することで、健康的にお餅を味わうことが可能です。特にダイエット中は、お餅だけを大量に食べるのではなく、食物繊維やタンパク質が豊富な野菜や肉などと一緒に摂取することで、血糖値の急上昇を抑制し、満腹感を長く維持できます。今回ご紹介したヘルシーなレシピも参考に、賢くお餅を食事に取り入れ、健康的な食生活を送りましょう。また、小さなお子様やご高齢の方がお餅を召し上がる際は、お餅を喉に詰まらせないように、小さく切ってあげるなど、十分に注意してください。
お餅1個のカロリーはどれくらい?
お餅1個あたりのカロリーは、丸餅か角餅か、そしてその大きさによって異なります。一般的に、角餅1個(約50g、約4㎝×6~6.5㎝)あたり約118kcal、糖質は約26.8g、丸餅1個(約33g、直径約4~5㎝)あたり約78kcal、糖質は約17.7gとされています。ただし、商品によって重さや成分が異なる場合があるため、パッケージに記載されている栄養成分表示を確認することを推奨します。
丸餅と切り餅でカロリーは違う?
丸餅と角餅は、形状が違うだけで、原材料であるもち米の成分は同じです。そのため、同じ重さであればカロリーや糖質に大きな差はありません。しかし、一般的に丸餅の方が角餅よりも1個あたりの重さが軽い傾向があるため、1個あたりのカロリーは丸餅の方が低くなることが多いです。炊いたもち米100gあたりのカロリーは約202kcalで、うるち米約168kcalと比較すると約1.2倍高い傾向があります。
お餅を食べると太りやすいって本当?
お餅は高カロリーかつ高糖質の食品であり、摂取量を守らずにたくさん食べれば体重増加の原因となります。しかし、お餅そのものが特別に太りやすい食品というわけではありません。消化吸収が早く血糖値が上がりやすい性質を持つため、空腹時に大量に食べたり、砂糖をたくさん使った味付けにしたりすると、体脂肪として蓄積されやすくなります。もち米に含まれるアミロペクチンが代謝を促進する効果も期待できます。食べ方や量、組み合わせる食材を工夫すれば、ダイエット中でもお餅を楽しむことができます。