春から初夏にかけて旬を迎えるエンドウ豆は、家庭菜園でも人気の野菜です。つるなし品種を選べばベランダなどの限られたスペースでも栽培でき、採れたての新鮮な味を楽しめます。この記事では、エンドウ豆の品種選びから、育て方、収穫時期の見極め方、病害虫対策、そして収穫後の美味しい食べ方まで、家庭菜園でエンドウ豆を成功させるための情報を満載でお届けします。新鮮なエンドウ豆を食卓へ!
エンドウ豆の基本情報と種類を知ろう
エンドウ豆(エンドウマメ、えんどう豆とも表記します)は、日本で古くから親しまれてきたマメ科の野菜です。ビタミンC、タンパク質、β-カロテンなど、豊富な栄養素を含み、サラダ、炒め物、煮物など、様々な料理に活用できる万能食材です。実が鈴なりに実る様子は見ていて楽しいものですが、「スナップエンドウ」「さやえんどう」「実エンドウ」など、どの種類を育てれば良いか迷ってしまう方もいるかもしれません。まずは、エンドウ豆の主な種類と特徴を理解し、ご自身の栽培環境や目的に合った品種を選びましょう。
エンドウ豆の主な種類と特徴
エンドウ豆は、食べる部分や味わいによって、「さやえんどう」「実エンドウ」、そして両方の特性を兼ね備えた「スナップエンドウ」の3種類に大きく分けられます。これらは全てエンドウ豆の一種ですが、それぞれ異なる魅力を持っています。
まず、さやえんどうは、若くて柔らかいさやを丸ごと食べる品種です。「絹さやえんどう」とも呼ばれ、「絹さや」として販売されていることもあります。原産は中央アジアから地中海沿岸地域で、日本には江戸時代に伝わったとされています。代表的な品種には、平たいさやが特徴の「キヌサヤ」などがあります。さやえんどうは、さやが薄く、中の豆が大きく成長する前に収穫します。甘みは控えめで、お吸い物の具や卵とじなどによく使われ、独特の食感が楽しめます。
次に、スナップエンドウは、アメリカ生まれのエンドウ豆です。さやと豆の両方を味わえる品種として人気を集めています。肉厚でサクサクとした食感のさやと、甘みのある豆が特徴で、一度に二つの美味しさを堪能できます。ミネラルも豊富で、茹でる、炒める、揚げるなど、様々な調理方法で楽しめます。
最後に、実エンドウは、さやから豆を取り出して食べる品種です。大きく分けて、「青実用」と「乾燥子実用」の二種類があります。青実用の代表的な品種は、未成熟な豆を食べる「実えんどう」で、「グリーンピース」や「ウスイエンドウ」などが有名です。成熟する前に収穫したものが「グリーンピース」として、ホクホクとした食感と甘みを味わえます。一方、成熟させてから収穫したものは、「えんどう豆」として、乾燥させて保存食にしたり、煮豆などに加工したりします。
つるあり?つるなし?品種の選び方
エンドウ豆の品種は、その成長特性によって「つるあり」と「つるなし」に分類されます。
つるあり品種は、長くつるが伸びて大きく成長するのが特徴です。草丈が1.5mを超えることもあり、栽培には支柱やネットを設置してつるを誘引する必要があります。手間はかかりますが、収穫期間が長く、たくさんの実を収穫できるのが魅力です。広い庭や畑での栽培に適しています。
つるなし品種は、草丈が低く、つるがあまり伸びないため、ベランダやプランターでの栽培に最適です。草丈は30cm~60cm程度とコンパクトで、比較的簡単に管理できるため、家庭菜園初心者の方や、つるあり品種の誘引作業に不安がある方におすすめです。支柱は不要ではありませんが、つるあり品種に比べて簡易的なもので済ませることができます。
エンドウマメ(えんどう豆)の旬と味わい
エンドウマメが最もおいしい時期は、地域や品種によって多少異なりますが、一般的には春から初夏にかけてです。具体的には、3月~5月頃が旬とされています。エンドウマメは高温に弱い性質を持つため、夏になると生育が鈍くなり、場合によっては枯れてしまうこともあります。
旬の時期に収穫されたエンドウマメは、露地栽培ならではの、濃厚な風味と自然な甘みが際立ちます。特に、収穫したばかりの新鮮なエンドウマメを味わうのは、家庭菜園ならではの喜びと言えるでしょう。ぜひ旬の時期にご自宅で栽培し、食卓を豊かに彩ってみてください。
エンドウマメ(えんどう豆)の育て方の基本
エンドウマメは種から比較的簡単に育てられるため、家庭菜園初心者の方にもおすすめです。ここでは、種まきから定植、冬越し、水やり、肥料の与え方など、基本的な育て方の手順を詳しく解説します。適切な管理を行うことで、豊作を目指しましょう。
エンドウマメ栽培に適した土壌づくり
エンドウマメ栽培で特に注意したいのが、連作障害です。エンドウマメはマメ科植物であるため、過去にマメ科の植物を育てた土壌では、連作障害が発生しやすく、生育に悪影響を及ぼす可能性があります。連作障害は、特定の植物が土壌中の特定の養分を過剰に吸収したり、特定の病原菌が増殖したりすることで起こります。そのため、以前にマメ科植物を植えた場所は避けましょう。少なくとも3~4年はマメ科以外の植物を栽培した場所を選ぶのが理想的です。
畑に直接植える場合、エンドウマメは酸性の土壌を好みません。健全な成長を促すためには、事前に土壌のpHを測定し、必要に応じて苦土石灰を混ぜて酸度を調整し、pH6.0~7.0の弱酸性~中性にすることが大切です。苦土石灰は、種まきの2週間前までに混ぜておくと効果的です。また、水はけの良い土壌も重要です。堆肥や腐葉土を少量混ぜ込むことで、土壌の通気性や保水性を高めることができます。
プランターで栽培する場合は、市販の野菜用培養土を使用するのが手軽です。初期生育に必要な栄養素が含まれている元肥入りの培養土を選ぶと、追肥の手間が省けます。元肥が含まれていない培養土を使う場合は、堆肥や有機肥料を少量混ぜておくと、根張りが良くなり、生育が促進されます。いずれの場合も、清潔な新しい土を使うことで、病害虫のリスクを減らし、健康な株を育てることができます。
エンドウマメの種まきと発芽のポイント
エンドウマメの種まき時期は、一般的に10月下旬から11月頃ですが、寒さが厳しい地域では、春に種をまく「春まき」が適しています。エンドウマメの発芽に適した温度は15℃~20℃とされており、この温度帯で最も発芽しやすくなります。種まき時期が早すぎると、冬が来る前に株が大きく成長しすぎてしまい、寒さに弱くなり、冬越しが難しくなるため、適切な時期に種まきを行うことが大切です。
種まきの方法には、「直播き」と「ポットまき」の2種類があります。直播きの場合は、畝に30cm程度の間隔を空け、1箇所に4~5粒の種をまきます。種を深く埋めすぎないように、土を2cm程度薄く被せ、たっぷりと水を与えます。ポットまきの場合は、1つのポットに3~4粒を目安に種をまき、同様に土を2cm程度被せて水を与えます。ポットで育てることで、発芽後の管理がしやすく、鳥による被害を防ぎやすいという利点があります。通常、1週間程度で発芽し始め、本葉が2枚ほどになったら、最も元気な苗を1~2本残して間引きます。間引きを行うことで、残った苗に十分な栄養とスペースが与えられ、丈夫に育ちます。
苗の植え付け方法
エンドウ豆の苗は、本葉が3~4枚になった頃が、植え付けに最適なタイミングとされています。それ以上に大きく育つまで待ってしまうと、植え付け後の根の定着が悪くなり、生育に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、植え付け時期が来たらすぐに作業に取り掛かれるよう、事前に準備を万端にしておきましょう。
植え付けを行う際は、育苗ポットから苗を丁寧に抜き取り、根鉢(根と土が固まっている部分)を崩さないように注意深く扱ってください。根鉢を傷つけてしまうと、苗がストレスを感じ、その後の成長が鈍化することがあります。エンドウ豆は湿気に弱い性質があるため、庭植えの場合は、排水性を高めるために土を少し高く盛り上げて畝を作るのがおすすめです。こうすることで、根腐れのリスクを減らし、安心して栽培を進めることができます。畝の高さは15~20cmを目安にすると良いでしょう。苗と苗の間隔は、つるあり品種であれば30~40cm、つるなし品種であれば20~30cm程度を目安に確保し、風通しと日当たりを良くすることが大切です。植え付けが終わったら、根付きを良くするためにたっぷりと水をやりましょう。
秋まきエンドウ豆の苗の冬越し対策
秋に種をまいたり、苗を植え付けたりしたエンドウ豆は、厳しい冬を乗り越えるための対策が不可欠です。一部の特別な品種を除き、エンドウ豆は生育初期に一定期間、低温にさらされることで花芽を形成するという性質を持っているため、基本的に屋外で冬越しさせる必要があります。特に、冬が来る前に苗が大きく成長しすぎている場合は、霜や冷たい風によるダメージを受けやすくなるため、入念な寒さ対策が非常に重要になります。
苗の寒さ対策として効果的な方法の一つが、トンネル栽培です。トンネル支柱を設置し、その上から防寒用の寒冷紗や不織布などの資材を覆うことで、物理的に寒さや霜から苗を保護します。トンネルが風で飛ばされないように、しっかりと固定することが大切です。こうすることで、内部の温度を少し上げ、霜が降りるのを防ぐことができます。また、種まき直後からトンネルを設置しておくと、鳥による食害を防ぐ効果も期待できます。さらに、霜による被害を直接防ぐためには、株元をビニール製のマルチや敷き藁などで覆う「マルチング」も有効な手段です。マルチングは、地温の急な変化を和らげ、土壌の乾燥を防ぐ効果もあります。
冬越しを成功させるためのもう一つの重要なポイントは、種まきの時期を適切に守り、冬の到来までに適度な大きさの苗を育てておくことです。エンドウ豆の苗は、本葉が2~3枚程度の時期が最も寒さに強いとされています。この最適な大きさに育て上げることで、自然な耐寒性を最大限に引き出すことができます。反対に、冬が来るまでに苗が大きくなりすぎると、かえって寒さによる被害を受けやすくなるため注意が必要です。目安として、草丈が15cm以下で冬を越せるように、種まきの時期を調整しましょう。
無事に冬を越え、暖かい春を迎えると、エンドウ豆の草丈は急激に成長し始めます。この生育が活発になるタイミングで、最初の追肥を行い、株の成長をサポートしてあげましょう。春先の芽出しと同時に追肥を行うことで、栄養分の吸収が促進され、その後の開花・結実に良い影響を与えます。
エンドウ豆の肥料の与え方
エンドウ豆は、収穫期間中に数回に分けて少量の追肥を行うことで、長期間にわたり安定した収穫が見込めます。適切な時期に適切な量の肥料を与えることが、たくさんの実を収穫するための秘訣です。エンドウ豆は根に根粒菌を持っており、空気中の窒素を固定する能力があるため、窒素過多にならないように注意し、リン酸やカリウムをバランス良く含んだ肥料を選ぶことが重要です。
秋に種をまいた場合、最初の追肥は種まきからおよそ1ヶ月後、苗が本葉を3~4枚展開した頃に行います。その後、本格的な開花が始まる前の3月頃にもう一度追肥を行い、株の成長を促します。さらに、その約1ヶ月後、花が咲き始め、実がつき始めるタイミングで肥料を追加します。これらの追肥以降は、収穫が終わるまでの間、およそ1ヶ月に1回のペースで定期的に追肥を繰り返しましょう。これにより、株が養分不足になるのを防ぎ、次々と実をつけ続けることができます。液体肥料を薄めて与えるか、緩効性の固形肥料を株元に少量施すのが効果的です。
春に種をまいた場合は、株が開花を迎えた後に最初の追肥を行います。その後、収穫量が最も多くなる時期にもう一度追肥を与え、さらにその約1ヶ月後に再度肥料を与えます。秋まきの場合と同様に、収穫期間中は月に1回程度の追肥を継続して行うことが、長期にわたる安定した収穫量につながります。肥料の与えすぎは根を傷めたり、葉ばかりが茂って実付きが悪くなったりする原因となるため、パッケージに記載されている規定量を守り、少量ずつ様子を見ながら与えることが大切です。
エンドウ豆の水やり
エンドウ豆は根が過湿状態になるのを非常に嫌うため、水の与えすぎには十分に注意が必要です。土が常に湿っている状態が続くと、根腐れを起こしやすくなるため、乾燥気味に管理するのがポイントです。特に冬場の生育が緩やかな時期や、梅雨時期の長雨には注意しましょう。
鉢植えやプランターで栽培している場合は、土の表面が乾いていることを確認してから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。これにより、土中の古い空気が押し出され、新鮮な空気が根に供給されます。ただし、受け皿に水を溜めたままにしておくと根腐れの原因となるため、余分な水はすぐに捨てるようにしてください。また、冬場は水やりの頻度をさらに控えめにし、土が完全に乾いてから数日後に与える程度で十分です。
地植えで栽培している場合は、基本的に自然の雨に任せて問題ありません。エンドウ豆は深く根を張るため、一度根付けばある程度の乾燥には耐えることができます。しかし、雨が長く降らず土壌が乾燥し、葉がしおれてくるような兆候が見られた場合は、株元にたっぷりと水を与えてください。特に、開花期や実が膨らむ時期に水不足になると、収穫量や品質に影響が出る可能性があるため、この時期は特に注意深く観察することが大切です。朝に水やりを行い、日中の気温が高い時に葉が濡れたままにならないようにしましょう。これにより、病気の発生リスクも抑えることができます。
エンドウマメ(えんどう豆)栽培における管理と病害虫への備え
エンドウマメは、家庭菜園でも比較的取り組みやすい野菜ですが、良質な収穫を得るには、いくつかの重要な管理ポイントを押さえることが不可欠です。適切な栽培管理を行うことで、エンドウマメの生育を促進し、収穫量を増やすことが期待できます。ここでは、エンドウマメ栽培における支柱の設置や誘引といった作業、そして注意すべき病害虫とその対策について詳しく解説します。
生育を支える支柱立てと誘引作業
つるが伸びるタイプの「つるあり」品種のエンドウマメを栽培する際には、支柱立ては必須の作業となります。一方、「つるなし」品種の場合でも、支柱を設置することで株が安定し、強風による倒伏を防ぐことができ、株全体の日当たりや風通しを改善する効果が期待できるため、積極的に設置することをおすすめします。特に、実がつき始めると、その重みで株が倒れやすくなるため、できるだけ早い段階で支柱を立てることが重要です。
苗が20cm~30cm程度に成長したら、支柱立てを行いましょう。支柱を一定間隔で立て、その間に麻ひもやビニール製のテープなどを横方向に数段にわたって張ることで、エンドウマメのつるが自然とそれらに絡みついて成長していきます。支柱は、丈夫なものをしっかりと地面に差し込み、強風によって倒れないように固定することが大切です。園芸用のネットを活用するのもおすすめです。ネットを使用すれば、つるが絡みやすく、株全体を均一に誘引しやすくなります。
つるが伸びてきたら、定期的にネットやひもに誘引する作業も大切です。エンドウマメのつるは成長が早く、そのままにしておくと、つる同士が絡まってしまったり、生育方向がバラバラになってしまうことがあります。そのような場合は、丁寧にほどいて、まっすぐ上方向に伸びるようにネットや支柱に優しく巻き付けてあげましょう。誘引を怠ると、つるが密集してしまい、株全体への日当たりや風通しが悪くなり、病害虫の発生や生育不良につながる可能性があります。作業の際は、デリケートなつるを折らないように、丁寧な作業を心がけてください。特に、開花期や結実期は株への負担が大きいため、より丁寧な誘引作業が、健全な生育を促進することにつながります。
注意すべきエンドウマメの病気とその対策:うどんこ病
エンドウマメ栽培において注意が必要な病気の一つに、「うどんこ病」があります。うどんこ病は、葉の表面に白い粉状のカビが発生する病気で、風通しが悪い環境や、土壌の水はけが悪い環境で発生しやすくなります。特に、湿度が高く気温の高い時期に発生しやすく、梅雨の時期などは注意が必要です。うどんこ病に感染すると、光合成が阻害され、株が弱まり、結果として収穫量や品質の低下につながります。
うどんこ病を予防するためには、風通しを良くすることが重要です。つるが密集しないように定期的に手入れを行い、葉を適度に間引くことで、株全体の通気性を確保しましょう。下葉が枯れていたり、葉が密集している部分があれば、思い切って取り除くことも有効です。もし、うどんこ病が発生しているのを確認した場合は、速やかに適用のある殺菌剤を散布して対処することが重要です。早期発見と早期対応が、被害の拡大を防ぐための重要なポイントとなります。症状が軽い場合には、重曹を水で薄めたものをスプレーする方法も有効ですが、効果は限定的であることに留意してください。
さらに、予防策として、エンドウマメを植え付ける際には、水はけが良く、日当たりと風通しの良い場所を選ぶことが大切です。特に、湿気がこもりやすい場所は避けるようにしましょう。また、株と株の間隔を適切に確保し、密集した状態にならないようにすることも重要です。これにより、株同士の風通しが良くなり、病気の発生リスクを低減することができます。病気に強い品種を選択することも、効果的な予防策の一つと言えるでしょう。
エンドウマメに発生しやすい害虫とその対策:アブラムシ、エンドウヒメシンクイ
エンドウマメには、様々な害虫が発生する可能性があります。主な害虫の種類と、それぞれの対策方法を把握しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
最も一般的な害虫の一つがアブラムシです。アブラムシは、主に新芽や葉の裏側に群生し、植物の汁を吸って生育を阻害します。また、ウイルス性の病気を媒介する可能性もあります。アブラムシを見つけたら、早急に駆除することが重要です。数が少ない場合は、ガムテープやブラシなどを使用して物理的に取り除くことが可能です。大量発生した場合は、適用のある殺虫剤を使用するか、牛乳を水で薄めたものをスプレーして窒息させる方法も効果的です。アブラムシの天敵であるテントウムシやクサカゲロウを呼び込むために、コンパニオンプランツとしてマリーゴールドなどを植えるのも良いでしょう。
次に、エンドウヒメシンクイにも注意が必要です。この害虫は、エンドウマメのさやの中に侵入し、中の豆を食害します。さやに小さな穴が開いていたり、収穫した豆に虫食いの跡が見られる場合は、エンドウヒメシンクイによる被害が疑われます。予防策としては、開花期からさやが形成される時期にかけて、防虫ネットや防虫シートをかけることで、成虫の侵入を物理的に防ぐことが有効です。また、被害を受けたさやは、早めに摘み取って処分することで、被害の拡大を防ぐことができます。適切なタイミングで殺虫剤を散布することも有効ですが、収穫間際の農薬使用は注意が必要です。
日頃からエンドウマメの状態を注意深く観察し、早期発見と早期対応を心がけることが、病害虫対策の基本となります。健康な株は、病害虫に対する抵抗力も高いため、適切な土壌づくり、水やり、肥料管理を徹底することも、間接的な病害虫対策につながります。
エンドウマメの収穫時期と方法、保存
エンドウマメの収穫時期は、一般的に春から初夏にかけてですが、品種によって最適な時期が異なります。種袋や苗の説明書きをよく確認し、それぞれの品種に合ったタイミングで収穫することが大切です。収穫時期を逃すと、豆がかたくなって風味が落ちてしまうため、適切なタイミングを見極めましょう。
エンドウマメは、種類によって収穫に適した時期が異なります。以下にそれぞれの種類ごとの収穫時期の目安をご紹介します。
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さやえんどう(絹さや):さやがまだ柔らかく、若い状態で収穫するのがおすすめです。他の種類のエンドウマメよりも収穫時期が早く、開花後12~15日程度、豆がわずかに膨らみ始めた頃が目安です。さやが薄く、中の豆があまり大きくならないうちに収穫するのがポイントです。
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スナップエンドウ:さやと中の豆の両方を食べるスナップエンドウは、さやと豆が十分に大きくなった頃が収穫のタイミングです。開花後20~25日程度、さやが鮮やかな緑色になり、豆が膨らんでくるのが目安です。収穫が遅れると、さやが硬くなり食感が悪くなるため、注意が必要です。
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実エンドウ(グリーンピース):実エンドウは、中の豆が十分に大きくなるまで待ちましょう。開花後28~30日程度、さやがしっかりと膨らみ、表面に少しシワが見え始めた頃が収穫適期です。この時期に収穫することで、豆本来の甘みと風味を最大限に楽しめます。未熟な状態で収穫した緑色の豆が『グリーンピース』で、ホクホクとした食感と甘みが特徴です。一方、完熟させて乾燥させた豆は『赤えんどう』や『青えんどう』と呼ばれ、煮豆やみつ豆などに利用されます。豆を味わう品種は、豆が大きくなるのを待っていると収穫時期を逃してしまうことがあるため、おおよその収穫時期が来たら収穫するようにしましょう。
収穫する際には、清潔でよく切れるハサミを用意し、さやが付いている茎の根元部分を丁寧にカットします。手で無理に引きちぎると、株を傷つけてしまい、その後の生育や収穫量に影響が出る可能性があるため避けましょう。収穫したエンドウマメは、新鮮なうちに食べるのが一番ですが、すぐに食べきれない場合の保存方法も覚えておくと便利です。
少量で数日中に食べきる場合は、乾燥しないようにポリ袋などに入れて冷蔵庫で保存し、できるだけ早く調理しましょう。冷蔵保存の目安は約3~5日です。たくさん収穫してすぐに食べきれない場合は、固めに茹でてから冷まし、しっかりと水気を切って密閉できる袋や容器に入れて冷蔵または冷凍保存するのがおすすめです。特に冷凍保存すると、エンドウマメのみずみずしさや風味を比較的長く保つことができます。冷凍保存の場合、数ヶ月間保存可能です。茹でてから冷凍する場合は、使うときにそのまま炒め物や煮物などに使えるので便利です。
まとめ
エンドウマメは、春から初夏にかけて旬を迎える、家庭菜園でも手軽に育てられる人気の野菜です。つるなし品種を選べばベランダでも栽培でき、初心者の方にもおすすめです。種まきの時期や冬越しの対策、適切な水やりや肥料の管理、支柱立てや誘引、うどんこ病やアブラムシなどの病害虫対策といったポイントをしっかり押さえることで、豊かな収穫を期待できます。特に秋に種まきや植え付けを行う場合は、苗の防寒対策をしっかりと行うことが成功の秘訣です。また、スナップエンドウ、さやえんどう、実エンドウといった種類ごとの特徴や、開花後の日数を目安にした収穫時期を把握しておけば、最も美味しい状態でエンドウマメを味わうことができます。今回ご紹介した情報を参考に、ぜひ家庭菜園で新鮮で美味しいエンドウマメを育て、ご家族の食卓を豊かに彩ってみてください。
エンドウマメの種まき時期はいつですか?
エンドウマメの種まき時期は、一般的に10月下旬から11月頃が適していますが、寒冷地など冬の寒さが厳しい地域では春まきがおすすめです。発芽に適した温度は15℃~20℃です。早すぎる種まきは冬越しが難しくなるため、地域の気候条件を考慮して適切な時期を選びましょう。冬が来るまでに本葉が2~3枚程度に育つのが理想的です。
エンドウマメはベランダでも育てられますか?
はい、エンドウマメはベランダでも育てることができます。特に「つるなし」品種は、草丈が低く省スペースで栽培できるため、ベランダ栽培に最適です。プランターや鉢植えなどを活用して栽培を楽しみましょう。つるなし品種であっても、支柱を立てることで株が安定し、風通しも良くなります。
エンドウ豆の越冬、どうすればうまくいく?
秋に種をまいたエンドウ豆は、特別な手入れをして冬を越させましょう。苗が大きく育ちすぎないように、種まきの時期を守ることが大切です。本葉が2~3枚になった頃に冬を迎えるのが理想的。寒さ対策としては、トンネル支柱を使って寒冷紗や不織布で覆ったり、株元にビニールマルチや藁を敷いたりするのが効果的です。こうすることで、霜や冷たい風から苗を守り、土の温度変化を穏やかにできます。
エンドウ豆が病気になる?どんな病気に注意すべき?対策は?
エンドウ豆で注意したい病気は「うどんこ病」です。風通しが悪かったり、水はけが良くないと発生しやすくなります。予防のためには、つるが密集しないように整理し、株間を広くとって風通しを良くすることが重要です。もし発生してしまったら、農薬として登録されている殺菌剤を使用しましょう。また、アブラムシも発生しやすい害虫です。見つけたらすぐに取り除き、大量発生した場合は殺虫剤の使用も検討しましょう。
スナップエンドウとグリーンピース、収穫時期に違いはある?
はい、収穫のタイミングはそれぞれ異なります。スナップエンドウ(さやも豆も一緒に食べるタイプ)は、さやと豆が大きくなり始めた頃が収穫に適した時期で、開花してから20~25日ほど経った頃です。収穫が遅れると、さやが硬くなってしまいます。一方、グリーンピース(豆だけを食べるタイプ)は、豆が十分に大きくなり、さやに少しシワが見え始めた頃が収穫時期です。開花後28~30日程度と、スナップエンドウより少し遅めの収穫になります。
スナップえんどう、さやえんどう、実えんどう、何が違うの?
これらはすべてエンドウ豆の仲間ですが、食べる部分や風味が違います。さやえんどうは、豆が大きくなる前にさやごと食べる品種で、甘みは控えめなのでお吸い物などに使われます。スナップエンドウは、肉厚なさやと甘い豆の両方を味わえる品種です。実えんどうは、さやから豆を取り出して食べることを目的とした品種で、グリーンピースとして親しまれています。
エンドウ豆の収穫時期を逸するとどうなるのでしょうか?
エンドウ豆は、収穫適期を過ぎてしまうと、莢が硬質化したり、豆本来の甘みが失われたりして、風味や食感が著しく損なわれます。とりわけ、スナップエンドウや実エンドウといった品種は、豆が十分に成熟していないように感じられても、それぞれの品種ごとに定められた収穫の目安時期を守ることが重要です。適切なタイミングで収穫を行うことは、株への負担を軽減し、次々と実をつけさせることにも繋がります。
エンドウ豆の栽培において連作障害は発生しますか?
はい、エンドウ豆は、豆科植物であるため、連作障害が発生しやすい傾向にあります。過去に豆科植物を栽培した土壌での栽培は避け、どうしても同じ場所で栽培する場合は、事前に土壌改良を施すように心がけましょう。理想としては、最低でも3~4年間は豆科植物を栽培していない土地で栽培することが望ましいです。
収穫したエンドウ豆は、どのように保存するのが適切ですか?
すぐに食べきれない場合は、乾燥を防ぐためにポリ袋などに入れ、冷蔵庫で保存し、なるべく早く調理するようにしましょう。大量に収穫できた場合は、少し硬めに茹でて水気をしっかりと切り、密閉可能な保存袋に入れて冷蔵、または冷凍保存することで、比較的長い期間、鮮度を保つことができます。冷凍保存であれば、数ヶ月間の保存が可能です。













