春の訪れを告げる山菜「こごみ」。くるくると巻いた可愛らしい姿は、食卓に春の彩りを添えてくれます。山菜特有の苦味が少なく、シャキシャキとした食感が楽しめることから、幅広い世代に人気の食材です。この記事では、こごみの魅力を余すことなくお届けするため、下処理の基本から、素材の味を活かした絶品レシピまでを徹底解説。さらに、こごみを長く楽しむための保存方法もご紹介します。春の味覚「こごみ」を味わい尽くし、食卓を豊かに彩りましょう。

春の恵み「こごみ」とは?特徴と旬の時期を解説
春の食卓を彩る山菜「こごみ」は、早春から市場に出回り始め、特に雪解け後の地域ではこれからが旬を迎えます。一般的に3月から5月にかけてが最盛期で、春ならではの味覚として親しまれています。山菜の中でもアクが少なく、独特の風味と食感が特徴で、シャキシャキとした歯ごたえとほのかなぬめりが魅力です。下処理が簡単で、さっと茹でるだけで美味しく食べられるため、家庭でも手軽に楽しめるのが人気の理由。ここでは、こごみの鮮やかな色と食感を最大限に引き出す茹で方、手軽な食べ方、そして風味豊かな浅漬けのレシピをご紹介します。さらに、こごみを長持ちさせるための冷凍保存方法も詳しく解説します。
「こごみ」の下ごしらえ
こごみはアクが少ないため、山菜独特の灰汁抜きは不要で、水洗いが基本の下処理となります。この手軽さが、こごみが家庭で親しまれる理由の一つです。ここでは、こごみ10本(約100g)を例に、下処理の方法を解説します。
茎の根元と巻き込み部分の洗い方
まず、こごみの茎の根元の硬い部分や、変色した部分を切り落とします。次に、ボウルに水を張り、こごみの特徴的な渦巻き状の先端を丁寧に洗いましょう。渦巻き部分を軽く開き、指先で優しくゴミや汚れ、不要な葉を取り除きます。この丁寧な洗浄が、こごみをより美味しく、安心して味わうための大切な準備となります。
小さな葉も美味しく
こごみの茎には、小さな葉が付いていることがありますが、これも美味しく食べられます。茎の葉も同様に、優しく水で洗い、丁寧に汚れを落としてから調理しましょう。これにより、こごみ全体の風味と食感を余すことなく楽しむことができます。
山菜こごみ:基本の茹で方とシャキシャキ感を保つ秘訣
こごみを美味しく味わうには、丁寧な下処理はもちろんのこと、茹で加減が非常に大切です。下処理を終えたこごみを茹でる際は、大きめの鍋にたっぷりの湯(約1リットル)を沸騰させ、塩を大さじ1杯加えます。沸騰したお湯の中にこごみを入れ、2分を目安に茹で上げます。茹で上がったら素早くザルにあげ、冷水で手早く冷やし、キッチンペーパーなどで丁寧に水分を拭き取ってください。この冷水で冷やす工程が、こごみの色鮮やかな緑色と、あの独特のシャキシャキとした食感をキープするための重要なポイントです。すぐに食べきれない場合は、後述する冷凍保存の方法を活用することで、こごみの美味しさをより長く楽しむことができます。
こごみを使ったおすすめの食べ方・レシピ
茹でたこごみは、バラエティ豊かな料理に活用でき、その独特の食感と風味が、どんな味付けとも見事に調和します。ここでは、手軽に試せるアイデアレシピから、食欲をそそる定番レシピまでをご紹介します。

茹でたこごみを気軽に楽しむためのアイデア
茹でたこごみをさらに美味しく、そして手軽に味わうための方法として、下記のようなディップや和え物はいかがでしょうか。
1. やみつきになる「醤油おかかマヨ」ディップ
醤油、マヨネーズ、そして風味豊かな削り節を混ぜ合わせるだけで、コクのある絶品ディップが完成します。この濃厚な風味が、こごみならではの心地よい歯ごたえと絶妙にマッチし、一度食べたら止まらない美味しさです。食卓にあと一品追加したい時など、時間がない時でも手軽に作れるのが魅力です。
2. 春の風味「ごま和え」で一息
上品な箸休めとして、めんつゆと炒りごまを混ぜ合わせたごま和えはいかがでしょうか。シンプルな調味ながらも、こごみ特有の持ち味が生かされ、ごまの芳醇な香りが食欲をそそります。食膳に彩りを添え、お口直しにもぴったりです。
3. 本格的な味わい「ナムル」仕立て
山菜を使ったナムルは、本場韓国でも親しまれている調理法です。茹でたこごみを、ごま油、塩、すりおろしニンニクで和えるだけで、本格的なナムル風の美味なおかずが手軽に作れます。ニンニクの風味が食欲を掻き立て、ご飯のお供にも、お酒の肴にも相性抜群です。ぜひお試しください。
こごみの天ぷらの作り方
こごみを堪能するなら、揚げたて熱々の天ぷらは外せません。衣に閉じ込められたこごみの旨味と、軽快な食感が魅力です。天ぷらにする際は生のまま揚げ、衣をまぶす前に小麦粉を軽くまぶしておくのがコツです。
衣を剥がれにくくするコツ
衣を付ける前に、小麦粉を薄くまぶすと、小麦粉が糊の役目を果たし、衣が付きやすくなります。これにより、揚げている間に衣が剥がれるのを防ぎ、こごみ本来の美味しさを損なわずに、サクサクとした食感の天ぷらに仕上がります。
材料(2人分)
こごみ:100g
小麦粉:大さじ2
揚げ油:適量
【A】衣
小麦粉:大さじ5
片栗粉:大さじ1
冷水:80ml
作り方
1. こごみは丁寧に下処理を行い、キッチンペーパーで余分な水分をしっかりと取り除きます。
2. こごみに小麦粉(大さじ2)を薄く、均一にまぶします。
3. ボウルに【A】の衣の材料を入れ、混ぜすぎないように軽く混ぜ合わせます。
4. 揚げ油を170℃に熱し、2のこごみに3の衣をまとわせ、油の中で揚げます。衣がサクサクとした状態になるまで揚げれば完成です。
こごみのおひたしレシピ
こごみ特有の風味をダイレクトに楽しむには、おひたしが最適です。シンプルな味付けで、こごみならではの心地よい食感と香りを堪能できます。おひたしにする際は、通常よりも短い時間、約1分強を目安に茹でるのがコツです。
食感を良くする筋取りのコツ
こごみをおひたしとして調理する際、茎にある硬い筋を取り除くことで、より一層美味しい食感になります。ただし、茹ですぎると柔らかくなりすぎてしまうので注意が必要です。茹でたこごみは傷みやすいので、できるだけ早くお召し上がりください。
材料(2人分)
こごみ:100g 醤油:大さじ2 出汁:大さじ2 砂糖:小さじ1/2 鰹節:適量
作り方
1. こごみは丁寧に下処理を行います。まず、根元の硬い部分を切り落としてください。次に、茎の両側の筋を、根元から渦を巻いている部分に向かってゆっくりと引き、取り除きます。途中で筋が切れても問題ありません。 2. 鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、下処理を終えたこごみを投入し、1分強茹でます。茹で上がったら素早く冷水に移し、粗熱を取ります。その後、しっかりと水気を絞ってください。 3. こごみを食べやすい大きさにカットし、器に盛り付けます。醤油、出汁、砂糖を混ぜ合わせた特製タレを上からかけます。 4. 最後に、風味豊かな鰹節を添えて、完成です。
止まらない美味しさ!「こごみの浅漬け」極上レシピ
数あるこごみの調理法の中でも、格別におすすめしたいのが、この「こごみの浅漬け」です。お酢の爽やかな酸味と、こごみ特有の心地よい歯ごたえが絶妙に調和し、口にするたびに食欲をそそる逸品です。作り置きにも適しているので、冷蔵庫にストックしておけば、いつでも手軽にこごみの美味しさを堪能できます。
材料(作りやすい量)
茹でたこごみ:10本
【A】
水:大さじ1
酢:大さじ1と1/2
醤油:大さじ1
砂糖:小さじ2
塩:小さじ1/2
赤唐辛子の輪切り:小さじ1/2
作り方
1.下処理を済ませたこごみを、食べやすいサイズにカットします。
2.清潔な保存容器に浅漬けの調味液を準備します。調味液は、水(大さじ1)、お酢(大さじ1と1/2)、醤油(大さじ1)、砂糖(小さじ2)、塩(小さじ1/2)、そして赤唐辛子の輪切り(小さじ1/2)を混ぜ合わせます。
3.調味液が均一になったら、カットしたこごみを加え、丁寧に混ぜ合わせます。
4.全体に調味液が馴染んだら、冷蔵庫で保管し、味をじっくり染み込ませます。
この浅漬けは、冷蔵保存で4~5日程度美味しくいただけます。そのまま箸休めとしていただくのはもちろん、普段のお料理に添えるだけで、春の息吹を感じさせる一品になります。春ならではの味覚「こごみ」を、ぜひこの機会に浅漬けでご堪能ください。
こごみの鮮度を保つ冷凍保存テクニック
こごみは、生のまま冷蔵庫で保存すると、約4日程度で品質が落ちてしまいます。そこで、長期保存には冷凍保存がおすすめです。冷凍することで、風味を損なうことなく、約2週間保存することができます。ただし、冷凍すると組織が変化し、食感が柔らかくなることがあります。そのため、解凍後も美味しくいただくためには、少し硬めに茹でてから冷凍するのがコツです。ここでは、こごみを美味しく冷凍保存するための方法を詳しく解説します。
冷凍保存の利点と注意点
こごみを冷凍保存することで、旬の時期に収穫した美味しさを長く楽しむことが可能になります。冷凍により、解凍後の食感が若干変化したり、色味が濃くなることがありますが、風味は損なわれにくいのが特徴です。冷凍前にこごみを茹でる際、「少し硬めかな?」と感じる程度で止めることで、解凍後の料理でもシャキシャキとした食感を保つことができます。
【冷凍方法】詳しい手順
こごみの冷凍保存は、以下の手順で行います。
1. 下ごしらえ後のこごみをさっと茹でる(中心部は少し硬めに)
鍋に水1リットルと少量の塩(小さじ2弱)を入れ、沸騰したら下処理済みのこごみを投入し、1分弱茹でます。茹ですぎず、中心に少し歯ごたえが残る程度が理想的です。この少し硬めの茹で加減が、冷凍後の食感を損なわないための秘訣です。
2. 水分を丁寧に拭き取り、巻き込んだ部分も忘れずに
茹で上がったこごみは、速やかにざるにあげて水気を切ります。その後、キッチンペーパーなどを使い、特に渦を巻いている部分に溜まった水分を念入りに拭き取ってください。水分が残っていると冷凍時に霜がつき、品質劣化の原因となります。水切りをする際は、こごみが重ならないように広げて並べると、水分が切れやすく、余熱も早く取れるのでおすすめです。
3. 茎の繊維を丁寧に除去
こごみの茎の両端は、硬い繊維質になっている場合があります。この硬い部分を爪で軽く引っ掛け、指で摘んで根元から渦巻き状の部分へ向かってゆっくりと引き剥がすと、簡単に繊維を取り除くことができます。途中で切れてしまっても構いませんので、無理のない範囲で丁寧に取り除きましょう。この一手間を加えることで、解凍後の口当たりが格段に向上します。
4. 冷凍保存用袋で平らにして冷凍
水分をしっかり拭き取り、繊維を取り除いたこごみを、冷凍保存用袋に重ならないように平らに並べて入れます。できる限り空気を抜き、しっかりと密閉してから冷凍庫で保存します。この方法であれば、約2週間程度、こごみの風味を保ったまま保存できます。
【解凍方法】と保存後の食べ方
冷凍保存したこごみを味わう際は、召し上がる2~3時間前に冷蔵庫へ移し、ゆっくりと自然解凍するのがおすすめです。冷凍によって風味は損なわれにくいものの、組織が変化するため、解凍後は生のものよりも柔らかい食感となる場合があります。また、色味が若干濃くなることもあります。解凍後は、和え物やおひたしとしてシンプルにいただくのがおすすめです。また、凍った状態のまま天ぷらや炒め物などの加熱料理に加えても美味しくいただけます。用途に合わせて解凍方法や調理法を選び、旬の美味しさを一年を通して楽しみましょう。
まとめ
春の訪れを告げる山菜「こごみ」は、独特の苦味やクセが少ないため、アク抜きなしで気軽に調理できるのが魅力です。適切な下処理と茹で方を守ることで、鮮やかな緑色と心地よい歯ごたえを最大限に引き出すことができます。ご紹介した「おかか醤油マヨ和え」「ごま和え」「ナムル風」といった簡単な和え物から、衣のサクサク感がたまらない天ぷら、素材の味を活かしたおひたし、そしてご飯が進む浅漬けまで、多彩な調理法でその美味しさを堪能できます。さらに、冷凍保存を活用すれば、旬の時期を逃しても、こごみの風味を長く楽しむことができます。これらの情報を参考に、春ならではの味覚「こごみ」を心ゆくまでお楽しみください。
【重要】山菜を採取する際は、以下の点に注意してください。
有毒植物との誤認: 類似した植物による食中毒が報告されています。図鑑や専門家の指導のもと、確実に食用と判断できるもののみを採取してください。
私有地の無断採取: 山林は所有者がいる場合があります。無断で立ち入って採取することは法律で禁じられている場合があります。必ず許可を得てから採取してください。
採取禁止区域: 国立公園や自然保護区など、採取が禁止されている区域があります。事前に確認しましょう。
春の訪れを告げる山菜「こごみ」は、独特の苦味やクセが少ないため、アク抜きなしで気軽に調理できるのが魅力です。適切な下処理と茹で方を守ることで、鮮やかな緑色と心地よい歯ごたえを最大限に引き出すことができます。ご紹介した「おかか醤油マヨ和え」「ごま和え」「ナムル風」といった簡単な和え物から、衣のサクサク感がたまらない天ぷら、素材の味を活かしたおひたし、そしてご飯が進む浅漬けまで、多彩な調理法でその美味しさを堪能できます。さらに、冷凍保存を活用すれば、旬の時期を逃しても、こごみの風味を長く楽しむことができます。これらの情報を参考に、春ならではの味覚「こごみ」を心ゆくまでお楽しみください。
こごみはなぜアク抜きが不要なのですか?
こごみは、わらびやぜんまいといった他の山菜と比べて、アクの成分が少ないため、アク抜きをする必要がありません。丁寧に水洗いして泥や汚れを落とすだけで、そのまま様々な料理に活用できます。
こごみの保存期間はどれくらいですか?
生のまま冷蔵保存する場合、こごみは約4日程度で品質が低下してしまうため、できるだけ早く消費するようにしましょう。冷凍保存する場合は、下処理として軽く茹でてから冷凍保存用の袋に入れて保存することで、風味を損なわずに約2週間保存することができます。
こごみを茹でる時の秘訣は?
こごみを茹でる際は、たっぷりの沸騰したお湯に塩を少し加え、約2分間茹でるのが一般的です。茹で上がったら素早く冷水に浸し、丁寧に水気を切ることで、美しい緑色と心地よい歯ごたえを維持できます。
冷凍こごみ、上手な解凍方法は?
冷凍したこごみは、召し上がる2~3時間前に冷蔵庫に移してゆっくりと解凍するのがおすすめです。お急ぎの場合は、凍った状態で天ぷらや炒め物など、加熱調理に使用することも可能です。自然解凍した後は、おひたし等でその風味を堪能してください。
こごみの茎にある小さな葉、食べられる?
はい、こごみの茎についている小さな葉も美味しくいただけます。下処理の段階で、優しく撫でるように水洗いし、付着した汚れを落としてから調理にお使いください。こうすることで、こごみが持つ独特の風味と食感を最大限に活かすことができます。
絶品こごみ天ぷらの作り方、教えます!
こごみの天ぷらを格別なものにするには、衣を付ける前に薄力粉を軽くまぶすのがポイントです。これにより、衣が均一に付き、揚げている途中で剥がれるのを防ぎ、こごみ本来の美味しさを閉じ込めて、サクサクとした食感に仕上がります。













