庭で実ったオリーブ、せっかくなら美味しく味わいたいですよね。でも生のオリーブは強烈な渋みが難点…。そこでこの記事では、家庭で手軽にできるオリーブの渋抜き方法を徹底解説!重曹や塩を使った基本的な方法から、風味を活かすちょっと変わった方法まで、様々なアプローチをご紹介します。さらに、渋抜き後の簡単レシピも掲載。自家製オリーブを使ったサラダやパスタで、食卓を豊かに彩りましょう!
家庭で楽しむオリーブの実:渋抜きから加工、自家製オイル、そして絶品レシピまで完全ガイド
秋が深まり、庭のオリーブの木が実りの時期を迎えると、緑から黄色、赤、そして黒へと色を変える実たちが私たちを魅了します。しかし、その美しい見た目とは裏腹に、生のオリーブの実は非常に強い渋みを持っており、そのまま口にすることはできません。オリーブを育てている方なら誰もが、この渋みを何とかして取り除き、美味しく味わいたいと願うことでしょう。私たち小豆島のオリーブ農家は、長年にわたり、家庭で収穫したオリーブの実を美味しく加工する方法を模索してきました。重曹、塩、水、ワイン、日本酒、炒める、干す、搾るなど、様々な方法を試し、多くの失敗を繰り返す中で、比較的上手くいった12の方法にたどり着きました。これらの方法は、オリーブ本来の風味を活かしつつ、誰でも美味しく食べられるようにするためのものです。オリーブの実の使い道に困っていませんか?塩漬けやオイル漬けは、時間こそかかりますが、サラダやパスタ、おもてなしの前菜として、食卓をおしゃれに彩ります。この記事では、これらの実践的な方法を詳しく解説するとともに、オリーブの渋みの原因、加工のメカニズム、自家製オリーブオイルの抽出方法まで、オリーブを最大限に楽しむための知識を余すところなくお伝えします。2018年8月12日に初版が作成され、2019年11月20日、2021年11月18日と改良を重ねてきた本ガイドが、今年のオリーブの収穫をより豊かなものにする手助けとなれば幸いです。また、便利な種抜き器の情報も追加しましたので、ぜひご活用ください。
生食の困難さ:強烈な渋みの体験
秋にオリーブの木が色とりどりの実をつける様子は、まさに収穫の喜びを感じさせてくれます。しかし、初めて生のオリーブの実を口にした時の衝撃は忘れられません。想像をはるかに超える強烈な渋みが口の中に広がり、思わず吐き出してしまいました。その後も1時間ほど渋みが残り続け、唾液が止まらないほどでした。スーパーで手軽に購入できるオリーブオイルや塩漬けからは想像もできないほどの渋さに、生のオリーブの恐るべきポテンシャルを感じました。この体験は、今から20年以上前、妻の実家がある香川県小豆島での出来事です。その後、様々な縁があり、私自身が小豆島でオリーブ農家として生計を立てることになりました。この経験からも明らかなように、生のオリーブの実をそのまま食べるのは至難の業です。
オリーブの渋み成分:ポリフェノールと植物の自己防衛
オリーブが単なる食材から仕事へと変わった時、これまで誰かが処理してくれていたオリーブの渋みが、大きな壁となって立ちはだかりました。そもそも、なぜオリーブの実はあんなにも渋いのでしょうか?その原因を探るうちに、オリーブの木が虫や鳥などの外敵から身を守るために、自ら作り出す成分であることがわかりました。おかげでオリーブは比較的、害虫の被害を受けにくいと言われています。この渋みの主な成分は、「オレウロペイン」や「オレオカンタール」と呼ばれるポリフェノールの一種です。これらのポリフェノールは、私たち人間にとっては抗酸化作用など、様々な健康効果をもたらすことで知られていますが、オリーブの実をそのままでは美味しく食べられない原因にもなっています。そのため、「渋抜き」という工程は、単に渋みを取り除くだけでなく、有用なポリフェノールをどれだけ残すかというバランスが重要になります。渋みが全くないオリーブは、同時にポリフェノールも少ない可能性があることを理解した上で、加工方法を選ぶことが大切です。
オリーブの食べ方:実の加工かオイル抽出か
強烈な渋みを持つオリーブの実を美味しく食べるには、大きく分けて二つの方法があります。「オリーブの実をそのまま加工して食べる」か、「オイルとして搾り出す」か、です。小豆島でオリーブ栽培を専門とする農家は、一般的に、収穫したオリーブを搾油機でオイルにするか、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使って渋抜きした実を塩漬けにします。また、国内で販売されているオリーブの塩水漬けの多くは、渋抜きに苛性ソーダを使用しています。苛性ソーダは薬局でしか手に入らない強アルカリ性の薬剤であり、取り扱いには専門知識と細心の注意が必要です。一般家庭で気軽に扱えるものではありませんし、水酸化ナトリウム処理によってタンパク質やポリフェノール含量を低減することが確認されています。具体的な減少率については、さらなる調査が必要です。そこでこの記事では、家庭でも安全かつ簡単にできるオリーブの加工方法を中心に紹介し、参考情報として苛性ソーダを使った方法にも触れていきます。
試行錯誤の末にたどり着いた、オリーブの実を美味しく食べるための12の秘訣
オリーブの実特有の渋みを抑えつつ、その風味を最大限に引き出すべく、長年にわたり様々な試行錯誤を重ねてきました。ご紹介する12の方法は、私たちが数々の失敗を乗り越え、ようやく辿り着いた比較的成功率の高い手法です。実は、乳酸菌を使ったヨーグルト漬けや納豆菌を使った納豆漬けなども試しましたが、渋みは取れても独特の風味が日本人には馴染みにくいという結果に。その他、酢漬け、石灰漬け、炭酸水漬け、草木灰漬け、水煮、冷凍、土埋めなど、多岐にわたる方法を試しましたが、渋みが抜けなかったり、実が腐ってしまったり、味が極端に悪くなったりと、多くの失敗を経験しました。これらの失敗談はまた別の機会にご紹介するとして、今回は、試行錯誤の末に編み出した、美味しくオリーブを加工するための成功例に焦点を当てて解説します。
渋抜きメカニズム:5つの基本原則
様々な試行錯誤の結果、オリーブの渋みを抜くメカニズムには、主に5つの方法があることが分かりました。単に渋みを抜くだけなら他にも手段はありますが、日本人の味覚に合うことを重視し、以下の5つの原則に絞って成功した方法をご紹介します。
①アルカリ成分で渋み成分を中和する:オリーブの渋み成分であるポリフェノールは酸性であるため、重曹などのアルカリ性物質で中和し、分解します。プロの現場では苛性ソーダが用いられることもあります。
②時間をかけてじっくり渋みを抜く:オリーブの実が腐敗しないように管理された環境下で、時間をかけて徐々に渋み成分を分解・浸出させる方法です。塩、水、アルコール類、砂糖類などを使用したり、実を完熟させたりすることで、自然に渋みが和らぎ、まろやかな風味へと変化します。
③発酵の力で渋みを分解する:日本酒の麹菌、味噌、ヨーグルト菌、納豆菌など、食用可能な微生物が持つ酵素を利用して渋み成分を分解・発酵させます。渋みが取れるだけでなく、発酵ならではの豊かな風味が加わります。
④乾燥させて渋みを抑える:オリーブの実から水分を取り除くことで、渋み成分を凝縮させつつ、渋みを感じにくくする方法です。日陰干しや乾燥機を使った低温乾燥などが該当し、オリーブ本来の旨味が凝縮され、独特の食感と風味が生まれます。
⑤加熱して渋みを飛ばす:オリーブの実を加熱することで渋み成分を分解する方法です。完熟したブラックオリーブを塩で炒めるイタリアの郷土料理などがその例で、加熱によって渋みが和らぎ、オリーブ特有の香ばしさと旨味が引き出されます。
渋抜きを効率化する2つの秘訣
どのような方法で渋抜きを行うにしても、より早く、より効果的に渋みを抜くための重要なコツが2つあります。これらの前処理や実の選び方を実践することで、失敗のリスクを減らし、より確実に美味しいオリーブを加工することができます。
熟した黒い実を選ぶ:熟れる前の緑色の実よりも、熟した黒い実の方が渋みが少ないため、早く渋抜きができます。オリーブの実は、未熟な緑色の状態が最も渋みが強く、成熟が進むにつれて自然と渋み成分が減少していきます。渋抜きにかかる手間を省きたい場合は、できるだけ熟度の高い黒い実を選ぶのがおすすめです。特に、自然な甘みを感じられる完熟した実は、そのまま食べられることもあります。小豆島では、「グリーンの実の渋を苛性ソーダで抜くなら10月頃、薬剤を使わずゆっくり渋抜きするなら熟れて黒くなってからの方が良い」とアドバイスされています。加工方法によって最適な熟度が異なるため、事前に計画を立てることが重要です。
種を取り除く:オリーブの果実は果皮に覆われているため、そのままでは渋抜き成分が果実に浸透しにくい状態です。早く渋みを抜きたい場合は、種を抜く前処理が効果的です。種を抜くことで表面積が増え、渋抜き液がより広範囲に作用するため、渋抜き時間を大幅に短縮できます。種抜きは手間がかかりますが、その効果は絶大です。
オリーブの種抜きに便利なツール
山田オリーブ園では、毎年大量のオリーブの種を1粒1粒手作業で抜いています。様々な海外製の種抜き器を試した結果、ドイツ製の「Westmark オリーブストナー」が最も使いやすく、耐久性があり、価格も手頃だと感じています。家庭でのオリーブ加工において、種抜き作業は大変ですが、専用の種抜き器を使用することで格段に楽になります。効率的かつ綺麗に種を抜くことで、渋抜き液の浸透が促進され、より美味しいオリーブ加工品を作ることができます。
読者の方々からは「オリーブの種抜き器を購入したいのですが、種類が多くてどれが良いのか分かりません。おすすめはありますか?」「オリーブの種抜き器はどこで購入できますか?」といった質問が多数寄せられています。また、種抜き作業の効率について「1時間で何キロくらい処理できますか?ご紹介の器具は便利そうですが、手が疲れそうですね。」という質問もいただきました。これに対し、私たちの農園では「1時間に4kgくらいのペース」で処理しており、「年間を通してのオリーブ栽培の作業の中ではどちらかというと楽しく、身体が慣れればそれほど疲れません。休憩を挟みながら作業しています。」と回答しています。さらに、「取り除いた種に使い道はありますか?」という質問には、「種は炭にすると消臭剤になりますし、庭に蒔けば実生のオリーブが生えてきます。」と活用法を提案しています。これらの情報が、読者の皆様のオリーブ加工の一助となれば幸いです。
1.重曹水を使った渋抜き:フレッシュな風味を味わう(難易度★★★★)
重曹水を使った渋抜きは少し手間がかかりますが、オリーブ本来の風味を損なわずに、フレッシュな味わいを楽しめるのが魅力です。渋み成分である酸性のポリフェノールを、アルカリ性の重曹で中和することで渋みを抜きます。特に、緑色のオリーブの色を保ちたい場合に適しており、仕上がりも鮮やかです。
[準備するもの]新鮮な緑色のオリーブ、食品用重曹、密閉容器(ガラス瓶など)、水、網、ザル、清潔な布巾。
[作り方]まず、オリーブを丁寧に洗い、傷がないか確認します。傷がある場合は取り除くか、分けて処理しましょう。次に、オリーブの表面に軽く傷をつけるか(重曹水が浸透しやすくするため)、種を抜いておくと、より早く渋抜きができます。水1リットルに対し、重曹小さじ1杯を溶かし、重曹水を作ります。オリーブを重曹水に完全に浸し、密閉容器に入れます。毎日水を交換するため、常温で保存可能です。毎日、重曹水を交換し、オリーブを軽く洗い流します。この作業を1週間から10日程度繰り返します。渋みが抜けたかどうかは、味見をして確認しましょう。ピリピリとした刺激がなくなれば完了です。渋抜きが終わったら、真水に数日間浸し、毎日水を替えて重曹を洗い流します。最後に、塩水(濃度3~5%程度)に漬け込み、冷蔵庫で保存します。
[ポイント]重曹水の濃度や浸漬時間は、オリーブの品種、熟度、好みの渋み具合によって調整してください。品種によって皮の硬さも異なり、気温も影響するため、毎日チェックしながら調整するのがコツです。渋みが抜けすぎると風味が損なわれるため、少し渋みが残る程度で止めるのがおすすめです。また、常にオリーブが重曹水に浸っている状態を保つことが重要です。完熟前の黒いオリーブの場合、重曹で処理すると色がまだらになることがあります。風味は楽しめますが、見た目を重視する場合は別の方法を検討しましょう。
読者の方からの質問にも、「重曹を使った渋抜きを実践中です。種付きのまま始めたのですが、説明では半月程度必要とあったのに、10日程度で塩漬けを始めてしまいました。塩漬け3日目に味見したら少し苦味を感じます。もう一度重曹の渋抜きに戻った方がいいでしょうか?」というものがありました。これに対し、「少し苦みがある程度でしたら、そのまま塩漬けにして様子を見てください。塩分濃度を少し濃くすると腐敗を防げます。」とアドバイスしています。重曹での渋抜き後に苦味が残る場合は、塩漬けで熟成を続けることで、渋みが抜ける可能性があります。適切な塩分濃度を保つことが、美味しく仕上げるための鍵となります。
2.塩だけで簡単渋抜き:手軽さが魅力(難易度★)
塩をまぶして置いておくだけの、最も手軽な渋抜き方法です。手間がかからないため、初めてオリーブ加工に挑戦する方にもおすすめです。塩の種類やオリーブの品種にこだわることで、様々な風味を楽しめます。
[準備するもの]新鮮なオリーブ(熟度不問)、粗塩(ミネラル豊富な海塩がおすすめ)、密閉容器(ジップロックなど)、ザル。
[作り方]まず、オリーブをきれいに洗い、水分をしっかりと拭き取ります。表面に傷をつける必要はありませんが、種を抜いておくと早く渋抜きできます。密閉容器にオリーブと粗塩を交互に入れるか、全体にしっかりとまぶします。塩の量は、オリーブの重さの約10%~15%が目安ですが、好みで調整してください。容器を軽く揺すって塩を全体に行き渡らせ、密閉して冷暗所に置きます。数日後から水分が出てきて、塩水に浸かった状態になります。この状態で約1週間から1ヶ月程度放置します。途中で一度容器を揺すって混ぜると良いでしょう。渋みが抜けたかどうかは、味見をして確認します。渋みが抜けたら、塩を軽く洗い流し、新しい塩水(濃度3~5%程度)に浸して冷蔵庫で保存します。
[食べ方の工夫]塩で渋抜きしたオリーブは、そのまま食べるのはもちろん、サラダ、パスタ、ピザなど、様々な料理に使えます。塩辛い場合は、食べる前に水に浸して塩抜きをしてください。ハーブ、ニンニク、オリーブオイルと共にマリネすると、さらに風味豊かになります。オリーブの品種ごとに異なる味わいや、塩のミネラル感を楽しめます。
3.水交換でじっくり渋抜き:素材本来の味を追求(難易度★★★★★)
水を毎日交換するこの方法は、時間と手間がかかりますが、薬品を使わず、オリーブ本来の風味を最大限に引き出せます。水溶性の渋み成分を水に溶かし出し、毎日交換することで徐々に渋みを抜いていきます。忍耐力が必要ですが、透明感のあるオリーブの風味を楽しめます。
[準備するもの]新鮮なオリーブ、水、密閉容器(ガラス瓶やプラスチック容器)、ザル。
[作り方]まず、オリーブをきれいに洗い、表面に傷をつけたり、種を抜いたりすると早く渋抜きできます。密閉容器にオリーブを入れ、完全に浸るように水を注ぎます。蓋をしっかり閉め、冷暗所に置きます。ここからが大変な作業ですが、毎日必ず水を交換します。水替えの際には、オリーブを軽く洗い流し、容器も清潔に保つように心がけてください。この作業を約2ヶ月間、毎日続けます。水替えを忘れたり、雑菌が入ったりすると、カビが発生する可能性があるので注意が必要です。水道水の方が、井戸水や天然水よりも成功率が高い傾向にあります。塩素に殺菌作用があるため、カビの繁殖を抑える効果があるのかもしれません。渋みが抜けたかどうかは、約1ヶ月経過したあたりから、毎日味見をして確認します。渋みが抜けたら、真水に数日間浸し、毎日水を替えて完全に渋みを抜きます。その後、塩水(濃度3~5%程度)に漬け込み、冷蔵庫で保存します。
[食べ方の工夫]水で渋抜きしたオリーブは、塩水漬けにして冷蔵保存した後、そのままおつまみとして、またはサラダやマリネに加えてフレッシュな風味を楽しめます。刻んでドレッシングに加えたり、パン生地に練り込んだりするのもおすすめです。手間をかけた分、クリアな味わいは格別です。
イタリア在住の読者からも「南イタリア出身の友人に『水を毎日代える』方法を教わりましたが、本当に大変でした。基本的な方法だったんですね(笑)」というコメントが寄せられています。水交換の手間をかけたくない場合は、「塩に漬けてひたすら待つのが一番楽」という選択肢もあります。
4.塩水に漬け込む長期保存型渋抜き:手間いらずでじっくり熟成(難易度★★)
塩水に漬けるだけのこの方法は、約7ヶ月という長い期間を要しますが、準備が簡単で、一度漬け込めばほとんど手間がかかりません。長期保存にも適しており、シンプルな手順でオリーブの渋みを抜きながら、旨味を引き出すことができます。オリーブの品種によって出来上がりの風味が異なるため、様々な品種で試すのがおすすめです。
[準備するもの]新鮮なオリーブ、粗塩(ミネラル豊富な海塩がおすすめ)、水、密閉容器(ガラス瓶など)。
[作り方]まず、オリーブをきれいに洗い、傷がないか確認します。基本的には実を傷つけたり種を抜いたりする必要はありませんが、早く渋抜きをしたい場合は、表面に軽く切れ込みを入れるか、種を抜いても良いでしょう。ただし、長期間漬け込むため、切れ込みを入れると実が柔らかくなりすぎる可能性もあります。水1リットルに対し、塩約70~100g(濃度7~10%程度)を溶かし、塩水を作ります。オリーブを塩水に完全に浸し、空気に触れないように密閉容器に入れます。実が浮いてくる場合は、重しをして完全に沈めます。冷暗所に保管し、約7ヶ月間放置します。この期間中は、ほとんど手を加える必要はありませんが、時々容器を軽く揺すって塩水を均一にすると良いでしょう。塩水が茶色く濁ってくることがありますが、オリーブの色素が移ったものであれば問題ありません。腐敗の場合は異臭がするため、匂いで判断してください。異臭がなければ水替えは不要です。長期の塩水漬けでは実の色が落ちるため、空気に触れても問題ありません。緑色の実の色を保ちたい場合は、重曹水など他の方法を検討しましょう。特に気温が高い時期や、実の水分が多いと腐敗のリスクが高まります。塩漬けの初期に水が出て糸を引くような粘り気が出たり、異臭がしたりする場合は腐敗の可能性がありますので注意が必要です。心配な場合は冷蔵庫での保管をおすすめします。約7ヶ月後、味見をして渋みが抜けたかどうかを確認します。完全に渋みが抜けなくても、適度な渋みが残っている方が美味しいと感じる人もいるため、好みに合わせて調整してください。
[食べ方の工夫]塩水で渋抜きしたオリーブは、そのままおつまみとして最適です。塩辛い場合は、食べる前に数時間水に浸して塩抜きをしてください。オイル漬けにしたり、ハーブ、ニンニク、唐辛子と一緒にマリネしたりすると、さらに美味しくなります。ピザやパスタの具材、タプナード(オリーブペースト)の材料としても幅広く活用できます。長期保存が可能なので、一年を通じて自家製オリーブの味を楽しめるのが魅力です。コメント欄には、「一年間冷蔵庫で塩水漬けにしたら、茶色に変色したが、オイルを含んだようなまろやかさがあり渋みも完全に抜けていた」という体験談も寄せられています。自家製で長期保存する場合は、塩分濃度を7%以上にして冷蔵庫で保管することをおすすめします。一般家庭で作ったものには雑菌が残る可能性もあるため、食べる前に状態を確認することが重要です。自家製保存食は、食中毒のリスクを伴う可能性があります。特に長期保存や発酵を伴う方法では、ボツリヌス菌など命に関わる食中毒のリスクもゼロではありません。**少しでも異臭がする、蓋が膨張しているなど、異常を感じた場合は絶対に食べずに廃棄してください。** 加熱殺菌については、方法が不十分だと効果がない可能性があるため、安易に安全性を保証するような書き方は避けるべきです。**本記事に記載された方法を参考に加工された食品によるいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。**
この塩水漬けの方法に関しては、読者から「庭で採れたオリーブを塩漬けにしました。種を取り、ガラス瓶に塩を2%入れ、常温で保管しましたが、1日経つと半分くらい黒くなっています。これで大丈夫でしょうか?塩は取り換えるか?冷蔵庫に入れた方がいいのか?」という質問が寄せられました。これに対し、「塩分濃度は少なくとも7%以上にして冷蔵庫に入れた方がいいです。4)塩水で渋を抜くを参考にしてみてください。」とアドバイスしました。塩分濃度が低いと腐敗のリスクが高まり、実が変色する可能性があります。また、「去年塩で渋抜きしようとしたら、カビが生えて廃棄せざるをえませんでした。カビが生えるのを防ぐにはどうすればいいでしょうか?」という問いには、「熱湯で瓶を煮沸消毒し、塩分濃度を6~8%くらいまで上げ、冷蔵庫で保管するとカビが生えにくくなります。」と具体的な対策を提示しています。衛生管理と適切な塩分濃度、そして低温での保存が、塩漬けの成功には不可欠です。
5.アルコールに漬け込むワイン風味のオリーブ(難易度★★)
オリーブの実をワインなどのアルコールに漬け込む方法は、手間は少ないものの、完成までに約1年と時間を要します。しかし、漬け込むだけでオリーブの風味豊かなお菓子を手軽に作れるのが魅力です。難易度は★★で、特別な技術は必要ありません。アルコールの香りとオリーブの風味が絶妙に調和し、デザートや食後のお供として、他にはない味わいを楽しめます。
[準備するもの]新鮮なオリーブの実(完熟した黒い実がおすすめ)、赤ワイン(または白ワイン、ホワイトリカー、ブランデー、焼酎、ウォッカなど好みのアルコール)、砂糖(実の重さの10~20%程度、お好みで調整)、密閉できるガラス瓶。
[作り方]まず、オリーブの実を丁寧に洗い、水気をしっかりと拭き取ります。実を傷つけたり、種を抜いたりする必要はありませんが、種を抜くとアルコールの浸透が早まり、より短期間で風味が馴染みます。ガラス瓶にオリーブの実を入れ、砂糖をまぶした後、実が完全に浸るまで赤ワインを注ぎます。実が浮いてくる場合は、アルコールを追加するか、重しをして沈めてください。瓶の蓋をしっかりと閉め、冷暗所で保管します。約1年かけて、オリーブの渋みが抜け、アルコールと砂糖の風味が全体に染み渡るのを待ちます。途中で瓶を軽く揺すって砂糖が均一に溶けるようにすると、より美味しく仕上がります。
[工夫]赤ワインの代わりに、白ワインやブランデーなど、様々なお酒で試すことで、それぞれ異なる風味のオリーブを作ることができます。熟成期間を長くすると、よりまろやかで深みのある味わいになります。
[食べるときの工夫]ワイン漬けにしたオリーブは、そのままデザートとして楽しむのはもちろん、チーズやドライフルーツと一緒に盛り付けることで、おしゃれな前菜や食後の一品になります。クラッカーに乗せたり、ケーキやタルトの生地に混ぜ込んだりしても美味しくいただけます。アルコールが苦手な場合は、加熱してアルコールを飛ばしてからお召し上がりください。
アルコール漬けについて、「ブランデー、焼酎、ラムで1年間漬けてみたが、渋みは抜けているもののアルコールが強すぎる」という質問がありました。その解決策として、「ハチミツではなくメープルシロップを使い、お酒を少し残して風味付け程度にシロップを加える」という方法が提案されています。アルコールを完全に抜くのではなく、風味を残しつつシロップを加えることで、実がしわしわになるのを防ぎながら美味しく仕上げることができます。
6.日本酒の麹菌を活用した渋抜き(難易度★)
日本酒に含まれる麹菌を利用することで、オリーブの渋みを比較的短期間で抜くことができる簡単な方法です。難易度は★。麹菌の働きにより、オリーブの栄養分が日本酒に溶け出し、ポリフェノールたっぷりのオリーブ酒も楽しめます。日本の発酵技術が、オリーブに新たな風味をもたらします。
[準備するもの]新鮮なオリーブの実(熟度は問わない)、日本酒(純米酒や本醸造酒など、好みのもの)、密閉できるガラス瓶。
[作り方]まず、オリーブの実を丁寧に洗い、水気をしっかりと拭き取ります。渋抜きを早くするために、実の表面に軽く切れ込みを入れるか、種を抜くことをおすすめします。特に種を抜くと麹菌が果肉に作用しやすくなり、短期間での渋抜きが可能です。ガラス瓶にオリーブの実を入れ、実が完全に浸るまでたっぷりの日本酒を注ぎます。実が浮いてくる場合は、重しをして日本酒に沈めてください。瓶の蓋をしっかりと閉め、冷暗所に保管します。約半月ほどで渋みが抜けてくるので、毎日少しずつ味見をして、好みの渋さに達しているか確認します。渋みが抜けたら、オリーブの実と日本酒を分けて保存します。
[食べるときの工夫]渋抜きしたオリーブの実は、そのままおつまみとして楽しんだり、和食の箸休めとしても良いでしょう。日本酒の風味とオリーブの旨味が調和し、独特の味わいを楽しめます。また、麹菌によってオリーブの栄養分が溶け出した日本酒は、ポリフェノールたっぷりの「オリーブ酒」としてそのまま飲むことができます。食前酒や食中酒として、またはカクテルのベースとしても活用できます。
[応用:味噌漬けでの渋抜き]日本酒と同じ麹菌を持つ味噌でも、オリーブの渋みを抜くことができます。種を抜いたオリーブの実を味噌に漬け込み、密閉容器に入れて冷蔵庫で保管すると、約2週間ほどで渋みが抜けます。味噌の塩分と旨味がオリーブに染み込み、奈良漬けのような風味豊かな「ジャパニーズオリーブ」が出来上がります。ご飯のお供やお茶漬けの具、酒の肴としても最適です。
この発酵を利用した方法について、読者から「植物性乳酸菌+塩水(糠漬けの上澄み液)に種を抜いたオリーブを漬け、2日間室温で発酵させた後、冷蔵庫で保存することで、ピクルスのようなオリーブができた」というアイデアが寄せられました。この方法は、発酵の力で渋みを抜きながら、ピクルスのような風味に仕上げる画期的な方法であり、「食用できる菌によって発酵させて渋みを抜く」という原則に基づいた、発酵食としてのオリーブの新たな可能性を示唆しています。
7.塩と日陰干しで水分を抜く渋抜き(難易度★★★)
オリーブの実を塩で脱水し、日陰で乾燥させるこの方法は、難易度★★★と少し手間がかかりますが、オリーブ特有の油の旨味が凝縮され、素朴で深い味わいを楽しめます。乾燥させることでオリーブ本来の風味が凝縮され、独特の食感と旨味が生まれます。自然の力を借りた滋味深い加工品を作りたい方におすすめです。
[準備するもの]新鮮なオリーブの実、粗塩(ミネラル豊富な海塩がおすすめ)、ザル、清潔な布巾またはキッチンペーパー、風通しの良い日陰。
[作り方]まず、収穫したオリーブの実を丁寧に洗い、水気をしっかりと拭き取ります。実の表面に傷をつける必要はありませんが、種を抜いておくと乾燥が早まります。オリーブの実の重さに対して約5%程度の粗塩を全体にしっかりとまぶします。塩をまぶしたら、ザルなどに広げ、風通しの良い日陰で乾燥させます。直射日光に当てると実が急速に乾燥しすぎて硬くなったり、風味が損なわれたりする可能性があるので、必ず日陰を選んでください。乾燥期間は、実の大きさや天候、湿度によって異なりますが、約1週間から2週間程度が目安です。実がしっとりとした状態から、少し硬くなり、水分が抜けて縮んだような状態になれば渋抜きと乾燥は完了です。途中、時々実を転がして、均一に乾燥するようにしてください。カビが生えないように、乾燥中は毎日実の状態をチェックすることが重要です。
[食べるときの工夫]日陰干しで渋抜きしたオリーブは、そのままおつまみとして食べると、オリーブ特有の油の旨味と塩味が口の中に広がり、滋味深い味わいが楽しめます。細かく刻んでパスタのソースに加えたり、パン生地に練り込んだりするのもおすすめです。また、オリーブオイルに漬け込んで風味を移したり、ハーブやニンニクと共にマリネするのも良いでしょう。素朴ながらも奥深いオリーブの風味を存分に味わえる方法です。
8.完熟ブラックオリーブを炒めるイタリアの田舎料理(難易度★)
完熟した黒色のブラックオリーブを塩で炒めるだけのこの方法は、難易度★と非常に簡単でありながら、オリーブ特有の渋みを程よく残しつつ、香ばしさと旨味を引き出すイタリアの伝統的な田舎料理です。加熱することで渋みが和らぎ、オリーブの風味が凝縮され、温かいおつまみや料理のアクセントとして楽しめます。
[準備するもの]完熟した黒色のブラックオリーブ(緑色の実では渋みが強すぎます)、粗塩、オリーブオイル(少量)、フライパン。
[作り方]まず、収穫した完熟ブラックオリーブを丁寧に洗い、水気をしっかりと拭き取ります。種を抜く必要はありませんが、お好みで抜いても構いません。フライパンにごく少量のオリーブオイルを熱し、ブラックオリーブを入れます。中火でじっくりと、オリーブの表面に焼き色がつくまで炒めます。焦げ付かないように、時々フライパンを揺すったり、ヘラで混ぜたりしながら均一に熱を通してください。オリーブが温まり、香ばしい香りが立ってきたら、粗塩をひとつまみ加え、全体に絡めます。塩加減は、お好みに合わせて調整してください。炒めすぎると実が硬くなってしまうので、実が温かく、少し柔らかさを感じる程度で火から下ろします。
[食べるときの工夫]炒めたブラックオリーブは、熱々のうちにそのままおつまみとして食べるのが一番のおすすめです。赤ワインやビールとの相性も抜群です。また、パスタの仕上げに加えることで、料理に深みと香ばしさを与えることができます。焼きたてのパンに乗せたり、サラダのトッピングとして使うのも良いでしょう。この方法は、オリーブの渋みを完全に抜くのではなく、あえてその特有の風味を活かし、熱を加えることで食べやすくするという、イタリアの食文化の知恵が詰まっています。完熟ブラックオリーブならではの、ほのかな甘みと香ばしさ、そして心地よい渋みのバランスをお楽しみください。
9.乾燥機を活用した低温乾燥渋抜き(難易度★★★)
食品乾燥機を用いたオリーブの実の低温乾燥は、手間はかかるものの、オリーブの風味を凝縮し、独特の食感を生み出す方法です。乾燥機を使用することで、天候に左右されず安定した品質の乾燥オリーブを作れます。この方法は、渋み成分を抑えながら、実の水分を効率よく除去し、旨味を閉じ込める原理に基づいています。
[準備するもの]新鮮なオリーブの実、食品乾燥機、ザル、清潔な布巾またはキッチンペーパー。
[作り方]
-
収穫したオリーブの実を丁寧に洗い、水分をしっかりと拭き取ります。
-
実を傷つけたり、種を抜いたりすることで、乾燥時間を短縮し、均一に乾燥させることが可能です。
-
食品乾燥機のトレイにオリーブの実が重ならないように並べます。
-
乾燥機の機種にもよりますが、一般的には40℃~50℃程度の低温で、約24時間~48時間を目安に乾燥させます。
-
途中で実の上下を返したり、トレイの位置を入れ替えたりすることで、乾燥を促進させましょう。
-
実がしっとりとした状態から、水分が抜け、少し弾力がある状態になれば乾燥完了です。
-
少量かじって渋みが抜けたか確認します。
-
乾燥させたオリーブは、密閉容器に入れ、冷暗所または冷蔵庫で保存します。
[工夫]乾燥前に少量の塩をまぶしておくと、保存性を高めるとともに、旨味を引き出すことができます。また、乾燥機の温度や時間を調整することで、実の硬さや食感を好みに合わせることが可能です。低温でじっくり乾燥させることで、オリーブ本来の香りや栄養成分が損なわれにくくなります。
[食べるときの工夫]乾燥機で渋抜き・乾燥させたオリーブは、そのままおやつやおつまみとして楽しめます。サラダのトッピングや、パンやフォカッチャの生地に混ぜ込むのもおすすめです。刻んでオリーブオイルに漬け込み、ハーブやニンニクを加えて風味豊かなオイルを作ったり、パスタやリゾットの具材として活用したりすることもできます。旨味が凝縮されているため、少量でも料理の風味を格上げしてくれます。
10.完熟を待つ自然な渋抜き(難易度☆)
木に実をつけたまま完熟させ、真冬に収穫するだけの、手間いらずな方法です。自然の力で渋みが抜け、オリーブ本来の甘みを楽しめます。
[準備するもの]完熟を待つオリーブの木、収穫用のカゴ。
[作り方]
-
オリーブの実が緑色から黄色、赤、紫へと色を変え、最終的に黒くなるまで待ちます。
-
秋の終わりから冬にかけて、実が完全に熟し、寒風にさらされることで自然に渋みが抜けていきます。
-
真冬になり、十分に完熟していることを確認したら収穫します。
[注意点]実を付けたまま年越しさせると、翌年の結実に影響が出る可能性があります。少量の実にとどめておくことをおすすめします。
[食べるときの工夫]収穫後すぐに生で食べられます。オリーブ特有の甘みと風味、わずかに残る渋みが楽しめます。軽く塩を振ったり、チーズや生ハムと一緒に楽しむのもおすすめです。
11.苛性ソーダを使うプロの渋抜き方法(難易度★★★)
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を使った渋抜きは、効率的で一般的な方法ですが、**苛性ソーダは強アルカリ性の劇物であり、取り扱いには細心の注意が必要です。失明や重度の化学熱傷のリスクがあり、皮膚や目に付着すると非常に危険です。** 使用する際は、必ずゴム手袋、保護メガネ、マスクを着用し、換気の良い場所で行ってください。**万が一皮膚や目に付着した場合は、大量の水で洗い流し、直ちに医師の診察を受けてください。**また、使用後の苛性ソーダ廃液を、そのまま排水溝に流すのは絶対にやめましょう。必ず酸性の酢などで中和してから、安全に廃棄する必要があります。この記事を参考に作業を行い、万が一損害が発生した場合でも、当方は一切の責任を負いかねます。
[準備するもの]新鮮なオリーブの実、苛性ソーダ、水、耐酸・耐アルカリ性の容器、ゴム手袋、保護メガネ、マスク、計量器、棒、ザル、酢。
[作り方]
-
苛性ソーダを扱う際は、ゴム手袋、保護メガネ、マスクを着用し、換気の良い場所で行ってください。
-
水1リットルに対し、苛性ソーダを約1.8%の濃度で溶かします。
-
苛性ソーダ水にオリーブの実を完全に浸し、重しをして溶液に浸るようにします。
-
浸漬時間はオリーブの品種や熟度によりますが、緑果で最低8時間から始め、数時間おきに断面をチェックします。
-
渋が抜けてきた実の断面は、渋み成分が分解された部分が色濃く見えます。
-
渋抜きが完了したら、苛性ソーダ水を捨て、真水で丁寧に何度も洗い流します。
-
毎日数回水替えを行い、3〜5日間程度繰り返します。
[廃液処理の注意]苛性ソーダ水は酸性のお酢で中和してから流してください。pH試験紙で中性になっていることを確認します。
[食べるときの工夫]渋抜き後、塩水に漬け込み冷蔵庫で保存します。食べる際は、塩抜きをしてからそのまま、またはサラダやパスタの具材として活用できます。
種を取り除いてから苛性ソーダに浸けた場合の質問と回答:種を取り除いて苛性ソーダに浸した場合でも、十分に水洗いすれば安全に食べられます。柔らかくなりすぎた場合は、スパイス類を加えてペースト状にするのもおすすめです。
12.家庭でのオリーブオイル手搾りに挑戦(難易度★★★★★)
家庭でオリーブオイルを手搾りするのは非常に難易度が高いですが、自家製ならではの風味は格別です。成功の鍵は、良質な完熟した実を選ぶことと、諦めない気持ちです。
[準備するもの]完熟したオリーブの実、清潔な布袋、すり鉢とすりこぎ、または丈夫な厚手の袋と麺棒、ボウル、ザル、オイル保存用の容器。
[作り方]
-
オリーブの実をきれいに洗い、水分を拭き取ります。
-
実の種を抜きます。
-
実をすり鉢に入れ、ペースト状になるまで潰します。
-
ペーストを布袋に入れ、ボウルの上に置いたザルに乗せ、手で絞ります。
-
出てきた液体を数時間から一晩放置し、上澄みのオイルをすくい取ります。
[手搾りを成功させるコツ]完熟した実を使い、油分率が高い品種を選びましょう。途中で諦めずに根気強く作業を続けることが大切です。
[ミキサーでの失敗と成功のヒント]ミキサーを使うと乳化してしまうことがあります。実を細かく破砕するだけでなく、練り込む工程を加えることで、油分が分離される可能性があります。
自家製オリーブオイルの手搾りに関する質問と回答:40個のオリーブの実から大さじ1杯程度のオイルが搾れます。実がシワになるのは水不足が原因ですが、実を割ってみて柔らかい部分があれば搾油できます。
オリーブの熟度と不思議な虫
オリーブの実は、その成長段階に応じて鮮やかな色彩の変化を見せます。最初は深緑色をしていますが、熟成が進むにつれて黄緑、黄、赤、紫へと変化し、最終的には深みのある黒色へと変わります。この色の変化は、味わいの変化と密接に関わっており、未熟な緑色の実は、虫や鳥から身を守るために強い渋みを持っています。しかし、完熟した黒色の実になると、その渋みが和らぎ、かすかな甘みが現れます。ところが、この強い渋みを持つ緑色の実を好んで食べる不思議な虫、「ハマキムシ」が存在します。
ハマキムシは、その名の通り、普段はオリーブの葉を巻き込んで巣を作り、葉を食べて生きています。しかし、実がなり始めると、葉から実へと移動し、複数の実が重なり合った場所を住処として、実を食い荒らします。オリーブ農家にとって、収穫間近の美しいオリーブの実を食い散らかすハマキムシは、悩みの種です。他の虫が避けるはずの渋いオリーブの実を、なぜハマキムシは好んで食べるのでしょうか?
このハマキムシの生態について、読者からは「オリーブの実を食べて丸々に太ったハマキムシを生のまま畑で食べてみました」という記述が面白いという声が寄せられています。我々も「ハマキムシは美味しいとまでは言えませんが」とユーモアを交えて返答しており、この体験が読者の皆様に興味深い情報として受け止められていることを示しています。
読者からの斬新なアイデア
この情報をご覧になった読者の方々から、既存の方法にとらわれない、独創的なアイデアが寄せられています。その一つが、発酵食品である「黒ニンニク」からヒントを得たオリーブの加工法です。
読者の方は、「黒ニンニクは高価だが、炊飯器で25日間保温するだけで作れる。臭いので外に置き、一日一回かき混ぜる。炊飯器の温度が上がりすぎないように銀紙を敷き、蓋を少し開ける。ごぼうでも黒ごぼうを作ったことがある。オリーブでも同じように、壊れた炊飯ジャーで25日間発酵させれば黒オリーブができるのではないか」というアイデアを提案されています。まだ試されていないものの、発酵と保温を利用した「黒オリーブ」のアイデアは、オリーブの加工に新たな可能性をもたらすかもしれません。このような自由な発想は、今後のオリーブ加工法の発展に繋がる貴重なヒントとなり得ます。ぜひ、様々な角度からオリーブの可能性を探ってみてください。
渋抜き・加工オリーブ活用レシピ23選
様々な方法で渋抜きや加工を施したオリーブの実は、そのまま食べるのはもちろん、毎日の食卓を豊かにする様々な料理に活用できます。ここでは、塩漬けやオイル漬けにしたオリーブを使った、前菜、サラダ、パスタのレシピを23種類ご紹介します。これらのレシピは、特別な日の料理から普段の食卓まで、幅広いシーンで活躍するでしょう。
【前菜】塩漬けオリーブ活用レシピ3選
塩漬けオリーブは、その塩味と食感が魅力です。シンプルな調理法で、素材本来の味を活かした前菜に最適です。
1. 常備菜に最適。緑オリーブのマリネ
オリーブを数種類のハーブや香辛料と一緒にマリネするだけで、香り高い一品が手軽に作れます。冷蔵庫で保存すれば、好きな時に少しずつ味わえます。
2. パーティーに華を添える。生ハムとオリーブのピンチョス
色とりどりの生ハムとオリーブを串に刺したピンチョスは、見た目も美しく、パーティーやおもてなし料理に最適です。手軽につまめる前菜として喜ばれます。
3. 新食感。オリーブの天ぷら
意外な組み合わせかもしれませんが、オリーブを天ぷらにすると、外側のサクサク感と内側のジューシーさが絶妙にマッチし、独特の風味を堪能できます。
【アペタイザー】オイル漬けオリーブ活用レシピ3選
オイル漬けオリーブは、オリーブオイルの芳醇な香りと、まろやかで深みのある味わいが魅力です。お酒のお供にすれば、至福のひとときを演出できます。
4. お酒のお供に最適。チーズとオリーブのオイルマリネ
数種類のチーズとオリーブを良質なオイルにじっくりと漬け込むことで、それぞれの風味が溶け合い、ワインをはじめとしたお酒にぴったりの贅沢な一品が完成します。
5. 彩り豊かに。バジル風味のチーズ焼き
ミックスベジタブルとオイル漬けオリーブをバジルで風味付けし、チーズを乗せて焼き上げます。手軽に作れて、食卓を華やかに彩る一品です。
6. 凝縮された旨み。焼きしいたけと生ハム、オリーブのピンチョス
香ばしく焼き上げたしいたけと、塩気のある生ハム、オイル漬けオリーブを組み合わせれば、旨みが凝縮された、和と洋が融合したおしゃれな前菜として楽しめます。
【サラダ】塩漬けオリーブを使ったおすすめレシピ3選
塩漬けオリーブは、サラダに独特の風味と深みのある味わいをプラスします。シンプルながらも奥深い、毎日食べても飽きのこないサラダを作ることができます。
7. 至福のマリアージュ。生ハム、オリーブ、キャベツのシンプルサラダ
新鮮なキャベツのシャキシャキ感と、生ハムの塩気、そして塩漬けオリーブの風味が織りなす、シンプルながらも奥深い味わいのサラダです。素材の持ち味が生きた、絶妙な組み合わせをお楽しみください。
8. 食感と風味がアップ。ハム、にんじん、大根とオリーブのサラダ
定番のハム、にんじん、大根サラダにオリーブを加えることで、食感と風味にアクセントが生まれます。いつものサラダが、ちょっと贅沢な一品に変わります。
9. 彩り豊か。レタス、パプリカ、オリーブのシンプルサラダ
シャキシャキのレタスに、赤や黄色のパプリカ、そして風味豊かなオリーブを添えた、見た目も華やかなサラダです。素材本来の味が楽しめる、シンプルな美味しさが魅力です。
【サラダ】オイル漬けオリーブを活用したレシピ5選
オイル漬けオリーブは、ドレッシングとしても活用でき、サラダ全体に豊かな風味と深いコクを与えてくれます。いつものサラダが、ワンランク上の味わいに変わります。
10. フェタチーズを添えて。オリーブオイル漬けの地中海風サラダ
風味豊かなオリーブオイル漬けに、塩気と酸味が特徴のフェタチーズを加えることで、本格的な地中海風サラダが完成します。素材の味が引き立つ、シンプルながらも奥深い一品です。
11. 可能性は無限大。オリーブ、アボカド、卵の彩りコブサラダ
アボカドのまろやかさ、卵の優しい甘み、そしてオリーブオイル漬けの塩味が絶妙に調和したコブサラダは、見た目も華やかで食べ応えも十分。お好みの食材を加えて、オリジナルのアレンジをお楽しみください。
12. 腹持ちも抜群。オイル漬けオリーブと野菜のトーストサラダ
こんがりと焼いたトーストに、新鮮な野菜と風味豊かなオリーブオイル漬けをたっぷりと乗せたトーストサラダは、忙しい日のブランチにもぴったり。一皿で満足できるボリューム感が魅力です。
13. 洗練された味わい。オリーブとルッコラのシンプルハーブサラダ
ピリッとしたルッコラの風味と、オリーブオイル漬けの芳醇な香りが織りなす、洗練されたハーブサラダ。シンプルながらも奥深い味わいは、食卓をワンランクアップさせてくれます。
14. 至ってシンプル。レタスと大根、オリーブのサラダ
シャキシャキとしたレタスと大根の食感に、オイルに漬けたオリーブの円やかな風味が加わった、シンプルながらも奥深い味わいのサラダです。
【パスタ】塩漬けオリーブを活用するレシピ 4選
パスタに塩漬けオリーブを加えることで、奥深い塩味と独特の食感が生まれ、まるで本場イタリア料理のような仕上がりになります。
15. プリプリの食感がたまらない。エビとオリーブのパスタ
エビのプリプリとした食感と塩漬けオリーブの塩味が絶妙にマッチした、シンプルながらも満足感のあるパスタです。
16. 奥深い大人の味わい。アンチョビとオリーブのパスタ
アンチョビの凝縮された旨味と塩漬けオリーブの芳醇な風味が際立つ、まさに大人のための、一度食べたら忘れられないパスタです。
17. 最小限の材料で。ミニトマト、きゅうり、オリーブのシンプルパスタ
新鮮なミニトマトときゅうりに、塩漬けオリーブの凝縮された旨味が絡み合う、シンプルな調味で素材の味が際立つパスタです。
18. 栄養満点。キヌア入りペンネプッタネスカ
キヌアを加えることで栄養バランスが向上したペンネプッタネスカ。オリーブの独特な風味が食欲を刺激する、満足感のある一品です。
【パスタ】オイル漬けオリーブ活用レシピ 5選
オイル漬けオリーブは、パスタソースに奥深いコクと芳醇な香りをプラスし、料理全体の風味を格段に向上させます。
19. 時短レシピ。オリーブとツナの簡単パスタ
ツナとオイル漬けオリーブを組み合わせたパスタは、調理時間も短く、老若男女問わず愛される、安定の美味しさです。
20. 贅沢な味わい。具沢山オリーブのペペロンチーノ
様々な種類のオイル漬けオリーブを惜しみなく使用したペペロンチーノは、一口ごとに豊かな風味が広がり、食べ応えも十分です。
21. 深みのある味わい。イカ墨、トマト、オリーブのパスタ
イカ墨の濃厚なコク、トマトの爽やかな酸味、そしてオイル漬けオリーブの芳醇な香りが三位一体となり、他では味わえない奥深いパスタが完成します。
22. 優雅なひとときに。ツナとトマトのオリーブパスタ
ツナの旨味、トマトのフレッシュさ、オイル漬けオリーブの塩味が絶妙なバランスで絡み合い、見た目も華やかなので、特別な日のランチにもおすすめです。
23. ちょっとした空腹に。ベーコンとオリーブのペペロンチーノ
ベーコンの凝縮された旨味とオイル漬けオリーブの豊かな香りが食欲を刺激する、軽食やおやつにも最適なペペロンチーノです。
まとめ
ご家庭でオリーブの実を美味しくいただくためには、生の実に含まれる強い渋みを軽減させる工夫が欠かせません。ここでは、小豆島のオリーブ農家が長年の経験から編み出した、重曹、塩、水、ワイン、日本酒、乾燥、加熱、完熟といった多様な12種類の加工方法を詳しくご紹介しました。これらの方法は、オリーブの渋みの元となるポリフェノールに着目し、アルカリで中和したり、時間をかけて分解させたり、発酵させたり、加熱や乾燥させたりすることで、それぞれの独特な風味と食感を引き出すものです。専門の農家が使うような特殊な設備がなくても、ご家庭にある道具と少しの手間をかけることで、自家製の美味しいオリーブ加工品や、手作りのオリーブオイルに挑戦することも可能です。特に、熟した実を選ぶことや、種を取り除くといった簡単な下準備が、渋抜きを効率的に行うための重要なポイントとなります。また、オリーブの渋みとハマキムシの関係に触れることで、自然界における植物の自己防衛策と生命の神秘に触れることができました。さらに、渋抜き・加工後のオリーブの実を活用した前菜、サラダ、パスタなど、23種類のレシピもご紹介し、ご家庭でのオリーブの楽しみ方を広げました。読者の皆様からの具体的なご質問や、発酵食への応用といった新しい発想は、この情報をさらに充実させ、ご家庭でのオリーブ活用に新たな発見と喜びをもたらしてくれるでしょう。オリーブの実を使っていつものお料理を華やかにし、今年のオリーブの収穫を、ぜひ様々な方法で美味しくお楽しみください。
生のオリーブの実はそのまま食べられますか?
生のオリーブの実は、非常に強い渋み成分であるポリフェノールの一種(例えばオレウロペインやオレオカンタールなど)を豊富に含んでいるため、そのままでは美味しく食べることができません。口にすると強い渋みが広がり、唾液が大量に出てくるほどです。美味しく食べるためには、必ず渋抜きという工程が必要になります。
オリーブの渋みの原因は何ですか?また、体に良い成分なのですか?
オリーブの渋みの原因は、実を虫や鳥などの外敵から守るためにオリーブの木自身が作り出すポリフェノールの一種である、オレウロペインやオレオカンタールという成分です。これらの成分は、人間の体にとっては抗酸化作用など、健康に良い効果をもたらすと言われています。渋抜きによって渋みを和らげることができますが、完全に渋みを抜いてしまうと、有用なポリフェノールも減少してしまう可能性があります。そのため、どの程度渋みを残すかは、個人の好みに合わせて調整することをおすすめします。
家庭でできるオリーブの渋抜き方法はどんなものがありますか?
ご家庭でできるオリーブの渋抜き方法はたくさんあります。主な方法としては、重曹水に浸す、塩をまぶす、毎日水を取り換える、塩水に長期間漬け込む、ワインや日本酒などのアルコールに漬け込む、日陰で干したり乾燥機で乾燥させる、完熟するまで待つ、炒めて熱で渋みを和らげる、といった方法があります。本記事では、これらの方法を含めた12種類の渋抜き方法について詳しく解説しています。
渋抜き後のオリーブの実、どう保存するのが正解?
渋抜きを終えたオリーブの実は、塩水に浸して冷蔵庫で保存するのが一般的です。塩分濃度は3~7%を目安にすると、長期間保存できます。さらに長持ちさせたい場合は、種を取り除いてペースト状にして冷凍したり、乾燥させて冷蔵保存する方法もあります。自家製の場合、雑菌の繁殖を防ぐために、80℃程度のお湯で10~15分ほど加熱殺菌することも考えてみましょう。塩水漬けでカビを防ぐには、容器を煮沸消毒し、塩分濃度を6~8%程度に上げ、冷蔵庫で保管することを徹底すると効果的です。
自宅でオリーブオイルを手作りするのは難しい?シワシワになった実でも大丈夫?
家庭でオリーブオイルを手搾りで作るのは、かなり難しいと言えるでしょう。成功させるには、完熟していて油分を多く含んだ品種を使うこと、そして何よりも根気が必要です。目安として、40個程度のオリーブの実から、わずか大さじ1杯程度のオイルしか採れないため、かなりの量の実と労力が必要になります。ミキサーを使うと、うまく混ざりきらなかったり、乳化して油分が分離しにくくなるため、失敗しやすいです。プロの搾油機のように、破砕した後の「練り込み」という工程が重要になります。もし真夏に水不足などで実がシワシワになってしまった場合でも、割ってみて柔らかい部分があれば搾油に利用できます。水分が少ない分、搾油率は高くなる傾向がありますので、問題ありません。
苛性ソーダを使った渋抜きは、家庭でも安全にできる?種を抜いた実でも大丈夫?
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)は、非常に強いアルカリ性の薬剤なので、皮膚に触れると火傷をするなど、取り扱いには細心の注意が必要です。使用する際には、必ず保護具(ゴム手袋、保護メガネ、マスク)を着用し、風通しの良い場所で行いましょう。また、使用後の苛性ソーダ廃液を、そのまま排水溝に流すのは絶対にやめましょう。必ず酸性の酢などで中和してから、安全に廃棄する必要があります。家庭で使用する場合は、これらの安全性と適切な廃液処理方法をしっかりと理解し、必ず守ることが大切です。種を抜いた実を苛性ソーダに浸した場合でも、種がある実と同様に、3日ほどかけてしっかりと水で洗い流せば問題ありませんが、実が柔らかくなりすぎてしまう可能性があります。柔らかくなりすぎた実の活用方法としては、スパイスなどを加えてペースト状にするのがおすすめです。
塩水漬けの塩水が茶色く濁ってきた場合、水を交換するべき?空気に触れない方が良いのはなぜ?
茶色い濁りの原因がオリーブの成分によるものであれば、水替えは不要です。もし腐敗している場合は、明らかに異臭がするので、匂いで判断してください。空気に触れないようにするのは、主に苛性ソーダ水や重曹水で渋抜きをする際に、実の緑色を保つためです。長期の塩水漬けでは、実の色が落ちてくるため、空気に触れても特に問題はありません。ただし、塩分濃度が低いと腐敗やカビのリスクが高まるため、適切な塩分濃度(7%以上がおすすめ)を保ち、冷蔵庫で保管するなど、衛生管理を徹底することが重要です。塩水漬けに使用する水は、水道水で問題ありません。
アルコール漬けオリーブのアルコール度数が高すぎる場合や、糖漬けで実がしぼんでしまうのを防ぐには?
アルコール感が強すぎる場合は、アルコールを完全に除くのではなく、風味を程よく残すように調整し、メープルシロップなどの甘味を加えてみましょう。蜂蜜漬けの場合は、実から水分が出てシロップが濃縮され、実が硬くなることがあります。少量のアルコールを残したままシロップを加えることで、実のしぼみを防ぎ、まろやかな味わいに仕上がります。
オリーブの種に再利用方法はありますか?
はい、オリーブの種は消臭効果のある炭として再利用できます。種を焼いて炭を作り、消臭剤として活用しましょう。また、庭に種を蒔くと、オリーブの木が育つ可能性もあります。
オイル用のオリーブ品種は塩漬けに向いていないのでしょうか?
一般的に、食用オリーブとして利用されるのは、比較的実が大きい品種です。オイル用の品種も塩漬けにできますが、実が小さい場合が多く、食用としての満足感は低いかもしれません。セントキャサリンという品種については経験がありませんが、風味よりも実の大きさが加工の適性に影響することが多いです。













