長野県生まれの赤梨「南水」。その名の由来は、開発された南信農業試験場の「南」と、交配親である「新水」の「水」から。比較的新しい品種でありながら、その瑞々しさと上品な甘さで、梨ファンを魅了し続けています。今回は、そんな南水梨の知られざる魅力に迫ります。誕生秘話から、味の特徴、美味しい食べ方まで、南水梨のすべてをご紹介します。
南水とは：信州が生んだ晩生梨の傑作
南水は、長野県南信農業試験場において、「越後」と「新水」を掛け合わせて生まれた、比較的新しい赤梨の一種です。1990年に品種登録され、「南水」という名称は、育成地の南信農業試験場の「南」と、親品種である「新水」の「水」の字を組み合わせて名付けられました。この名前には、南水が新水や豊水と肩を並べるほどの人気品種になるようにとの期待が込められています。
南水の特徴：甘さ、食感、保存性の高さ
南水は、非常に高い糖度を誇り、時には15度近くに達することもあります。酸味が少ないため、その濃厚な甘さを存分に堪能できます。果肉は透き通るような白色で、シャキシャキとした心地よい食感が楽しめ、果汁もたっぷりです。さらに、南水は日持ちが良いという点も魅力です。常温で約1ヶ月、冷蔵庫で保存すれば2～3ヶ月程度保存が可能です。氷温冷蔵庫を利用すれば、6ヶ月程度の長期保存も期待できます。
南水の外観：形状、色合い、サイズ
南水の形状はやや縦長で、先端がやや尖っているのが特徴的です。重さは約350g程度で、「豊水」とほぼ同じくらいの大きさです。果皮は黄赤褐色をしており、表面には赤梨独特のざらつきがあります。表皮はやや厚めですが、皮ごと美味しく食べることができます。
南水の産地と旬の時期
南水の主な産地は長野県であり、南水の主な産地は長野県であり、全国の栽培面積のおよそ77％を占めています（2020年時点）。続いて、秋田県や新潟県でも多く栽培されています。近年では関東地方でも栽培されており、全国的に南水の人気は高まり、栽培面積も拡大傾向にあります。収穫時期は、長野県では8月下旬から10月上旬頃、山形県では10月上旬から中旬頃が目安となっています。
南水の選び方：重さ、見た目の色と形
おいしい南水を選ぶには、まず手に取った時の重量感を確かめることが大切です。水分をたっぷり含んだ新鮮な梨は、見た目以上に重く感じられます。また、果皮の色にも注目しましょう。全体的に均一な茶褐色で、傷やへこみのないものがおすすめです。より甘い南水を選びたい場合は、少し黄色みがかったものを選び、さっぱりとした味わいを求めるなら、黄緑色のものを選ぶと良いでしょう。梨のお尻の部分がふっくらと丸みを帯びているものは、特に甘みが強い傾向があります。
南水の保存方法：乾燥対策がポイント
南水は比較的保存がきく梨ですが、適切な方法で保存することで、より長くおいしさを保つことができます。乾燥を防ぐために、新聞紙で丁寧に包むか、ポリ袋に入れて口を軽く閉じ、冷蔵庫の野菜室で保存するのが理想的です。常温で保存する場合は、直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所を選びましょう。カットした南水は、酸化による変色を防ぐために、切り口にレモン汁を少量塗るか、薄い塩水にさっと浸した後、ラップでしっかりと包んで冷蔵庫で保管してください。
南水の美味しい食べ方とアレンジレシピ
南水は、生のまま食べるのが一番おすすめです。あの独特のシャリシャリとした食感と、凝縮された甘みを最大限に楽しむことができます。大胆に大きめにカットして、中心部分と皮に近い部分で異なる味わいを比べてみるのも面白いでしょう。また、ジャムやコンポート、スムージーなどの材料としても美味しく活用できます。さらに、梨にはタンパク質分解酵素が含まれているため、すりおろした梨に肉を約15分漬け込むことで、肉を柔らかくする効果も期待できます。
南水と他の梨との違い：豊水、幸水との比較
南水は、豊水や幸水といった他の品種の梨と比べると、際立って糖度が高いのが特徴です。味の違いを見てみると、南水は濃厚な甘さが際立ち、豊水はさっぱりとした甘さ、幸水はその中間くらいの甘さと言えるでしょう。酸味については、南水は控えめで、豊水は程よい酸味があります。保存期間は、南水が最も長く、豊水は冷蔵保存で約1週間程度です。市場に出回る時期は、南水が9月下旬から10月上旬、豊水は9月中旬から9月下旬となっています。
南水の恵み：注目すべきソルビトールの存在
梨の大部分は水分で構成されていますが、カリウムやクエン酸といった体に必要な栄養素も豊富です。中でも注目すべきは、ソルビトールという糖アルコールの一種も含まれていることです。ソルビトールは、一般的な糖類に比べてカロリーが控えめで、虫歯になりにくいといった特徴があります。ただし、一度に大量に摂取すると、お腹が緩くなる可能性があるため、適量を守ることが大切です。
南水の価格相場：特別な価値を持つ高級品種
南水は、通常の梨に比べて価格が高めに設定されていることが多いです。その理由は、南水が非常に高い糖度を誇り、保存性にも優れている高級な品種であるためです。ギフトとして選ばれることが多いため、箱に入った状態で販売されることが一般的です。価格は、サイズや品質によって変動しますが、1個あたり数百円程度が目安となります。
まとめ
長野県で誕生した晩生品種、南水梨は、その際立つ甘さと、心地よいシャキシャキ感が魅力です。日持ちが良い点も評価され、贈り物としても選ばれています。この記事では、南水梨の個性、主な産地、上手な選び方、保存のコツ、美味しい食べ方、栄養価まで、南水梨に関するあらゆる情報を網羅しました。ぜひ、この記事を参考に、南水梨の豊かな味わいを心ゆくまでお楽しみください。
南水梨の甘さの秘密は？
南水梨は、品種改良によって、特に糖度が高くなるように作られました。さらに、酸味が少ないため、より一層甘みが際立つように感じられます。
南水梨を長持ちさせる保存方法は？
南水梨は乾燥を嫌うため、新聞紙で丁寧に包むか、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのが最適です。常温で保存する場合は、風通しの良い、涼しい暗い場所を選びましょう。
南水梨はどこで購入できますか？
南水梨は、一般的なスーパーマーケットや果物専門店、またはインターネット通販サイトを通じて購入可能です。特に、産地から直接届けられる新鮮な南水梨は、インターネット通販で手軽に入手できます。