会津身不知柿:将軍も知らなかった絶品、その由来と魅力
会津身不知柿(あいづみしらずがき)は、福島県会津地方が誇る、歴史と風味豊かな柿です。「身の程知らず」なほど多くの実をつけることから、あるいは将軍さえも知らなかった味と伝えられる「会津身不知柿」。約500年の時を超え、今もなお愛され続けるこの柿の、知られざるルーツと魅力に迫ります。

会津身不知柿(みしらずがき)とは

会津身不知柿(あいづみしらずがき)は、福島県会津地方特産の柿です。「西念寺柿」という別名もあり、およそ500年前、西念寺の住職が中国から持ち帰った苗木がルーツとされています。名前の由来は様々で、「実が成り過ぎて枝が折れそうになるほど実が多い様子」や、「美味しすぎて身の危険も顧みず食べ過ぎてしまうほど」という説があります。また、徳川将軍がその味を初めて知り、感嘆したという逸話も残っています。その品質の高さから、2007年に福島県ブランド認証産品の第3号として認定されました。

会津身不知柿の特徴

会津身不知柿は、本来は渋柿ですが、焼酎を用いて渋抜き処理(地元では「さわす」と言います)を行ってから出荷されます。この焼酎による渋抜きを行うことで、炭酸ガスによる短時間での脱渋処理よりも、とろけるようななめらかな果肉になるのが大きな特徴です。さらに、献上柿として認められるためには、その基準は厳しく、美しい楕円形でふっくらとした丸みを帯び、果皮に傷やスレがないこと、そして一個あたり260gから290gの重さを持つことが定められています。

会津身不知柿の歴史と献上柿文化

会津身不知柿の栽培は江戸時代から続いており、特に会津若松市の北御山地区で生産されるものは、献上柿としてその名を知られています。昭和3年、会津藩ゆかりの松平勢津子様が秩父宮様とご成婚されたことを記念し、天皇家ならびに各宮家へ献上されたのが始まりとされています。現在も皇室への献上が続いており、その選果は非常に厳格で、全生産量のわずか0.02%しか選ばれません。北御山生柿生産出荷組合では、9名の会員が愛情を込めて栽培しており、その中には1781年(天明元年)から8代にわたって柿栽培を続けている農家も存在します。

会津身不知柿の美味しい食べ方

会津身不知柿は、熟成の度合いによって異なる食感と味わいを楽しむことができます。購入後は、室温(約25度)で、湿度の低い場所に置いて追熟させることで、果皮の色が濃くなり、果肉がより柔らかくなります。3日から4日ほど追熟させると、サクッとした歯ごたえと、なめらかな果肉のバランスが楽しめます。さらに6日から7日ほど追熟させると、果肉がとろけるように柔らかくなります。熟成が進むと柔らかくなっていくため、お好みの固さになったら早めに食べることをおすすめします。

購入時の注意点

身不知柿を購入する際、多くの場合、箱に食べ頃の目安日が記されています。ただし、渋抜き処理された柿は、自然に熟す柿と異なり、時間経過とともに柔らかくなるのが早いため、記載された日付より少し早めに箱を開けて状態を確認するのがおすすめです。また、贈答用ではなく、ご家庭用として「訳あり品」を選ぶことも可能です。見た目に多少の難があっても、味は正規品と変わりません。ただし、傷があるものは傷みやすいため、早めに食べるようにしましょう。

まとめ

会津身不知柿は、その長い歴史、独特な栽培方法、そして何よりも際立つ美味しさで、多くの人々を惹きつけてきました。皇室への献上品としても名を馳せるこの柿は、会津盆地の豊かな自然が育んだ、まさに特別な味覚です。ぜひ一度、とろけるような甘さと、その背景にある奥深い歴史を味わってみてください。


会津身不知柿はどこで買えますか?

会津身不知柿は、主に福島県会津地方の農産物直売所や、インターネット通販サイトで購入できます。

会津身不知柿の保存方法は?

会津身不知柿は、常温で追熟させることが可能です。風通しの良い場所に置いて保存し、十分に熟したら冷蔵庫に入れることで、より長く美味しさを保てます。

会津身不知柿の渋抜き方法とは?

会津身不知柿の渋抜きには、一般的に焼酎が用いられます。柿を焼酎に漬け込むことで、渋みの元となるタンニンが化学変化を起こし、渋さを感じさせなくなるのです。

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