マヨネーズの原材料:基本から深掘りするマヨネーズのすべて
誰もが一度は味わったことのあるマヨネーズ。そのクリーミーでコクのある味わいは、サラダからお弁当まで、私たちの食生活に欠かせない存在です。この記事では、そんなマヨネーズの原材料にスポットを当て、その奥深さを徹底解剖します。基本の材料から、製法、品質を左右する要素まで、マヨネーズのすべてを紐解き、より深くマヨネーズを理解するための旅に出かけましょう。マヨネーズの世界へ、ようこそ。

マヨネーズの基本情報:定義と概要

マヨネーズは、主に卵、植物油、お酢を原料とする、とろりとした乳化調味料です。本記事では、この身近な調味料の原料、安全性、カロリーについて詳しく解説し、意外と知られていない歴史や日本での普及についても掘り下げていきます。サラダだけでなく、様々な料理に活用される万能調味料として、多くの人々に愛されています。この記事では、マヨネーズの誕生から日本の食卓への広がり、気になるカロリー、JAS規格に基づく定義、保存料不使用での長期保存の秘密など、マヨネーズの基本を幅広くご紹介します。

マヨネーズ誕生秘話:発祥の地と名前の由来

マヨネーズの発祥地として有力なのはスペインです。18世紀中頃、地中海に浮かぶメノルカ島での出来事が起源とされています。当時、イギリス領だったこの島をフランス軍が攻撃。指揮官のリシュリュー公爵が、港町マオンの料理店で肉料理に添えられたソースに出会ったことが始まりです。その風味に感銘を受けた公爵は、このソースをパリに持ち帰り、「マオンのソース(salsa de Mahón)」として広めました。このソースはヨーロッパ各地に広がるにつれて、「Mahonnaise(マオンネーズ)」と変化し、19世紀中頃には現在の「Mayonnaise(マヨネーズ)」という名称が定着しました。マヨルカ島が名前の由来という説もありますが、リシュリュー公爵がマオンで発見したという説が、最も有力な起源として語り継がれています。いずれにせよ、マヨネーズがヨーロッパ生まれの調味料であり、その名前の由来が地中海の歴史と深く結びついていることは共通認識となっています。

日本でのマヨネーズ普及と「マヨネーズの日」

リシュリュー公爵がパリでマヨネーズを紹介してから約160年後、中島董一郎という日本人が海外で学びました。彼は、現在のキユーピー株式会社の創業者です。彼が尽力し、日本で初めてマヨネーズが発売されたのは1925年(大正14年)3月9日でした。この製品こそが、現在も販売されている「キユーピーマヨネーズ」です。しかし、販売当初はマヨネーズが一般に知られておらず、整髪料と間違われることもあったそうです。長い年月を経て、キユーピー株式会社は日本でマヨネーズを広める上で大きな役割を果たしました。毎年3月1日が「マヨネーズの日」とされているのは、キューピーマヨネーズが日本で初めて広告されたのが1925年3月1日だったからです。この日には、ぜひご家庭でマヨネーズを使った料理を楽しみ、その魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。

JAS規格におけるマヨネーズの定義と主要原料

マヨネーズは単に卵、酢、植物油を混ぜただけのものではなく、日本ではJAS(日本農林規格)によって厳格に定義されています。JASにおけるドレッシングの定義は、「食用植物油脂、食酢もしくは柑橘類の果汁に、食塩、砂糖類、香辛料などを加えて調製した、水中油滴型の乳化調味料」とされています。これにピクルスの細片などを加えたものも含まれます。「半固体状ドレッシング」は、ドレッシングのうち、粘度が30パスカル・秒以上のものを指します。(出典: ドレッシング類の表示に関する公正競争規約及び施行規則(日本農林規格 JAS), URL: https://www.jfftc.org/kiyaku/pdf/d06_H_dress.pdf, 2022-04-01) マヨネーズはこれに該当します。日本農林規格(JAS)における「ドレッシングの日本農林規格」、および「ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料品質表示基準」では、半固体状ドレッシングのうち、卵黄又は全卵を使用し、かつ、食用植物油脂、食酢若しくはかんきつ類の果汁、卵黄、卵白、たん白加水分解物、食塩、砂糖類、はちみつ、香辛料、調味料(アミノ酸等)及び香辛料抽出物以外の原材料を使用していないものであつて、原材料に占める食用植物油脂の重量の割合が65%以上のものをいう。(出典: ドレッシングの日本農林規格(JAS)、ドレッシング及びドレッシングタイプ調味料品質表示基準, URL: https://www.jfftc.org/kiyaku/pdf/d06_H_dress.pdf, 2021-03-01)

なぜマヨネーズには保存料が不要なのか?

多くの食品が保存料を使用する一方で、マヨネーズはJAS規格によって使用できる原材料が厳格に定められており、保存料は一切含まれていません。例えば、大手メーカーのマヨネーズの成分表示を確認しても、保存料に該当するものは見当たりません。保存料を使用せずに、未開封であれば製造日から約1年間も常温で保存できるのは驚くべき点です。この長期保存を支えているのは、マヨネーズ内部の環境が細菌の増殖に適さないためです。その鍵となるのが、主原料である「食酢」です。食酢に含まれる強い酸味が殺菌効果を発揮し、食中毒の原因となるサルモネラ菌などの細菌が生存・繁殖できない状態を作り出します。市販品の場合、30℃では1日以内に、10℃では3日以内にSE(Salmonella Enteritidis)は死滅するのに対し、自家製ではSEの死滅は緩やかで、30℃で5日後に死滅、10℃では9日間菌数はほとんど変化しない。しかも市販品、自家製品のいずれの場合も30℃の方が10℃よりも早く死滅することがわかる。このことから、市販品ではもしSE汚染があっても、出荷までの貯蔵中に死滅してしまうが、自家製ではSEがそのまま食卓に供されることになる。(出典: 『サルモネラの増殖しやすい卵を使った惣菜』浅間化学工業株式会社 技術資料, URL: https://www.asama-chemical.co.jp/PN/P81.PDF, 2002)このように、マヨネーズは細菌にとって非常に厳しい環境であるため、保存料に頼ることなく、安全に長期間の保存が可能なのです。これは、マヨネーズが非常に安全性の高い調味料であることを示しています。ただし、開封後は食酢の殺菌効果が徐々に弱まり、空気中の雑菌が混入する可能性もあるため、冷蔵庫で保管し、なるべく早く使い切ることが推奨されます。

マヨネーズのカロリーと栄養成分

マヨネーズは風味豊かな調味料ですが、「カロリーが高い」という印象をお持ちの方も少なくないでしょう。例えば、キユーピーマヨネーズの場合、大さじ1杯(約15g)あたり約100kcal、100gあたりでは約667kcalと、確かに高カロリーと言えます。この高カロリーの主な原因は、原材料に占める植物油の割合が非常に高いことです。栄養成分の詳細を見ると、大さじ1杯(15g)あたりに含まれる脂質は約11.2gで、全体の約75%を占めています。そのため、マヨネーズを過剰に摂取すると、カロリーオーバーにつながる可能性があります。栄養学的な観点からは、1日に摂取するマヨネーズの量は大さじ1杯程度が望ましいとされ、それ以上の摂取はカロリーの過剰摂取になる可能性があります。健康的な食生活を送るためには、マヨネーズの摂取量を意識し、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

まとめ

この記事では、マヨネーズの基本的な定義、起源と歴史、特にリシュリュー公爵の逸話や日本における普及の歴史、JAS規格による原材料の規定、保存料を使わない安全性、そしてカロリーと摂取量の目安について詳しく解説しました。マヨネーズは単なる調味料ではなく、厳格な基準に基づいて製造されており、特に食酢の強い酸味が細菌の繁殖を抑制し、安全性を高めていることがわかりました。一方で、脂質とカロリーが高いことも事実であり、1日の摂取量を守るなど、量には注意が必要です。これらの知識を活かして、マヨネーズをより美味しく、そして健康的な食生活に取り入れていきましょう。


マヨネーズの主な原料は何ですか?

マヨネーズの主な原料は、植物油、鶏卵(卵黄または全卵)、および酢(または柑橘類の果汁)です。これらの基本的な原材料に加えて、食塩、砂糖、香辛料、タンパク質加水分解物、蜂蜜、特定の調味料(アミノ酸など)がJAS規格で許可されています。

マヨネーズは、どの国で生まれたのでしょうか?

マヨネーズの起源については、スペインが有力な説として挙げられます。18世紀中頃、スペイン領メノルカ島の都市マオンで、フランスのリシュリュー公爵が見つけたソースが、フランスへと伝えられました。この「マオンのソース」が、時を経て現在のマヨネーズとして普及したと考えられています。

日本で最初にマヨネーズが売り出されたのはいつですか?

日本で初めてマヨネーズが販売されたのは、1925年(大正14年)3月9日のことです。キユーピー株式会社の創業者である中島董一郎氏が、「キユーピーマヨネーズ」を発売しました。発売当初は、ヘアスタイリング剤のポマードと勘違いされることもあったそうです。なお、3月1日はキユーピーマヨネーズの広告が初めて新聞に掲載された日であり、「マヨネーズの日」として記念されています。

マヨネーズには、保存料が入っていますか?

いいえ、日本のJAS規格で定められているマヨネーズには、保存料は使用されていません。お酢に含まれる強い酸味によって、細菌が増殖しにくい状態を作り出すことができるため、保存料を使用しなくても長期保存が可能となっています。

マヨネーズのカロリーはどれくらいでしょうか?

キユーピーマヨネーズの場合、大さじ1杯(15グラム)あたりおよそ100kcal、100グラムあたり約667kcalとされています。脂質の含有率が高いため、摂取量には気を配るようにしましょう。


マヨネーズマヨネーズの原材料