冬の代表的な果物、みかん。手軽に食べられて栄養満点なみかんは、私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、一口にみかんと言っても、その種類は実に豊富。甘さ、酸味、香り、そして旬の時期も様々です。この記事では、日本各地で栽培されている多種多様なみかんを品種ごとに徹底解説。それぞれの特徴はもちろん、最も美味しい旬の時期や、育った土地ならではの味わい深さまで、みかんの魅力を余すところなくお届けします。あなたにとって最高のみかんを見つけてみませんか?
みかんの魅力:栄養満点、一年を通して楽しめる多様な品種
みかんは、ビタミンCをはじめ、ミネラル、食物繊維のペクチン、注目の成分ヘスペリジンなど、私たちの健康をサポートする栄養素が豊富です。冬の果物というイメージが強いかもしれませんが、実際には様々な品種が存在し、一年を通してその美味しさを堪能できます。手軽に食べられる上、栄養価も高いため、みかんは日本の食卓に欠かせない存在として広く親しまれてきました。この記事では、甘み、酸味、食感など、それぞれに個性豊かなみかんの数々を詳しくご紹介します。それぞれの品種が持つ特徴、旬の時期、主な産地などを掘り下げ、あなたにとって最高のみかんを見つけるお手伝いをいたします。
日本で品種登録されているみかんは107種!人気の11品種を徹底解説
みかんの世界は奥深く、甘みが際立つものから、爽やかな酸味が心地よいものまで、実に様々な種類が存在します。農林水産省の品種登録データによると、2023年7月25日現在、日本国内で品種登録されているみかんは107種類にも及び、その多様性に驚かされます。残念ながら、すべての品種をここでご紹介することはできませんが、今回は特に市場での流通量が多く、多くの人々に愛されている代表的な品種から、地域で愛される珍しい品種まで、厳選してご紹介します。具体的には、温州みかん、せとか、はるか、いよかん、清見、八朔、じゃばら、ゆら早生、日向夏、紅まどんな、三ヶ日みかんについて、それぞれの特徴や誕生秘話、味わいについて詳しく解説していきます。
温州みかん:日本の冬を代表する柑橘、その美味しさの秘密と旬の時期
温州みかんは、私たちにとって最も身近なみかんの一つであり、単に「みかん」と呼ばれることも多い、日本の国民的果物です。そのルーツは鹿児島県にあると言われています。温州みかんの魅力は、収穫時期によって異なる味わいを楽しめることです。
大きく分けると、
①極早生は9月~10月にかけて収穫され、果皮がまだ緑色を残しているものの、爽やかな甘酸っぱさが特徴です。
②早生は10月下旬~12月下旬に収穫され、果汁が豊富で、甘みがより強く感じられます。
③中生は11月下旬~3月、
④晩生は12月中旬~3月にかけて収穫され、貯蔵性があり、濃厚な甘さが特徴です。
店頭では、産地の名前を冠したブランド名で販売されていることが多いため、品種名を意識することは少ないかもしれません。和歌山県、静岡県、愛媛県は、特に有名な温州みかんの産地として知られています。秋から春にかけて、様々な風味を楽しめる温州みかんは、日本の食文化に深く根ざした存在です。
せとか:清見、アンコール、マーコットの血を引く「柑橘のトロ」
せとかは、清見、アンコール、マーコットという3つの優れた品種を交配させて生まれた、比較的新しい高級柑橘です。その名前は、育成地の長崎県口之津町から見える早崎瀬戸の美しい風景と、主要な産地である瀬戸内地方、そして柑橘ならではの芳醇な香りに由来します。「柑橘のトロ」と称されることもあるせとかは、みずみずしい香りと、濃厚でジューシーな味わい、とろけるような食感が最大の魅力です。外皮が非常に薄く、手で簡単に剥ける手軽さ、種が少ない食べやすさも人気の理由です。市場には2月から4月上旬頃に出回り、その上品な風味と食感は、贈答品としても重宝されています。口の中でとろけるような食感と、凝縮された甘みは、一度味わうと忘れられないほどの印象を与えます。
はるか:日向夏から生まれた、やさしい甘さの秘密
はるかは、日向夏の種から偶然生まれた、ちょっと変わったみかんです。一般的に、かんきつ類は苗木や接ぎ木で育てられますが、種から育てると親とは違う特徴が出やすく、良いものができるとは限りません。しかし、はるかは種から生まれたにもかかわらず、優れた品質を持ち、市場に出回るようになった珍しい例です。見た目は少しゴツゴツしていて、ヘタの部分がデコポンのように少し出ていたり、反対側に丸いくぼみがあったりします。果肉は酸味が少なく、さっぱりとした甘さが特徴で、上品な味わいです。見た目とは違い、やわらかい甘さが魅力なので、酸っぱいものが苦手な人にもおすすめです。
いよかん:山口県生まれ、愛媛県育ちの絶妙な甘酸っぱさ
いよかんは、山口県で偶然見つかった、歴史のあるみかんです。見つかった当時は「穴門みかん」と呼ばれていましたが、その後、愛媛県での生産が大きく増えたため、「伊予柑」という名前で広く知られるようになりました。皮は少し厚めで、内側の皮もしっかりしていますが、むいて食べるのが一般的です。甘さと酸っぱさのバランスがとても良く、果汁たっぷりの果肉からは、濃厚な甘みとさわやかな酸味が楽しめます。香りも良く、食べごたえもあるため、冬から春にかけて人気のみかんです。特に愛媛県は、いよかんの有名な産地として知られており、その品質は高く評価されています。
清見(きよみ):日本初のタンゴール、あふれる果汁がたまらない
清見は、トロビタオレンジと宮内早生温州をかけ合わせて作られた、日本で最初のタンゴールです。タンゴールとは、みかんとオレンジの良いところを両方持っている品種のことです。国内での生産量は愛媛県と和歌山県が特に多く、全体の8割を占めています。清見の特徴は、甘みと酸味がほどよく調和し、果汁がとても豊富なことです。口の中に広がるさわやかな甘みと香りは、そのまま食べるのはもちろん、ジュースやゼリー、タルトなどにも使われています。日本の柑橘の進化において重要な役割を果たした品種で、その美味しさは高く評価されており、デコポンやせとかなどの人気品種を生み出すきっかけにもなりました。
八朔(はっさく):江戸時代から愛される、ほろ苦さが魅力
八朔は、江戸時代に広島県のお寺で見つかったと言われている、歴史の長いみかんです。「八朔」という名前は、昔のお寺の住職が「八朔(旧暦の8月1日)の頃に食べられる」と言ったことが由来とされていますが、実際に食べ頃になるのは1月中旬から4月下旬です。皮は厚くて硬いので、ナイフでむくのがおすすめです。内側の皮もむいて食べましょう。甘みと酸味に加えて、少し苦味があるのが特徴で、この独特の風味が八朔の魅力となっています。この苦味があるからこそ、シロップ漬けやマーマレードなどの加工品にすると美味しくなります。さっぱりとした後味なので、食後のデザートにもぴったりで、この独特の風味が好きな人がたくさんいます。
じゃばら:和歌山の秘境に息づく、邪気を払うとされる柑橘
じゃばらは、和歌山県北山村という、周囲から隔絶された地域に自生していた希少な柑橘です。この地域は、飛び地であることから「秘境」とも呼ばれています。ダイダイ、柚子、カボスなどと同じ仲間で、「邪気を払う」という意味を持つとされる独特の香りと、際立つ酸味が特徴です。しかし、その酸味はただ強いだけでなく、種が少なく、果汁が豊富で、糖度も高いため、バランスの取れた味わいを持っています。近年、じゃばらに含まれるナリルチンなどの成分が、アトピー性皮膚炎や花粉症といったI型アレルギー症状を緩和する効果が期待できるとして研究が進められています。その希少性と独特の風味、健康への貢献が期待される点から、健康意識の高い人々からの注目が集まっています。
ゆら早生:和歌山生まれ、極早生みかんの先駆け
ゆら早生は、和歌山県由良町で発見された宮川早生の枝変わりで、非常に早い時期に収穫できる極早生みかんです。多くの極早生品種の中でも、特に高い糖度と優れた品質で知られています。収穫時期は9月下旬から11月上旬で、秋の到来を告げるように市場に出回ります。特に糖度11度以上のものは「ゆらっ子」というブランド名で販売され、その品質が保証されています。早生みかんの中でも特に甘く、まろやかな味わいが特徴で、柑橘シーズンの始まりを告げる存在として高く評価されています。その優れた品質と早い時期に出荷されることから、毎年多くの人がその登場を楽しみにしています。
日向夏:宮崎生まれ、白いワタ(アルベド)と共に味わう柑橘
日向夏は、江戸時代に宮崎市で偶然生まれた柚子の変種です。果肉は酸味が強いのが特徴ですが、その魅力は果肉を覆う白い部分、アルベドにあります。このアルベドはほんのりとした甘味があり、酸っぱい果肉と一緒に食べることで、絶妙な味わいを生み出します。他の柑橘類では通常取り除かれる白い部分を一緒に食べるという、独特の食文化が特徴です。爽やかな酸味とアルベドの優しい甘さが調和し、日向夏ならではの美味しさを楽しめます。生食はもちろん、サラダや和え物、お菓子など、様々な料理に使われ、その独特の風味が食卓を豊かに彩ります。
紅まどんな:愛媛が誇る、とろけるような食感の高級柑橘
紅まどんなは、愛媛県が南香と天草を交配させて開発したオリジナルの高級柑橘です。その名前は、愛媛県を舞台にした夏目漱石の小説「坊っちゃん」のヒロイン、マドンナに由来しています。「媛まどんな」や「瀬戸のまどんな」という名前でも販売されています。非常に果汁が多く、甘みが強く、何よりも口の中でとろけるようななめらかな食感が特徴で、「まるでゼリーのよう」と表現されることもあります。皮が薄くて手で剥きやすく、種も少ないため、手軽に食べられます。その最高の味と食感から、贈答品として非常に人気があり、冬の高級フルーツとして珍重されています。
三ヶ日みかん:静岡が生んだ銘品
静岡県浜松市三ヶ日町で栽培される三ヶ日みかんは、その名を知られる温州みかんの代表格です。甘みと酸味の絶妙なバランス、そして奥深いコクが特徴で、多くの人々を魅了し続けています。温暖な気候と長年培われた栽培技術が、高品質なみかんを毎年育んでいます。特に注目すべきは、β-クリプトキサンチンという骨の健康をサポートする成分が豊富に含まれていることから、みかんとして初めて「機能性表示食品」に認定されたことです。美味しさはもちろん、健康への貢献も期待される三ヶ日みかんは、日本のブランドみかんを牽引する存在として、その価値を高めています。
みえ紀南1号(味一号):御浜町が誇る、本州一早い旬の味
「味一号」の名でも親しまれるみえ紀南1号は、極早生温州みかんの代表的な品種です。崎久保早生とサマーフレッシュを親に持ち、本州で最も早く収穫されるみかんとして、三重県御浜町の特産品となっています。爽やかな甘さと程よい酸味が特徴で、まだ緑色の果皮でも中身は鮮やかなオレンジ色に染まっています。収穫時期は9月上旬からのわずか2週間。「味一号」の中でも、糖度10度以上、酸度1.1度以下という厳しい基準をクリアしたものは、「みえの一番星」という特別な名前で出荷されます。「みえの一番星」はさらに「あまっこ」「味」「柑」の3つのランクに分けられ、品質の高さが保証されています。御浜町の豊かな自然が育んだ、一足早く秋を告げるみかんです。
早香:甘美な香りのハーモニー、今村温州×ポンカン
早香は、今村温州とポンカンを掛け合わせて生まれた、新しい味わいのみかんです。特徴的なのは、表面の油胞が少し盛り上がった橙色の果皮。強い甘みとなめらかな食感が魅力です。収穫後にはさらに色鮮やかになり、見た目にも美しさが増します。ポンカンの芳醇な香りと、温州みかんの食べやすさを兼ね備え、そのバランスは絶妙。比較的早い時期から楽しめるため、秋の訪れを感じさせてくれる柑橘として人気を集めています。上品な香りと濃厚な甘みは、そのまま食べるのはもちろん、デザートの材料としても最適です。
ポンカン:手軽に味わえる、インド生まれの甘い香り
インド原産のポンカンは、明治時代に鹿児島県に伝わったとされる柑橘です。その特徴は、凸凹とした表面と、誰でも簡単にむける皮。そして、甘く芳醇な香りが豊かに広がります。果肉は柔らかく、濃厚な甘みが凝縮されています。皮がむきやすく、袋ごと食べられる手軽さから、幅広い世代に愛されています。香りの良さから、アロマテラピーや製菓材料としても利用されるなど、柑橘の中でも特に香りが際立つ品種として知られています。その独特の風味と手軽さで、冬の贈り物としても選ばれています。
はるみ:プチプチ食感がたまらない!薄皮ごと食べられる、ちょっと贅沢なみかん
はるみは、清見とポンカンの良いところを受け継いだ、贅沢な交配品種です。大きめの果肉が特徴で、口に入れると弾けるような独特の食感が楽しめます。甘味が強く、酸味が穏やかなので、お子様からご年配の方まで幅広い世代に好まれる味わいです。種が少なく、内側の薄皮も気にならないほど薄いため、手軽にそのまま食べられるのも嬉しいポイント。旬は2月から3月頃ですが、栽培に手間がかかるため、市場に出回る量は多くありません。そのため、見つけたらぜひ味わっていただきたい、おすすめのみかんです。その希少性と、一度食べたら忘れられない食感、濃厚な甘さで、多くの柑橘ファンを魅了しています。
不知火(デコポン):頭のポッチが愛らしい!濃厚な甘さとジューシーさが自慢
不知火は、ポンカンと清見オレンジを親に持つ、甘さと食べやすさが自慢の人気品種です。特徴的なのは、ヘタの部分が盛り上がった、まるでデコボコのようなユニークな形。そして、厳しい基準をクリアした不知火だけが名乗れる「デコポン」は、まさに美味しさの証です。2月から4月にかけて収穫時期を迎え、口いっぱいに広がる濃厚な甘みと、果汁たっぷりのジューシーな果肉が楽しめます。そのまま食べるのはもちろん、ジュースやゼリーなど、アレンジ次第で様々な楽しみ方ができるのも魅力。その高い品質から、贈り物としても大変喜ばれています。
三宝柑:殿様も愛した!?和歌山生まれの由緒正しい柑橘
三宝柑は、ダイダイと柚子が自然に交配して生まれたとされる、長い歴史を持つ柑橘です。そのルーツは江戸時代にまで遡り、和歌山城内で発見されたという説があります。名前の由来は、その昔、三方と呼ばれる台に乗せて殿様に献上されていたことから。見た目は不知火のように少しゴツゴツとしており、皮は厚めで、種も比較的多いのが特徴です。しかし、見た目とは異なり、果肉は濃い黄色で美しく、渋みや苦味はなく、上品な甘さが口の中に広がります。その歴史的な背景と、洗練された味わいから、和歌山県では特別な贈り物として選ばれることも多く、伝統ある柑橘として大切にされています。独特の香りと、優しい甘さが、長年愛され続けている理由です。
甘夏:甘酸っぱさがたまらない!爽やかな風味でリフレッシュ
甘夏は、夏ミカンの中から偶然生まれた、酸味が少なく甘みが強い品種です。発見された場所から「川野夏橙」と呼ばれていましたが、その甘さから「甘夏」という名で広く知られるようになりました。果肉はプチプチとした食感で、夏ミカンならではのほのかな苦味と酸味が、爽やかな味わいを引き立てます。3月から6月にかけて収穫され、比較的長い期間、その味を楽しむことができます。生で食べるのはもちろん、マーマレードやゼリーなどの加工品としても人気があり、暑い季節にぴったりの柑橘です。その爽やかな風味は、気分転換したいときにもおすすめです。
セミノール:輝きのある外観と溢れる果汁が魅力
セミノールは、ダンカングレープフルーツとダンシータンゼリンを掛け合わせた柑橘です。鮮やかなオレンジ色で、つるりとした光沢のある表面が目を引きます。果汁が非常に豊富で、口にした時のジューシーさが特徴です。主な産地は和歌山県、大分県、三重県。収穫は3~4月ですが、収穫後すぐに出荷せず、一定期間貯蔵することで酸味が和らぎ、甘みが増します。その後、4月から6月にかけて店頭に並びます。豊かな果汁、さわやかな酸味、そして程よい甘さが絶妙なバランスで、初夏のデザートとして楽しまれています。見た目の美しさも魅力で、食卓を明るく彩ります。
カラマンダリン:温州みかんに似た姿と濃密な甘さ
カラマンダリンは、温州みかんとキングマンダリンを交配して誕生しました。サイズや見た目は温州みかんに近いですが、温州みかん以上の濃厚な甘みが際立ちます。収穫時期は3月~4月。セミノールと同様に、収穫後すぐに市場に出さず、貯蔵期間を経て酸味を抑え、甘みを凝縮させてから4月~5月頃に出荷されます。この工程により、酸味が少なく、甘さが際立った状態で消費者の手に渡ります。春から初夏にかけて味わえる人気の柑橘で、果肉のジューシーさと凝縮された甘さが特徴です。温州みかんの親しみやすさと、キングマンダリンの芳醇な風味を併せ持ち、奥深い味わいが楽しめます。
サマーフレッシュ:夏みかんと八朔の交配種、三重県が誇る主要品種
サマーフレッシュは、夏みかんと八朔を交配させて生まれた品種です。見た目は淡い黄色で、他の柑橘に比べて大きめなのが特徴です。三重県を中心に栽培されており、国内生産量の100%を占めています。まさに地域を代表する特産品と言えるでしょう。さっぱりとした酸味と、かすかな苦みが特徴で、夏にぴったりの爽やかな味わいです。生食はもちろん、ジュースやゼリー、マーマレードなどの加工品にも利用されています。地域にとって重要な農産物であり、名前の通り、夏の食卓に清涼感をもたらします。
番外編:マイヤーレモン:レモンとオレンジの自然交配から生まれた珍しい品種
マイヤーレモンは、レモンとオレンジが自然交配して生まれたと考えられている品種です。一般的なレモンと比較して、皮がなめらかで、丸みを帯びた形をしていることが多いのが特徴です。熟していくにつれて、果皮の色は黄緑色から黄色、そして濃い黄色へと変化します。通常のレモンよりも酸味が穏やかで、まろやかな味わい。香りも少し甘いのが特徴です。三重県、和歌山県、静岡県などで栽培されていますが、生産量は少なく、希少な柑橘として扱われています。収穫は10月頃から始まり、この時期のレモンはまだ果皮が緑色をしているため、「グリーンレモン」とも呼ばれ、酸味が強く、主にレモン汁などに利用されます。12月になると黄色く色づき、1月にはオレンジ色に熟したマイヤーレモンが収穫されます。完熟したマイヤーレモンは、そのまま食べても美味しいほどで、お菓子作りなどにも幅広く利用されています。一般的なレモンとは異なり、優しい酸味と甘みが魅力です。
日本で栽培・流通する柑橘品種のさらなる広がり
これまでにご紹介した代表的な品種や地域限定の珍しい品種に加え、日本にはさらに多くの柑橘類が栽培され、市場に出回っています。農林水産省に品種登録されている107種類という豊富なバリエーションからもわかるように、その多様性は目を見張るものがあります。ここでは、温州みかんの様々な派生品種から、レモンやゆずといった他の柑橘類まで、日本の豊かな柑橘の世界を垣間見ることができるよう、その一部を網羅的にご紹介します。
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みかん・温州みかん
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青島みかん
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興津早生
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日南1号
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ゆら早生
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北原早生
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ゆず
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黄金柑(おうごんかん)
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不知火(しらぬい)
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はっさく
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麗紅(れいこう)
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紅まどんな(愛媛果試28号)
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ポンカン
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いよかん
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仏手柑
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レモン
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橘(たちばな)
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じゃばら
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シークヮーサー
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木酢(きず)
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バレンシア
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へべす
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ハウスみかん
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南津海
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セミノール
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河内晩柑
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イエローポメロ
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甘夏
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夏みかん
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日向夏
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すだち
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あすみ
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はれひめ
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カラマンダリン
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せとか
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きよみ
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かぼす
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橙(だいだい)
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甘平
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ネーブル
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津の望
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木なりはっさく
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三宝柑
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はるみ
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かんきつ中間母本農6号
まとめ
「みかん」と一口に言っても、日本を代表する温州みかんから、特定の地域でしか栽培されない珍しい品種、そして季節によって異なる様々な種類が存在します。それぞれの品種は、見た目の違いはもちろん、味や香り、食感においても独自の個性を持っています。この記事でご紹介した多種多様なみかんの品種ごとの特徴や旬の時期を参考にして、ぜひご自身の好みに合ったみかんを見つけ、一年を通して様々な柑橘の世界を堪能してみてください。
みかんの品種はどれくらいあるのでしょうか?
国内で栽培されているみかんは、農林水産省の品種登録情報(2023年7月25日時点)によると、なんと107種類もの登録品種が存在します。驚くほど多くの種類のみかんが日本にはあるのですね。
温州みかんの旬はいつ頃ですか?
温州みかんは、収穫時期によって大きく4つのタイプに分けられ、ほぼ一年を通して味わうことができます。9月~10月には極早生、10月下旬~12月下旬には早生、11月下旬~3月には中生、そして12月中旬~3月には晩生が旬を迎えます。
「デコポン」と「不知火」は同じものなのでしょうか?
「不知火」はみかんの品種名であり、ポンカンと清見オレンジを掛け合わせたものです。「デコポン」は、その不知火の中でも、糖度や酸度に関して厳しい基準(糖度13度以上、酸度1度以下)をクリアし、JAを通じて出荷される高品質なものだけに与えられるブランド名です。つまり、デコポンは不知火の中でも選りすぐりの逸品と言えるでしょう。
日向夏の白い部分、アルベドは食べるべき?
はい、日向夏はその独特な食感と風味を楽しむため、果肉を覆う白い部分、アルベドを一緒に食べるのがおすすめです。日向夏の果肉は比較的酸味が強めですが、アルベドにはわずかな甘みがあるため、一緒に味わうことで味が調和し、より美味しくいただけます。
「柑橘の大トロ」と呼ばれるみかんの種類は?
「柑橘の大トロ」と称されるのは、「せとか」という品種です。清見、アンコール、マーコットを交配して生まれたこの高級柑橘は、芳醇な香りと、果汁たっぷりで濃厚な甘さが特徴です。口に入れた瞬間とろけるような食感も、人気の理由の一つです。
みかんの美味しさを見極める「糖酸比」とは?
糖酸比は、みかんの甘さ(糖度)と酸味(酸度)のバランスを示すものです。みかんの美味しさは、ただ甘いだけでなく、ほどよい酸味との調和によって決まります。糖酸比が適正なみかんは、風味豊かで、より甘く感じられます。農業協同組合(JA)などでは、光センサーを用いて糖酸比を測定し、品質管理に活用しています。一般的に、糖度9.5~14度、酸度0.8~1.5度の範囲にあるものが、バランスが良く美味しいとされています。
みかんを揉むと甘くなるというのは、本当でしょうか?
はい、みかんを優しく揉むことで甘さが増すというのは、実際に起こり得る現象で、科学的な裏付けもあります。揉むという行為によって、みかん内部の細胞構造がわずかに変化し、その過程で酸味成分であるクエン酸が消費されると考えられています。その結果、相対的に糖分の割合が増し、甘みをより強く感じられるようになるのです。ただし、力を入れすぎると果肉を傷つけ、品質劣化を早める原因となるため、注意が必要です。
「浮皮」と「菊みかん」は同じものを指すのでしょうか?
いいえ、「浮皮(うきかわ)」と「菊みかん」はそれぞれ異なる状態を指します。浮皮とは、みかんの果肉と皮の間に隙間ができ、皮が浮いている状態を言います。この状態のみかんは、水分が多く味が薄く感じられ、保存性も低い傾向があります。一方、「菊みかん」は、皮と果肉が密着しているものの、表面がデコボコとしているみかんを指します。これは水分が適度に抜け、味が凝縮されていることが多く、甘みが強い傾向にあります。外観は劣りますが、味は良いとされる点が、浮皮とは異なります。
小さいみかんの方が甘いというのは、本当ですか?
一般的に、同じ品種で同じような生育条件であれば、小さめのサイズのミカンのほうが甘い傾向があると言えます。大きなみかんは、どうしても水分を多く含んでしまい、味がぼやけることがあります。それに対し、小ぶりなみかんは、果実の水分量が比較的少ないため、味が凝縮され、甘みを強く感じやすいのです。お店でみかんを選ぶ際には、見た目の大きさだけでなく、ずっしりとした重みがあり、かつ小さめのものを選ぶと、より甘いみかんに出会える可能性が高まります。