冬の味覚として親しまれるみかんは、甘酸っぱくジューシーな味わいが魅力。ビタミンCや食物繊維も豊富で、健康や美容にも嬉しい効果が期待できます。しかし、実はみかんには様々な種類があり、それぞれに個性的な特徴があることをご存知でしょうか?この記事では、代表的なみかんの種類を徹底解説。それぞれの味わいや旬の時期、選び方のポイントはもちろん、おすすめの食べ方までご紹介します。自分好みの「最高のみかん」を見つけて、一年中みかんの美味しさを堪能しましょう!
みかんとは?基本情報と魅力
みかんが広く愛される理由は、甘さと酸味が絶妙に調和した、ジューシーで爽やかな風味にあります。また、ビタミンCをはじめ、カロテン、各種ミネラル、食物繊維の一種であるペクチン、さらにビタミンPの一種であるヘスペリジンといった、健康維持に役立つ栄養成分も豊富です。冬の果物というイメージが強いかもしれませんが、実際には年間を通して様々な品種が栽培されており、一年を通してその美味しさを堪能できます。そのまま食べるのはもちろん、ジュースやジャムに加工したり、料理の風味付けに使用したりと、用途も多岐にわたります。爽やかな香りが食欲を刺激し、私たちの生活に寄り添う、身近で嬉しい果物として親しまれています。
みかんの主な産地:地域ごとの特徴
令和2年の統計によれば、みかんの総収穫量はおよそ85万トンに達しています。中でも、和歌山県(約22%)、静岡県(15.64%)、愛媛県(14.69%)が主要な産地として知られています。特に和歌山県は、18年連続で収穫量日本一を誇り、全国の食卓にバラエティ豊かなみかんを届けています。これらの地域は、それぞれの土地の気候や地形を最大限に活かし、特徴的なみかんを栽培しています。
和歌山県有田市:有田みかん
和歌山県有田市は、「有田みかん」の原産地として広く知られています。この地域は、山、海、川に囲まれた豊かな自然環境が特徴で、特に斜面に作られた段々畑が美しい景観を作り出しています。この独特な地形は、みかんの木々が太陽光を最大限に浴びることを可能にし、濃厚な甘みと程よい酸味のバランスがとれた美味しいみかんを育むための重要な要素となっています。温暖な気候と、日当たりの良い段々畑での栽培が、長年にわたりみかんの収穫量日本一を誇る和歌山県の強みとなっています。
静岡県三ヶ日町:三ヶ日みかん
静岡県三ヶ日町は、「三ヶ日みかん」の産地として有名であり、特に「青島みかん」が人気を集めています。温暖な気候に加え、石灰岩や砂岩を多く含む水はけの良い土壌が、高品質なみかんを育むための重要な条件となっています。三ヶ日みかんは、甘みと酸味のバランスが良く、豊かなコクのある風味が特徴です。また、骨代謝を助けるβ‐クリプトキサンチンが豊富に含まれていることから、みかんとして初めて「機能性表示食品」として認められた品種としても知られています。
愛媛県八幡浜市:柑橘王国を支える愛媛みかん
愛媛県八幡浜市は、豊かな自然に恵まれたみかんの主要産地であり、県内みかん生産量の過半を占めています。愛媛県は、実に多彩な種類の柑橘を育てており、その収穫量は全国No.1です。この地からは、「紅まどんな」や「甘平」、「せとか」など、独自のブランドとして知られる高品質な柑橘が数多く生まれており、その優れた品質は国内外で高い評価を受けています。また、愛媛県には、空港にみかんジュースが出る蛇口があることでも有名で、みかんへの深い愛情が感じられます。
三重県御浜町:一年中みかんが楽しめる町
三重県御浜町は、「年中みかんのとれるまち」を謳い、みかん好きにはたまらない場所として知られています。温暖な気候を利用し、約40種類ものバラエティ豊かなみかんが栽培されており、常に新しい品種の導入にも積極的です。御浜町で収穫されるユニークな品種には、「みえ紀南1号」をはじめ、「温州みかん」、「高糖系温州」、「早香」、「ポンカン」、「はるみ」、「不知火」、「三宝柑」、「甘夏」、「セミノール」、「カラマンダリン」、「サマーフレッシュ」などがあります。
本州で最も早く味わえる奇跡のみかん「みえの一番星」
御浜町で特に力を入れているのが、本州で一番早く市場に出回る「超極早生温州みかん」です。この超極早生温州みかんは、正式には「みえ紀南1号」と呼ばれ、JAを通じて出荷される際には「味一号」という名前でも知られています。「崎久保早生」と「サマーフレッシュ」を掛け合わせて誕生したこの品種は、御浜町の代表的な特産品であり、本州で最も早い時期に収穫されます。9月上旬から約2週間という短い期間で収穫される緑色の果実は、御浜町では「青切りみかん」として親しまれています。御浜町で超極早生温州みかんの栽培が成功したのは、水はけの良い礫質の土壌と、年間を通じて温暖な気候という理想的な条件が揃っていたからです。特に、降水量が多い地域であるため酸味が抜けやすく、さらに太陽の光をたっぷりと浴びることで甘みが増し、9月上旬という早い時期に美味しいみかんを出荷できるのです。この超極早生温州みかんの中でも、糖度10度以上、酸度1.1度以下という厳しい基準をクリアしたものは、御浜のみかん全体の品質向上を願って「みえの一番星」と名付けられています。さらに、「みえの一番星」は「あまっこ」「味」「柑」という3つのグレードに分けられ、品質に応じて厳格に管理されています。
御浜町では、「崎久保早生」を中心とした極早生みかんの栽培が盛んで、長きにわたり秋の訪れを告げる果物として親しまれてきました。超極早生、極早生と続き、10月末頃からは早生みかんの収穫が始まります。そして、冬の定番である晩生みかんは、濃厚な甘みが特徴で、12月から1月にかけて収穫されます。
早香(はやか)
早香は、「今村温州」と「ポンカン」を交配して生まれた品種です。鮮やかな橙色の薄い果皮に油胞が目立つ外観が特徴的です。強い甘みと心地よい食感が魅力で、収穫後に果皮の色が濃くなるにつれて、さらに美しい色合いへと変化します。
三宝柑(さんぽうかん)
三宝柑は、ダイダイと柚子が自然に交配して偶然誕生したとされる、希少な柑橘です。そのルーツは江戸時代に遡り、和歌山城内または和歌山藩士である野中為之助の屋敷にあった原木だと伝えられています。「三宝」と呼ばれる台に載せて殿様へ献上したことが、その名の由来とされています。外観はデコポン(不知火)に似て、表面に凹凸があり、果皮が厚く種が多いのが特徴です。果肉は鮮やかな濃い黄色で、ほとんど苦味やえぐみがなく、上品な甘さを堪能できます。
セミノール
セミノールは、つややかなオレンジ色の外皮が美しいみかんです。ダンカングレープフルーツとダンシータンゼリンを掛け合わせて生まれた品種で、非常に水分が多く、ジューシーな味わいが魅力です。主に和歌山県、大分県、三重県で栽培されていますが、生産量が少なく、貴重な品種として知られています。3~4月に収穫された後、貯蔵庫などで一定期間寝かせることで酸味がまろやかになり、4月~6月頃に店頭に並びます。
カラマンダリン
カラマンダリンは、温州みかんとキングマンダリンを交配して生まれた柑橘です。大きさや外見は温州みかんとよく似ていますが、最も特徴的なのは、その濃厚な甘みです。収穫時期は3月~4月ですが、収穫後に貯蔵し、酸味を調整することで、より甘さが際立ち、4月~5月にかけて出荷されます。
サマーフレッシュ
サマーフレッシュは、夏みかんと八朔を交配して生まれた品種です。淡い黄色の外皮で、比較的大きなサイズが特徴です。主に御浜町で栽培されており、御浜町と紀宝町で国内生産量の約99%を占める、地域を代表する柑橘と言えるでしょう。
みかんの主な品種と旬の時期
みかんは、その種類によって甘さや酸味のバランスが異なり、多種多様な味わいを楽しむことができます。農林水産省に品種登録されているみかんは、2023年7月現在で107種類にも及びます。ここでは、その中でも特に代表的な品種と、それぞれの旬の時期について詳しく解説していきます。
温州みかん:日本を代表する品種と成熟過程
温州みかんは、「みかん」という名前で広く親しまれている、日本を代表する柑橘の一つです。原産地は鹿児島県とされています。温州みかんは、収穫時期の違いによって「極早生」「早生」「中生」「晩生」の4つのタイプに分類されます。それぞれの収穫時期と特徴は以下の通りです。
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極早生みかん(9月~10月):果皮にまだ緑色が残っている場合もありますが、酸味が少なく、すっきりとした甘さが特徴です。秋の訪れを感じさせる味覚として人気があります。
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早生みかん(10月下旬~12月下旬):果皮は鮮やかなオレンジ色に染まり、甘みと酸味のバランスが取れており、ジューシーな味わいが楽しめます。市場への流通量が最も多い時期です。
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中生みかん(11月下旬~3月):早生みかんに比べて果皮がやや厚く、貯蔵性に優れています。濃厚な甘みと、酸味との調和がとれた、コクのある味わいが特徴です。
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晩生みかん(12月中旬~3月):最も貯蔵性が高く、年明けから春先にかけて長く楽しめます。酸味が穏やかになり、糖度がさらに増して、濃厚な甘みが凝縮されています。「こたつみかん」として親しまれる定番の品種です。
温州みかんは、栽培地域のブランド名で販売されることが多く、品種名そのものを見る機会は少ないかもしれません。和歌山県、静岡県、愛媛県は、特に温州みかんの主要産地として知られています。有名なブランドとしては、静岡県の「青島みかん」や「ミカエース」、和歌山県の「蔵出しみかん」や「ゆら早生」、愛媛県の「サンエース」、熊本県の「肥のあかり」などが挙げられます。
静岡県:青島みかん、ミカエース
静岡県は、ミカンの収穫量で常に上位に位置する、有名な産地です。特に温州みかんの収穫量は日本一を誇り、10月から翌年の4月にかけて、多様な品種が旬を迎えます。
青島みかん
昭和初期、静岡県の青島平十氏の農園で偶然生まれた品種で、発見者の名前がそのまま付けられました。一般的な温州みかんよりも一回り大きく、少し平たい形をしているのが特徴です。他の早生みかんに比べると果皮は厚めですが、手で容易に剥くことができ、保存性にも優れています。際立つ甘さと、深みのある風味が人気の理由です。
ミカエース
市場に出回る量が限られている、非常に貴重なみかんです。厳しい品質基準をクリアした、選び抜かれたものだけがこの名前で販売されます。糖度は12度以上と非常に高く、口に入れた瞬間、とろけるような甘さが広がります。皮が薄く食べやすく、芳醇な香りと、甘さと酸味の絶妙なバランスが特徴です。
和歌山県:蔵出しみかん、ゆら早生
みかんの産地として名高い和歌山県は、長い間みかんの生産量で日本一の地位を築いています。温暖な気候と、太陽の恵みを最大限に活かせる傾斜地での栽培が、美味しいみかんを育てるための重要な要素です。山の斜面を利用することで、日当たりが確保され、高品質なみかんが育ちます。
蔵出しみかん
和歌山県海南市下津地区で栽培されているみかんです。収穫後、独自の貯蔵方法でじっくりと熟成させることで、さらに甘く、まろやかな風味へと変化します。昔ながらの土蔵で温度と湿度を適切に管理することで、酸味が抑えられ、深みのある味わいが生まれます。
ゆら早生
和歌山県由良町で生まれたゆら早生は、宮川早生から生まれた極早生みかんです。その最大の特徴は、他の早生みかんに比べて格段に早く収穫できることで、9月下旬から11月上旬には市場に出回ります。極早生でありながら、非常に高い糖度を誇り、その品質の高さから人気を集めています。特に、糖度が11度以上のものは「ゆらっ子」という特別なブランド名で販売されています。目を引く鮮やかなオレンジ色の果肉、薄くて柔らかい皮は、子供からお年寄りまで、幅広い年齢層に親しまれています。
愛媛県:サンエース
愛媛県は、そのミカンの品質において、静岡県と並び称されるほどの評価を得ています。温暖な気候と、海からのミネラルを豊富に含んだ土壌が、美味しいミカンを育てるための重要な要素となっています。
サンエース
サンエースは、早生みかんと太田ポンカンを掛け合わせて生まれた、比較的新しい品種で、平成17年に品種登録されました。果肉を包む袋が非常に薄いため、口にした時の舌触りが滑らかで、爽やかな酸味とポンカン特有の濃厚な甘みが調和した、絶妙な味わいが特徴です。
熊本県:肥のあかり
熊本県は、全国で4番目にミカンの生産量が多い県です。特に、県北西部に位置する金峰山の麓、河内・小島地区は、温州みかんの名産地として広く知られています。
肥のあかり
肥のあかりは、熊本県で栽培されている早生みかんのブランド名として知られています。外観は緑色がかっており、酸味が強そうに見えますが、皮をむくと鮮やかなオレンジ色の果肉が現れます。糖度は10度以上、酸味は1%程度で、見た目とは異なり、甘みと酸味の絶妙なバランスが楽しめます。日南1号とジョッパオレンジを交配して生まれました。
その他の柑橘類
日本には多種多様なみかんの品種が存在し、それぞれが独自の風味や特徴を持っています。ここでは、一般的な温州みかんの品種に加えて、バラエティ豊かな柑橘類をいくつかピックアップしてご紹介します。
紅まどんな
紅まどんなは、「南香」と「天草」を交配して生まれた品種で、2005年に愛媛県の試験場にて品種登録された新しい柑橘です。夏目漱石の小説「坊っちゃん」のヒロインにちなんで名付けられ、愛媛県でのみ栽培が認められている貴重な品種です。媛まどんなや瀬戸のまどんなという名前でも販売されています。果肉を覆う皮が非常に薄く、水分が豊富で、まるでゼリーのようなとろける食感が特徴です。外皮も薄いため、手で剥きにくい場合は、半分にカットしてスプーンですくって食べるのがおすすめです。とろけるような食感をより堪能できます。
せとか
せとかは、「清見」と「アンコール」を掛け合わせたものに、さらに「マーコット」を交配したタンゴールの一種です。育成地の長崎県口之津町から見える早崎瀬戸と、栽培地の瀬戸内地方、そして、その豊かな香りから「せとか」と名付けられました。長崎県の試験場で開発され、2001年に品種登録されました。サイズは大きく、やや扁平な形をしており、外皮は非常に薄くてなめらかです。果肉を包む袋は非常に薄く、アンコール由来の芳醇な香りと、際立って濃厚な甘みが特徴です。「柑橘のトロ」とも呼ばれることがあり、柔らかいゼリーのようにとろける舌触りが魅力です。生産量の約7割が愛媛県産で、旬は2月から3月下旬、市場には2月から4月上旬に出回ります。
あすみ
あすみは、柑橘類の中でも比較的新しい品種で、2014年に品種登録されました。「スイートスプリング」と「トロビタオレンジ」を掛け合わせたものに、さらに「はるみ」を交配して誕生しました。その名前には、将来の柑橘業界を担う「はるみ」の子供、という意味が込められています。サイズは温州みかんと同程度で、非常に濃厚な甘みが特徴。甘すぎる、と感じる人もいるかもしれません。また、独特の芳香も持ち合わせています。外皮も薄皮も薄く、手で簡単に剥ける手軽さも魅力です。旬は2月から3月にかけて。
甘平(かんぺい)
甘平は、タンゴールの一種である「西之香」とポンカンを交配して生まれた柑橘で、2007年に品種登録された愛媛県オリジナルの品種です。一番の特徴は、扁平で大きな形状と、果肉の粒々がもたらす独特のシャキシャキとした食感です。外皮と内側の薄皮が非常に薄いため、剥くときや房を分ける際に、パリッとした心地よい音がするのが特徴です。濃厚な甘さと豊富な果汁も人気の秘密。旬は1月下旬から3月中旬です。静かな場所で、甘平ならではの音に耳を澄ませながら味わってみてください。音、食感、そして甘さ、五感全てで楽しめる柑橘と言えるでしょう。
津之輝(つのかがやき)
「清見」と「興津早生」を掛け合わせたものにアンコールを交配して生まれた津之輝は、2009年に品種登録された新しい品種です。外観は濃いオレンジ色で、表面はややゴツゴツとしており、手に取るとずっしりとした重さを感じます。最大の特徴は、ゼリーのような、ぷりぷりとした食感です。濃厚な甘みに加え、内皮が薄く、アンコールに似た芳醇な香りも楽しむことができます。旬は1月中旬から2月中旬です。
不知火(しらぬい)
不知火は、1972年に長崎県の試験場にて「清見」と「中野3号ポンカン」を掛け合わせて開発されたタンゴールです。その名前は、生産が始まった熊本県の不知火地区に由来します。種が少なく、高い糖度が特徴で人気の品種です。特に、糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の基準を満たし、JAに加盟している農家が栽培したものだけが「デコポン」という名称(商標登録)で販売されます。特徴的な外見は、ゴツゴツとした外皮と、上部に突き出たこぶ。濃厚な甘みと程よい酸味、そしてたっぷりの果汁を堪能できます。旬はハウス栽培で12月頃から、露地栽培で2月頃から4月頃まで。御浜町では、主に2月から4月にかけて収穫されます。
せとみ
山口県で生まれたせとみは、「清見」と「吉浦ポンカン」を親に持つ柑橘で、2004年に品種として登録されました。特に、糖度と酸度のバランスが優れたせとみは「ゆめほっぺ」という名前で市場に出回っています。収穫後には、美味しさを引き出すために約1ヶ月間の貯蔵期間を経て出荷されます。こうすることで酸味が穏やかになり、甘さがより際立つのが特徴です。旬の時期は春先の3月から4月にかけてとなります。
清見(きよみ)
清見は、1979年に登録された、日本で初めてのタンゴールとして知られています。タンゴールとは、温州みかんなどのミカン類とオレンジを交配させた柑橘の総称です。清見は、宮川早生とトロビタオレンジという品種を掛け合わせることで誕生しました。異なる柑橘を交配させるのは非常に難易度が高く、清見の誕生は柑橘の品種改良において大きな進歩となりました。主な産地は愛媛県と和歌山県で、全国の生産量の約8割を占めています。清見は、甘みと酸味のバランスが取れており、果汁が豊富であることが特徴です。皮は少し剥きにくいかもしれませんが、果肉はゼリーのように滑らかで、濃厚な甘みが楽しめます。旬は4月頃です。
南津海(なつみ)
南津海は、「カラマンダリン」と「吉浦ポンカン」を交配して生まれた柑橘です。通常、新品種の開発は研究機関で行われることが多いですが、南津海は山口県の山本柑橘園の園主である山本弘三氏が偶然発見したという珍しい背景を持っています。収穫時期は5月から6月と比較的遅めで、鮮やかなオレンジ色と、それを裏切らない濃厚な甘さが魅力です。
スイートスプリング
スイートスプリングは、八朔と温州みかんの一種である上田温州を交配して生まれた品種で、1982年に品種登録されました。果皮は硬めで少し厚く、やや剥きにくいのが特徴です。内側の薄皮も厚めなので、剥いて食べるのがおすすめです。果皮の色は緑色から黄色に変わりますが、緑色の状態でも十分に熟しており、美味しくいただけます。外見とは異なり、果肉は鮮やかなオレンジ色をしており、酸味や苦味が少ないため、非常に甘く感じられます。最も美味しい旬の時期は、1月から2月頃です。
小原紅早生(おばらべにわせ)
小原紅早生は、1973年に香川県の農家、小原氏の畑で偶然発見されました。これは、一般的な温州みかんである宮川早生の枝変わり、つまり突然変異によって生まれたものです。名前が示す通り、最も特徴的なのは、鮮やかな赤みがかった橙色の果皮です。通常の温州みかんと比べると、その色の違いは一目瞭然です。味わいは、一般的なものよりも甘みが強く、濃厚な風味が楽しめます。皮は容易に剥くことができ、手軽に食べられる点は通常の温州みかんと変わりません。市場価格はやや高めに設定されることが多いですが、その独特の色合いと豊かな甘みが人気の理由です。最も美味しい時期は12月です。
天草(あまくさ)
天草は、清見と興津早生を掛け合わせ、さらにページオレンジを交配して誕生した柑橘です。1995年に品種登録されています。目を引くのは、その鮮やかな赤橙色の果皮と、丸みを帯びた愛らしい形状です。特筆すべきは、そのプルプルとしたゼリーのような、みずみずしい食感です。紅まどんなや大分果研4号など、ゼリーのような食感が特徴的な品種の親としても知られています。外皮と薄皮は非常に薄いため、少し剥きにくいと感じるかもしれませんが、スマイルカットにすれば手軽に楽しめます。旬を迎えるのは1月です。
はるみ
はるみは、ポンカンと清見を交配して生まれた柑橘で、1999年に品種登録されました。手で簡単に皮が剥け、種がなく、薄皮も薄いため、非常に食べやすいのが魅力です。大粒の果肉は、ぷつぷつとした心地よい食感で、凝縮された甘みが口いっぱいに広がります。単に甘いだけでなく、奥深い旨味を感じられるのが特徴です。また、果肉を構成する粒々とした部分(砂じょう)がしっかりしているため、プチプチとした食感も楽しめます。同じ親を持つ品種として、不知火、せとみ、はるきなどがありますが、それぞれ独自の個性を持っています。栽培が難しいため、市場に出回る量が比較的少ないのも、はるみの特徴です。旬は2月から3月頃で、その食感から、みかん愛好家の間では「柑橘のイクラ」と称されることもあります。
みはや
みはやは、2014年に品種登録された、比較的新しい柑橘です。津之望に、清見と伊予柑を掛け合わせたものを、さらに交配して生み出されました。目を引くのは、その濃い赤橙色の果皮で、果肉も同様に鮮やかな色をしています。また、表面はつややかで、見た目にも美しい柑橘です。特徴的な芳香を放ち、甘みが強く、濃厚ながらも後味はすっきりとしています。酸味は控えめです。温州みかんに比べると、やや皮が剥きにくいものの、薄皮はそれほど厚くないため、そのまま美味しく食べられます。旬の時期は12月から1月です。
はるか
はるかは、日向夏から偶然生まれた貴重な品種です。通常、柑橘類は苗木や接ぎ木で増やしますが、はるかは種から育てる実生で生まれたという珍しい背景を持ちます。外見は少しゴツゴツしており、ヘタの部分にはデコポンのような膨らみが見られます。また、お尻の部分に丸いくぼみがあるのも特徴です。果肉は、酸味が少なく、さっぱりとした甘さが際立ちます。内側の白い部分(アルベド)まで甘いのは日向夏譲り。お尻のリング状の窪みが浅いほど、美味しいとされることも。皮は厚めで手で剥きにくいですが、リング状の部分から剥くと比較的簡単に剥けます。旬は春先の3月から4月です。
水晶文旦
名前が示す通り、果肉が水晶のように透き通っているのが水晶文旦の最大の特徴です。栽培が非常にデリケートで難しく、市場に出回るほとんどがハウス栽培されたものです。他の文旦に比べて、果汁が非常に豊富でジューシー。まるで砂糖菓子のような上品な甘さと、ほんのりとした苦みが織りなすハーモニーは絶妙で、文旦の中でも特に洗練された味わいを楽しめます。旬を迎えるのは、秋の10月から11月頃です。
ネーブル
ネーブルオレンジは、甘みが強いスイートオレンジの代表的な品種の一つです。果実のお尻部分にある窪みが特徴で、この形が英語の「へそ(Navel)」に似ていることから、その名が付けられました。形は丸みを帯びたものから少し縦長のものまで様々です。外皮と薄皮が薄く、種が少ないため、そのまま生で食べるのに最適です。皮は手で剥きにくいので、ナイフを使うと良いでしょう。濃厚な甘さと、柑橘ならではの芳醇な香りが楽しめます。多くはアメリカからの輸入品で、11月頃から4月頃まで店頭に並びますが、国産ネーブルの旬は2月から3月頃です。
伊予柑
伊予柑は、山口県で偶然発見された柑橘で、当初は「穴門みかん」と呼ばれていました。その後、愛媛県で栽培が広まり、「伊予柑」として知られるようになりました。現在も愛媛県が生産量日本一を誇っています。果皮は厚めですが、手で比較的簡単に剥くことが可能です。厚い果皮としっかりとした内皮が特徴で、内皮を剥いて食べるのが一般的です。果汁がたっぷりで、糖度と酸味のバランスが絶妙。口の中に広がる爽やかな甘さが魅力です。伊予柑にはいくつかの品種があり、中でも宮内伊予柑が広く栽培されています。旬は冬の終わり頃、12月下旬から2月頃です。
紅まどか
「紅まどか」は、文旦の仲間で、「平戸文旦」と「麻豆文旦」を親に持つ新しい品種です。名前の「紅」が示すように、果肉がほんのりピンク色をしているのが特徴です。文旦の中では比較的甘みが強く、苦味は控えめ。デリケートな性質で、果皮に傷がつきやすいため、市場に出回ることは少ない希少な品種です。旬の時期は1月中旬から2月頃です。
ポンカン
ポンカンはインド原産で、明治時代に鹿児島へ伝わった柑橘です。現在ではアジア各地で栽培されています。種が多いのが少し残念ですが、凸凹とした見た目と、甘く芳醇な香りが特徴。外皮がむきやすく、薄皮も薄いので、手軽に食べられるのが魅力です。酸味は穏やかで、上品な甘さが際立ちます。太田ポンカン、吉田ポンカン、今津ポンカンなどいくつかの種類があり、他の品種との交配にも利用され、不知火(デコポン)や甘平などの人気品種を生み出すのに貢献しました。旬は1月から2月頃です。
媛小春(ひめこはる)
媛小春は、黄金柑と清見を掛け合わせて生まれた、愛媛県オリジナルの柑橘で、2008年に品種登録されました。黄色い外皮と、上が少し膨らんだ形が特徴です。「紅まどんな」や「甘平」と並んで、愛媛県を代表する柑橘として知られています。見た目から酸っぱそうに見えますが、実際は穏やかな酸味で、黄金柑の爽やかさと清見のまろやかな甘さが絶妙なバランスで調和しています。外皮も薄皮もむきやすく、手軽に味わえる、知る人ぞ知る柑橘です。旬は2月から3月です。
弓削瓢柑(ゆげひょうかん)
名前の通り、ひょうたんのような細長い形が特徴的な、珍しい柑橘です。果肉を包む房も細長く、皮むきも楽しめるユニークさがあります。文旦の一種とされ、グレープフルーツに似た味わいと評されることが多いですが、グレープフルーツよりも甘みと酸味が穏やかで優しいのが特徴です。また、グレープフルーツなどに含まれる「フラノクマリン」という成分が含まれていないため、薬を服用している方でも安心して食べられます。旬の時期は4月から5月です。
クレメンティン
クレメンティンは、北アフリカのアルジェリアで偶然に生まれたとされる柑橘類で、地中海マンダリンの自然交雑種と考えられています。その後、種なしの個体がスペインで発見され、日本に導入されました。温州みかんに似て、やや小さめで丸みを帯びた形状をしており、皮がむきやすいのが特徴です。芳醇な香りを持ち、食感はややサクサクとしており、さっぱりとした甘みが特徴です。主に佐賀県で栽培され、旬は12月から2月にかけてです。
日向夏(ひゅうがなつ)
日向夏は、江戸時代末期に宮崎市で発見された柚子の突然変異種で、1820年頃に誕生したとされています。小夏やニューサマーオレンジという名前でも親しまれています。果肉は、さわやかな甘さとほどよい酸味が絶妙なバランスで調和しています。酸味がやや強いものの、アルベドと呼ばれる果肉と皮の間にある白い部分に甘みがあり、一緒に食べることでよりおいしく味わえます。外側の黄色い皮(果皮)を薄く剥き、果肉を一口サイズにカットし、アルベドと一緒に食べるのがおすすめです。旬の時期は、春を感じさせる4月から5月です。
晩白柚(ばんぺいゆ)
晩白柚はザボンの仲間で、原産地はマレー半島です。柑橘類の中でも最大級の大きさを誇り、3kgを超えるものも珍しくありません。外皮は非常に厚く、内側はクッションのようにふかふかしています。果肉を包む袋も厚いため、丁寧に剥いてから食べます。酸味は穏やかで、上品な甘さとほのかな苦みが特徴です。甘く爽やかな香りも楽しめます。しっかりとした歯ごたえとシャキシャキとした食感が魅力です。旬は1月から3月で、冬から春にかけて楽しめます。
河内晩柑(かわちばんかん)
河内晩柑は、自然交配によって偶然生まれた品種で、1935年頃に熊本県の河内町で発見されました。文旦の血を引いていると考えられています。大きめのサイズで縦長の形をしており、黄色く厚めの皮が特徴です。房の袋はやや厚いものの、果肉は柔らかく、たっぷりの果汁を含んでいます。和製グレープフルーツとも呼ばれ、さわやかな甘み、酸味、ほのかな苦みが調和した味わいです。旬は4月から7月と長く、春から初夏にかけてはみずみずしく、後半になると身が締まってきます。
土佐文旦
文旦の中でも特に親しまれているのが土佐文旦です。名前の通り、高知県での栽培が盛んで、12月から収穫が始まります。収穫後、甘みを増すために貯蔵期間を経て、2月頃から店頭に並び始めます。果皮と内側の薄皮が厚いため、少し剥きにくいかもしれませんが、一房が大きいため食べ応えがあります。独特の苦味と甘みが調和したさっぱりとした味わいと、ザクザクとした食感が魅力です。厚い皮は砂糖漬けにすることで、美味しく味わえます。
タロッコ
イタリアの地中海沿岸が原産のタロッコは、日本で栽培されている数少ないブラッドオレンジの一種です。スペインのサンギネッロという品種から生まれた突然変異種と考えられています。温暖化の影響を受け、近年では愛媛県の南予地方でも栽培されています。果皮と果肉は、鮮やかな赤色とオレンジ色が混ざり合った美しい色合いです。皮はやや剥きにくいものの、果肉を包む袋は薄く、種も少ない傾向にあります。濃厚な甘さと酸味が特徴で、ジュースとしても人気があります。旬は3月から5月頃です。
モロ
イタリアの地中海地域が原産のモロも、日本で栽培されている貴重なブラッドオレンジの一種です。サンギネッロの突然変異によって生まれたとされています。タロッコと同様に、温暖化の影響で日本でも栽培が広がっています。果皮、果肉ともに、目を引くような濃い赤黒色が特徴で、芳醇な香りを放ちます。濃厚で甘酸っぱい味わいで、タロッコに比べると、わずかに苦味を感じられます。アントシアニンを豊富に含んでいるのも特徴です。主な産地は愛媛県で、旬は2月から3月頃です。
湘南ゴールド
黄金柑と今村温州を掛け合わせて生まれた湘南ゴールドは、1999年に神奈川県で品種登録されました。現在、神奈川県でのみ栽培が許可されています。外見は黄金柑によく似ていますが、より豊かな香りと、やや強めの甘味が特徴です。神奈川県では、この品種を使った様々な加工品の開発に取り組んでおり、湘南ゴールドの果汁を使用した様々な商品が販売されています。旬の時期は3月から4月です。
八朔(はっさく)
八朔は、遡ること江戸時代末期、広島県因島のお寺の境内で偶然にも原木が発見されたと伝えられています。そのルーツとなる親品種は未だ特定されていませんが、文旦の血を引いているのではないかという説が有力です。名前の由来は、明治時代に恵日山浄土寺の住職であった小江恵徳氏の「八朔には食べられる」という言葉から名付けられたとされています。しかし、実際の食べ頃は1月中旬から4月下旬であり、旧暦の8月1日(八朔)とは時期がずれているのが実情です。外皮、そして果肉を包む内皮ともに厚く、果肉は引き締まっており、独特のシャキシャキとした食感が魅力です。ナイフで外皮をむき、内皮を取り除いて食べるのが一般的。甘み、酸味、そしてかすかな苦味のハーモニーが絶妙で、その苦味を活かしてシロップ漬けやマーマレードにすると格別な美味しさを楽しめます。旬は2月から4月下旬にかけてで、和歌山県が主要な産地として知られています。
黄金柑
黄金柑は、日本に古くから自生していたとされる柑橘類の一種で、その存在は明治時代には既に確認されていました。その特徴的な見た目から、ゴールデンオレンジや黄蜜柑(きみかん)といった愛称でも親しまれています。小ぶりで鮮やかな黄色の外観から、酸味が強いと想像されがちですが、実際には、穏やかな甘味と爽やかな酸味がバランス良く調和しており、非常に美味しく味わうことができます。最も旬を迎える時期は、3月から4月にかけてです。
甘夏
甘夏は、正式には「川野夏橙(かわのなつだいだい)」という品種名を持ちます。大分県津久見市に位置する川野豊さんの農園で、夏ミカンの枝変わりとして偶然発見され、1950年に品種登録されました。大分県で栽培されている夏ミカンの中で、特に減酸が早いものが選ばれた結果、この品種が誕生しました。夏ミカンに比べて甘味が強かったことから「甘夏」と名付けられました。特徴的なのは、厚くゴツゴツとした外皮と、厚めの果肉をしっかりと包む内皮です。非常に豊かな香りを持ち、夏ミカンと比較すると酸味が穏やかで、優しい甘さとほのかな苦味が感じられます。硬めでシャキシャキとした食感も楽しめます。主な産地は熊本県、鹿児島県、愛媛県などで、特に御浜町では3月から6月にかけて長い期間楽しむことができます。旬は1月から6月です。
じゃばら
じゃばらは、日本国内で唯一の飛び地であり、「秘境」とも呼ばれる和歌山県北山村に、たった一本だけ自生していた希少な品種です。ダイダイや柚子、カボスの仲間であり、その独特の香りと「邪気を払う」と言われるほどの強い酸味が特徴です。種がほとんどなく、果汁が非常に豊富で糖度も高く、まろやかな味わいを堪能できます。じゃばらに含まれるナリルチンという成分が、近年の研究で注目されており、花粉が気になる季節の健康維持に役立つ素材として期待されています。
美味しいミカンの選び方:見分けるポイント
ここでは、特に風味豊かで甘みの強いミカンを選ぶために重要なポイントを解説します。ただし、これらのポイントは主に一般的な温州ミカンを対象としたものであり、ミカンの種類によっては当てはまらない場合があることをご理解ください。
色:深みのあるオレンジ色を選ぶ
太陽の恵みをたっぷり受けて育ったミカンは、色が濃くなる傾向があり、一般的に甘味が凝縮されています。果皮が淡い黄色よりも、鮮やかで深みのあるオレンジ色のものを選ぶのがおすすめです。ただし、ごく早生ミカンや早生ミカンのように、まだ果皮が緑色や黄色がかっていても十分に甘い品種も存在します。
形:扁平な形状を見つける
ミカンは成長初期には縦方向に大きくなりますが、甘みが増す時期には横方向に成長します。そのため、一般的に扁平な形をしているミカンの方が甘みが強いと言われています。ただし、品種によっては丸い形状が特徴のものもあるため、その場合は相対的に平たいものを選ぶと良いでしょう。
大きさ:比較的小さめのサイズを選ぶ
ミカンは、実が小さいうちに糖の量がほぼ決まると言われています。そのため、一般的に小さめのミカンの方が糖度が高く、甘味が凝縮されている傾向があります。大きいものよりも、できるだけ小さめのものを選ぶように心がけましょう。
皮:表面の様子をじっくり観察
みかんの皮の表面に見られる小さな粒々は油胞といい、そこには香り成分である精油が含まれています。油胞が密集していてきめ細かいほど、甘みが強いみかんである可能性が高いと言われています。また、皮にわずかなデコボコが見られるものは、栽培中に適度な水分ストレスを受けた結果であり、味が濃く美味しい傾向にあります(特に「菊みかん」と呼ばれるものに多い特徴です)。ただし、皮が浮いていて柔らかすぎるものは、水分過多で味がぼやけていることがあるので避けましょう。手に取った時に、わずかにハリを感じるものがおすすめです。
ヘタ:細さに注目して選ぶ
みかんを選ぶ際、ヘタ(軸)の細さも重要なポイントです。一般的に、軸が細いみかんは、太いものに比べて水分吸収量が少ないため、糖度が上がりやすく、甘みが凝縮されていることが多いです。一方、軸が太いみかんは、水分を多く吸収し、味が単調になる傾向があります。
重さを確認:手に取って確かめる
みかんを選ぶ際には、同じような大きさのみかんをいくつか手に取り、重さを比べてみましょう。ずっしりと重みを感じるものは、果肉がしっかりと詰まっている証拠であり、ジューシーで濃厚な味わいが期待できます。
みかんをより美味しく楽しむために
みかんは品種によって異なる個性を持っています。それぞれの品種に合った食べ方を知ることで、その美味しさを最大限に引き出すことができます。
オレンジ類や清見には:スマイルカットがぴったり
少し皮がむきづらいオレンジ類や清見といった柑橘には、スマイルカットがおすすめです。まず、ミカンを縦方向に半分にカットし、さらにそれぞれを半分にします。最後に、放射状に1/8の大きさにカットすれば完成です。この切り方が笑顔に見えることからそう呼ばれており、見た目もかわいらしく、手軽に食べられるのが魅力です。
とろける果肉には:スプーンで優雅に
まるでゼリーのような、とろけるような食感のみかんは、スプーンを使って味わうのが最適です。ミカンを横半分にカットし、断面からスプーンで果肉をすくい上げてみてください。濃厚な甘さを存分に楽しむことができます。
文旦類:皮を器として再利用
分厚い皮が特徴の文旦類みかんには、ちょっと変わった剥き方が向いています。最初に、みかんを地球に見立てて、赤道にあたる部分にぐるりと一周、浅く切り込みを入れます。次に、その切り込みに指を差し込み、果肉に沿って丁寧に皮を剥がしていきます。ある程度剥がれたら、皮を回すようにすると綺麗に剥けます。反対側も同じように剥き、中の白い部分を取り除いて、薄皮の袋を剥けば完了です。剥いた後の外皮を器として使えば、見た目もおしゃれに楽しめます。
日向夏:白い部分との最高の組み合わせ
日向夏ならではの特別な食べ方をご紹介しましょう。最初に、外側の黄色い皮(果皮)だけを薄く剥き、内側の白い部分(アルベド)を残します。それを食べやすい大きさにカットし、果肉と一緒に味わいます。アルベドのわずかな甘さと、日向夏特有のさっぱりとした酸味が絶妙にマッチし、一緒に食べることで甘みがより際立ちます。
まとめ
この記事では、多種多様なみかんの世界を深掘りし、それぞれの個性、選び方のコツ、そして様々な楽しみ方をご紹介しました。普段、私たちが「みかん」と呼んでいるものの多くは温州みかんですが、実はみかんには驚くほどの種類が存在します。農林水産省に品種登録されているだけでも、2023年7月時点で100を超える品種があり、その数は年々増え続けています。外観はもちろん、味や香りもそれぞれ異なり、個性豊かなのがみかんの魅力です。みかんは、甘さと酸味のハーモニーが素晴らしく、ビタミンC、ミネラル、食物繊維、ヘスペリジンといった栄養素も豊富に含んでいます。まさに、私たちの生活に寄り添う、身近で嬉しい果物と言えるでしょう。この記事でご紹介した情報を参考に、ぜひご自身にとって最高のみかんを見つけ、その奥深い味わいを存分にお楽しみください。
質問1:みかんを食べる理想的な量は?
みかんは、ビタミンCや食物繊維をたっぷり含んでいる一方で、果糖も比較的多く含まれています。健康な方であれば、1日に2~3個程度を目安とするのが良いでしょう。糖尿病の方や糖質制限を行っている方は、事前に医師や栄養士に相談することをおすすめします。
質問2:みかんの白い筋は取るべきでしょうか?
みかんの白い筋、いわゆるアルベドには、食物繊維に加え、ビタミンPの一種であるヘスペリジンが豊富に含まれています。ヘスペリジンには、毛細血管を強化し、血流を改善するといった働きがあると言われています。そのため、特に取り除く必要はありません。ただし、食感が気になる場合は、取り除いても問題ありません。
質問3:みかんの皮にはどんな使い道がありますか?
みかんの皮は、乾燥させることで陳皮として漢方薬に使われたり、お風呂に入れることで血行促進やリラックス効果を得ることができます。また、細かく刻んでお菓子や料理の香りづけに利用することも可能です。さらに、油汚れの掃除に洗剤として使ったり、消臭剤として活用するなど、様々な用途があります。
質問4:みかんを長持ちさせるには、どうすれば良いですか?
みかんを美味しく保つ秘訣は、適切な保存方法にあります。基本は、風通しが良く、涼しい場所を選んで保存することです。直射日光は避け、暖房器具の近くも避けましょう。箱買いした際は、カビが生えないように、みかん同士が重ならないように並べるか、一つずつ新聞紙で包んで、風通しの良い冷暗所で保管すると良いでしょう。冷蔵庫に入れると乾燥してしまうため、保存する場合は野菜室に入れ、ビニール袋などで乾燥を防ぐ工夫をしましょう。
質問5:温州みかん以外のみかんを選ぶ際のポイントはありますか?
温州みかん以外の柑橘類を選ぶ際も、基本的なポイントは同じです。「色が濃く、鮮やかなもの」「手に取った時に、ずっしりと重みを感じるもの」「皮にハリとツヤがあり、きめが細かいもの」を選ぶと良いでしょう。ただし、品種によって外観の特徴は異なります。例えば、デコポンであれば、上部にコブがあるのが特徴です。それぞれの柑橘類が旬を迎える時期に購入することも、美味しいみかんを選ぶ上で大切な要素です。