冬の風物詩として知られますが、ハウス栽培の普及などにより、今では長い期間にわたってそのジューシーな甘みを楽しむことができるみかん。スーパーで手軽に買える身近な果物ですが、実は産地によって味や品種が大きく異なることをご存知でしょうか?この記事では、日本全国のみかん産地ランキングを徹底解説!生産量トップの有名産地、その特徴やおすすめ品種を詳しくご紹介します。各地のみかんを味わい、お気に入りの味を見つけてみませんか?
【2024年】みかん産地ランキングと特徴
農林水産省のデータによると、みかんの生産量が多いのは、和歌山県、愛媛県、静岡県の順です。国内の温州みかん生産量は約68万トン。上位3県で全国の半分以上を占めています。温州みかんは、九州から関東にかけての温暖な地域で栽培されています。各産地は、独自の気候や栽培技術によって、個性豊かなみかんを育てています。ここでは、上位3県の特色や主力品種を詳しく見ていきましょう。
第1位:和歌山県(シェア21.1%) - 温暖な気候と技術が生むみかん
和歌山県は、国内No.1の生産量を誇り、シェアは21.1%です。温暖な気候と長い日照時間は、みかん栽培に最適。特に有名なのは「有田みかん」です。有田地方は、7~8月の降水量が少ないため、みかんに適度なストレスを与え、甘みを凝縮させます。また、山が多い地形を生かし、水はけの良い斜面や石垣で栽培。平地では畝を作るなど、工夫を凝らしています。斜面での栽培は、みかん全体に太陽光を届け、均一な甘さを実現します。主力品種である『宮川早生』などの早生品種に加え、収穫時期の早い『田口早生』や『ゆら早生』といった極早生や早生のオリジナル品種も多く生産されています。ゆら早生の中でも、糖度12度以上、酸度1%以下の品質基準を満たしたものは「味一ゆら早生」として販売されます。薄皮で甘い、おすすめの逸品です。
第2位:愛媛県(シェア16.3%) - 多様な品種とオリジナルブランド
愛媛県は、生産量国内2位。シェアは16.3%です。温暖な気候に加え、瀬戸内海の潮風が運ぶミネラルが、みかん栽培に適した土壌を育み、高品質なみかんを育てます。愛媛県の特徴は、40種類以上もの豊富な品種を栽培していること。温州みかんでは宮川早生が中心ですが、その他にも「はれひめ」「甘平(かんぺい)」「紅まどんな」など、オリジナル品種が豊富です。特に「紅まどんな」と「甘平」は、愛媛県を代表するブランドとして全国的に知られています。「紅まどんな」は、ゼリーのような食感と濃厚な甘みが特徴で、11月下旬から1月上旬が旬。「甘平」は、シャキッとした食感と奥深い甘さが楽しめ、1月下旬から3月上旬が旬です。平べったい形も特徴です。
第3位:静岡県(シェア14.6%) - 貯蔵で熟成する晩生品種の宝庫
国内有数のみかん産地として知られる静岡県は、生産量シェア14.6%を誇り、全国3位にランクインしています。温暖な気候を利用し、12月中旬から3月下旬にかけて旬を迎える普通温州みかんの栽培が盛んです。特に、「青島温州」と「寿太郎温州」は静岡県を代表するオリジナル品種として知られています。和歌山県や愛媛県が比較的早い時期に収穫できる品種を多く栽培しているのに対し、静岡県では収穫時期が遅い晩生系の品種を多く生産しているのが特徴です。「青島温州」は、静岡市で偶然発見された品種で、今や全国各地で栽培される温州みかんの代表的な品種の一つです。糖度が高く、酸味が穏やかなため、豊かな甘さとコクのある味わいが楽しめます。一方、「寿太郎温州」は、静岡県沼津市で生まれた品種です。「青島温州」に比べて小ぶりなサイズ感が特徴で、貯蔵性に優れているため、長期保存が可能です。また、味は「青島温州」よりも濃厚な甘さが際立つと評価されています。寿太郎温州は、収穫後1~2ヶ月ほど貯蔵庫で寝かせることで、甘みと酸味のバランスが整い、高級みかんとして出荷される特別なみかんです。
温州みかんの旬:収穫時期と栽培方法の種類
温州みかんは、収穫時期によって「極早生」「早生」「中生」「晩生」と分類され、それぞれ異なる風味と特徴を持っています。露地栽培の温州みかんは、一般的に9月頃から翌年2月頃にかけて収穫時期を迎えます。「極早生」は、9月~10月上旬に収穫される最も早い品種で、小ぶりながらもさっぱりとした酸味が楽しめます。「早生」は10月上旬~12月上旬が旬で、甘みと酸味の調和がとれており、最も広く流通している品種です。「中生」、または「普通品種」とも呼ばれるものは11月下旬~12月下旬に収穫され、早生よりも甘みとコクが深まります。「晩生」も「普通品種」に含まれ、12月中旬~2月下旬が旬で、貯蔵性が高く、熟成された濃厚な甘さが特徴です。市場に出回る温州みかんの約半数は早生品種(極早生&早生)で、比較的早い時期から店頭に並びます。また、露地栽培に加えて、「ハウス栽培(温室栽培)」の温州みかんも存在します。ハウス栽培では、温度や湿度を調整することで、季節に関係なくみかんを栽培できます。主にお中元などの贈答用として人気があり、佐賀県や愛知県などが主な産地です。ただし、ハウス栽培の収穫量は全体のわずか3%程度と、露地栽培に比べて非常に少ないのが現状です。このように、栽培時期や栽培方法によって、私たちは様々な味わいの温州みかんを長期間にわたって楽しむことができるのです。
まとめ
今回は、日本のみかん主要産地と、それぞれの特徴について詳しく解説しました。農林水産省の「令和5年産みかんの結果樹面積、収穫量及び出荷量」によると、日本におけるみかんの生産量上位3県は、和歌山県、愛媛県、静岡県です。これらの地域に共通しているのは、年間を通じて温暖な気候と長い日照時間という、みかん栽培に最適な環境です。さらに、各産地で長年培われてきた独自の栽培技術や土壌の特性が、多様な品種とそれぞれの個性的な風味を育んでいます。和歌山県では宮川早生や味一ゆら早生、愛媛県では宮川早生に加え、紅まどんな・甘平・はれひめといったオリジナル品種、静岡県では青島温州や貯蔵によって甘みが増す寿太郎温州など、各地域を代表する品種が存在します。温州みかんは、露地栽培の場合9月から翌年2月頃まで、ハウス栽培であれば夏にも味わうことができ、収穫時期によって極早生・早生・中生・晩生と分類されることで、酸味と甘みのバランスが異なる様々な風味を楽しむことができます。この記事を参考に、ぜひ自分好みの産地や品種のみかんを見つけて、その奥深い味わいを堪能してみてください。
日本のみかん生産量No.1は?
農林水産省が発表した「令和5年産みかんの結果樹面積、収穫量及び出荷量」によれば、日本で最もみかんの生産量が多い都道府県は和歌山県です。全国生産量の21.1%を占めており、温暖な気候と日照時間の長さが特徴的な有田地方を中心に、高品質なみかんが栽培されています。
愛媛県を代表するみかんの品種は何ですか?
愛媛県は、他県にはないオリジナルブランドみかんが豊富です。特に「紅まどんな」と「甘平(かんぺい)」は、その代表格と言えるでしょう。紅まどんなは、まるでゼリーのようなプルプルとした食感と、とろけるような甘さが魅力で、旬は11月下旬から1月上旬です。一方、甘平は、サクサクとした独特の食感と、濃厚な甘みが特徴で、1月下旬から3月上旬に旬を迎えます。温州みかんでは、宮川早生が広く栽培されています。
温州みかんの「早生」「中生」「晩生」とは、どのような違いがあるのですか?
温州みかんは、収穫時期の違いによって、大きく分類することができます。最も早く収穫される「極早生」は9月~10月上旬、「早生」は10月上旬~12月上旬、「中生(普通品種)」は11月下旬~12月下旬、「晩生(普通品種)」は12月中旬~2月下旬に収穫されます。これらの違いによって、甘さ、酸味、貯蔵性などにそれぞれの特徴があります。
ハウス栽培みかんには、どのような特徴がありますか?また、主な産地はどこですか?
ハウス栽培みかんは、温度や湿度などが徹底的に管理された温室で育てられます。そのため、露地栽培みかんとは異なり、お中元シーズンなど、通常みかんが収穫できない時期にも出荷することができます。これにより、一年を通して新鮮なみかんを楽しむことが可能です。主な産地としては佐賀県や愛知県が挙げられますが、全国の温州みかん収穫量に占める割合は約3%と、非常に希少価値が高いみかんです。
静岡県の寿太郎温州は、なぜ高級みかんとして扱われるのでしょうか?
静岡県で栽培されている「寿太郎温州」は、収穫時期が12月頃と比較的遅く、収穫後すぐに市場に出荷されるわけではありません。収穫されたみかんは、専用の貯蔵庫で1~2ヶ月ほど貯蔵されます。この貯蔵期間を経ることで、酸味が穏やかになり、甘みが凝縮されるため、酸味と甘みのバランスが飛躍的に向上します。この熟成された深い甘さが、寿太郎温州が高品質で高級なみかんとして評価される理由です。