みかんとは?基本情報と魅力
みかんの人気の秘密は、甘さと酸味が織りなす、みずみずしく爽やかな味わいです。ビタミンCやカロテンなど、健康に良いとされる栄養素も豊富に含んでいます。そのまま味わうのはもちろん、ジュースやジャムにしたり、料理のアクセントに加えたりと、その用途は様々。爽やかな香りが食欲をそそります。
みかんの主な産地:地域ごとの特徴
令和2年の統計によると、みかんの総生産量はおよそ85万トン。その中でも、和歌山県(約22%)、静岡県(15.64%)、愛媛県(14.69%)が主要な産地として知られています。特に和歌山県は、18年連続で日本一の生産量を誇っています。
和歌山県有田市:有田みかん
和歌山県有田市は、「有田みかん」の故郷として広く知られています。山、海、川に囲まれた自然豊かな環境で、傾斜地に作られた段々畑が特徴的な景観を作り出しています。この地形のおかげで、ミカンの木々は太陽の光をたっぷり浴び、美味しいミカンが育つのです。
静岡県三ヶ日町:三ヶ日みかん
静岡県三ヶ日町は、「三ヶ日みかん」の産地として有名です。中でも「青島みかん」は特に人気があります。温暖な気候に加え、石灰岩や砂岩を含む、水はけの良い土壌が、高品質なみかんを育む秘訣です。
愛媛県八幡浜市:愛媛みかん
愛媛県八幡浜市は、県内有数のみかん産地として知られ、愛媛県のみかん生産量の約半分以上を担っています。愛媛県は多種多様な柑橘を栽培しており、その総生産量は日本一を誇ります。「紅まどんな」や「甘平(かんぺい)」、「せとか」といった独自のブランド品種も有名です。また、空港にみかんジュースが出る蛇口が設置されていることでも知られています。
みかんの主な品種と旬の時期
温州みかんは、収穫時期に応じて、極早生(9~10月)、早生(10~12月)、中生(11~12月)、晩生(1月以降)の4つに分類されます。有名なブランドとしては、静岡県の「青島みかん」や「ミカエース」、和歌山県の「蔵出しみかん」や「ゆら早生」、愛媛県の「サンエース」、熊本県の「肥のあかり」などが挙げられます。
静岡県:青島みかん、ミカエース
静岡県は、ミカンの収穫量で常に上位にランクインする有名な産地です。特に温州みかんの収穫量は日本一であり、10月から翌年の4月にかけて、様々な品種が収穫期を迎えます。
青島みかん
1935年頃、静岡県福田ヶ谷の青島平十氏のみかん畑で偶然発見された品種で、その発見者の名前にちなんで名付けられました。一般的な温州みかんに比べてやや大きく、扁平な形をしているのが特徴です。早生みかんに比べると皮は厚めですが、手で簡単に剥くことができ、貯蔵性にも優れています。高い糖度と、濃厚な味わいが魅力です。
ミカエース
市場に出回る量が非常に少ない希少なミカンです。厳しい基準をクリアした選りすぐりのミカンのみがこの名で出荷されます。糖度は12度以上を誇り、口にした瞬間、とろけるような甘さが広がります。薄皮で食べやすく、濃厚な風味と、甘味と酸味の調和がとれた味わいが特徴です。
和歌山県:蔵出しみかん、ゆら早生
ミカン王国として知られる和歌山県は、長年にわたりミカンの生産量日本一を誇ります。温暖な気候と、太陽の光を最大限に活用できる段々畑での栽培が、美味しいミカンを育む秘訣です。山々の斜面を利用することで、日当たりが良く、高品質なミカンが育ちます。
蔵出しみかん
和歌山県海南市下津で栽培されているミカンです。収穫後、特別な貯蔵方法で熟成させることで、より甘く、まろやかな味わいに変化します。伝統的な土蔵で温度と湿度を管理することで、酸味が穏やかになり、コクのある味わいが生まれます。
ゆら早生
和歌山県由良町で生まれた早生ミカンです。通常の早生ミカンよりも早く収穫できるのが特徴で、10月には店頭に並びます。糖度が高く、鮮やかなオレンジ色の果肉は見た目にも食欲をそそります。薄皮で柔らかく、お子様からご年配の方まで、幅広い世代に愛されています。
愛媛県:サンエース
ミカンの生産地として名高い愛媛県は、静岡県と肩を並べるほどの品質を誇ります。温暖な気候に加え、海からのミネラルをたっぷり含んだ土壌が、美味しいミカンを育む秘訣です。
サンエース
サンエースは、早生みかんと太田ポンカンを交配させ、平成17年に品種登録された新しい品種です。果肉を包む袋が非常に薄く、口の中に広がる爽やかな酸味と、ポンカンならではの深みのある甘さが絶妙なバランスを生み出しています。
熊本県:肥のあかり
ミカンの生産量で全国第4位を誇る熊本県。中でも北西部、金峰山の麓に広がる河内・小島地区は、温州みかんの有名な産地として知られています。
肥のあかり
肥のあかりは、熊本県産の極早生みかんのブランド名です。見た目はまだ緑色が残っており酸っぱそうな印象を受けますが、皮をむくと鮮やかなオレンジ色の果肉が現れます。糖度は10度以上、酸味は1%程度と、見た目とは裏腹に甘みと酸味のバランスが取れた味わいが特徴です。日南1号とジョッパオレンジを掛け合わせて誕生しました。
その他の柑橘類
日本には数多くのミカンの品種があり、それぞれが独自の風味や特徴を持っています。ここでは、よく知られた品種に加えて、個性豊かなミカンをいくつかご紹介します。
紅まどんな
「南香」と「天草」を交配させて生まれた品種で、2005年に愛媛県の試験場にて品種登録された新しい柑橘です。愛媛県でのみ栽培が許可されている希少な品種です。果肉を包む薄皮が非常に薄く、水分をたっぷり含んでおり、まるでゼリーのような食感が楽しめます。外皮も薄いため手で剥きにくい場合は、半分にカットしてスプーンで掬って食べるのがおすすめです。とろけるような食感をより一層堪能できます。
せとか
「清見」と「アンコール」を掛け合わせたものに、さらに「マーコット」を交配したタンゴールの一種です。長崎県の試験場で開発され、2001年に品種登録されました。サイズは大きく、やや平たい形をしており、外皮は非常に薄く滑らかです。果肉を包む袋はほとんど気にならないほど薄く、アンコール由来の芳醇な香りと、群を抜いて濃厚な甘みが特徴です。「柑橘の大トロ」と呼ばれることもあるようで、柔らかいゼリーのようにとろける舌触りが魅力です。生産量の約7割が愛媛県産です。旬は2月から3月下旬です。
あすみ
あすみは2014年に品種登録されたばかりの新しい品種です。「スイートスプリング」と「トロビタオレンジ」を掛け合わせたものに「はるみ」を交配して生まれました。未来の柑橘産業を担う「はるみ」の子供という意味を込めて「あすみ」と名付けられました。大きさは温州ミカンと同程度です。味は非常に濃厚で甘く、時に甘すぎるほど。また、独特の芳香があります。外皮、薄皮ともに薄く、手で簡単に剥くことができます。旬は2~3月です。
甘平(かんぺい)
「西之香」というタンゴール(みかんとオレンジの交配種)とポンカンを交配して生まれた甘平は、2007年に品種登録された愛媛県限定の柑橘です。その特徴は、何と言っても大きくて平たい形と、果肉の粒々がシャキシャキとした食感です。外皮と内側の薄皮が非常に薄いため、剥くときや房を分ける際に、パリッとした心地よい音が響きます。濃厚な甘さとたっぷりの果汁も魅力で、旬は1月下旬から3月中旬。静かな場所で、甘平ならではの音にも耳を澄ませて味わってみてください。その音と食感、甘さのすべてで楽しめる、まさに五感で味わう柑橘と言えるでしょう。
津之輝(つのかがやき)
「清見」と「興津早生」を掛け合わせたものにアンコールを交配した津之輝は、2009年に登録された新しい品種です。濃いオレンジ色のゴツゴツとした外観で、手に取るとずっしりとした重みがあります。最大の特徴は、ゼリーのようなプリプリとした食感。濃厚な甘みと薄い内皮に加え、アンコールに似た芳醇な香りも楽しめます。旬は1月中旬から2月中旬です。
不知火(しらぬい)
不知火は、1972年に長崎県の試験場で「清見」と「中野3号ポンカン」を掛け合わせて生まれたタンゴールです。その名前は、生産が始まった熊本県不知火地区に由来します。特に、糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の基準を満たし、JAに加盟している農家が栽培したものだけが「デコポン」(商標登録)として出荷されます。特徴的なのは、ゴツゴツとした外皮と、上部に突き出たこぶ。濃厚な甘みと酸味、そしてたっぷりの果汁が楽しめます。旬はハウス栽培で12月頃から、露地栽培で2月頃から4月です。
せとみ
せとみは、「清見」と「吉浦ポンカン」を掛け合わせた山口県オリジナルの品種で、2004年に品種登録されました。せとみの中でも、一定の糖度と酸度の基準を満たしたものは「ゆめほっぺ」という名称で販売されています。収穫後、約1ヶ月間貯蔵されることで酸味が和らぎ、より甘さが際立ちます。旬は3月から4月です。
清見(きよみ)
清見は、1979年に品種登録された日本初のタンゴールです。タンゴールとは、温州みかんなどのミカン類とオレンジを交配して生まれた柑橘の総称を指します。清見は、宮川早生(みかん)とトロビタオレンジを交配させることによって誕生しました。ミカンとオレンジの交配は非常に高度な技術を要するため、清見の誕生は画期的な出来事であり、その後の品種改良に大きな影響を与えました。外皮は少し剥きにくいものの、果肉はゼリーのように滑らかで、甘みが強く、最新の品種にも引けを取らない美味しさです。旬の時期は4月頃です。
南津海(なつみ)
「カラマンダリン」と「吉浦ポンカン」を掛け合わせた南津海は、研究機関ではなく、山口県の山本柑橘園の園主、山本弘三氏によって偶然生まれたという珍しい経緯を持つ品種です。収穫時期は5月から6月と比較的遅めですが、鮮やかなオレンジ色と濃厚な甘みが特徴です。
スイートスプリング
スイートスプリングは、八朔と温州みかんの一種である上田温州を交配して生まれた品種で、1982年に登録されました。果皮は硬めで厚く、少し剥きにくいのが特徴です。また、内側の薄皮もやや厚いため、剥いて食べる人もいます。果皮の色は緑色から黄色へと変化しますが、緑色の状態でも十分に熟しており、美味しく食べられます。見た目とは異なり、果肉は鮮やかなオレンジ色で、酸味や苦味がほとんどなく、非常に甘く感じられます。旬は1月から2月にかけてです。
小原紅早生(おばらべにわせ)
小原紅早生は、1973年に香川県の小原さんという農家の畑で偶然発見された、宮川早生(一般的な温州みかんの品種)の枝変わり(突然変異)です。最大の特徴は、その名の通り、赤橙色をした鮮やかな果皮です。一般的な温州みかんと比較すると、その色の違いは明らかです。味は通常の温州みかんよりも甘みが強く、濃厚です。皮はむきやすく、食べやすさは一般的な温州みかんと変わりません。価格は一般的な温州みかんに比べてやや高めに設定されることが多いですが、その独特の色と濃厚な甘みから人気があります。旬の時期は12月です。
天草(あまくさ)
天草は、清見(きよみ)と興津早生(おきつわせ)を親に持ち、さらにページオレンジを交配して生まれた柑橘です。1995年に品種登録されました。その果皮は鮮やかな赤橙色で、丸みを帯びた形が特徴です。何と言っても、プルプルとしたゼリーのような、ジューシーな食感が魅力です。紅まどんなや大分果研4号など、ゼリー食感を特徴とする品種の親としても知られています。外皮や薄皮は非常に薄く、少し剥きにくいので、スマイルカットにして食べるのがおすすめです。旬の時期は1月です。
はるみ
はるみは、ポンカンと清見を掛け合わせた柑橘で、1999年に登録されました。手で簡単に剥けて、種もなく、薄皮も薄いため、非常に食べやすいのが特徴です。甘さだけでなく、濃厚な旨味を感じられる味わいが魅力です。また、果肉を構成する粒々(砂じょう)がしっかりとしているのも特徴で、プチプチとした食感を楽しめます。同じ親を持つ品種として、不知火(しらぬい)、せとみ、はるきなどがありますが、それぞれ異なる個性を持っています。旬は2月頃で、その食感から、みかん愛好家からは「柑橘のイクラ」と呼ばれることもあります。
みはや
みはやは、2014年に品種登録された比較的新しい柑橘です。津之望(つののぞみ)に、清見と伊予柑を掛け合わせたものをさらに交配して生まれました。目を引く濃い赤橙色の果皮が特徴で、果肉も同様に鮮やかな色をしています。また、表面はツヤツヤとしていて、見た目にも美しい柑橘です。独特の芳香があり、甘みが強く、濃厚ながらも後味はさっぱりとしています。酸味は控えめです。温州みかんに比べるとやや剥きにくいですが、薄皮はそれほど厚くないため、そのまま食べられます。旬の時期は12月から1月です。
はるか
はるかは、日向夏の自然交雑によって生まれたと考えられています。果肉だけでなく、内側の白い部分(アルベド)まで甘い点が日向夏によく似ていますが、お尻の部分にある丸いリング状の窪みが特徴です。このリング状の窪みが薄いほど、美味しいはるかであると言われています。皮は厚めで手で剥きにくいですが、お尻のリング部分から剥がし始めると、比較的簡単に手で剥くことができます。旬は3月から4月です。
水晶文旦
その名の通り、果肉がまるで水晶のように透き通っているのが特徴的な文旦です。栽培が非常に難しく、市場に出回っているもののほとんどはハウス栽培によって育てられています。他の文旦と比べて、果汁が豊富でジューシー。まるで砂糖菓子のような上品でやさしい甘さと、かすかに感じる苦みが絶妙なバランスで、文旦の中でも特に上品な味わいとして知られています。旬の時期は10月から11月頃です。
ネーブル
ネーブルオレンジは、早生品種のスイートオレンジの一種です。果実の底にある特徴的な窪みが、英語で「へそ」を意味する「ネーブル」という名前の由来となっています。丸みを帯びた形からやや縦長の形をしており、外皮と薄皮が薄く、種が少ないため、生で食べるのに適しています。手で剥くのは少し難しいので、ナイフを使うのがおすすめです。甘みが強く、柑橘ならではの華やかな香りが楽しめます。アメリカからの輸入品が多く、11月頃から4月頃まで市場に出回ります。国産のネーブルは、2月から3月頃が旬です。
伊予柑
伊予柑は、山口県で偶然発見された柑橘類です。ミカンとオレンジの交配種ではないかと考えられています。その後、愛媛県に持ち込まれ、栽培が盛んになったことから「伊予柑」と呼ばれるようになりました。現在でも愛媛県が日本一の生産量を誇っています。果皮は厚めですが、手で簡単に剥くことができます。果汁が非常に多く、爽やかな甘さを口いっぱいに味わえるのが魅力です。伊予柑にはいくつかの品種があり、中でも宮内伊予柑が主流です。旬は12月下旬から2月頃です。
紅まどか
紅まどかは、文旦の一種で、「平戸文旦」と「麻豆文旦」を掛け合わせて生まれた新しい品種です。「紅」という名前が示すように、果肉が淡いピンク色をしているのが特徴です。文旦類の中では比較的甘みが強く、苦味が控えめです。果皮に傷がつきやすい性質があり、販売にはあまり向かないため、市場で見かけることは稀です。旬の時期は1月中旬から2月頃です。
ポンカン
ポンカンは、そのルーツをインドに持つとされ、現在ではアジア各地で広く栽培されている柑橘です。種がやや多い点は惜しいところですが、外皮がむきやすく、薄皮も薄いため、手軽に食べられるのが魅力です。酸味は控えめで、上品な甘さが際立ち、特有の芳醇な香りも楽しめます。太田ポンカン、吉田ポンカン、今津ポンカンなど、いくつかの亜種が存在し、様々な品種との交配にも用いられ、不知火(デコポン)や甘平といった人気の品種を生み出すのに貢献しました。旬の時期は1月から2月にかけてです。
媛小春(ひめこはる)
媛小春は、黄金柑と清見を交配させて生まれた、愛媛県オリジナルの柑橘品種で、2008年に品種登録されました。その特徴は、黄色い外観と、上部がやや膨らんだユニークな形状です。「紅まどんな」や「甘平」と並び、愛媛県を代表する柑橘として知られています。見た目から酸味が強いように思われがちですが、実際には酸味は穏やかで、黄金柑由来の爽やかさと、清見由来のまろやかな甘さが絶妙に調和した、知る人ぞ知る美味な柑橘です。外皮がむきやすく、薄皮も薄いため、手軽に味わうことができます。旬は2月から3月にかけてです。
弓削瓢柑(ゆげひょうかん)
名前が示す通り、ひょうたんのような細長い形が特徴的な、珍しい柑橘です。果肉を包む房も細長く、皮をむく過程も楽しめるユニークさがあります。文旦の一種とされており、その味わいはグレープフルーツに似ていると評されることが多いですが、グレープフルーツと比較すると、甘みと酸味がより穏やかで優しいのが特徴です。また、グレープフルーツなどに含まれる「フラノクマリン」という成分が含まれていないため、特定の医薬品を服用している方でも安心して食べることができます。旬の時期は4月から5月にかけてです。
クレメンティン
クレメンティンは、アルジェリアで偶然生まれたとされ、地中海マンダリンの自然交雑種と考えられています。その後、種がない個体がスペインで発見され、日本へと伝わりました。やや小ぶりで丸みを帯びた形をしており、外皮がむきやすい点は温州ミカンと似ています。香りが強く、食感はややサクサクとしており、味はすっきりとした甘さが特徴です。主に佐賀県で栽培されており、旬は12月から2月です。
日向夏(ひゅうがなつ)
宮崎県をルーツとし、およそ1820年頃に誕生したとされる柑橘です。小夏、またはニューサマーオレンジという名でも親しまれています。その果肉は、爽やかな甘みと程よい酸味が織りなすハーモニーが特徴。加えて、アルベドと呼ばれる果肉と皮の間にある白い部分の甘さが際立っています。食べ方は、外側の皮を薄く剥き、果肉を一口サイズにカット。アルベドと共に食すことで、甘みがより一層引き立ちます。旬の時期は、春の訪れを感じさせる4月から5月にかけてです。
晩白柚(ばんぺいゆ)
ザボンの仲間であり、マレー半島が故郷です。柑橘類の中でも最大級の大きさを誇り、重さは3kgを超えることも珍しくありません。外皮は非常に厚く、内側はまるでクッションのようにふかふかとしています。果肉を包む袋も厚いため、丁寧に剥いてから食します。酸味は穏やかで、上品な甘さとほのかな苦みが絶妙なバランス。さらに、甘く爽やかな香りも魅力です。果肉はしっかりとした歯ごたえでありながらもシャキシャキとした食感が楽しめます。旬は、冬から春へと移り変わる1月から3月です。
河内晩柑(かわちばんかん)
自然交配によって偶然生まれた品種で、1935年頃に熊本県の河内町で発見されました。文旦の血を引いていると考えられています。大きめのサイズで縦長のシルエット、そして黄色く厚めの外皮が特徴です。房の袋もやや厚いものの、果肉は柔らかく、溢れんばかりの果汁を含んでいます。和製グレープフルーツとも称され、爽やかな甘み、酸味、そしてほのかな苦みが絶妙なバランスで調和。旬は長く、4月から7月にかけて。春から初夏にかけては非常にみずみずしく、後半になると身が締まってきます。
土佐文旦
数ある文旦の中でも、特にポピュラーなのが土佐文旦です。「土佐」の名が示す通り、高知県での栽培が盛んです。収穫は12月から始まりますが、甘さを引き出すために一定期間貯蔵され、2月から市場に出回ります。外皮だけでなく薄皮も厚いため、皮むきには少し手間がかかりますが、一房が大きいため満足感があります。ザクザクとした食感と共に、甘みと独特の苦味が織りなす爽やかな味わいが特徴。また、厚い皮は砂糖漬けにして美味しくいただくこともできます。
タロッコ
地中海沿岸のイタリアが原産で、日本国内で栽培されている数少ないブラッドオレンジの一種です。この品種は、スペインのサンギネッロという品種から生まれた突然変異種であると考えられています。近年の温暖化の影響を受け、愛媛県の南予地方でも栽培されるようになりました。果皮も果肉も、鮮やかな赤色とオレンジ色が混ざり合った美しい外観を持ちます。皮は少し剥きにくいものの、果肉を包む袋は薄く、種も比較的少ないのが特徴です。濃厚な甘みと酸味が際立ち、ジュースとしても非常に人気があります。旬の時期は3月から5月にかけてです。
モロ
こちらもイタリアの地中海地域が原産で、日本で栽培されている貴重なブラッドオレンジの一種です。サンギネッロの突然変異によって生まれたとされています。タロッコと同様に、温暖化の影響で日本でも栽培が広がっています。果皮、果肉ともに、目を引くような濃い赤黒色が特徴で、芳醇で独特な香りを放ちます。味は濃厚で甘酸っぱく、タロッコに比べると、わずかに苦味を感じるのが特徴です。アントシアニンを豊富に含んでいます。主な産地は愛媛県で、旬は2月から3月頃です。
湘南ゴールド
黄金柑と今村温州を掛け合わせて生まれた品種で、1999年に神奈川県で品種登録されました。現在、神奈川県でのみ栽培が認められています。外観は黄金柑とよく似ていますが、より豊かな香りと、やや強めの甘味が特徴です。神奈川県では、この品種を使った様々な加工品の開発に力を入れており、湘南ゴールドの果汁を使用した多彩な商品が販売されています。旬の時期は3月から4月です。
八朔(はっさく)
江戸時代の末期に、広島県の因島にあるお寺の境内で原木が発見されたと言われています。親品種は特定されていませんが、文旦の血を引いているのではないかと考えられています。外皮も果肉を包む袋も厚く、果肉は引き締まっていて、シャキシャキとした食感が楽しめます。甘み、酸味、そしてほのかな苦味のバランスが絶妙な味わいです。「八朔」という名前は、「八月朔日(ついたち)に食べられる」という意味に由来すると言われていますが、実際の旬の時期とは異なります。旬は2月から4月下旬頃で、和歌山県が主な産地として知られています。
黄金柑
黄金柑は、日本で昔から自生していたとされる柑橘類の一種で、その存在は明治時代には既に確認されていました。その見た目から、ゴールデンオレンジや黄蜜柑(きみかん)といった別名でも親しまれています。小ぶりで鮮やかな黄色い外観から酸味が強いと思われがちですが、実際には、穏やかな甘味と爽やかな酸味が見事に調和しており、非常に美味しく味わえます。最も美味しい旬の時期は、3月から4月にかけてです。
甘夏
正式な品種名は「川野夏橙(かわのなつだいだい)」とされ、大分県津久見市にある川野豊さんの農園で、夏ミカンの枝変わりとして偶然発見され、1950年に品種登録されました。その特徴は、厚くゴツゴツとした外皮と、しっかりとした厚めの果肉を包む袋にあります。非常に豊かな香りを持ち、味わいは夏ミカンと比較して酸味が穏やかで、優しい甘さとほのかな苦味が感じられます。硬めでシャキシャキとした食感が楽しめます。主な産地は熊本県、鹿児島県、愛媛県などで、旬は1月から6月にかけてです。
美味しいミカンの選び方:見分けるポイント
ここでは、特に味が濃厚で甘いミカンを選ぶための重要なポイントをご紹介します。ただし、これらのポイントは主に一般的な温州みかんに当てはまるものであり、ミカンの品種によっては異なる場合があることをご了承ください。
色:濃いオレンジ色を選ぶ
たっぷりと太陽の光を浴びて育ったミカンは、色が濃くなる傾向があり、一般的に甘味が強くなります。果皮が黄色みを帯びたものよりも、鮮やかで濃いオレンジ色のものを選ぶのがおすすめです。ただし、極早生みかんや早生みかんといった品種は、まだ果皮が黄緑色や黄色っぽくても十分に熟している場合があります。
形:平たい形状を見極める
みかんは生育の初期段階では縦方向に成長しますが、甘みが増す秋口には横に成長します。そのため、一般的に平たい形状のみかんの方が甘みが強いと言われています。ただし、品種によっては元々丸いものもあるため、その場合はより平らなものを選ぶと良いでしょう。
大きさ:小ぶりのサイズを選択する
みかんは、実が小さいうちに糖の量が決まるとされています。したがって、小ぶりなみかんの方が糖の濃度が高く、甘味が凝縮されている傾向があります。大きいものよりも、できるだけ小ぶりのものを選ぶようにしましょう。
皮:きめ細かく、凸凹が多いものを見つける
みかんの皮にある小さなブツブツは油胞と呼ばれるもので、精油が含まれています。この油胞が細かく、密度が高いほど甘いみかんである可能性が高いです。また、表面に凹凸が多いみかんは、水分ストレスを受けた証であり、味が濃厚で美味しいとされています(「菊みかん」と呼ばれることもあります)。ただし、皮と実が剥がれてブカブカしているものは、水分が多く味が薄くなりがちです。握った時に少し弾力があるものを選ぶのがおすすめです。
ヘタ:軸が細いものをチョイス
みかんの軸が細いものは、太いものに比べて水分を供給する道管からの水分吸収量が少ないため、甘みが凝縮される傾向があります。逆に、道管が太いと水分を多く吸収し、大味になることがあります。
重さをチェック:ずっしりとしたものを選ぼう
ミカンを選ぶ際、同じくらいの大きさであれば、持った時に重く感じるものを選ぶと良いでしょう。それは果肉がしっかりと詰まっている証拠であり、より美味しく味わえる可能性が高いです。
ミカンをさらに美味しく味わうためのヒント
ミカンの品種によって、その美味しさを最大限に引き出す食べ方が存在します。
オレンジ系統や清見には:スマイルカットがおすすめ
少し皮が剥きにくいオレンジ系統や清見などのミカンには、スマイルカットが最適です。まず、ミカンを縦半分に切り、さらにそれぞれを半分にします。最後に、扇形になるように1/8の大きさにカットします。この切り方が笑顔のように見えることからスマイルカットと呼ばれており、見た目も可愛らしく、手軽に食べられます。
とろけるような果肉には:スプーンで贅沢に
まるでゼリーのような、とろける食感のミカンは、スプーンで味わうのが格別です。ミカンを上下半分にカットし、断面からスプーンで果肉をすくい上げれば、濃厚な味わいを存分に堪能できます。
文旦系:皮を器として活用
厚い皮が特徴の文旦系みかんには、少し工夫を凝らした剥き方が適しています。まず、みかんを地球に見立て、その赤道部分に当たる箇所にぐるりと一周切り込みを入れます。次に、その切り込みに沿って指を差し込み、果肉に沿わせるように丁寧に皮を剥がしていきます。ある程度剥がれたら、皮を回転させるようにすると綺麗に剥けます。反対側も同様に剥き、中の白い部分を取り除き、薄皮の袋を剥けば完了です。剥いた後の外皮を器として利用すれば、見た目もお洒落に楽しめます。
日向夏:白い部分との絶妙なハーモニー
日向夏ならではの特別な食べ方をご紹介します。まず、外側の黄色い皮(果皮)だけを薄く剥き、内側の白い部分(アルベド)を残します。それを食べやすいように一口サイズにカットし、果肉と一緒に味わいます。アルベドのほのかな甘さと、日向夏本来の爽やかな酸味が絶妙に調和し、一緒に食べることで甘さがより引き立ちます。
まとめ
この記事では、みかんの様々な種類、それぞれの特徴、美味しいみかんの選び方、色々な食べ方について詳しくご紹介しました。みかんは、甘みと酸味のバランスが絶妙で、栄養もたっぷり。私たちの生活に寄り添う、身近で嬉しい果物です。この記事を参考に、ぜひあなたにぴったりのみかんを見つけて、その美味しさを心ゆくまで味わってください。
質問1:一日に食べるみかんの適量は?
回答1:みかんはビタミンCや食物繊維が豊富ですが、果糖も多く含まれています。健康な方であれば、一日あたり2~3個を目安にするのがおすすめです。糖尿病の方や糖質制限をされている方は、事前に医師や栄養士に相談するようにしましょう。
質問2:みかんの白い筋は取り除くべき?
回答2:みかんの白い筋(アルベド)には、食物繊維やビタミンPの一種であるヘスペリジンが豊富に含まれています。ヘスペリジンは、毛細血管を強くし、血流を促進する効果が期待されています。そのため、無理に取る必要はありません。食感が気になる場合は、取り除いても大丈夫です。