レンコンは、独特の見た目と食感が特徴的な、日本の食卓でおなじみの野菜です。特に、おせち料理には「見通しが良い」縁起物として用いられ、昔から多くの人に愛されてきました。しかし、レンコンがどのような植物で、どんな栄養を含み、どのように選んで保存し、美味しく調理できるのか、詳しく知っている人は少ないかもしれません。この記事では、レンコンの基本情報から歴史、栄養成分、選び方のコツ、長持ちする保存方法、下処理の仕方まで、レンコンに関するあらゆる情報を詳しく解説します。この記事を読めば、レンコンについてより深く理解し、毎日の食生活で美味しく、賢く活用できるようになるでしょう。
レンコンとは？基本情報と魅力
レンコンは、水生植物であるハスの地下茎が肥大したものです。漢字で「蓮根」と書きますが、正確には根ではなく、地中に伸びた茎の部分を指します。その魅力は、豊富な栄養価と、調理法によって変わる様々な食感（シャキシャキ、ホクホク、モチモチなど）を楽しめる点です。煮物、天ぷら、きんぴらなど、日本の食卓では昔から親しまれており、欠かせない食材として愛されています。
レンコンのルーツと植物としての特徴
レンコンはハスの地下茎が大きくなったもので、この地下茎が栄養を蓄えることで、独特の形に成長します。レンコンの中にある穴は、単なる見た目の特徴ではありません。これらの穴は通気孔として機能し、水底の泥の中に埋まった地下茎に外の空気を取り込むという重要な役割を持っています。これによって、泥の中でもハスは呼吸を続けることができるのです。
この穴がたくさん空いている見た目から、レンコンは「先を見通せる」「将来の見通しが良い」といった縁起の良い意味を持つとされ、おせち料理やお祝いの席に欠かせない縁起物として大切にされています。古くから日本の文化と深く結びついた、伝統的な食材と言えるです。
原産地はどこ？世界に広がるレンコンの歴史
レンコン（ハス）の原産地にはいくつかの説があり、エジプト、インド、中国などが有力な候補として挙げられます。これらの地域では、古くからハスが食用、薬用、観賞用として利用されてきました。特にアジアでは、仏教文化との関わりも深く、神聖な植物としても崇められています。
あの楊貴妃も愛した美の秘訣
歴史を彩る人物との繋がりも深く、美貌で名高い中国の楊貴妃は、美と健康を保つために蓮の葉を煎じて飲んでいたという話が残っています。このエピソードからもわかるように、れんこんは昔から人々の暮らしに深く関わり、様々な面でその価値が認められていました。
日本の歴史：奈良時代から現代まで
日本においては、奈良時代には既に食用としてのれんこんが栽培されていたと考えられています。西暦713年頃に編纂されたとされる「万葉集」には、れんこんについて次のような歌が詠まれています。「神代に天より流れ来し水沼なり、生ふる所の蓮根、味いとことにして、甘美きこと、他所に絶れたり、病有る者、この蓮を食へば早く癒えて験あり」。この歌からは、当時の人々がれんこんを貴重なものとして扱い、その上品な甘さと薬効を高く評価していた様子が伝わってきます。
現在、日本で栽培されているれんこんには、「在来種」と「中国種」の大きく2つの種類があります。在来種は日本古来の品種ですが、日本でれんこんが本格的に広く栽培されるようになったのは、明治時代以降に中国種が導入されてからです。私たちがスーパーなどでよく見かけるのは、シャキシャキとした歯ごたえが特徴の中国種がほとんどです。
日本一の生産地、茨城県
れんこんは、ハスが水田のような水の中で育つ植物であるため、一般的な畑での栽培には適していません。そのため、れんこんの産地は限られた地域に集中しています。中でも、茨城県の霞ヶ浦周辺は、日本有数のれんこん産地として有名です。「農林水産省 作物統計調査（令和4年産）」によると、全国のれんこん出荷量約74,890トンのうち、茨城県が47,890トンを占め、全国シェアの約64%という圧倒的な生産量を誇っています。
その他の主な産地と栽培環境
茨城県に続いて、佐賀県が7,890トン（約10.5%）、徳島県が4,200トン（約5.6%）となっており、これらの地域も日本のれんこん生産を支える重要な産地です。これらの地域に共通しているのは、水が豊富で、れんこんの栽培に適した広大な湿地や水田が広がっていることです。泥の中で育つれんこんは、土壌の品質や水管理が非常に重要であり、長年の経験と培われた技術がおいしいれんこんを育てる上で欠かせません。
れんこんの旬と季節ごとの特徴
れんこんは一年を通して市場に出回りますが、収穫時期は一定ではなく、季節によって味や食感が異なります。れんこん本来の美味しさを堪能するためには、旬を意識することが大切です。
冬のれんこん：濃厚な味わいと需要の高まり
れんこんの旬として一般的に知られているのは、11月から3月にかけての寒い時期です。特に12月頃は最盛期となり、この時期に収穫されるれんこんは、寒さの中でゆっくりと栄養を蓄えるため、強い粘りと凝縮された甘みが特徴です。煮物などにすると、その濃厚な味わいともっちりとした食感を堪能できます。
また、お正月料理に欠かせない縁起物としての需要も高く、旬の時期には様々な産地のれんこんが店頭に並びます。冬の食卓を豊かに彩る、風味豊かなれんこんをぜひお試しください。
新れんこん：初夏から秋の爽やかな味わい
一方、初夏から秋にかけて市場に出回るのが「新れんこん」です。冬のれんこんとは異なり、9月頃から収穫が始まり、みずみずしく、繊維が柔らかい点が特徴です。あっさりとした食感と、かすかな甘みが持ち味で、サラダや酢の物など、さっぱりとした料理に最適です。
このように、れんこんは旬の時期だけでなく、一年を通して様々な風味や食感を楽しめる魅力的な野菜です。季節ごとの特徴を活かして、色々な料理に挑戦してみてはいかがでしょうか。
驚くべき栄養価と健康・美容効果
れんこんは、独特の食感に加え、健康や美容に役立つ豊富な栄養素を含んでいます。「日本食品標準成分表2023（八訂）増補」によると、れんこんに多く含まれる栄養素として、ビタミンC、カリウム、食物繊維などが挙げられます。これらの成分が私たちの体にどのような効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
豊富なビタミンC含有量とその特徴
レンコンは、可食部100gあたり実に48mgものビタミンCを含有しています。これは、多くの野菜と比較しても際立って高い数値です。一般的にビタミンCは熱に弱い性質を持ちますが、レンコンの場合は、その独特なでんぷん質によって保護されているため、加熱による損失を最小限に抑えることが可能です。そのため、煮物や炒め物といった加熱調理を経ても、比較的多くのビタミンCを摂取できるのがレンコンの利点と言えるでしょう。
一日分のビタミンCを効率よく摂取
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準（2020年版）」によれば、成人における一日のビタミンC推奨摂取量は100mgとされています。レンコン一節の重量は約200gであるため、その半分、つまり約100gを摂取するだけで、一日に必要なビタミンCの約半分を補うことができる計算になります。日々の食卓にレンコンを積極的に取り入れることで、美味しく、そして手軽にビタミンCを摂取することが可能になります。
ビタミンCがもたらす美容・健康効果
ビタミンCは、強力な抗酸化作用を持つことで広く知られています。この抗酸化作用は、体内で発生する活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐ効果が期待できるため、美容、特にアンチエイジングの面で重要な役割を果たします。また、コラーゲンの生成をサポートする機能も有しており、肌の弾力やハリを維持する上で欠かせません。加えて、疲労回復を促進し、免疫力を高める効果も期待できるため、健康維持のサポートに役立ちます。
ミネラル「カリウム」の働き
レンコンには、100gあたり440mgものカリウムが含まれています。カリウムは、人体にとって不可欠なミネラルの一つであり、体内の細胞や体液中に広く存在します。特に、ナトリウム（塩分）と互いに作用し合いながら、体内の水分バランスを適切に保つという重要な役割を担っています。
高血圧予防と摂取量の目安
カリウムの働きと摂取量の目安\n\nれんこんに含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出し、血圧の安定に関わるとされています。健康維持に役立つ栄養素です。厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準（2020年版）」では、成人の1日あたりのカリウム推奨摂取量は、男性2,500mg、女性2,000mgとされています。日々の食生活にれんこんを取り入れることで、この推奨量に近づき、健康維持に繋げることが可能です。
食物繊維が豊富なことによる効能
れんこんは、豊富な食物繊維を含有する食品としても知られています。食物繊維は、健康な消化器系を維持するために欠かせない栄養素です。特に、腸のぜん動運動を促進する作用があり、スムーズな排便を促し、便秘の解消をサポートします。また、腸内細菌のバランスを整える効果も期待でき、善玉菌の増殖を助け、腸内環境を良好に保ちます。健康な腸内環境は、免疫力アップやアレルギー症状の緩和にも影響を与えると考えられています。
水溶性と不溶性食物繊維、れんこんの特徴
食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類に分けられます。水溶性食物繊維は、糖の吸収を穏やかにし、コレステロールの排出を助ける働きがあります。一方、不溶性食物繊維は、水分を吸収して便のかさを増し、腸を刺激して排便を促します。れんこんには、特に便通改善効果が高いとされる「不溶性食物繊維」が豊富に含まれています。この不溶性食物繊維が、れんこん特有のシャキシャキとした食感を作り出しています。
食物繊維の摂取目標量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準（2020年版）」によれば、成人の1日に必要な食物繊維の目標摂取量は、男性で21g以上、女性で18g以上とされています（理想は25g以上）。現代人の食生活では不足しがちな食物繊維を、れんこんを積極的に食べることで、手軽に補うことができます。
抗酸化パワーの源、ポリフェノール「タンニン」
れんこんには、ポリフェノールの一種である「タンニン」がたっぷり。タンニンは、ビタミンCと同様に、優れた抗酸化作用で知られており、細胞を守り、生活習慣病を予防する効果が期待されています。また、タンニンはれんこんのアクの正体でもあり、カット後に空気に触れると酸化して黒ずんでしまうのは、このタンニンが原因です。変色を抑えるには、丁寧なアク抜きが欠かせません。
胃を守るベール、粘り成分「ムチン」
れんこんを切ると現れる、あの独特なヌルヌル感は、糖タンパク質などの多糖類によるものです。ムチンは、胃の粘膜を保護し、タンパク質の消化吸収を助ける働きがあると言われています。胃腸の健康をサポートするだけでなく、体を元気にする効果も期待できる優れものです。このネバネバ成分が、れんこんの栄養価をさらに引き上げています。
隠れた栄養の宝庫：パントテン酸など
上記以外にも、れんこんにはビタミンB群の一種であるパントテン酸、鉄分、亜鉛など、少量ながらも健康維持に欠かせない栄養素が含まれています。これらの栄養素が互いに作用し合い、れんこんは私たちの健康を様々な面から支える、頼もしい食材と言えるでしょう。
プロが教える！新鮮で美味しいれんこんの選び方
美味しいれんこんを選ぶことは、料理の味を大きく左右します。一年を通して手に入りますが、特に旬の時期には、新鮮で良質なものを選びたいですよね。ここでは、美味しいれんこんを見極めるための3つのポイントを、詳しくご紹介します。
肉厚で節間が長いものを選ぼう
良質なれんこんを見分けるには、節と節の間隔が広く、全体的に丸みを帯びて肉厚なものを選ぶのがポイントです。これは、れんこんが十分に栄養を蓄え、成長した証と言えます。細長いものや、形が不揃いなものよりも、太くてバランスの取れたものを選びましょう。
重さをチェックして新鮮さを見極める
手に取った際に、しっかりと重みを感じられるれんこんは、水分をたっぷり含んでおり、鮮度が高い状態です。収穫から時間が経つと水分が抜け、軽くなってしまうため、購入する際は必ず重さを確かめましょう。見た目だけでなく、実際に手に持って重さを確認することが大切です。
表面の輝きと滑らかさをチェック
表面に自然な光沢があり、きめが細かく滑らかなれんこんを選びましょう。新鮮なれんこんは、表面がみずみずしく、生き生きとしています。泥付きの場合は、泥が程よく湿っていて、乾燥していないものがおすすめです。
色の変化に注意しよう
収穫から時間が経ったり、乾燥が進むと、れんこんの表面は光沢がなくなり、茶色っぽく変色することがあります。全体的にくすんだ色をしていたり、不自然な黒ずみがある場合は、鮮度が落ちている可能性があるので避けましょう。特に、一部分に黒い斑点が見られる場合は、傷んでいる場合もあるため注意が必要です。
切り口と空洞の変色を見分ける
カットされたレンコンを選ぶ際は、断面や空洞内部を入念にチェックしましょう。断面が白く、空洞の中が黒ずんでいないものがおすすめです。レンコンは、空気に触れることでタンニンが酸化し、変色しやすい性質を持ちます。そのため、断面が黒くなっているものは、収穫から時間が経過し、鮮度が落ちている兆候と言えます。新鮮なレンコンは、断面も空洞内部も白く美しい状態を保っています。
空洞の大きさが揃っているか確認する
カットレンコンの空洞の大きさが均一であるほど、生育状態が良好で品質も高いと考えられます。空洞の大きさが不揃いであったり、一部が押しつぶされていたりするものは、生育過程で何らかの影響を受けた可能性があり、食感や風味に影響を及ぼすことがあります。これらの点に注意して選ぶことで、より新鮮でおいしいレンコンを見分けられるでしょう。
シャキシャキ長持ち！レンコンの保存テクニック
レンコンは水中で育つ野菜なので、乾燥に弱い性質があります。買った後、適切な保存方法をしないと、すぐに鮮度が落ちて色が変わったり、食感が悪くなったりします。おいしさを保つには、保存方法が重要です。ここでは、常温、冷蔵、冷凍それぞれの効果的な保存方法とコツを詳しく説明します。
乾燥を防ぐための基本
丸ごとで泥付きのレンコンは、常温保存も可能です。レンコンにとって一番の大敵は乾燥です。購入後すぐに、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙でレンコン全体を丁寧に包んでください。こうすることで水分を保ち、乾燥による品質の低下を抑えられます。
土付きレンコンは鮮度維持の鍵
泥が付いた状態のレンコンは、洗わずに保存するのがおすすめです。泥は天然のバリアとして機能し、レンコンを乾燥や細菌から守ります。レンコンを包んだら、ポリ袋に入れて軽く口を閉じ、直射日光を避け、風通しの良い冷暗所に保管しましょう。
常温保存の目安
上記の方法で保存した場合、美味しくいただける期間は約3日間です。ただし、気温の高い夏季は常温保存を避け、冷蔵保存を選択してください。
レンコンを丸ごと冷蔵保存する方法
レンコンを丸ごと冷蔵庫で保存する際も、常温保存と同様に、湿らせたキッチンペーパー（または新聞紙）で包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。この方法で、約1週間程度新鮮さを保つことができます。
カットされたレンコンの保存方法：ラップ活用術
カット済みのレンコンや、使いかけのレンコンを冷蔵保存する場合は、切り口が空気に触れやすいため、工夫が必要です。切り口が空気に触れると酸化し変色するため、ラップでしっかりと密閉してください。これにより、変色と乾燥を抑制できます。ラップで包んだレンコンは、冷蔵庫の野菜室で保管し、3～4日を目安に使い切るようにしましょう。
水に浸して保存する方法と注意点
カットされたレンコンを長持ちさせたいなら、水を活用した保存方法も有効です。適切なサイズの容器にレンコンを入れ、完全に水没するように水を注ぎます。重要なのは、水を2日に一度は交換することです。水に浸すことで、レンコンが空気に触れるのを遮断し、変色を抑制します。この方法であれば、約1週間程度は保存が可能です。
ただし、水に浸して保存する場合、レンコンに含まれる栄養成分、特に水溶性のビタミンCなどが水に溶け出す可能性があります。そのため、この方法を選ぶ際は、なるべく早く消費し、栄養素の流出を最小限に抑えることが大切です。
冷凍保存のメリットと期間
レンコンを長期保存したい場合や、一度に大量に手に入れた際に便利なのが冷凍保存です。食感や風味は多少変化するものの、およそ1ヶ月はおいしさを維持できます。必要な時に必要な分だけ使えるため、調理時間を短縮できるという利点もあります。
冷凍前の下ごしらえとアク抜き
冷凍する前に適切な下処理を施すことで、レンコンの品質を高く保てます。皮を剥くかどうかは、その後の調理方法によって判断しましょう。皮を剥いた場合は、変色を防ぐためにアク抜きが必須です。酢水（水400mlに酢小さじ1程度）に数分間浸すことで、タンニンの酸化を抑え、美しい色合いを保てます。アク抜き後は、しっかりと水分を拭き取ることで、冷凍焼けを効果的に防ぐことができます。
調理しやすい形にカットして冷凍
冷凍する際は、用途に合わせてカットしておくのがおすすめです。薄切り、乱切り、いちょう切り、すりおろしなど、普段使いやすい形にカットしてから冷凍しましょう。解凍後の手間が省け、使いたい時に必要な量だけを取り出せます。カットしたレンコンは、重ならないように並べて急速冷凍し、完全に凍ったら冷凍保存用の密閉袋に入れて保存すると良いでしょう。
調理しやすい冷凍保存術
さらに手間をかけずに済ませたいなら、下茹で後に冷凍したり、すりおろしてから少量ずつ分けて冷凍する方法もおすすめです。下茹でしたものは、煮物や炒め物に使え、すりおろしたものは、れんこんを使ったお餅や料理のとろみづけに、解凍せずにそのまま使えます。これらの工夫で、忙しい時でも手軽にれんこんを使った料理が楽しめます。
れんこんをより美味しく味わうための下処理と調理のコツ
れんこんの持ち味を最大限に引き出すには、丁寧な下処理と、料理に最適な切り方をすることが大切です。特に、切り方次第でれんこんの食感が大きく変化し、料理全体の印象も変わってきます。ここでは、れんこんの基本の下処理と、食感をコントロールするための切り方のポイントを詳しく解説します。
皮をむくか、そのまま使うかの判断
れんこんは、皮付きのままでも美味しく食べられます。皮には独特の風味と栄養があり、特にきんぴらにする場合は、皮をむかずに調理することで風味が引き立ちます。一方、皮をむくと味が染み込みやすくなるため、上品な味わいを求める料理や、見た目を美しく仕上げたい場合に適しています。皮をむく際は、ピーラーや包丁で薄く剥きましょう。
アク抜きをする理由と具体的なやり方
れんこんはカットして空気に触れると、ポリフェノールの一種であるタンニンが酸化して色が濃くなってしまいます。この変色を防ぎ、見た目を美しく保つために、調理前にアク抜きを行うのがおすすめです。アク抜きは、ボウルに水を入れ、カットしたれんこんを数分浸すだけで簡単に行えます。より効果的な方法としては、水400mlに対してお酢小さじ1杯を加えた酢水に浸すと良いでしょう。お酢には変色を防ぐだけでなく、シャキシャキとした食感をより引き出す効果も期待できます。ただし、浸けすぎると風味や栄養が損なわれることがあるので、数分を目安に引き上げてください。
ふっくら食感を生み出す切り方
蓮根の繊維に沿って断ち切るように、多く用いられる輪切りや半月切りにすることで、ふっくらとした食感が生まれます。繊維が短くなるため、加熱時間が短縮され、ほっくりとした仕上がりになります。煮物やきんぴらなど、味がしっかりと染み込んだ、やわらかい食感を楽しみたい料理に最適です。
シャキシャキ感を際立たせる切り方とコツ
蓮根特有のシャキシャキとした食感を存分に味わいたい時は、蓮根の穴に対して垂直に包丁を入れる「縦方向のカット」がおすすめです。この切り方により、繊維が長く保持されるため、心地よい歯ごたえが得られます。さらに、下処理として酢水（水400mlに対し小さじ1程度）に浸すことで、よりシャキッとした食感が引き立ちます。この切り方と下処理は、サラダや和え物など、蓮根をフレッシュな状態で楽しむ料理や、食感を活かしたい炒め物に適しています。
ほくほくとした食感を引き出す切り方
蓮根の繊維を意識して厚めに切ることで、蓮根に含まれるデンプン質が効果的に働き、ほくほくとした食感を生み出します。厚切りにした蓮根は、天ぷらや煮物、炒め物などで主役級の存在感を放ちます。特に揚げ物にする際は、外側のカリッとした食感と内側のほっくりとした食感のハーモニーが楽しめます。
とろけるようなもちもち感を実現する方法
蓮根をすり下ろした後、軽く水分を絞ると、他にはないもちもちとした食感が生まれます。この状態の蓮根は、蓮根餅や団子などの練り物料理にうってつけです。また、すりおろした蓮根をダイレクトに料理に加えることで、自然なとろみをつけることも可能です。あんかけや汁物などに活用すると、蓮根の風味と自然なとろみが加わり、一段と奥深い味わいに仕上がります。
まとめ
蓮根は、蓮の地下茎が大きく発達したもので、その特徴的な穴は「将来の見通しが良い」象徴として、古くから日本の食文化に深く根付いています。熱に強いビタミンC、カリウム、食物繊維を豊富に含み、さらにタンニンやムチンなどの健康をサポートする成分も含まれており、美容と健康の維持に大きく貢献する食材として注目されています。旬は冬ですが、新蓮根として初夏から秋にかけても楽しむことができ、季節ごとに異なる食感を楽しめます。新鮮で美味しい蓮根を選ぶためには、形が整っているか、ずっしりと重みがあるか、表面にツヤがあるか、切り口が変色していないかなどを確認することが大切です。また、乾燥に弱い性質を持つため、常温、冷蔵、冷凍といった保存方法を用途に応じて使い分けることで、鮮度をより長く保ち、食品ロスを減らすことにつながります。下処理としてのアク抜きや、切り方次第でシャキシャキ、ホクホク、モチモチと様々な食感を楽しめるのも蓮根ならではの魅力です。この記事を通して、蓮根の魅力と奥深さを再発見し、日々の食卓に上手に取り入れるきっかけとなれば幸いです。
蓮根は根？それとも茎？
蓮根は、蓮の地下茎が肥大したものであり、正確には根ではなく、茎に分類されます。地下茎とは、土の中で横方向に伸びる茎のことを指します。この地下茎に栄養が蓄えられ、私たちが普段食べている蓮根へと成長するのです。
レンコンの穴は何のためにあるの？
レンコンを特徴づける穴は、単なるデザインではありません。土中で育つレンコンにとって、呼吸するための空気を取り込むための自然の工夫なのです。地中の茎まで空気を届け、植物が生きていく上で欠かせない役割を果たしています。また、その形状から将来の見通しが良いとされ、縁起物としておせち料理などにも使われています。
レンコンのビタミンCは加熱で減ってしまう？
ご安心ください。一般的にビタミンCは熱に弱い性質がありますが、レンコンに含まれるビタミンCはデンプンによって保護されているため、加熱による損失を抑えることができます。煮物や炒め物など、様々な調理法で美味しく、かつ効率的にビタミンCを摂取できるのはレンコンならではの魅力です。
美味しいレンコンの見分け方は？
美味しいレンコンを選ぶためのポイントは、主に3つあります。
①形状と重量：節の間隔が広く、肉厚でふっくらとしており、手に取った時にずっしりと重みを感じるものを選びましょう。
②表面の状態：表面にツヤがあり、明るい色合いのものを選びましょう（変色していないものが新鮮です）。
③カットされたレンコン：断面や穴の中が黒ずんでいない、白くきれいなものを選びましょう。
レンコンの最適な保存方法とは？
レンコンは乾燥を嫌うため、適切な保存方法を知っておくことが大切です。泥付きのレンコンは、湿らせた新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷暗所での常温保存が可能です（約3日間）。カットされたレンコンの場合は、ラップでしっかりと密閉して冷蔵庫で保存（約3～4日間）、または水に浸して冷蔵庫で保存します（約1週間、水は1～2日ごとに交換）。長期保存には、使いやすい大きさにカットし、アク抜きをした後、水気を切って冷凍保存（約1ヶ月）するのがおすすめです。
レンコンの切り方で食感は変わる？
はい、レンコンの切り方によって食感は大きく変化します。例えば、輪切りや半月切りといった、繊維を断つ切り方をすると、加熱した際にやわらかい食感になります。一方、レンコンの穴に沿って縦方向に切ることで、シャキシャキとした歯ごたえを楽しむことができます。さらに、繊維を意識して厚めに切るとホクホクとした食感になり、すりおろして調理すればモチモチとした食感に変化します。アク抜きの際に酢水を使用すると、シャキシャキ感をより一層引き出すことができます。
レンコンが黒く変色しているけど食べられる？
レンコンの切り口や穴の中が黒ずんで見えるのは、レンコンに含まれるポリフェノールの一種であるタンニンが、空気と反応して酸化した結果です。この変色は、見た目には気になるかもしれませんが、基本的には品質が劣化しているだけで、食べても体に悪い影響はありません。しかし、変色が非常にひどく、異臭がする場合や、触った時にヌメリ気がある場合は、腐っている可能性があるため、食べるのを避けた方が良いでしょう。変色を防ぐためには、切った後すぐに酢水に浸してアク抜きをすることが有効です。