トゲトゲとした見た目から「悪魔の実」とも呼ばれるキワーノ。そのインパクトのある姿からは想像もつかない、意外な魅力が詰まったフルーツです。原産地はアフリカで、日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、近年そのユニークさから注目を集めています。本記事では、キワーノの基本情報から味、栄養、選び方、保存方法、おすすめの食べ方までを徹底解説します。
キワーノとは?その驚きの見た目と起源、多様な呼び名
キワーノは、アフリカの熱帯地域を原産とする、ウリ科の植物で、キュウリの仲間です。学名では「Cucumis metuliferus」と呼ばれ、主に果実を食用とします。最も特徴的なのは、鮮やかな黄色の果皮に密生した硬いトゲ状の突起で、その見た目は非常に個性的です。この独特な外観から、「ツノニガウリ」や「ツノメロン」といった名前で呼ばれることもあります。「ツノニガウリ」という名前は、トゲトゲとした外見と、ウリ科の植物であることに由来し、「ツノメロン」は、メロンのような形とトゲを表現しています。原産地はアフリカですが、現在ではオーストラリアやニュージーランドなどで商業栽培が盛んに行われています。日本国内でも栽培されており、国産のキワーノを目にする機会も増えてきました。キワーノは、その視覚的なインパクトから、料理の飾りやデザートのアクセントとしても利用されます。外見だけでなく、中身も特徴的で、カットすると鮮やかな緑色のゼリー状の果肉が現れ、その中に種子がたくさん詰まっています。この構造は、パッションフルーツと似ており、ゼリー状の果肉を種ごと食べるのが一般的です。外見と内側のギャップも、キワーノの魅力の一つと言えるでしょう。
主な産地と日本での栽培、収穫時期と最適な食べ頃
キワーノの主な産地は、温暖な気候のオーストラリアやニュージーランドです。これらの国では大規模な農園で栽培され、世界中に輸出されています。輸入が中心ですが、日本国内でも気候条件に適した地域で栽培されており、直売所やスーパーなどで国産キワーノが販売されることもあります。日本での収穫時期は、一般的に8月から10月頃です。収穫後、すぐに食べるのではなく、追熟させることで風味や食感が向上します。美味しく食べられるのは、収穫から少し遅れた10月から11月頃が目安です。追熟により、果肉のゼリー状のテクスチャーがより滑らかになり、酸味と風味が引き立ちます。購入する際は、果皮の色が鮮やかで、ハリのあるものを選びましょう。適切に追熟されたキワーノは、常温で数日置くと、より美味しくなります。適切な時期に、適切な熟度で食べることで、キワーノ本来の美味しさを味わうことができます。
入手方法と価格
キワーノは、まだ一般的なフルーツとは言えませんが、近年、そのユニークな見た目と栄養価から注目され、高級果物店や輸入食品を扱うスーパー、オンラインストアなどで販売されています。特に旬の時期である10月から11月頃には、比較的見つけやすくなるでしょう。価格は、その希少性から一般的なフルーツよりも高く、1個あたり1,000円から1,300円程度が目安です。輸入品が多いため、価格は為替レートや供給状況によって変動する可能性があります。見かけた際には、ぜひ手に取ってみてください。
キワーノの独特な風味と食感:その魅力とは
キワーノは、目を引く外観とは対照的に、あっさりとした味わいが特徴です。マンゴーやバナナのような強い甘さはほとんどなく、ウリ科特有のさっぱりとした食感が際立ちます。風味としては、わずかにライムのような爽やかな酸味がある程度で、一般的なフルーツに期待される甘さとは異なります。最も特徴的なのは、その内部構造と食感です。カットすると現れる鮮やかな緑色のゼリー状の果肉には、小さな種が豊富に含まれており、その様子は「果肉が粒状に集まっている」と表現されることもあります。このプチプチとした種の食感と、ゼリー状の果肉のなめらかな舌触りが、キワーノならではの魅力です。香りも穏やかで、他の食材の風味を邪魔しないため、様々な料理に活用できます。キワーノは、そのユニークな食感と控えめな風味を活かして、そのまま食べるのはもちろん、料理のアクセントとしても楽しむことができます。
キワーノの栄養価について
キワーノは、その個性的な外見だけでなく、栄養面でも優れた特徴を持つフルーツです。特に、食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、健康維持に役立つと考えられています。ここでは、キワーノに含まれる栄養素とその効果について詳しく解説します。
主な栄養成分
キワーノの主な栄養成分を、可食部100gあたりでご紹介します。
キワーノ(可食部100gあたり):
-
カロリー:41kcal
-
食物繊維:2.6g
-
炭水化物:8.0g
比較として、オレンジの可食部100gあたりの栄養成分を見てみましょう。
オレンジ(可食部100gあたり):
-
カロリー:42kcal
-
食物繊維:0.8g
-
炭水化物:9.8g
食物繊維は、腸内環境への良い影響や、お通じをサポートする効果が期待できる栄養素として知られています。カリウムは、体内の水分バランスの調整を助けるミネラルです。マグネシウムは、骨の健康維持やエネルギー産生など、様々な生理機能に関わる重要な栄養素です。
豊富なミネラル
一般的に、果物はビタミンが豊富というイメージがありますが、キワーノにはカリウム、マグネシウム、リンといったミネラルが特に多く含まれている点が特徴です。
【注意】日本食品標準成分表2020年版(八訂)には「キワーノ」の項目は掲載されていません。
(出典: 日本食品標準成分表2020年版(八訂), URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html, 2020-12-25) 以下の栄養成分表示は一般的なキワーノに含まれる栄養素の参考情報です。
-
カリウム:170mg
-
マグネシウム:34mg
-
リン:42mg
オレンジの可食部100gあたりの栄養成分と比較してみましょう。
オレンジ(可食部100gあたり):
-
カリウム:140mg
-
マグネシウム:11mg
-
リン:24mg
オレンジと比較すると、キワーノはカリウム、マグネシウム、リンのいずれにおいても、より多く含んでいることがわかります。
-
**カリウム**: 体内の水分バランスを調整する上で重要なミネラルであり、ナトリウムの排出を促進する作用があります。これにより、むくみの緩和や血圧の調整に役立つと考えられています。
-
**マグネシウム**: 骨の健康維持や筋肉の機能、神経伝達など、体内の様々なプロセスに関与するミネラルです。エネルギー生成にも不可欠であり、健康維持には欠かせない栄養素とされています。
-
**リン**: 骨や歯の形成に必要なミネラルであり、細胞膜や遺伝物質(DNA、RNA)の構成要素でもあります。体液のpHバランスを維持する役割も担っており、生命活動を支える上で重要なミネラルです。
これらのミネラルがバランス良く含まれているキワーノは、単に珍しいだけでなく、栄養面からも優れた食材と言えるでしょう。
キワーノの選び方
美味しいキワーノを選ぶには、いくつかのポイントを把握しておくと役立ちます。購入時にこれらの点に注意することで、より良い品質のキワーノを見つけることができるでしょう。
-
色と熟度: すぐに食べたい場合: 全体が鮮やかな黄色に染まっているキワーノを選びましょう。これは熟度が進んでいるサインで、すぐに美味しく食べられる状態に近いことを示します。
-
少し時間を置く場合: まだ緑色の部分が残っているキワーノを選ぶのがおすすめです。自宅で追熟させることで、好みの熟度で味わうことができます。色の変化を観察するのも楽しいでしょう。
皮の状態: 皮にハリがあり、シワが少ないものが新鮮です。表面のトゲがしっかりしていて、折れていないか確認しましょう。
傷やへこみ、トゲの折れが多いものは、果肉の水分が失われている可能性や品質が劣化している恐れがあるため、避けるのが無難です。
弾力: 軽く触れてみて、わずかに弾力があるものが理想的です。ただし、強く押すと傷つけてしまう可能性があるので、優しく触れるようにしましょう。
これらの点を参考に、食べるタイミングに合わせて最適なキワーノを選んでみてください。
キワーノの保存方法
キワーノは適切な方法で保存することで、より長く美味しく楽しむことができます。特に、追熟の管理が重要です。
-
常温保存(追熟): 緑色の部分が残っている場合や、まだ十分に熟していないと感じる場合は、常温で追熟させましょう。
-
直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所(20℃前後が理想)で保存します。高温多湿な場所は避けましょう。
-
この条件であれば、収穫後すぐのキワーノでも約2週間程度は保存可能です。熟成が進むにつれて、皮の色が緑から黄色、そして濃いオレンジへと変化し、弾力が増してきます。
冷蔵保存(完熟後): 全体が濃いオレンジ色になり、弾力が出てきたら完熟のサインです。この状態になったら、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
乾燥を防ぐために、キッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存しましょう。
冷蔵保存により、完熟したキワーノの鮮度をより長く保つことができ、数日間美味しく味わえます。ただし、冷やしすぎると風味が損なわれることがあるため、食べる前に少し常温に戻すと風味が引き立ちます。
これらの保存方法を参考に、キワーノの美味しさを最大限に引き出しましょう。
基本的な食べ方からおすすめのアレンジレシピまで
キワーノはそのまま食べても独特の食感とさっぱりとした味わいを楽しめますが、様々な料理に取り入れることで、さらにその魅力を引き出すことができます。淡白な味わいなので、甘味を加えたり、他の食材と組み合わせることで、さまざまなアレンジが可能です。
キワーノの基本的な食べ方
最もシンプルな食べ方は、キワーノを縦半分にカットすることです。カットすると、鮮やかな緑色のゼリー状の果肉が現れます。スプーンで果肉と種をすくってそのまま食べます。この方法なら、外側のトゲに触れることなく安全に果肉を楽しめます。
甘さを加える工夫
キワーノは、そのさっぱりとした味わいから、甘みが欲しいと感じる方もいるかもしれません。そんな時は、以下の方法で甘みを足してみるのがおすすめです。
-
**ハチミツをかける**: ハチミツのやさしい甘さが、キワーノの風味を引き立て、よりスイーツ感覚で楽しめます。キワーノ特有のさわやかな酸味とハチミツの甘さが絶妙に調和します。
-
**お砂糖をかける**: ハチミツと同様に、少量のお砂糖をかけるだけでも、甘さをプラスできます。甘さの度合いは、お好みで調整してください。
キワーノを使ったアレンジレシピ
キワーノは、そのみずみずしい食感とあっさりとした風味を活かして、色々な食材との組み合わせを楽しむことができます。
-
**ヨーグルトと混ぜる**: プレーンヨーグルトにキワーノの果肉を混ぜ込むと、キワーノのプチプチとした種とやわらかな果肉が、ヨーグルトのなめらかさと合わさり、食感のアクセントになります。朝食やデザートに最適で、手軽に栄養補給もできます。
-
**フルーツサラダにプラス**: 他の甘いフルーツ(バナナ、イチゴ、オレンジ、キウイなど)と一緒に、フルーツサラダに加えても美味しいです。キワーノの酸味と独特の食感が、全体の味を引き締め、見た目も華やかにしてくれます。パーティーなどにもおすすめです。
-
**スムージーの材料として**: キワーノはスムージーの材料としても優秀です。他のフルーツや野菜(バナナ、ほうれん草、リンゴなど)と一緒にミキサーにかけることで、食感はあまり感じられなくなりますが、ほのかな酸味と水分がスムージーにさっぱり感を与え、色鮮やかなドリンクになります。手軽に栄養満点のドリンクを作れます。
-
**デザートの彩りに**: その個性的な見た目から、デザートのデコレーションや料理の彩りとして使うのもおすすめです。カットしたキワーノを添えるだけで、エキゾチックな雰囲気を演出できます。
キワーノの皮について
通常、キワーノは中の果肉だけをスプーンで食べるのが一般的です。しかし、キワーノの皮にも栄養が含まれていると言われており、皮ごと食べる人もいるようです。ただし、皮は硬く、トゲがあるので、そのまま食べる際は注意が必要です。皮ごと利用する場合は、ミキサーでスムージーにするなど工夫すると、安全に栄養を摂取できます。
いろいろな食べ方を試して、自分だけのキワーノの楽しみ方を見つけてみてください。
まとめ
キワーノは、アフリカ原産のウリ科の植物で、「ツノニガウリ」や「ツノメロン」とも呼ばれる、トゲトゲとした外見が特徴的なフルーツです。「悪魔の実」のような見た目とは裏腹に、味はあっさりとしていて甘みは少なく、ライムのような軽い酸味と、みずみずしい食感、そして種子のプチプチとした食感が楽しめます。主にニュージーランドやオーストラリアで栽培され、日本では秋頃に収穫されますが、美味しく食べるには少し追熟が必要です。栄養面では、低カロリーでありながら、食物繊維が豊富で、カリウム、マグネシウム、リンなどのミネラルも含まれています。購入する際は、色付き具合や皮のハリ、トゲの状態を確認し、熟し具合に合わせて常温で追熟させるか、冷蔵庫で保存しましょう。果肉をそのまま食べるだけでなく、ハチミツや砂糖をかけたり、ヨーグルト、フルーツサラダ、スムージーなどに加えることで、色々なアレンジが可能です。まだ日本では珍しいフルーツですが、見かけたらぜひ試してみてください。見た目のインパクトと、意外な味わいのギャップを楽しめるでしょう。
【出典】
-
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
【参照】
-
厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」たんかん 果物
-
厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム」(参照日:2022/07/29)
-
厚生労働省 e-ヘルスネット「リン」(参照日:2022/07/29)
キワーノの味とは?
見た目のインパクトとは裏腹に、キワーノはあっさりとした風味が特徴です。強い甘さはほとんどなく、キュウリやスイカなどウリ科の植物に共通するみずみずしさと、かすかなライムのようなさっぱりとした酸味が感じられます。香りも強くありません。風味を楽しむというよりも、果肉に含まれる種子のプチプチとした食感と、ゼリー状の部分の独特な口当たりを楽しむ果物と言えるでしょう。
キワーノのおすすめの食べ方は?
キワーノを食べるには、縦半分に切り、スプーンで中のゼリー状の果肉と種をすくって食べるのが簡単でおすすめです。そのまま食べても良いですが、甘みが少ないため、お好みで蜂蜜や砂糖を加えて甘さを調整するとより美味しくなります。また、ヨーグルトに混ぜたり、フルーツサラダに加えて食感のアクセントにしたり、スムージーの材料として活用したりするのも良いでしょう。
キワーノの旬な時期は?
日本でキワーノが収穫されるのは、主に8月から10月にかけてです。しかし、収穫後にしばらく置いて追熟させることで風味が向上するため、実際に美味しく味わえる旬の時期は、追熟期間を経た10月から11月頃とされています。購入後、数日間室温で保存して追熟させるのがおすすめです。
キワーノの果皮は食べられる?
キワーノの果皮には栄養が含まれていると言われ、食べる人もいますが、非常に硬く、鋭いトゲがあるため、食べる際は注意が必要です。一般的には、スプーンで果肉をすくって食べるのが一般的です。果皮も利用したい場合は、ミキサーにかけてスムージーにするなどの工夫が必要です。
キワーノはどこで購入できますか?
キワーノは、まだ広く知られているフルーツではありませんが、近年、高級スーパーや輸入食品を扱うお店、インターネット通販などで見かけることが多くなりました。価格は1個あたり1,000円~1,300円程度で販売されていることが多いようです。国内の温暖な地域で栽培されているものであれば、地元の農産物直売所などで手に入れることも可能です。旬の時期である10月~11月頃に探すと見つけやすいでしょう。
キワーノにはどんな栄養が含まれていますか?
キワーノは、カロリーが低い一方で、食物繊維が豊富です。さらに、カリウム、マグネシウム、リンなどのミネラルも豊富に含んでいます。特にカリウムは、体内の水分バランスを調整し、ナトリウムの排出を促す働きがあります。また、マグネシウムやリンは、骨の形成、エネルギー代謝、神経の働きなどに欠かせない栄養素です。
キワーノの選び方で重要なことは何ですか?
キワーノを選ぶ際には、皮にシワや傷がなく、ハリのあるものを選びましょう。すぐに食べたい場合は、全体が明るい黄色になっているものを、少し日持ちさせたい場合は緑色が残っているものを選ぶと、自宅で熟成させることができます。表面のトゲが傷んでいないものがおすすめです。
キワーノはどのように保管するのが良いですか?
まだ熟していないキワーノ(緑色の部分が残っているもの)は、直射日光を避け、涼しい場所で常温保存し、熟させましょう。全体が黄色から濃いオレンジ色に変わり、少し柔らかくなったら食べ頃です。十分に熟したキワーノは、キッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫(野菜室が最適)で保存するのがおすすめです。この方法で数日間、おいしさを保つことができます。