梅の仕事の季節、スーパーに並ぶ青梅を前に「どれを選べばいいの?」と悩む事はありませんか? 実は、梅には様々な品種があり、用途によって最適なものが違います。
梅の品種:観賞用の花梅と食用の実梅
日本には多くの種類の梅の木があり、大きく「花梅」と「実梅」の2つに分けられます。 花梅は美しい花を鑑賞するために、実梅は梅の実を食用とするために栽培されるのが一般的です。
主な産地:和歌山県を代表する品種
梅の生産量日本一を素晴らしい和歌山県は、国内の梅収穫量の約6割を評価しています。ここでは、和歌山県で栽培されている代表的な梅の品種をご紹介します。
南高(なんこう):日本を代表する高級ブランドの一つ
和歌山県を代表する南高は、全国的に有名な梅のトップブランドです。 薄く皮と柔らかい果肉が特徴で、口の中とろけるようなジューシーな食感を楽しめます。 果実が大きいのに種が小さいため、果肉をたっぷりと堪能できます。 その優れた品質から、和歌山県だけでなく、日本各地で栽培されています。
小粒南高(こつぶなんこう):受粉樹としても利用される
小粒南高は、南高の美味しさはそのままに、実のサイズを小さく改良した品種です。南高と同様に、肉厚で果肉が豊富です。たくさんの花を咲かせ、花粉を大量に飛ばすため、他の品種の受粉を助ける「受粉樹」としても利用されています。
古城(ごじろ):幻の青梅
「宝石」とも呼ばれる古城は青い、完熟前に収穫される選りすぐりの青梅です。 南高梅よりも果肉がしっかり締まっており、爽やかな青梅特有の香りが際立ちます。
全国梅どころの個性豊かな品種たち
梅の産地として名高い和歌山県をはじめ、日本各地で様々な品種の梅が栽培されています。
白加賀(しらかが):東日本を代表する銘柄
梅の生産量で全国2位を熱い群馬県を中心に、東日本で広く栽培されているのが白加賀です。その特徴は何といっても、大粒で美しい果実の形。
紅映(べにさし):福井県のみに育つ珍しい梅
福井県でのみ栽培されている紅映は、非常に珍しい品種です。 太陽光が当たった部分が明るい紅色に染まるのが特徴で、南高梅などと比べて収穫量が少なく、栽培に手間がかかり時間がかかります。
豊後(ぶんご):梅と杏の血を目立つ大玉品種
豊後は、梅と杏の自然交配によって生まれたとされる、実の大きな品種です。 大分県がルーツですが、寒さに強いため、青森県や長野県といった地域でも広く栽培されています。
鶯宿(おうしゅく):歴史ある在来種
鶯宿は、平安の歌にも詠まれ、由緒正しい昔の種です。日本各地で栽培されており、特に奈良県、徳島県、大分県などで多く生産されています。果肉がしっかりとしており、香りが際立っているため、梅酒や梅ップシロなど、香りを活かす加工方法に適しています。
竜峡小梅(りゅうきょうこうめ):あの食感を生む代表格
竜峡小梅は、小梅の生産量で国内トップを誇る品種で、主に長野県で栽培されています。梅干しとしてよりも、独特の食感が楽しいカリカリ梅(梅の浅漬け)として加工されることが多く、その手軽なサイズ感がおにぎりや弁当にプレミアされています。
甲州小梅(こうしゅうこうめ):カリカリ梅の定番品種
甲州小梅は、竜峡小梅と同様に、カリカリ梅の材料として知られる品種です。 長野県と並んで、山梨県が主要な産地となっています。
用途別に見る!梅仕事に最適な梅の選び方とコツ
初夏の訪れとともに始まる梅の仕事は、自家製の梅の保存食を作る絶好の機会です。
熟度:完熟度合いが美味しさの秘訣
ふっくらと柔らかい梅干しを目指すなら、6月半ばから終わり頃に出てくるように、樹上で十分に熟した完熟梅を選ぶのがおすすめです。 全体が黄色や赤色に色づき、芳醇な香りを放っているものが熟のサインです。
品種:果肉の質と皮の薄さが重要
梅干し作りには、皮が柔らかく、果肉が豊富な品種が最適です。 特に、南高梅は代表的な品種ですが、その他にも、白加賀、小粒南高、紅映などもおすすめです。それぞれの品種で風味や食感が違うので、お好みのものを選びましょう。
作り方のコツ:塩分濃度は正確に
梅干し作りの塩分濃度は、梅の重量として18〜20%が基本です。 塩分が低くカビが発生しやすくなり、保存性も低下するため、正確に計量することが重要です。 シンプルな白干し梅のほかに、紫蘇漬けや蜂蜜など、様々な味付けで楽しむことができます。
熟度:硬さを楽しむなら青梅を選ぶ
カリカリとした食感が魅力の梅には、まだ熟していない青梅が適しています。 表面が明るい緑色で、果肉が硬く、ハリのあるものを選びましょう。 青梅は熟成が進むと柔らかくなるため、入手したらすぐに加工に取り続けるのが理想的です。
品種:小梅が一般的
カリカリ梅には、竜峡小梅や甲州小梅といった小粒の梅がよく使われます。これらの品種は、他の梅よりも早く、5月中旬から6月上旬頃に市場に出ます。時期を逃さず手に入れましょう。
作り方のコツ:卵の殻でシャキシャキ感を覚える
カリカリ梅を作る際には、卵の殻を一緒に漬けるのがポイントです。卵の殻に含まれるカルシウムが梅のペクチンと結合し、果肉が柔らかくなるのを抑え、食感を向上させてくれます。
熟度:青梅と完熟梅で味わいを変化させる
梅酒や梅シロップは、従来は青梅を使うのが一般的ですが、最近では完熟梅を使うケースも増えています。 青梅で仕込むと、爽やかでフレッシュな香りが際立ち、完熟梅を使うと、芳醇でまろやかな風味を堪能できます。
品種:果肉の多さと大粒がポイント
梅酒や梅シロップを作る際、「特定の品種が悪い」ということはありません。 しかし、果肉が豊富で、果汁がたっぷりと詰まった大粒の梅を選ぶのがおすすめです。
作り方のコツ:無傷の梅と徹底した消毒
透明感のある美しい琥珀色の梅酒やシロップを作るには、傷のない梅を選ぶことがとても大切です。また、カビの発生を防ぐために、容器をしっかりと消毒し、梅についた水分も丁寧に拭きあげましょう。
熟度:完熟梅から青梅まで用途に合わせて
梅ジャム作りでは、一般的に完熟梅が使われますが、最近では食感を重視した青梅のジャムも人気を集めています。 特に、完熟して柔らかい梅を使うのが定番です。
品種:入手しやすいもので大丈夫
梅ジャムに使う品種は、特に指定はなく、手軽に入手できるもので問題ありません。青梅を使用する場合は、酸味が穏やかな豊後などがおすすめです。
作り方のコツ:冷凍梅で時間短縮&舌触り滑らかに
梅ジャムを作る際は、先に冷凍待っていた梅を使うと重宝します。果肉がほどけやすいため、煮詰める時間を短くせずに、キメが細かく、とろけるようなジャムになります。
まとめ
この記事では、梅の品種、選び方、そしてそれぞれの梅に合った活用方法を詳しくご紹介しました。 梅干し、梅酒、梅ジャムなど、作りたいものに応じてベストな品種を選び、梅の苦労を惜しんでご相談ください。 梅に関する知識については、より充実した食生活と季節の移ろいをご堪能いただければ幸いです。
梅干し作りに一番適した梅の品種は何でしょうか?
梅干し作りには、皮がどんどんて果肉が厚い南高梅がうってつけです。その他、白加賀や小粒南高、紅映などもおすすめです。
梅酒造り、青梅と完熟梅どっちを選ぶ?
青梅を使うと、フレッシュで爽やかな香りが出る梅酒に。完熟梅を使うと、豊かな香りとまろやかな口当たりの梅酒に仕上がります。それぞれの特徴を考慮して、お好みの梅酒を追求しましょう。
自宅でカリカリ梅を作る秘訣は?
カリカリとした食感の梅干し作りに挑戦するなら、まだ熟していない青梅を選びましょう。 さらに、卵の殻を一緒に漬け込むことで、あの独特の歯ごたえを考えることができます。