近年、健康志向の高まりとともに注目を集めている「生はちみつ」。スーパーに並ぶ一般的なはちみつとは、一体何が違うのでしょうか? 実は、その製造過程に秘密があります。多くの市販はちみつは加熱処理されているため、本来の栄養価が損なわれていることもあります。この記事では、加熱処理をしない生はちみつに焦点を当て、その栄養価や期待できる効果、選び方のポイント、そして適切な保存方法までを徹底解説。記事を読めば、生はちみつに関する疑問を解消し、毎日の食生活に取り入れることができるでしょう。
生はちみつの基本的な特徴
生はちみつとは、ミツバチが集めた花の蜜を、加熱せずにそのまま瓶詰めしたものです。巣から蜜を取り出す際は遠心分離機を使用し、フィルターを通して異物を取り除きます。自然な状態を保つことで、本来の栄養価や豊かな風味を損なうことなく味わうことができます。
一方、一般的に販売されているはちみつは、製造効率を上げるために、50℃以上の熱を加えて製造されることがあります。はちみつは45℃を超えると栄養成分が壊れ始め、60℃ではほぼ完全に失われてしまうと言われています。そのため、加熱処理されていない生はちみつは、加熱されたはちみつよりも栄養価が高いと考えられます。
生はちみつは、粘度が高く、細かいフィルターを通すのが難しいため、製造に手間がかかります。しかし、必要最低限の処理しか行わないため、養蜂環境やミツバチの健康に配慮して生産されたオーガニックはちみつも、非加熱はちみつとして販売されることが多いです。対照的に、加熱はちみつは、加熱によってサラサラになるため、細かいフィルターを通して多くの不純物を取り除くことができ、効率的な大量生産が可能です。生はちみつは、加熱処理をしていないからといって、賞味期限が短いわけではありませんので、ご安心ください。
生はちみつと加熱はちみつの相違点
ここでは、生はちみつと加熱はちみつの違いを見ていきましょう。栄養価、風味、結晶化の有無、製造方法、価格など、様々な点で違いが見られます。
栄養価の違い
生はちみつには、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、約190種類もの栄養成分が豊富に含まれています。これらの栄養素が相互に作用し、健康維持に貢献します。一般的に、非加熱はちみつの方が栄養価と効果が高い傾向にありますが、加熱はちみつが劣っている、あるいは栄養や効果が全くないというわけではありません。加熱によって、味や香りに変化が生じることはありますが、加熱はちみつでも非加熱はちみつと同様の健康効果を期待できるでしょう。しかし、加熱はちみつは、熱によって酵素や一部のビタミンなど、多くの栄養成分が失われるため、糖分による甘さが主体となり、生はちみつ本来の豊かな栄養を十分に得ることが難しくなります。
風味と香りの違い
生の蜂蜜は、採取された花の個性が際立つ、その花ならではの繊細な香りと風味を堪能できます。加熱処理を行わないため、熱による香りの消失や変化がないからです。生蜂蜜特有の奥深く豊かな香りは、加熱された蜂蜜では感じることができません。一方、加熱蜂蜜は、加熱処理によって香りが弱まる傾向にあり、独特のえぐみや加熱臭が生じることがあります。えぐみとは、蜂蜜を口にした時に喉に残るような感覚のことで、好みが分かれることがあります。
結晶化の差
生の蜂蜜は、手を加えていない自然な状態であるため、時間が経過すると白く結晶化することがあります。これは、蜂蜜に含まれるブドウ糖や果糖といった糖類による自然な現象です。特に、グルコースやフルクトースといった主成分の糖類は、15度前後の低い温度環境下で結晶化しやすく、非加熱の蜂蜜はグルコースがフルクトースよりも多いため、結晶化が起こりやすい傾向にあります。この結晶化は品質に問題はなく、むしろ純粋である証とも言えます。加熱蜂蜜は、結晶化を防ぐために加熱処理が施されているため、非常に低い温度でなければ結晶化しにくいという特徴があります。しかし、この処理によって蜂蜜本来の状態が損なわれる可能性があります。
製法と価格の違い
生の蜂蜜は、天然の状態を維持するために、遠心分離機を用いて巣から蜂蜜を取り出し、必要最低限のフィルター処理によって不純物を取り除きます。とろりとした粘度が高いため、細かいフィルターを通すことが難しく、製造には手間と時間がかかります。異物の除去や瓶詰めの作業には細心の注意を払う必要があり、一般的な加熱蜂蜜よりも生産効率が低くなるため、結果として価格は高くなる傾向があります。加熱蜂蜜は、加熱によってサラサラとした状態になり濾過が容易になるため、より多くの不純物を取り除くことができ、大量生産に適した製法で作られるため、比較的安価で広く流通しています。
オーガニック蜂蜜とは?
「オーガニック蜂蜜」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。オーガニックとは「有機」を意味し、化学的に合成された肥料や農薬を一切使用せず、自然由来の肥料を用いて栽培される有機農産物のことを指します。したがって、オーガニック蜂蜜とは、化学物質を一切使用せずに栽培された農地で採取された蜂蜜のことです。
一般的に、オーガニック(有機)食品は、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)に基づき、有機食品の規格に適合した生産が行われていることが前提となります。登録認証機関がその適合性を検査し、認証された事業者のみが有機JASマークを表示することが許可されます。しかし、蜂蜜の生産に関わる蜂は畜産物に含まれるものの、日本では有機蜂蜜に関する明確な規格が存在しません。日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会(JONA)が独自の認定を行っていますが、これは有機JASとは異なる任意の規格です。そのため、現在日本で流通しているオーガニック蜂蜜の多くは海外から輸入されており、海外でオーガニック認証を受けたものとなっています。
また、国内でオーガニック蜂蜜を生産する場合には、女王蜂の定期的な更新、蜂の健康状態を把握するための定期的な検査、雄蜂の管理、巣箱内の蜜蝋、花粉、蜂蜜の十分な備蓄の定期的な交換など、非常に厳しい基準が設けられています。これらの基準からもわかるように、オーガニック蜂蜜は通常の蜂蜜に比べて生産に非常に手間がかかるため、生産コストが高くなり、品質や収穫量が安定しにくいという側面があります。
生はちみつの選び方:5つの重要ポイント
間違いなく生はちみつを選ぶために、以下の5つのポイントを参考にしてください。これらの要素を総合的に考慮することで、本物の生はちみつを見極めることができるでしょう。
ポイント①:成分表示の確認
何よりも重要なのは、製品の成分表示をしっかりと確認することです。まず最初に、「果糖ブドウ糖液糖」やその他の糖類(水飴など)が添加されていないかをチェックしましょう。「純粋はちみつ」と記載されていても、甘味料が加えられているケースがあるため、原材料名に「はちみつ」以外の記載がないか、隅々まで確認することが大切です。余計なものが一切含まれていない、自然のままのはちみつを選びましょう。
ポイント②:色合いと透明度
生はちみつは、加熱処理を行っていないため、ミツバチが集めた花粉や微細なプロポリスなどが混ざっていることが多く、完全に透き通っているわけではなく、やや濁っていることが多いです。蜜源となる花の種類によって色味は異なりますが、一般的に生はちみつは、深みのある琥珀色や褐色をしています。フィルターによるろ過のみを行っているため、花粉などの不純物が残っていたり、結晶化が進んでいたりするため、透明感があまりないことが多いです。ただし、採取された花の品種によっては、もともと透明度が高い生はちみつも存在するため、あくまで参考程度に考えると良いでしょう。一方で、均質で非常にクリアなはちみつや、加熱によって色味が濃くなりやすい茶褐色や黒っぽく見えるはちみつは、サラサラとした状態で目の細かいフィルターを通すことができるため、微細な不純物まで取り除くことができ、透明度が高いのが特徴です。
ポイント③:価格
生はちみつは、天然の状態を維持するための丁寧な製造プロセスと、低い生産効率が影響し、一般的な加熱はちみつよりも製造コストがかかります。そのため、販売価格も比較的高くなる傾向があります。極端に安価な場合は、加熱処理がされているか、他の甘味料が混入されている可能性が高いと考えられます。妥当な価格設定がされているかどうかを確認することも、品質を見分けるための重要な判断材料となります。
ポイント④ 販売者の信頼性
「生はちみつ」と謳っていても、輸送や保存状況によっては品質が劣化する恐れがあります。特に熱に弱い酵素などは影響を受けやすいため、信頼できる生産者や販売店から購入することが大切です。産地が明確であるか、生産者の情報が開示されているか、品質管理体制が整っているかなどを確認しましょう。有機認証の有無や、独自の品質基準を設けているかなども判断基準の一つとなります。
ポイント⑤ 結晶化の状況
はちみつが白く結晶化している場合、純粋な生はちみつである可能性が高いと考えられます。これは、はちみつに含まれるブドウ糖が自然に結晶化する現象で、低温での保存や時間の経過によって起こりやすくなります。ただし、非加熱はちみつでも、アカシアはちみつのように果糖の割合が高い種類は結晶化しにくい性質があります。そのため、結晶化の有無だけで生はちみつかどうかを判断することはできません。あくまで総合的な判断材料の一つとして考慮しましょう。
生はちみつの栄養価と健康への効果
生はちみつは、加熱処理によって失われやすい貴重な栄養成分を豊富に含んでおり、その栄養成分が様々な健康効果をもたらすとされています。
生はちみつが持つ豊富な栄養成分
生はちみつには、150種類を超える栄養成分が含まれていると言われています。ミツバチが集めた蜜をそのままの状態であるため、自然の恵みが凝縮された多様な栄養素が損なわれずに含まれています。以下に主な栄養素をご紹介します。
酵素
非加熱の生はちみつには、熱に弱い多様な酵素がたっぷり含まれています。アミラーゼやグルコースオキシダーゼなどが代表的です。これらの酵素は、消化をサポートしたり、抗菌作用を発揮したりする働きがありますが、約45℃以上の熱を加えると壊れてしまうため、生はちみつならではの恩恵と言えるでしょう。
ビタミン
生はちみつには、ビタミンB群(B1、B2、B6など)、ビタミンC、そして葉酸といったビタミン類が含まれています。これらのビタミンは、体の基本的な代謝を円滑にする上で重要な役割を果たし、エネルギーを作り出したり、細胞の健康を維持したりするために不可欠です。
ミネラル
カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など、様々なミネラルがバランス良く含まれているのも生はちみつの特徴です。これらのミネラルは、骨や歯を丈夫にしたり、神経の働きを調整したり、疲労回復を助けたりと、体の様々な機能を支える上で役立ちます。
アミノ酸
生はちみつには、タンパク質を構成するアミノ酸が約20種類も含まれています。これらのアミノ酸は、細胞の修復を促したり、新しい組織を作り出したりするために必要不可欠であり、美容と健康を保つために重要な成分として知られています。
オリゴ糖・有機酸
生蜂蜜には、オリゴ糖、グルコン酸、クエン酸といった多種多様な有機酸が含まれています。これらの成分は、腸内の有用な細菌である善玉菌の活動をサポートし、消化機能を高め、体の代謝を促進する効果が期待されています。中でも、オリゴ糖はプレバイオティクスとして、腸内フローラのバランスを整える上で重要な役割を果たします。
特徴的な成分
生の蜂蜜には、ミツバチが作り出す花粉やプロポリスといった貴重な微量成分が含有されている場合があります。これらの成分は、抗酸化作用を発揮したり、免疫力を向上させたりする可能性を秘めており、生蜂蜜ならではの特別な魅力と言えるでしょう。
生はちみつに期待できる健康効果
生蜂蜜は、その豊富な栄養成分によって、私たちの健康に様々な良い影響をもたらすことが期待されています。特に、加熱処理によって失われやすい酵素やビタミンがそのまま保持されているため、一般的な加熱された蜂蜜よりも、その効果はより高いと考えられています。
殺菌作用
生蜂蜜は、高い糖度と低い水分活性に加え、グルコースオキシダーゼという酵素が作り出す過酸化水素(天然の抗菌成分)によって、強力な殺菌作用を発揮します。この作用により、喉の痛みや風邪の症状を和らげたり、口内炎や小さな傷の手当てに利用されたりすることがあります。古代エジプトにおいては、この殺菌効果が防腐剤として活用されていたという歴史もあり、その効能は昔から広く知られています。
腸内環境を整える
生の蜂蜜は、消化器官への負担が少なく、オリゴ糖やグルコン酸といった成分が豊富です。これらの成分は、腸内に存在する善玉菌、特にビフィズス菌の活動を活発にし、その数を増やす効果が期待できます。腸内細菌のバランスが良好に保たれることで、便秘の緩和や免疫機能の向上に繋がります。近年、腸内環境の重要性が広く認識されていますが、生蜂蜜はそれを改善するための有効な食品として、大きな関心を集めています。
疲労回復をサポート
生の蜂蜜には、ブドウ糖と果糖が理想的な割合で含まれています。ブドウ糖は摂取後速やかにエネルギー源として利用され、果糖は肝臓で時間をかけて代謝されるため、即効性と持続性の両方を兼ね備えたエネルギー補給が可能です。そのため、運動を行う前後のエネルギーチャージや、日々の疲労感の軽減に役立ち、スタミナの向上にも貢献すると考えられています。
美容への効果
生の蜂蜜には、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど、美容に不可欠な栄養素が豊富に含まれており、健康的な肌や美しい髪の維持をサポートします。また、優れた保湿力を持つため、直接肌に塗布するスキンケア製品の原料としても利用されています。さらに、抗酸化作用も期待できるため、年齢に応じた肌のケアにも適していると言えるでしょう。
抗酸化作用で健康維持
加熱処理をしていない生の蜂蜜には、ポリフェノールやフラボノイドといった抗酸化物質が豊富に含まれています。これらの成分は、体内で生成される活性酸素の働きを抑制する効果があります。抗酸化作用は、紫外線、ストレス、環境汚染などの外部要因から身体を守り、細胞の老化や様々な病気の発症リスクを低減する可能性があります。積極的に摂取することで、健康維持や病気の予防に役立つことが期待できます。
免疫力アップ
健康的な体を維持するためには、ビタミンC、ビタミンB群、各種ミネラル、そしてアミノ酸といった栄養素が欠かせません。生の蜂蜜はこれらの栄養成分を豊富に含んでいるため、栄養不足からくる免疫力の低下を食い止める効果が期待できます。さらに、生の蜂蜜特有の栄養成分は、体の防御システムを活性化させる働きがあり、体内の異常な細胞や異物を効率よく排除するのを助けるため、風邪やインフルエンザといった感染症の予防にもつながるでしょう。
生の蜂蜜の注意点、デメリット、適切な保存方法
生はちみつは健康に良い多くの利点がある一方で、注意すべき点やデメリットも存在します。ここでは、生はちみつを安全に、そして効果的に活用するためのポイントと、その品質を維持するための適切な保存方法について詳しく説明します。
生の蜂蜜が持つ潜在的なデメリットとリスク
非加熱の蜂蜜は、健康面で様々な恩恵をもたらしますが、いくつか注意しておきたい点があります。購入時や摂取時には、以下の点に留意しましょう。
不純物の混入
加熱処理を施さない生はちみつは、採取されたほぼそのままの状態で販売されるため、どうしても不純物の混入は避けられません。ここで言う不純物とは、ミツバチの体について運ばれてきた巣のかけらや花粉などを指し、蜂蜜の中に自然と混ざってしまうものです。また、粘度の高い生はちみつは、目の粗いフィルターしか通すことができません。そのため、巣の破片などが蜜と一緒に流れ出てしまい、完全に除去することは難しいと言えるでしょう。
アレルギー反応のリスク
生蜂蜜は、花粉や植物由来の微細な粒子を含んでいるため、アレルギー体質の方にとっては注意が必要です。特に、蜂蜜の摂取経験が少ない小さなお子様や、花粉症をお持ちの方、または過去にアレルギー反応を起こしたことがある方は、慎重に摂取する必要があります。ご自身で判断せずに、事前に医療機関でアレルギー検査を受け、医師に相談することをお勧めします。
結晶化による扱いにくさ
生蜂蜜は、その特有の糖組成により、低温下で自然に結晶化する傾向があります。結晶化は蜂蜜の品質を損なうものではありませんが、蜂蜜が固まり、スプーンなどですくいにくくなることがあります。結晶化した場合は、50℃程度のぬるま湯でゆっくりと湯煎すると、元の状態に戻ります。ただし、高温で湯煎すると、蜂蜜の風味や栄養成分が損なわれる可能性があるため、沸騰させないように注意してください。結晶化のメカニズムについては、後述の「結晶化の違い」の項目で詳しく解説します。
1歳未満の乳児への摂取禁止(乳児ボツリヌス症の危険性)
蜂蜜全般に共通する注意点として、1歳未満の乳児には絶対に与えないでください。蜂蜜には、稀にボツリヌス菌という細菌が含まれている可能性があり、乳児の未発達な消化器官内ではボツリヌス菌が増殖し、乳児ボツリヌス症を発症するリスクがあります。1歳を過ぎると、腸内環境が整い、ボツリヌス菌を自然に排除できるようになるため安全に摂取できますが、それまでは蜂蜜を与えないように徹底しましょう。
生蜂蜜の適切な保存方法
生蜂蜜が持つ本来の風味や栄養価を損なわずに保つためには、適切な保存方法が不可欠です。特に、熱に弱いという生蜂蜜の特性を考慮した上で、以下の点に注意して保存しましょう。
賞味期限について
通常、生はちみつの賞味期限は製造から約2年間とされています。しかし、純粋な生はちみつは、その高い糖度と低いpH値によって、細菌が繁殖しにくいという特性を持っています。そのため、適切な保存方法を守れば、表示されている賞味期限を過ぎても長期間保存することが可能です。保存の際は、直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い冷暗所を選びましょう。冷蔵庫での保存は結晶化を促進するため、常温保存がおすすめです。ただし、風味の変化を防ぐためには、できるだけ早く消費することをおすすめします。
生はちみつは国産を選ぶべき?安全性と品質
国産の生はちみつは、外国産に比べて品質が高いというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。生はちみつの品質は、産地、蜜源植物の種類、そして生産方法によって大きく左右されます。高品質なはちみつを選ぶという観点からは、国産を選ぶことは賢明な選択と言えるでしょう。
日本国内で販売される食品は、食品衛生法に基づくHACCP(危害分析重要管理点)に沿った衛生管理が義務付けられています。これは、すべての食品製造業者に課せられた義務であり、生はちみつも例外ではありません。したがって、国産の生はちみつは、高い安全性と品質が確保されていると言えます。一方、輸入品の場合、その国の基準に合わせた品質管理が行われているため、必ずしも日本の基準と同等とは限りません。また、中には品質の低いものや、偽物も流通している可能性があります。安全性と品質を重視するのであれば、国産の生はちみつを選ぶことをおすすめします。
国産の生はちみつの魅力は、生産者と消費者の距離が近いことによる鮮度の良さと、品質の安定性です。多くの場合、国内で採れたはちみつは、生産者から直接消費者に届けられるため、収穫から消費までの時間が短く、鮮度が保たれます。また、収穫地の気候や土壌によって、味、香り、栄養成分に違いが生まれることもありますが、国産であれば、様々な種類の個性豊かなはちみつを楽しむことができます。安全性、品質、そして地産地消の観点からも、国産の生はちみつを選ぶことは、消費者にとって多くのメリットがあると言えるでしょう。
まとめ
生はちみつは、加熱処理をしない自然のままのはちみつで、豊富な栄養と風味を楽しめます。一般的な加熱はちみつとは製造方法、栄養、味、価格が異なり、ビタミン、ミネラル、酵素などが豊富で、殺菌作用、腸内環境改善、疲労回復、抗酸化作用など様々な健康効果が期待できます。見極めるには、成分表示の確認、自然な色合い、価格、信頼できる販売元であること、結晶化しやすいかなどが重要です。オーガニックはちみつは厳格な基準で作られていますが、日本では有機JASマークの適用外です。不純物混入、アレルギーのリスク、結晶化などのデメリットもあります。1歳未満の乳児には与えないでください。品質と安全性を重視するなら、HACCP準拠の国産品を選び、適切な保存方法でその恩恵を最大限に享受しましょう。
生はちみつと通常のはちみつの最も大きな違いは何ですか?
生はちみつと通常のはちみつの最も大きな違いは、加熱処理の有無です。生はちみつは、ミツバチが集めた蜜を一切加熱せずに瓶詰めしたもので、45℃以上の熱で失活してしまう可能性のある酵素やビタミンをはじめとする、約190種類もの栄養成分がそのまま活きています。製造工程においても、粘度が高いため、細かいフィルターを通すのが難しく、手間がかかります。一方、一般的なはちみつは、製造効率を高めるために50℃以上で加熱されることが多く、加熱によって粘度が下がり濾過が容易になるため、効率的な大量生産が可能です。しかし、この加熱処理によって栄養成分の多くが失われ、風味も変化する可能性があります。
生はちみつにはどんな栄養成分が含まれているのでしょうか?
生はちみつは、まるで天然の栄養貯蔵庫。150種類以上もの成分が詰まっています。代表的なものとして、生命活動を支える酵素、健康維持に不可欠なビタミン類(B群、ビタミンC、葉酸など)、体の機能を調整するミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など)、そして、体を構成するアミノ酸(約20種類)が含まれています。さらに、腸内環境を整えるオリゴ糖、疲労回復を助ける有機酸(グルコン酸、クエン酸など)、ミツバチ由来の貴重な成分である花粉やプロポリスも含まれています。特に、熱に弱い酵素は、加熱処理されていない生はちみつならではの恩恵。基礎代謝をサポートするビタミンや、美と健康を維持するアミノ酸、消化を助け新陳代謝を促すオリゴ糖も、生はちみつの大きな魅力です。
生はちみつを摂取することで、どんな健康上の利点が期待できますか?
生はちみつの恩恵は多岐にわたります。まず、高い糖度と抗菌作用による優れた「殺菌力」は、喉の不調や風邪の初期症状の緩和に役立ちます。また、オリゴ糖やグルコン酸が「腸内フローラを改善」し、善玉菌を増やして免疫力アップに貢献します。さらに、ブドウ糖と果糖がスピーディーにエネルギーに変わるため、「疲労回復」にも効果的。豊富な栄養素とアミノ酸は、健やかな肌や髪を育む「美容効果」も期待できます。加えて、ポリフェノールやフラボノイドなどの「抗酸化物質」が、老化や病気のリスクを軽減。ビタミンやミネラルが豊富なため、「免疫力強化」にもつながり、感染症から体を守る手助けをしてくれます。
どうすれば、質の高い生はちみつを見分けられますか?
本当に良い生はちみつを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。まず、原材料表示をしっかり確認し、「加糖ブドウ糖液」などの人工甘味料が添加されていないかチェックすることが重要です。次に、生はちみつは花粉などを含むため、一般的に透明度が低く「少し濁っている」ことが多いです。ただし、蜜源となる花の種類によっては透明度が高いものもあります。また、手間暇かけて作られているため、「価格が比較的高め」である傾向があります。そして、「信頼できる生産者や販売店」から購入することが何よりも大切です。低温環境下では「結晶化」しやすいのも特徴ですが、アカシア蜂蜜のように果糖の含有量が多く結晶化しにくい種類も存在するため、結晶化の有無だけで判断せず、他の要素と総合的に考慮することが重要です。
非加熱の生はちみつを摂取することでアレルギー反応が出る可能性はありますか?
生はちみつは、加熱処理されていないため、花粉や植物由来の成分がそのまま残っています。そのため、アレルギー体質の方は、アレルギー反応を起こす可能性があるので注意が必要です。特に、小さなお子様や、花粉症などアレルギー症状が出やすい方は注意が必要です。少しでも不安がある場合は、自己判断せずに、事前に医療機関でアレルギー検査を受け、専門医に相談してから摂取するようにしてください。
生の蜂蜜が結晶化しやすいのはなぜ? 結晶化してしまった場合は?
生の蜂蜜が固まりやすい原因は、蜂蜜に含まれるブドウ糖の割合にあります。ブドウ糖は果糖よりも結晶化しやすく、特に15℃前後の低い温度で結晶ができやすい性質を持っています。生の蜂蜜は、風味や栄養を保つために加熱処理を行わないため、この自然な結晶化現象が起こりやすいのです。結晶化自体は品質劣化を意味するものではありませんが、使い勝手が悪くなることがあります。そのような場合は、50℃程度のお湯でゆっくりと湯煎することで元の状態に戻せます。ただし、高温にすると蜂蜜の繊細な成分や風味が損なわれる可能性があるため、熱湯での加熱は避けてください。
国産と外国産の生蜂蜜、どちらを選ぶべき?
非加熱の生蜂蜜の品質は、産地、蜂蜜の種類、採取方法などによって左右されます。安全性を重視するならば、国産の生蜂蜜を選ぶのがおすすめです。日本国内で販売される食品は、食品衛生法に基づいた衛生管理が徹底されており、国産の生蜂蜜は特に高い安全性と品質が期待できます。また、国産品は生産者と消費者の距離が近く、採取から消費までの時間が比較的短いため、新鮮な状態を保ちやすく、品質も安定している傾向にあります。さらに、日本の豊かな自然環境が生み出す、多様な風味や香りの蜂蜜を楽しめるのも魅力です。