鮮やかな赤色が目を引くクコの実。杏仁豆腐のトッピングとしておなじみですが、実はその小さな実に秘められたパワーは絶大です。中国では古くから「不老長寿の薬」として重宝され、欧米では「ゴジベリー」の名でスーパーフードとして人気を集めています。豊富な栄養成分が、私たちの健康と美容を力強くサポート。この記事では、クコの実の知られざる栄養成分、効果・効能を徹底解説します。毎日の食生活にクコの実を取り入れて、内側から輝く健康的な美しさを手に入れましょう。
クコの実(ゴジベリー)の秘められたパワーとは?栄養、食べ方、注意点、他のベリーとの違いを徹底解説
杏仁豆腐の上を飾る、鮮やかな赤い宝石のようなクコの実。単なる飾りだと思っていませんか?実は、美容と健康をサポートする栄養素が豊富に含まれており、中国では昔から「不老長寿の薬」として珍重され、欧米では「ゴジベリー」としてスーパーフードの仲間入りを果たしています。クコの実は、非常に高い栄養価を誇り、健康維持や美容、さらにはダイエットにも心強い味方となるスーパーフードです。この記事では、クコの実の栄養成分と、それらがもたらす効果・効能、おすすめの食べ方、摂取時の注意点などを詳しく解説します。また、クコの実には「ゴジベリー」や「ウルフベリー」といった別名があるため、ブルーベリーやストロベリーなど、他のベリー類との違いについても徹底的に比較分析していきます。クコの実の力に興味がある方、美容や健康的なダイエットに関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
クコの実(ゴジベリー)とは?
クコは、ナス科クコ属に分類される植物で、高さ1~2メートル程度の落葉低木です。原産地は中国とされており、日本でも全国各地の河川敷や林の縁、海岸近くの日当たりの良い斜面や原っぱなどに自生しています。夏には薄紫色の可憐な花を咲かせ、9月から11月にかけては、長さ1.5センチメートルほどの楕円形の赤い実をつけます。クコの実は、生のまま食べることも可能ですが、独特の青臭さと苦みがあるため、一般的に市場に出回っているのは乾燥させたドライフルーツです。乾燥したクコの実には、かすかな甘みがあり、干しブドウのような独特の食感が特徴で、その穏やかな風味と香りの良さから、様々な料理に合わせやすいのが魅力です。また、乾燥させても鮮やかな赤色を保つため、料理に彩りが欲しい時に添えたり、混ぜたりすることで、食卓を華やかに演出できます。
ただし、やや硬めなので、ヨーグルトやサラダに混ぜたり、水分と一緒に摂取したりすることで、柔らかくなり食べやすくなります。生薬としては「枸杞子(くこし)」と呼ばれ、中国語の発音である「gou qi(ゴー・チー)」が語源となり、欧米では「ゴジベリー」の名でスーパーフードとして広く認知されています。中国の古い薬学書である「神農本草経」では、クコの実を最も格の高い「上品薬」に分類しており、古くから漢方薬や薬膳の材料として用いられてきました。このように、クコの実は、古来より健康と美容に貢献する食材として、大切にされてきたのです。※以降、この記事で「クコの実」と記載する場合は、特に断りがない限り、ドライフルーツのクコの実を指すものとします。
クコの実の歴史とロマン
スーパーフードとして注目されるクコの実には、古くから数多くの伝説や逸話が語り継がれています。中国では、3000年以上も前から漢方薬や民間療法に用いられており、世界三大美女の一人として知られる楊貴妃も、毎日欠かさず食していたという逸話が残されています。日本においては、平安時代に文徳天皇がクコ園を造らせ、その管理者が120歳まで長生きしたという話や、徳川三代に仕え、108歳まで生きたとされる天海僧正も、クコの実を好んで食していたという言い伝えがあります。本草綱目の記述によると、クコという名前の由来は、「カラタチ(枸橘)のような棘があり、コリヤナギ(杞)のように枝がしなやかである」ことから、「枸杞(クコ)」と名付けられたとされています。これらの伝説や歴史的背景からも、クコの実が古くから美容と健康、そして長寿に効果があると信じられてきたことがわかります。
クコの実から得られる恩恵
クコの実がもたらす効果・効能は多岐に渡り、健康維持、美容促進、そしてダイエットサポートなど、様々な面で貢献してくれることが期待できます。ここでは、特に注目すべき代表的な効果・効能について、詳しく解説していきます。【管理栄養士監修】
生活習慣病の予防・改善
枸杞子(クコの実)は、肝臓への脂肪蓄積を抑えたり、血圧を下げる効果が期待されており、肝硬変や高血圧といった生活習慣病の予防に役立つ可能性があると考えられています。クコの実の血圧を下げる効果には、アミノ酸の一種であるベタインと、抗酸化成分であるポリフェノールが関わっていると考えられています。ベタインは、動脈硬化のリスクを高めるとされる血中ホモシステインの濃度を低下させ、動脈硬化の進行を抑制する可能性があるとされています。
ポリフェノールは、活性酸素などの有害物質を無害化する抗酸化作用によって血管の健康を保ち、動脈硬化を予防すると考えられています。また、クコの実、特にベタインには、肝臓への脂肪の付着を防ぎ、脂肪の排出を促す効果が期待され、脂肪肝の予防に貢献するかもしれません。さらに、ベタインにはコレステロール値の上昇を抑える効果も期待されており、動脈硬化だけでなく、糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立つ可能性があると考えられています。加えて、ベタインは血糖値の急激な上昇を抑制する働きを持つ可能性があり、小腸での糖の吸収を緩やかにすることで、食後の血糖値スパイクを抑える効果も期待されています。
滋養強壮
クコは、果実だけでなく葉や根にも薬効があることで知られています。特に、クコの根の皮を乾燥させた「地骨皮(ジコッピ)」は、解熱作用と滋養強壮作用を持つ生薬として用いられてきました。また、クコの葉を乾燥させた「枸杞葉(クコヨウ)」は、民間療法としてお茶のように飲用され、古くから身体全体の滋養強壮に役立つとされてきました。
疲労回復と精神安定
クコの実には、糖質をエネルギーに変えるために不可欠なビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1が不足すると、疲労物質である乳酸が体内に蓄積しやすくなり、疲労感、倦怠感、食欲不振などの症状を引き起こす可能性があります。ビタミンB1は、乳酸の蓄積を抑制し、疲労回復を促進する効果が期待できます。さらに、ビタミンB1(アミン)は、更年期にみられる気分の落ち込み(うつ)にも効果があると言われており、精神的な安定をもたらすと考えられています。
免疫力向上
クコの実には、免疫機能の維持に重要なビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは、体内に侵入したウイルスや細菌と戦う白血球やリンパ球の機能をサポートする役割を担っています。十分なビタミンCを摂取することで、免疫機能が強化され、病気に対する抵抗力が高まるとされています。その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防につながることが期待できます。
美肌・アンチエイジング・美白効果
私たちの体内でエネルギーが作られる過程で発生する活性酸素は、肌の老化の一因となる可能性があると考えられています。クコの実には、抗酸化作用を持つとされるクコ多糖類(LBP)や、ビタミンE、カロテノイドなどが含まれており、これらの成分が相互に作用することで、抗酸化作用を発揮し、老化や病気の予防、エイジングケアに役立つ可能性があるかもしれません。また、クコに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、シミやそばかすの予防に繋がり、ハリのある肌を保つ効果が期待できるかもしれません。さらに、ビタミンB2も含まれており、皮膚や髪、爪の健康な成長をサポートする可能性があると言われています。研究では、クコの実のエキスが紫外線による炎症を抑え、肌が黒くなるのを防ぐ効果が示唆されており、美白効果も期待できるかもしれません。これらの効果には、βカロテンやゼアキサンチンといった抗酸化物質が関与していると考えられています。βカロテンは体内でビタミンAに変換され、肌の健康維持を助けるだけでなく、βカロテン自体も抗酸化作用を持つため、紫外線や環境ストレスから肌を守る効果が期待できると考えられます。
視力改善
クコの実には、ゼアキサンチンという特別な成分がたっぷり含まれています。このゼアキサンチンは、目の黄斑部に存在し、紫外線などによる目の酸化を防ぐとともに、目の網膜を保護するという重要な役割を担っています。これらの働きによって、年齢を重ねるごとに起こりやすくなる目の病気のリスクを減らす効果や、視力低下、眼精疲労の予防といった効果が期待されています。また、βカロテンも体内でビタミンAに変換され、視覚機能の正常化に貢献するため、これらの成分が相互に作用し、目の健康維持に役立ちます。
冷え性の改善
クコの実には、フラボノイドの一種であるルチンやヘスペリジンなどが豊富に含まれており、冷え性の改善に繋がると考えられています。フラボノイドはビタミンPとも呼ばれ、毛細血管を丈夫にし、血流を改善する効果が期待できます。この効果によって、血行が悪くなったり、血液が身体の隅々まで行き渡らなくなることで起こる冷え性の改善にも繋がるのです。
更年期症状の改善
クコの実には、更年期症状や月経前症候群(PMS)の予防・緩和に効果があると言われているβシトステロールが豊富に含まれています。これは植物ステロールの一種で、ホルモンバランスを整える作用があると考えられています。また、前述したように、更年期症状の一つである憂鬱な気分に効果があると言われるアミン(ビタミンB1)も非常に多く含まれており、これらの複合的な作用によって、更年期症状の改善が期待できます。
クコの実の栄養成分
クコの実には、健康維持に役立つ様々な栄養素が豊富に含まれています。ここでは、特に注目すべき栄養成分をピックアップしてご紹介します。より詳しい情報は、以下の栄養成分一覧をご覧ください。【管理栄養士監修】
豊富なミネラル
ミネラルは、五大栄養素の一つで、私たちの体を構成する上で欠かせない成分です。ミネラルは、骨や歯といった体の組織を形成するだけでなく、体の機能を調整し、健康を維持する上で重要な役割を担っています。体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。クコの実には、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、リンなど、様々なミネラルがバランスよく含まれており、その含有量は他のドライフルーツと比較しても非常に高い水準です。
カリウム
カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する作用があるため、血圧が気になる方におすすめです。また、立ち仕事やデスクワークなどで足がむくみやすい方にも、むくみ解消効果が期待できます。クコの実にはナトリウムも比較的多く含まれていますが、カリウムの含有量はそれ以上に多いので、過剰なナトリウム摂取を過度に心配する必要はないでしょう。ただし、腎機能が低下している方は、カリウムの摂取量に注意が必要です。過剰なカリウム摂取は、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
カルシウム
カルシウムは、丈夫な骨や歯を作る上で不可欠な成分です。不足すると、骨が弱くなり、骨粗しょう症のリスクが高まります。骨粗しょう症は高齢者の病気と思われがちですが、カルシウム不足は若い世代にも影響を与える可能性があります。また、カルシウムは神経の働きにも関わっており、不足するとイライラの原因になることもあります。
マグネシウム
マグネシウムは、体内で起こる300種類以上の酵素反応に不可欠なミネラルです。血圧の安定や心臓病、糖尿病といった生活習慣病の予防、そして丈夫な骨や歯を維持する上で重要な役割を果たすと考えられています。
βカロテン
βカロテンは、植物由来のオレンジ色の色素成分で、体内でビタミンAに変換され、その効果を発揮します。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康を維持し、免疫力を高める働きがあると考えられています。また、βカロテン自体も強力な抗酸化作用を持ち、老化の防止、動脈硬化、シミやシワといった肌トラブルの原因となる活性酸素の除去をサポートし、生活習慣病の予防に貢献することが期待されています。
ビタミンB1
ビタミンB1は、チアミンとも呼ばれる水溶性ビタミンで、摂取した糖質をエネルギーに変換する上で欠かせない栄養素です。疲労回復を促し、健康な皮膚や粘膜を維持するのに役立ちます。さらに、脳や神経系のスムーズな情報伝達をサポートする重要な役割も担っています。
ビタミンB2
ビタミンB1が主に糖質の代謝に関与するのに対し、ビタミンB2は脂質の代謝をサポートする上で重要な役割を果たします。皮膚や粘膜、髪、爪といった細胞の健康的な再生と成長に深く関わっており、体の発育を促進するために不可欠なビタミンとして知られています。
ナイアシン
ナイアシンは、ビタミンB3とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種で、ニコチン酸とニコチンアミドの総称です。三大栄養素である糖質、タンパク質、脂質のエネルギー代謝を円滑に進める上で重要な役割を果たし、皮膚や粘膜の健康維持、血流改善にも貢献すると言われています。
ビタミンC
ビタミンCは、細胞間の結合組織であるコラーゲンの生成に不可欠な栄養素です。肌のハリや弾力を保つだけでなく、血管、粘膜、骨、軟骨などの組織を丈夫にする可能性も示唆されています。また、強力な抗酸化作用により、老化の防止や動脈硬化、心筋梗塞といった生活習慣病の予防効果が期待されています。さらに、免疫力向上やストレスへの抵抗力強化など、現代人に嬉しい効果も多く報告されています。
クコ多糖類(LBP)
クコ多糖類(LBP)は、クコの実を特徴づける成分の一つで、アラビノース、ラムノース、キシロースなど6種類の単糖と18種類のアミノ酸からなる複合多糖類です。優れた抗酸化作用を持ち、健康維持や美容に対して様々な良い影響を与えると考えられています。加えて、細胞の免疫機能を高めたり、特定のがん細胞の増殖を抑える効果も報告されています。
ベタイン
ベタインは、アミノ酸の一種であり、様々な植物や水産物に存在する天然の物質です。血糖値の急激な上昇を抑制する働きや、脂肪肝、動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病の予防に役立つとされています。近年では、ベタインが統合失調症の症状を改善する可能性も示唆されており、東京大学や理化学研究所などの研究チームがマウス実験でその効果を発見しました。実験の結果、統合失調症のマウスにベタインを投与したところ、通常のマウスと同様に仲間との接触が見られるようになり、神経細胞の構造も正常に近い状態に戻ったと報告されています。ベタインは、もともと遺伝性疾患であるホモシスチン尿症の治療薬に用いられていた成分ですが、この研究により、ベタインを含むクコの実の潜在的な効果・効能は、今後さらに広がるかもしれません。参照サイト:毎日新聞「ベタインに統合失調症改善の兆し 東大・理研グループがマウス実験」
ゼアキサンチン
クコの実には、ゼアキサンチンという貴重な栄養素も豊富に含まれています。これはカロテノイドの一種であり、成分表示には明記されていないこともありますが、緑黄色野菜に多く含まれる、強力な抗酸化作用を持つ成分です。特に目の網膜にある黄斑部に多く存在し、太陽光などの有害な光から目を守る上で重要な役割を果たします。また、優れた抗酸化力により、体内の活性酸素を除去し、細胞のダメージを軽減する効果が期待されています。そのため、ルテインと同様に、加齢黄斑変性や白内障といった目の疾患予防に役立つと考えられています。
カロテノイドとは
カロテノイドは、自然界に広く分布する、赤色や黄色の色素の総称です。β-カロテンなどのカロテン類と、ゼアキサンチンやルテインなどのキサントフィル類に分けられ、いずれも高い抗酸化作用を持つことで知られています。
ポリフェノール
ポリフェノールは、植物に広く存在する苦味や色素の成分で、ビタミンCやビタミンEと同様に、強力な抗酸化作用を持っています。この抗酸化作用によって、美肌効果やアンチエイジング効果が期待できるだけでなく、動脈硬化、糖尿病、肥満といった生活習慣病の予防にも有効であるという研究結果も報告されています。
クコの実を食べる際の注意点
クコの実には、健康、美容、ダイエットなど、多岐にわたる効果が期待できますが、その反面、注意すべき点も存在します。ここでは、クコの実を摂取する際に特に重要な4つの注意点をご紹介します。【管理栄養士監修】【医師監修】
注意点①アレルギーをお持ちの方は特に注意
内閣府食品安全委員会のウェブサイトでは、オランダの食品・消費者製品安全局(VWA)がクコの実摂取後の健康問題について注意喚起を行っている旨が掲載されています。報告によると、食品アレルギーを持つ人がクコの実を摂取した後に、アレルギー反応を起こした事例があるとのことです。信頼性の高い情報源であるため、何らかの食物アレルギーをお持ちの方は、クコの実を口にする前に、必ず医師などの専門家にご相談ください。
注意点②過剰摂取は副作用のリスクあり
クコの実には様々な健康効果が期待できますが、摂りすぎると、吐き気、腹部の不快感、嘔吐、下痢といった消化器系のトラブルを引き起こすことがあります。そのため、摂取量には十分な注意が必要です。一日の摂取目安量については様々な意見がありますが、一般的には乾燥クコの実で10~20粒程度、重量にして15~20g程度が良いとされています。ただし、個人差があるため、アレルギーのない方でも最初は少量(3粒程度)から試し、体調の変化を注意深く観察しながら徐々に量を調整していくことをおすすめします。クコの実を漢方薬や薬膳として三千年以上にわたり利用してきた中国においても、一日の摂取量は少量に留め、長期的に摂取する方法が推奨されています。
注意点③妊娠中・授乳期間中の摂取は控えましょう
内閣府食品安全委員会のウェブサイトには、「ゴジベリー(クコの実)は妊婦には適さない」という記述があります。具体的な理由については明記されていませんが、妊娠によって体質が変化し、通常はアレルギー反応を示さない方でもクコの実に対してアレルギー反応を起こす可能性が考えられます。また、授乳期間中に母親が摂取した場合、母乳を通じて赤ちゃんがアレルギーを発症するリスクも否定できません。母乳を介してクコの実の成分が影響を及ぼさないようにするためにも、妊娠中および授乳中の摂取は控えることが賢明です。どうしても摂取したい場合は、必ず事前に医師などの専門家にご相談ください。
注意点④薬を服用中の方は医師・薬剤師に相談を
クコの実には、医薬品との相互作用を引き起こす可能性が指摘されています。特に、高血圧治療薬、糖尿病治療薬、抗凝固剤などを服用している方は、クコの実を摂取する前に必ず医師または薬剤師に相談してください。薬の効果に影響を与えたり、予期せぬ副作用を引き起こしたりする可能性があるため、自己判断での摂取は避けるようにしてください。
クコの実の効果的な食べ方・飲み方
クコの実の恩恵を最大限に享受するためには、日々の食生活に取り入れることが肝要です。継続は力なり、ご自身にとって無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。クコの実のアレンジ方法は多岐にわたるため、単調にならないよう、様々な食べ方を試したり、組み合わせたりするのも良いでしょう。ただし、過剰摂取は避けるべきです。適切な摂取量を守り、健康的な食生活を心がけましょう。
そのままスナックとして
手軽に栄養補給したい時には、サプリメント感覚でそのまま口にすることができます。一日の摂取目安量である5~20粒を目安に、小分けにして持ち歩けば、オフィスや旅行先でも手軽に楽しめます。乾燥クコの実を、他のドライフルーツと一緒にガラス瓶に入れて保存しておけば、ちょっとしたおやつや非常食として重宝します。ナッツ類やカボチャの種などと混ぜ合わせれば、登山などの携帯食としても最適です。
デザートのトッピングとして
クコの実と聞いて、杏仁豆腐を思い浮かべる方は多いかもしれません。杏仁豆腐以外にも、ヨーグルトやシリアル、ゼリー、プリンなどにトッピングすることで、見た目が華やかになり、食感のアクセントも楽しめます。寒天との組み合わせもおすすめです。暑い季節には、アイスクリームやかき氷のトッピングにも最適です。パンケーキの生地に、他のドライフルーツと同様に混ぜ込んで焼くのも、おすすめの活用方法です。
飲み物やお酒として楽しむ
クコの実はお茶や紅茶、スムージーなど、様々な飲み物に入れて楽しむことができます。温かい飲み物に入れると、クコの実の優しい甘みが溶け出し、リラックス効果も期待できます。カクテルに添えれば、見た目にもおしゃれで華やかな印象になります。自家製クコ酒に挑戦してみるのもおすすめです。乾燥させたクコの実と氷砂糖、ホワイトリカーを容器に入れ、約2ヶ月間じっくりと熟成させます。特に、日本酒で仕込む方法は絶品です。淡い紅色に染まり、クコの実のまろやかな風味が際立つ、上品な味わいをお楽しみいただけます。
料理のアクセントや薬膳料理に
クコの実は味が主張しすぎないため、さまざまな料理に取り入れやすい食材です。生のサラダに混ぜれば、鮮やかな赤色が彩りを添え、食感とほのかな甘みがアクセントになります。中国や韓国では、古くから薬膳料理に用いられてきました。手軽に試すなら、鶏肉の水炊きに加えるのがおすすめです。慣れてきたら、五香粉や八角、老酒などを加えて、本格的な薬膳火鍋に挑戦してみるのも良いでしょう。特に冬には、松の実やナツメと一緒に煮込むことで、体を温め、滋養を高める効果が期待できます。韓国の定番料理であるサムゲタンは、鶏肉と生姜、にんにくなどを煮込んだ滋養スープで、疲労回復に効果的です。土用の丑の日の鰻のように、夏バテ予防として親しまれています。鍋やスープに入れるだけでなく、お粥にトッピングするのも簡単でおすすめです。寒い時期には、温かい料理と一緒にクコの実を摂り、おいしさと効能を同時に楽しみましょう。ご飯に混ぜれば、手軽にビタミンやミネラルを摂取できるだけでなく、彩りも豊かになり、食事がより楽しくなります。
クコの実ティー
美肌効果を期待できる、クコの実入りの紅茶です。本格的に茶葉から淹れるのも良いですが、ここでは手軽にティーバッグを使います。カップにティーバッグとクコの実(適量。摂取量に注意)を入れ、熱湯を注いで数分蒸らせば完成です。
クコの実冷やし粥
暑くて食欲がない時にぴったりの冷たいお粥です。手間を省くために、お粥は炊飯器で炊いておきましょう。冷やしたお粥を器に盛り、クコの実(適量。摂取量に注意)と少量の塩を加えて混ぜれば出来上がりです。
クコの実を添えたバナナヨーグルトサラダ
クコの実とバナナだけで作る、シンプルなヨーグルトサラダです。バナナを食べやすい大きさにカットし(手でちぎってもOK)、ヨーグルトを盛り付けた器にバナナとクコの実(適量)を添えれば完成です。ダイエット中の方は、砂糖不使用のヨーグルトを使うのがおすすめです。
クコの実(ゴジベリー)と他のベリー類の比較
クコの実、別名ゴジベリーやウルフベリーは、その名前から「ベリーの仲間?」と疑問に思う方もいるかもしれません。「ベリー」という言葉は、特定の植物種を指すのではなく、果肉が柔らかく水分を多く含む果物の総称として用いられます。そのため、「ベリー」と名が付く果物には様々な種類が存在します。ここでは、ゴジベリー(クコの実)以外の代表的なベリー類と、それぞれの特性や期待できる効果を比較してみましょう。比較においては、クコの実は一般的にドライフルーツとして食されるため、他のベリーもドライフルーツの栄養成分データを使用します。
ブルーベリー
ベリー類の中でも、特に馴染み深いのがブルーベリーではないでしょうか。ブルーベリーはツツジ科スノキ属に属し、ナス科クコ属のクコの実とは全く異なる植物です。アントシアニンを豊富に含み、その抗酸化作用から、老化防止や健康維持を目的として広く食されています。甘酸っぱい風味と香りが特徴で、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富です。ドライブルーベリー100gにはビタミンKが89μg含まれており、クコの実の10μgと比較すると、約9倍もの含有量です。しかし、その他のビタミン類はクコの実の方が豊富な傾向にあり、特にβカロテンはブルーベリーが72μgであるのに対し、クコの実は800μgと、10倍以上の差があります。
ストロベリー(イチゴ)
ストロベリー(イチゴ)は、そのまま食べるだけでなく、ケーキやパフェなどのスイーツにも広く使われる、親しみやすいベリーです。クコの実やブルーベリーとは形状も大きく異なり、「ベリー」という名前が付いているにもかかわらず、ベリーの仲間という認識がない方もいるかもしれません。ストロベリーはバラ科イチゴ属に属し、私たちが食用としている赤い部分は、果実ではなく「花托(かたく)」と呼ばれる茎の先端が肥大化したものです。表面にある小さな粒々が、ストロベリーの果実にあたります。ストロベリーもアントシアニンを豊富に含み、その他にも食物繊維、葉酸、カルシウムなどが含まれています。ドライストロベリー100gに含まれるカルシウムは140mgで、クコの実100gの47mgと比較すると約3倍の量です。しかし、その他の栄養素はクコの実の方が豊富な傾向にあり、特にカリウムはストロベリーの15mgに対し、クコの実は1400mgと圧倒的な差があります。
クランベリー
クランベリーはツツジ科スノキ属ツルコケモモ亜属に分類され、ナス科クコ属のクコの実とは異なる種類の植物です。ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンを豊富に含んでいます。プロアントシアニジンは強力な抗酸化作用を持ち、尿路感染症の予防や、皮膚の色素沈着を抑制する効果が期待されています。酸味と渋みが強いため、生食にはあまり適していません。そのため、ジャム、ジュース、ソース、ドライフルーツなどに加工されることが一般的です。
インカベリー
インカベリーは、食用ほおずきの一種で、クコの実と同じナス科に属しています。「ゴールデンベリー」という名前でも知られ、その栄養価の高さからスーパーフードとして注目されています。日本の観賞用ホオズキとは異なり、食用であるインカベリーには毒性はありません。むしろ、食物繊維、抗酸化物質、ミネラルが豊富に含まれており、健康や美容に役立つとされています。参照サイト:
まとめ
クコの実(ゴジベリー)は、中国で古くから健康に良いとされてきた食品です。現代では、美容やダイエットにも良いスーパーフードとして人気があります。クコの実には、ビタミンやミネラル、抗酸化成分などが豊富に含まれており、生活習慣病の予防、疲労回復、美肌効果、視力改善など、様々な効果が期待できます。ヨーグルトや料理、お酒など、色々な食べ方で楽しむことができます。ただし、アレルギーがある方や妊娠中の方は、医師に相談してから摂取しましょう。また、食べ過ぎにも注意が必要です。クコの実は、健康と美容のために、毎日の食生活に取り入れるのに適した食品と言えるでしょう。
クコの実(ゴジベリー)は生でも食べられますか?
クコの実は生で食べることも可能ですが、独特の青臭さと苦みがあるため、一般的には乾燥させたドライフルーツとして販売されています。乾燥したクコの実は、ほのかな甘みと干しブドウのような食感があり、比較的食べやすくなっています。
クコの実にはどんな栄養成分が豊富に含まれていますか?
クコの実には、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンC、β-カロテンなどのビタミン類、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれています。特に、クコ多糖類(LBP)、ゼアキサンチン、ベタイン、ポリフェノールなどの抗酸化成分や、近年注目されているベタイン(精神疾患への効果も期待される)が特徴的です。
クコの実から得られる健康への恩恵とは?
クコの実には、私たちの健康をサポートする様々な効果が期待されています。具体的には、生活習慣病の予防や改善(脂肪肝への抵抗、血圧を下げる作用、血糖値の急上昇を抑える効果)、体を元気にする滋養強壮作用、ビタミンB1による疲労回復、ビタミンCによる免疫力アップ、抗酸化成分による美肌・アンチエイジング・美白効果、ゼアキサンチンやβカロテンによる視力サポート、冷えの改善、そして更年期における不調の緩和など、幅広い恩恵をもたらすとされています。
クコの実を効果的に摂取するには?
クコの実を日々の生活に取り入れるには、続けやすい方法を見つけることが重要です。そのままおやつとして楽しむのはもちろん、ヨーグルト、シリアル、杏仁豆腐などのデザートに加えるのもおすすめです。料理に使う場合は、薬膳鍋やサムゲタン、混ぜご飯の材料として活用できます。さらに、お茶やスムージーに混ぜたり、自家製のクコ酒を作るのも良いでしょう。
クコの実を摂取する際の注意点は?
クコの実の1日の摂取量の目安は、およそ10gから20g(約10粒から20粒)とされています。過剰に摂取すると、吐き気、腹痛、嘔吐、下痢といった不快な症状が現れる可能性があるため、摂取量には注意が必要です。また、食物アレルギーをお持ちの方、妊娠中や授乳中の方、血圧や糖尿病の薬、血液をサラサラにする薬などを服用中の方は、摂取する前に必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。