一年を通して様々な顔を見せるフルーツ。それぞれの季節に旬を迎え、みずみずしい美味しさを私たちに届けてくれます。せっかくなら、一番美味しい時期に味わいたいですよね。古くから日本では「初物七十五日」という言葉が大切にされてきました。これは、旬の食べ物を最初に味わうと、寿命が75日も延びるという言い伝えです。旬の食材は、味が良いだけでなく栄養も豊富なので、積極的に食生活に取り入れたいものです。この記事では、季節ごとにおすすめのフルーツを徹底解説!食べ頃や美味しい産地もご紹介します。この記事を読めば、食卓がより一層彩り豊かになること間違いなし!さあ、旬のフルーツを味わい尽くしましょう。
今、最も美味しい果物は?旬をカレンダーでチェック!
果物における「旬」とは、その果物が最も美味しく、栄養価もピークを迎える時期のことです。一年を通して市場に出回る果物でも、特に味が際立つ旬の時期があります。旬の果物を選ぶことで、美味しさを最大限に楽しめるでしょう。女子栄養大学の研究によると、野菜や果物の栄養価は、旬の時期とそうでない時期で大きく差が出ることが分かっています。例えば、トマトに含まれる栄養素である「カロテン」を例にとると、含有量が最も多い7月は、最も少ない11月と比較して約2倍ものカロテンが含まれているそうです。また、旬の時期は市場への供給量も増えるため、比較的安価に入手できるというメリットもあります。
春が旬の果物
春は、みずみずしく、爽やかな甘さが特徴の果物が旬を迎える季節です。メロン、さくらんぼ、びわなど、春ならではの美味しい果物を存分に味わえます。ここでは、春に旬を迎える代表的な果物をご紹介しましょう。
さくらんぼ
さくらんぼは、その可愛らしい見た目と、甘みと酸味の絶妙なバランスが魅力の果物です。主な産地は山形県ですが、北海道、山梨県、秋田県などでも栽培されています。特に有名な品種は「佐藤錦」で、山形県では栽培面積の約7割を占めています。日本のさくらんぼは、葉酸、ビタミンC、カリウムなどのビタミン類が豊富に含まれているのが特徴で、アメリカンチェリーはミネラル分が多いのが特徴です。さくらんぼは5月から7月頃に旬を迎えるため、スーパーなどでも多く見かけるようになるでしょう。さくらんぼを選ぶ際には、以下の点に注目してみましょう。軸が緑色で太いものは新鮮な証拠です。果実にハリがあり、色が濃いものは完熟している傾向があります。また、全体的にツヤがあるものも、美味しいさくらんぼの特徴です。
メロン
5月から8月にかけて旬を迎えるメロンは、世界中で愛される果物です。日本国内では、茨城県、熊本県、北海道が主要な産地として知られています。芳醇な香りとみずみずしい食感が特徴で、βカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変わり、視力維持や皮膚の健康をサポートします。また、カリウムも豊富で、体内の余分なナトリウムを排出するのを助け、健康維持に貢献します。日本のメロンは、果肉の色によって赤肉、青肉、白肉に分類され、さらに表面の網目の有無によって分けられます。例えば、高級なマスクメロンは青肉で網目があるタイプです。主な品種としては、静岡県産のマスクメロン(高級品)、香り高いアールスメロン、手頃な価格のアンデスメロン(青肉)、高糖度のクインシーメロン(赤肉)、とろけるような食感の夕張メロン(北海道産、赤肉)などがあります。美味しいメロンを選ぶポイントは、お尻の部分が少し柔らかくなっているものが食べ頃であること、網目が均一で深く盛り上がっているものが甘い傾向にあること、そして、手に取った際にずっしりとした重みを感じるものが良品です。甘い香りが漂っていれば、完熟している証拠です。
びわ
4月から5月が旬のびわは、江戸時代に中国から伝来したとされる果物です。長崎県、千葉県、鹿児島県が主な産地として知られています。びわにはクエン酸が豊富に含まれており、糖質やたんぱく質を効率的にエネルギーに変換するのを助ける効果が期待できます。そのため、疲労回復や筋肉疲労の緩和に役立つと考えられています。びわには様々な品種があり、それぞれ甘みや酸味のバランスが異なります。代表的な品種としては、長崎県産の小ぶりで甘みが強い茂木(もぎ)、大ぶりで甘みと酸味のバランスが良い田中(たなか)、早生品種で酸味が控えめな長崎早生(ながさきわせ)などがあります。美味しいびわを選ぶには、皮にハリがあり、傷がないものを選びましょう。全体的に色が濃く均一なものが完熟のサインです。表面の産毛がしっかりと残っているものは新鮮である証拠です。
はっさく
はっさくは、温州みかんと文旦の交配種である柑橘類の一種です。「八朔」という名前は旧暦の8月1日を指しますが、実際には2月から4月頃が旬です。名前の由来は、はっさくを発見した広島県因島田熊町(現在の尾道市)の僧侶・小江恵徳が「八朔には食べられる」と言ったというエピソードに由来します。広島県尾道市の因島が主な産地であり、和歌山県や愛媛県でも栽培されています。厚い皮に包まれていますが、果肉は上品な甘さと酸味があり、独特のパリッとした食感が特徴で、多くの人に愛されています。苦味成分であるナリンギンには、食欲抑制や脂肪分解を促進する効果があると考えられ、代謝アップも期待できます。はっさくを選ぶ際には、皮にハリとツヤがあり、色が鮮やかなものを選びましょう。手に取ったときにずっしりと重みがあり、全体的に丸みを帯びたものがおすすめです。皮がブヨブヨしていたり、香りが弱いものは避けるようにしましょう。
キウイ
キウイフルーツは、主に3月頃に旬を迎えます。日本で流通しているキウイフルーツには、酸味が強いグリーンキウイと、甘みが際立つゴールドキウイの2種類があります。キウイフルーツは栄養価が高く、食物繊維が豊富に含まれており、種類によって特徴が異なります。グリーンキウイは、ビタミンCと食物繊維が特に豊富で、ゴールドキウイは、グリーンキウイよりもビタミンC含有量が多く、まろやかな甘さが特徴です。美味しいキウイフルーツを選ぶには、全体的に丸みがあり、表面に傷がないものを選ぶと良いでしょう。軽く握った際に、少し弾力があるものがおすすめです。柔らかすぎるものは避けてください。もし硬い場合は、リンゴと一緒に袋に入れて常温で保存すると、追熟を促すことができます。
グレープフルーツ
グレープフルーツは、通常4月から5月にかけて旬を迎えます。その特徴は、さわやかな香りと酸味、そして独特のほろ苦さです。ビタミンCが豊富に含まれているため、美肌効果が期待できるでしょう。また、リモネンという成分はリラックス効果をもたらし、そのさっぱりとした味わいが多くの人に愛されています。グレープフルーツには、果肉の色によってルビー(赤肉)とホワイト(白肉)の2種類があります。ルビーは甘みが強く、ホワイトは酸味が強い傾向にあります。美味しいグレープフルーツを選ぶポイントは、皮にハリとツヤがあり、きめが細かいものを選ぶことです。手に取った際にずっしりとした重みを感じるものは、果汁がたっぷり含まれている証拠です。さらに、柑橘類ならではのフレッシュな香りがするものも、新鮮さを示すサインとなります。
ライチ
ライチは、一般的に4月から8月頃が旬の果物です。その魅力は、上品な甘さと独特な風味です。ビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化作用によって風邪の予防や美肌効果が期待できます。さらに、葉酸が赤血球の生成をサポートし、貧血予防にも役立つなど、栄養価の高さも特筆すべき点です。ライチは中国南部が原産であり、楊貴妃が愛したとされる高級フルーツとしても知られています。美味しいライチを選ぶ際には、皮が鮮やかな赤色をしており、ハリとツヤがあるものを選びましょう。皮の表面のトゲがしっかりとしていて、触った時にザラザラとした感触があるものが新鮮です。また、かすかに甘い香りがすることも良い兆候です。反対に、皮が黒ずんでいたり、カビが生えていたりするものは避けるようにしましょう。
夏が旬の果物
夏は、みずみずしく爽やかな果物が最も美味しくなる季節です。甘くて果汁たっぷりのスイカや桃、さっぱりとした酸味が魅力のパイナップルなど、暑い夏にぴったりのフルーツを存分に楽しむことができます。ここでは、特に人気の高い以下の果物について詳しくご紹介します。
桃
桃は、とろけるような舌触りと、口いっぱいに広がるジューシーな果汁が魅力の果物です。主に山梨県、福島県、長野県などで栽培されており、その品質の高さから、香港や台湾をはじめとする世界各国へ輸出され、広く親しまれています。桃には、ビタミンCやカリウムが豊富に含まれており、美肌効果や整腸効果が期待できます。桃には様々な品種がありますが、一般的に6月下旬から8月にかけて収穫のピークを迎えます。代表的な品種としては、白鳳(はくほう)(大玉で果肉が柔らかく、ジューシーな味わい)、あかつき(強い甘みが特徴で、緻密な果肉)、川中島白桃(かわなかじまはくとう)(やや硬めの食感で日持ちが良い)などが挙げられます。美味しい桃を選ぶためのポイントはいくつかあります。まず、桃の縫合線(溝)が左右対称で、全体的に丸みを帯びているものがおすすめです。また、産毛がしっかりと残っており、うっすらと赤い色が付いているものが良いでしょう。さらに、甘く芳醇な香りがするものほど、熟している証拠です。
スイカ
スイカは非常に古い歴史を持つ果物で、その栽培は紀元前にアフリカで始まったとされています。日本には16世紀後半に伝わり、今では夏の風物詩として広く親しまれています。スイカは水分をたっぷり含んでいるため、夏の水分補給には最適です。さらに、疲労回復を助けるクエン酸、ビタミンC、体の調子を整えるカリウムや塩分も含まれており、夏バテ対策にも効果的です。一般的に、スイカの旬は5月から8月頃ですが、熊本県など一部地域では「春スイカ」や「秋スイカ」として、春や秋にも収穫されています。スイカには大玉スイカや小玉スイカなど、様々な種類があり、品種によって味も異なります。主な産地としては、熊本県、千葉県、山形県、鳥取県などが挙げられ、特に熊本県と千葉県で国内生産量の約4分の1を占めています。スイカを選ぶ際には、縞模様がはっきりしていて光沢があるものを選びましょう。ツルが枯れていたり、断面が黒ずんでいるものは熟しているサインです。軽く叩くと、ポンポンと響くような音がするものは水分が多く甘い傾向があります。また、持った時にずっしりとした重みを感じるものが美味しいでしょう。
ブルーベリー
ブルーベリーは、ケーキやジャムなどの材料としても人気ですが、そのまま食べても美味しい果物です。元々はアメリカ原産の果物で、日本での栽培は1970年代後半から広まりました。日本産ブルーベリーの旬は6月から8月頃で、東京都、長野県、群馬県などで多く生産されています。ブルーベリーは抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含み、健康維持や老化防止に役立つとされています。また、アントシアニンは眼精疲労の軽減に効果が期待できます。ブルーベリーには、ハイブッシュ系(寒冷地向き、大粒で甘酸っぱい)、ラビットアイ系(暖地向き、小粒で甘みが強い)、ローブッシュ系(野生種に近い、栽培が難しい)の3つの系統がありますが、日本ではローブッシュ系の栽培はほとんど行われていません。ブルーベリーを選ぶ際は、果実全体が濃い黒色で、表面に白い粉(ブルーム)がしっかりと付いているものが新鮮です。粒が大きく、張りがあるものを選びましょう。ヘタの部分がしっかりとしていて、カビが生えていないものが良いでしょう。
すもも
甘酸っぱくジューシーな果肉が人気のすももは、6月から9月頃に旬を迎える夏の果物です。特に6月から7月にかけて旬を迎えるものは、白桃とは異なる酸味が特徴です。そのまま食べるのはもちろん、シロップ漬けにも適しています。すももは、中国原産の「日本すもも(プラム)」とヨーロッパ原産の「西洋すもも(プルーン)」に分けられますが、ここでは主に「日本すもも(プラム)」について解説します。すももには葉酸が豊富に含まれており、貧血予防に役立ちます。また、アントシアニンやビタミンA・Cも含まれているため、目の健康維持や夏バテ予防にも効果が期待できます。主な産地は山梨県、長野県、山形県で、この3県で国内出荷量の約6割を占めています。日本で栽培されている主な品種には、大石早生(早生品種で赤色、甘酸っぱい)、ソルダム(大粒で甘みが強く、果肉が赤い)、太陽(大粒で甘みが強く、日持ちが良い)などがあります。すももを選ぶ際には、全体的に赤く色づいていて、ハリとツヤがあるものを選びましょう。表面に白い粉(ブルーム)がしっかり付いているものは新鮮な証拠です。軽く触ったときに、少し弾力があるものが食べ頃です。
あんず
あんずは、ジャムやお菓子などの加工食品に使われることが多いですが、生で食べられる品種も出回っています。旬は6月から7月頃です。国内では、青森県と長野県で日本全体の生産量の約99%を占めており、他の地域での生産は限られています。生で食べられる代表的なあんずの品種としては、ハーコット(甘みが強く、酸味が少ない)、信山丸(大粒で甘酸っぱく、香りも良い)などが挙げられます。あんずを選ぶ際は、全体的に鮮やかなオレンジ色で、ハリとツヤがあるものを選びましょう。果実に傷がなく、ふっくらとしているものが良いです。ヘタの周りに緑色が残っているものは、まだ熟していないことが多いので避けましょう。
マンゴー
トロピカルフルーツの代表格であるマンゴーは、国内でも栽培されています。品種や産地によって旬の時期は多少異なりますが、一般的には4月から8月にかけてが最盛期です。国内では主に沖縄県、宮崎県、鹿児島県といった温暖な地域で栽培されており、豊富な日差しを浴びて育ちます。マンゴーはビタミンCやβ-カロテンを豊富に含み、美容効果が期待できるのが嬉しいポイント。また、栄養価が高いため、夏の暑さで疲れた体のエネルギー補給にも最適です。国内で多く栽培されているのはアーウィン種で、「アップルマンゴー」や高級ブランドとして知られる「太陽のタマゴ」もこの品種に属します。沖縄県では、キーツ種という500gから2kgにもなる大型のマンゴーも栽培されています。マンゴーを選ぶ際には、色ムラがなく、全体的に鮮やかな色合いでツヤのあるものを選びましょう。軽く触ってみて、わずかに弾力を感じるものが食べ頃です。また、ヘタの部分がふっくらとしていて、甘い香りが漂うものは、よりおいしいマンゴーである可能性が高いでしょう。
パイナップル
パイナップルは、太陽の恵みをたっぷり浴びて育ち、6月から8月頃に旬を迎えます。特徴的なのは、タンパク質を分解する酵素を含んでいること。そのため、肉料理と一緒に食べることで消化を助ける効果が期待できます。国内で流通しているパイナップルのほとんどが沖縄県産です。甘くてジューシーなパイナップルを選ぶコツは、ずっしりとした重みがあり、下部がふっくらと膨らんでいるものを選ぶこと。葉は鮮やかな緑色で、根元がしっかりと太いものが新鮮です。購入後、パイナップルを逆さまに置いておくと、甘みが均一に行き渡ると言われています。ぜひ試してみてください。
バナナ
バナナは、私たちの食卓に欠かせない存在ですが、そのほとんどが輸入品です。そのため、一年を通して安定して手に入れることができます。バナナは熱帯・亜熱帯地域で栽培される果実であり、主要生産国(フィリピン、エクアドルなど)では年間を通じて収穫が可能です。バナナは他の多くの果物と異なり、特定の季節に一斉に収穫されるものではなく、1年中安定して供給されます。日本国内のバナナの旬は、7月から9月頃です。バナナは、低カロリーでありながら、糖質、カリウム、ビタミンB群など、様々な栄養素をバランス良く含んでいます。手軽に皮をむいて食べられるため、大人から子供まで幅広い世代に人気です。国内では沖縄県や鹿児島県の一部で少量栽培されています。おいしいバナナを選ぶポイントは、皮に黒い斑点、いわゆる「シュガースポット」が出ているものを選ぶこと。これはバナナが熟して甘くなっているサインです。全体的に黄色く色づき、適度な太さがあるものが良いでしょう。まだ青いバナナを購入した場合は、常温で保存することで追熟が進み、より甘くおいしくなります。
イチジク
イチジクは、独特の風味とねっとりとした食感が魅力的な果物です。秋の味覚というイメージがありますが、実際には7月から10月頃にかけて旬を迎えます。ビタミンEやビタミンB6などの栄養素を含み、古くから不老長寿の果物としても親しまれてきました。主な産地は、愛知県、和歌山県、大阪府などです。おいしいイチジクを選ぶためには、果実全体が赤紫色に色づき、ハリとツヤがあるものを選びましょう。お尻の部分が少し裂けているものは、完熟しているサインです。また、手に取った時にずっしりとした重みを感じ、甘い香りがするものを選ぶと良いでしょう。
ぶどう
古くから人々に親しまれてきたぶどうは、世界各地で栽培されている果物です。日本でも、様々な品種が栽培されており、特に山梨県、長野県、岡山県が主な産地として知られています。旬の時期は品種によって異なりますが、一般的には7月から10月にかけて市場に出回ります。秋のイメージが強いかもしれませんが、夏から楽しめる品種も存在します。豊富なポリフェノールを含み、美容や健康をサポートする効果が期待できます。ぶどうの種類は非常に多く、1万を超えるとも言われていますが、日本でよく見られる品種には、大粒で甘みが際立つ巨峰、皮ごと食べられるシャインマスカット、甘酸っぱくジューシーなピオーネ、小粒で甘みの強いデラウェアなどがあります。美味しいぶどうを選ぶには、粒が大きく、ハリがあり、実がしっかりと詰まっているかを確認しましょう。枝から粒が落ちていないものを選ぶのがおすすめです。また、表面の白い粉(ブルーム)は鮮度の良い証拠とされています。
梨
シャリシャリとした食感と上品な甘さが魅力の梨は、7月から10月頃に旬を迎えます。水分をたっぷり含んでいるため、夏の水分補給にも最適です。比較的低糖質・低カロリーであり、ダイエット中でも罪悪感なく食べられるでしょう。リンゴ酸やクエン酸も含まれており、夏バテ気味の身体を癒す効果も期待できます。日本の梨は、果皮の色によって大きく「赤梨」と「青梨」に分けられます。赤梨の代表的な品種としては「豊水」や「幸水」、青梨の代表としては「二十世紀」が挙げられます。その他にも、甘みが強く酸味が少ない幸水、甘みと酸味のバランスが取れた豊水、みずみずしい食感が特徴の二十世紀、大玉で日持ちの良い新高など、様々な品種が栽培されています。梨を選ぶ際は、全体的に丸みを帯び、お尻の部分がふっくらとしているものを選びましょう。皮にハリがあり、色ムラがないものが新鮮です。手に取った際にずっしりとした重みを感じるものは、果汁が豊富である可能性が高いです。
ドラゴンフルーツ
ドラゴンフルーツは、7月から11月頃までと比較的長い期間旬を迎える果物です。その特徴的な見た目から、食べ方が気になる方もいるかもしれませんが、簡単に皮ごと4等分に切って食べることができます。ビタミンや食物繊維などの栄養素を豊富に含んでおり、健康を意識する方にもおすすめです。主な産地は沖縄県や鹿児島県です。果肉の色は白と赤があり、一般的に赤肉の方が甘みが強いと言われています。美味しいドラゴンフルーツを選ぶポイントは、皮の色が鮮やかで、ハリとツヤがあるものを選ぶことです。表面のウロコのような部分がしっかりとしていて、先端が枯れていないものが新鮮な証拠です。手に持ったときに、ずっしりとした重みがあるものを選びましょう。
秋が旬の果物
「実りの秋」という言葉が表すように、秋は多くの農作物が収穫の時期を迎えます。特に果物は、甘みが増し、より一層美味しくなる季節です。栗や柿など、秋ならではの味わい深いフルーツが登場します。これらの果物は、秋の味覚として楽しめるだけでなく、栄養価も高く、健康にも良い影響を与えてくれます。秋の恵みを存分に味わえる、旬の果物を紹介します。
ぶどう
ぶどうは、一般的に7月から10月にかけて市場に出回ります。特に秋の味覚として知られていますが、品種によっては夏から味わうことができます。豊富なポリフェノールを含み、その抗酸化作用は、美容や健康維持に役立つとされています。具体的な品種や選び方については、夏の果物の情報を参考にしてください。
柿
柿は、日本で昔から愛されてきた果物の一つです。旬は10月から11月頃ですが、品種によっては9月から12月にかけて楽しめます。主な産地は和歌山県、奈良県、福岡県などで、長野県、福島県、山梨県では干し柿の生産が盛んです。秋の代表的な果物である柿は、大きく甘柿と渋柿に分けられます。渋柿はタンニンが溶け出しやすく、甘柿は溶け出しにくい性質を持ちます。ビタミンCや抗酸化物質が豊富で、老化予防や二日酔い対策にも効果が期待できます。主な品種としては、富有柿(代表的な甘柿で、丸くて大きい)、次郎柿(甘柿で、四角い形)、刀根早生(渋柿で、脱渋処理が必要)などがあります。柿を選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。全体的に均一に色づき、ハリとツヤがあるものがおすすめです。ヘタが緑色で、実との間に隙間がないものが新鮮です。手に取った時に、ずっしりとした重みを感じるものが良いでしょう。
りんご
りんごは一年を通して店頭に並んでいるイメージがありますが、本来の旬は9月から12月頃です。夏の終わりから秋にかけて成熟します。CA貯蔵法(貯蔵庫内の酸素濃度を下げ、二酸化炭素濃度を高めることで品質を保持する方法)の普及により、一年中入手できるようになりました。現在栽培されている品種は約100種類に及び、それぞれ独自の風味を持っています。りんごはポリフェノールを多く含み、抗酸化作用が期待できます。国内では青森県が生産量の約6割を占め、次いで長野県、岩手県となっています。主な品種としては、ふじ(甘みと酸味のバランスが良く、シャキシャキとした食感)、つがる(早生品種で、甘みが強い)、ジョナゴールド(甘酸っぱく、果汁が豊富)、王林(青りんごで、甘みが強く香りが良い)、紅玉(酸味が強く、加工に適している)などが挙げられます。りんごを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。色が鮮やかでツヤがあるものがおすすめです。手に取った際に、重みを感じるものが良品です。お尻の部分が緑色ではなく、黄色や赤色になっているものは完熟している証拠です。
梨
梨は、7月から10月頃に旬を迎える果物で、夏から秋にかけて楽しむことができます。詳細な品種や選び方については、夏の果物の情報を参照してください。
ラ・フランス
西洋梨の一種であるラ・フランス。実は、かつて原産国のフランスで絶滅したと考えられていましたが、現在は日本でのみ栽培されている貴重な果実です。中でも山形県は、その生産量において日本一を誇り、続いて新潟県、青森県と続きます。ラ・フランスが旬を迎えるのは、10月から12月にかけて。山形県では、品質と生産量の安定化、そしてブランド力の強化を目指し、収穫解禁日を10月中の特定日に設定しています。ラ・フランスを選ぶ際には、全体的に黄緑色で、わずかに柔らかくなっているものが食べ頃のサインです。また、芳醇な香りを放っているものが良いでしょう。もし硬い場合は、追熟が必要です。室温で数日から1週間程度置き、軸の周辺が柔らかくなれば食べ頃となります。
栗
焼き栗やモンブラン、栗かのこなど、様々な形で楽しまれている栗も、秋を代表する味覚の一つです。9月から11月頃にかけて旬を迎え、茨城県、熊本県、愛媛県などが主な産地として知られています。栗には、ビタミンB1・C、食物繊維、カリウムなどが豊富に含まれており、疲労回復や風邪予防、むくみ解消、そして老化や動脈硬化の予防に効果が期待できます。栗の種類は主に、「ニホングリ」「チュウゴクグリ」「ヨーロッパグリ」「アメリカグリ」の4つに分類されます。日本で栽培されている品種としては、早生で甘みが強い「丹沢(たんざわ)」、風味豊かで加工に適した中生の「筑波(つくば)」、甘みが強く栗きんとんに最適な晩生の「銀寄(ぎんよせ)」などがあります。美味しい栗を選ぶポイントは、表面にツヤがあり、色が濃いものを選ぶこと。また、ずっしりとした重みがあり、形がふっくらとしているものが良いでしょう。虫食いの穴やカビの有無も確認しておきましょう。
みかん
11月から2月にかけて旬を迎えるみかん。中でも「温州みかん」は、最もポピュラーな品種です。一年を通してスーパーで見かけることができますが、5月から9月頃に出回るのは主にハウス栽培されたものです。みかんにはビタミンCが豊富に含まれており、風邪予防に効果が期待できます。冬の風物詩とも言えるみかんは、和歌山県、愛媛県、静岡県などで多く生産されています。日本で栽培されているみかんの品種としては、甘みと酸味のバランスが取れた「温州みかん」、甘みが強く香りの良い「伊予柑(いよかん)」、独特の香りと甘みが特徴の「ポンカン」などがあります。みかんを選ぶ際は、皮にハリとツヤがあり、色が濃く均一なものを選びましょう。ヘタの部分が小さく、軸が細いものは美味しい傾向があります。手に取った際にずっしりと重みを感じ、皮が薄いものがおすすめです。
レモン
レモンの旬は、11月から3月頃にかけて。レモンは100gあたり約100mgものビタミンCを含んでおり、柑橘類の中でもトップクラスの含有量を誇ります。爽やかで清涼感のある酸味が特徴で、国内では主に広島県や愛媛県で栽培されています。防カビ剤を使用していない国産レモンは、皮ごと安心して利用できるのが魅力です。美味しいレモンを選ぶには、皮にハリとツヤがあり、色が鮮やかなものを選びましょう。また、ずっしりとした重みがあり、香りが強いものが良いでしょう。表面に傷やシミがないかどうかも確認することが大切です。
冬が旬の果物
冬の寒さの中で、甘みと栄養を蓄えた果物たちが旬を迎えます。特に、柑橘類やいちごといった、香り高く滋味あふれる果物は、厳しい寒さの中で私たちの健康を支えてくれます。冬ならではの特別な味わいを堪能しましょう。ここでは、特に人気の高い果物をピックアップしてご紹介します。
いちご
可愛らしい見た目と甘酸っぱい味わいで人気のいちごは、12月から5月にかけてが旬の果物です。特に2月から4月頃は、味が濃厚になり最も美味しい時期を迎えます。ビタミンCが豊富に含まれており、たった7粒で1日に必要な摂取量を満たせると言われています。洗ってヘタを取るだけで手軽に食べられるのも嬉しいポイントです。常に新しい品種が開発されており、その数は年々増加しています。主な産地は栃木県、福岡県、熊本県などです。現在栽培されている品種の例としては、以下のものが挙げられます。とちおとめ(甘みと酸味のバランスが良く、幅広い世代に人気)、あまおう(大粒で濃厚な甘みが特徴、福岡県を代表する品種)、紅ほっぺ(甘みと酸味のバランスが良く、香りも豊か)、さがほのか(大粒で上品な甘さが特徴)。いちごを選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。果実全体が鮮やかな赤色で、ヘタの緑色が濃いものが新鮮です。表面にツヤがあり、傷や潰れがないものを選びましょう。ヘタが反り返っているものは、完熟している証拠です。
デコポン
デコポンは、不知火(しらぬい)という品種の柑橘類で、ポンカンと清見を掛け合わせて生まれたものです。際立つ甘さと、それを引き立てる程よい酸味、そして濃厚な味わいが特徴です。果肉は柔らかくジューシーで、ポンカンに似た爽やかな香りが楽しめます。ビタミンCも豊富で、100gあたり48mg含まれており、風邪予防や免疫力向上に効果が期待できます。「デコポン」はJA熊本果実連の登録商標であり、品種名は「不知火(しらぬい)」です。「不知火」のうち、糖度や酸度などの厳しい基準を満たしたものが「デコポン」として販売されます。熊本県産であっても基準を満たさなければ「不知火」として出荷されますし、他県産でもJAを通じて基準をクリアすれば「デコポン」として流通します。ハウス栽培されたものは12月頃から出回り始め、露地栽培のものはその後収穫されます。旬は2月から4月頃です。美味しいデコポンを選ぶポイントは以下の通りです。特徴的なデコ(おでこ)の部分が大きく、全体的にハリとツヤがあるものを選びましょう。手に取った時にずっしりと重みを感じ、香りが良いものがおすすめです。皮にシワがなく、色が濃いものは新鮮な証です。
せとか
せとかは、清見とアンコールを掛け合わせたものに、さらにマーコットを掛け合わせて誕生した柑橘類です。糖度が非常に高く、強い甘みが特徴です。長崎県で生まれた品種ですが、現在では愛媛県が主な産地となっています。旬は1月から3月頃です。せとかを選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。皮にツヤがあり、全体的に濃いオレンジ色をしているものがおすすめです。手に取った時にずっしりとした重みがあり、皮が薄いものが良品とされています。柑橘系の爽やかな香りが強いものほど、新鮮な証拠です。
甘夏
甘夏は、主に2月から5月にかけて美味しくなる柑橘です。ほどよい酸味が特徴ですが、それを上回る甘みと、清涼感あふれる風味が楽しめます。ビタミンC、クエン酸、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれており、特にビタミンCとクエン酸は、体を守る働きや、若々しさを保つ効果が期待されています。
まとめ
旬の果物は、栄養価がピークを迎え、最も美味しく味わえる時期に収穫されます。昔から「初物七十五日」と言われるように、旬の食べ物は健康にも良い影響を与えると考えられています。この記事では、春夏秋冬それぞれの季節に旬を迎える多種多様な果物について、栄養成分、選び方のポイント、産地などを詳しく解説しました。季節の移ろいを感じながら、身体にも優しい旬の果物を積極的に取り入れ、食生活を豊かに彩ってみましょう。
旬の果物をいただく利点は?
旬の果物の魅力は、その時期に最も栄養価が高まり、風味豊かで、新鮮な状態で味わえることです。女子栄養大学の研究によれば、旬の時期とそれ以外の時期では、果物の栄養価に大きな差が見られることが明らかになっています。また、旬の時期には市場への供給量が増えるため、比較的リーズナブルな価格で手に入れることができるのも嬉しいポイントです。
旬の果物で栄養価は変わる?
はい、旬を迎える時期によって果物の持つ栄養価は大きく変動します。例えば、ある研究では、トマトに含まれるカロテンの量は、旬である7月と比べて、11月には約半分程度にまで減少すると報告されています。これは、旬の時期に収穫された果物が、その果物が持つべき栄養素を最も豊富に含んでいるためです。
美味しい果物を見分けるコツは?
果物の種類によって見分けるポイントは異なりますが、一般的には、表面に張りがあり、艶やかな光沢を放っているものが良いとされています。また、手に取った際にずっしりとした重みを感じるものや、その果物特有の良い香りがするものも美味しい果物である可能性が高いです。加えて、果物の表面に付着している白い粉(ブルーム)は、新鮮さの証であり、品種によっては、お尻の部分の柔らかさやヘタの状態など、特定の形状や色も重要な判断材料となります。
デコポンと不知火って同じもの?
デコポンという名前は、実は品種名ではなく、不知火(しらぬい)という品種の柑橘類を指します。不知火は、ポンカンと清見という品種を掛け合わせて作られました。「デコポン」という名称は、熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)が所有する登録商標であり、熊本県で栽培された不知火のみが「デコポン」と名乗ることができます。それ以外の地域で生産されたものは、一般的に「不知火」という名前で販売されています。
パイナップルが肉料理に合うのはなぜ?
パイナップルには、タンパク質を分解する酵素である「ブロメライン」が含まれています。この酵素の働きによって、肉料理と一緒に食べることで、肉の繊維が分解され、柔らかく食べやすくなる効果が期待できます。また、ブロメラインは消化を促進する効果もあるため、ステーキや酢豚といった肉料理に添えられるのは、非常に理にかなった組み合わせと言えるでしょう。